サラリーマンが英語塾を開業して大成功するのが難しい理由

2020年の英語教育改革は、英語塾を開業するチャンスだと思ったが…

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自分は外資系企業に15年以上勤務しているので、ある程度ビジネス英語には自信がある。また、グロービスでロジカル・シンキングやプレゼンテーションも学んでいるので、これらを含めた実践的な英語を子供にいつか教えたいなあと考えていた。特に、中学生や小学生に向けに正しい英会話を教えることができる人は少ないのでチャンスがあると思っていた。

そして、2020年の英語教育改革によって、英語塾を開業して大儲けできるのではないかと直感的にひらめいた。この教育改革によって、以下の2つのビジネスチャンスが生じるからだ

①英語の授業開始が早まり、小学校3年生と4年生が対象となる。

 ⇒英語塾の対象となる生徒が事実上小学生全体に拡がる。

②会話力等の実践的な英語力が、大学入試において重要視される。

 ⇒塾の講師は専任職員や学生バイトも含めて大半が会話力を有していない。

特に、中学生を対象としたいと考えた。

何故中学生かというと、個人で塾を開業している知人に相談したところ、以下の点に気づいたからだ。

〇高校生の場合には大学入試に集中せざるを得ず、実践的な英会話力よりも従来からのクイズ的な英語が求められるだろうし、既に受験英語スペシャリスト達が多数存在しているため、競争が厳しいと考えたからだ。

〇小学生の場合には、何といってもまだ子供なので、勉強に向かわせる能力が必要であるし(特に低学年の場合)、小学校5年生になると勉強が得意な子は中学受験に集中する子が多く、長期的な視点で実践的な英語力を身に着けさせることが難しいからだ。

中学生と言っても、勉強が得意な生徒にフォーカスして、ビジネス英語を教えるというエッジを効かせた英語塾を展開することにはチャンスがあると考えた。

学習塾を始めるには、教室の確保が必要。

ところが、最初に立ちはだかる障害が教室の確保である。学習塾の場合は立地が結構なカギとなるという。口コミで集客する手もあるが、特定のエリアを対象とするビジネスなので教室の存在に気づいてもらえることが重要という。

一般的に賃料は飲食店と同様、売上の1割程度が目安になるという。もっとも東京の場合には12-14%になることは少なくない。

一人で教えることができる生徒数には上限があること・・・オペレーション的な制約

さらに難しいのは、講師が自分一人の場合には、対応できる生徒数に上限があることだ。特に、最近は個別指導塾が流行っており、一回の授業で教える生徒数はせいぜい数人ということが多いそうだ。知人の塾経営者によると、一人が担当する生徒数が30人を超えるとかなりしんどくなるという。自分の場合には、ビジネス英語の要素を含んだ特殊な英語教育をしたいのであるが、そうなるとバイトの講師をやとって生徒数を増やすということは不可能だ。

言い換えると、売り上げに上限ができてしまうということだ。

例えば、週1回、1回の授業が1時間、月謝が3万円とした場合、生徒数が30人が上限だと仮定すると、売上高は3万円×30人×12か月=1080万円となってしまう。

仮に50人頑張って集めたとしても、1800万円が売上上限となる。

ここから、賃料や広告宣伝費、水道光熱費、テキスト代等の経費を引くと、所得は良くて1000万円程度になってしまう。これだとメガバンクの30代前半の時の年収水準で、退職金や年金がないことを考慮すると、わざわざ開業する価値はないという結論になってしまう。

じゃあ、月謝を上げることができるか?

生徒数を増やせないなら月謝を上げるしかないが、一般に生徒数と月謝やトレードオフ関係にあると考えられる。月謝を5万円とすれば対象となる生徒数は港区や渋谷区などの富裕層が対象となり、多くの生徒を集めることは難しくなる。

これがリアル・ビジネスの限界か?

塾は典型的なリアル・ビジネスであるので、ネットを使って拡散というわけにはいかない。不動産賃料、光熱費、広告宣伝費(チラシ)など、経費率が高い。

英語塾で売上高の天井を取っ払うには、アプリ化して課金するとか、そういったネットビジネスに変えていかないと行けないが、その実現はハードルが高く悩みどころである。