「金融庁、大手行の合理化計画の妥当性を検証へ」、20代の銀行員は自分の長期的なキャリアをじっくりと考えてみるべきである。
金融庁は本気で銀行の収益性を気にしている。
地銀の収益性の低下が近年問題視されてきたが、超低金利が継続すれば、メガバンクなどの大手行の収益性も厳しくなる。
金融庁は3年ぶりに長官が交代し、この7月から遠藤長官が就任されたので、早い段階で収益性を検証していくことは十分納得できる。
メガバンクは既に大幅な人員削減策や店舗の削減計画等による合理化を打ち出しているが、実際どの程度のスピード感で業務の見直しがなされるのか、金融庁は実際に検証していきたいようだ。
「フィンテック」はキーワードである。
この記事の中でも、頻繁に使われているキーワードが「フィンテック」である。ここでは、フィンテックが進展することによって、銀行の業務や合理化に大きな影響があるという前提で使われている。
もっとも、独立系や事業会社がフィンテックによって銀行業務を侵食するという意味ではなく、銀行がフィンテックを上手く活用することによって合理化が可能という意味で使われている。
フィンテックは銀行が業務を効率化し、それによって経費を削減し、以て収益性を向上させることができるものとメガバンクや金融庁はとらえているのだ。
フィンテックや銀行の収益性の話題が注目されるのはこれからである
実は、金融庁は監督指針等において「フィンテック」という用語は数年前から使用していたし、予算も確保している。フィンテックの進捗度合いについては大いに関心を持っており、それがどのように銀行の収益に反映されるかはこれから継続的にメディアなどを通じてとりあげられていくだろう。
他方、金融庁は、カードローンやアパートローン、外貨建て保険などの高収益の金融商品のコンプライアンス・リスク管理態勢も気にしているようだ。
預貸スプレッドが縮小する中、こういった高手数料商品はリテール部門における収益源となっているのだが、スルガ銀行の事件が起きた以上、こちらでカバーすることも難しくなっていく。
フィンテックが拡大し、銀行の収益性が低下する中、銀行員の将来はどうなるのか?
このニュースはネガティブなものとは限らない。従来のままであれば銀行の収益は厳しいが、フィンテックを活用することによる経費削減は可能であるし、フィンテックという部門にキャリアを見出すことができるようになるからだ。
そこで、キャリアチェンジが可能な20代の銀行員にとっては、自分の将来のキャリアを真剣に考える必要がある。
20代だとポテンシャル採用で、いろいろなキャリアチェンジのチャンスはあるが、30歳になってしまうと転職はかなり厳しくなる。
また、銀行の収益性低下に伴いブランド価値が下がっていくと、銀行員のブランド価値も同様に下がってしまう。
このタイミングで、独立系のフィンテックベンチャーや、楽天、LINE、メルカリなどのフィンテック部門に挑戦してみるか、それとも、銀行に残り続けるのか、考える必要があるだろう。