退職者の満足度が高い企業ランキングを見て、就活や転職の際に参考にできること。

 

newspicks.com

ぱっと見て、あまりにも就職偏差値通りで、つまらないと思ったが…

こちらのNewsPicksの記事で、データはVorkersが実施したもの。

母集団は、退職者からの口コミ投稿がVorkersに30件以上ある124社なので、相当程度限定されている。このためランキング下位だと必ずしも上位とは言い切れない面もあるし、退職者数が少ない相対的に小規模な会社も母集団に入っていない可能性がある。

このランキング上位の会社は、グーグル、P&G、マッキンゼーゴールドマン・サックスと、各業界のトップ企業が並んでおり、あまりにも就職偏差値通りで面白みがないかと一見すると思われる。

要するに、いい会社=入るのが難しい会社、ということで「穴場」となる狙い目の企業が見つからないかと思った。

しかし、よく見ると新たな発見も…

しかし、よくよくランキングを見てみると、「おや?」と気づくこともある。

ここでの企業は各業界のトップ企業がせいぜい2位までの企業のみが選ばれていることが多く、業界2~3番手以下の企業が入っていないケースが多いのではないか。

例えば、就活で最高難度の外資コンサルティングであるが、マッキンゼーとBCGはランクインしているが、ATカーニー、ベイン以下は入っていない。

また、外資コンサルティングといっても若干カテゴリーの異なる会計事務所系である、アクセンチュアとかPwCコンサルティングとかは一切ランクされていない。

外銀についても、ゴールドマン・サックスは4位だが、JPモルガン(ここは業界2位といえるかどうかわからないが…)が19位にかろうじて入っているが、就職難度が最高レベルの他の外銀、例えば、UBS、バークレイズ、パリバ、シティグループモルガンスタンレーあたりは影も形も無い。

国内系金融機関は面白い結果に

それから面白いのは、今でも就職偏差値が高い大手国内系金融機関の評価が低いことである。

金融業なのでどこも同じような仕事内容であるにも関わらず、

証券業だと野村證券だけかろうじてランクインし、大和証券SMBC日興証券みずほ証券などはランクインしていない。

損保も東京海上がギリギリランクインだが、三井住友海上とか旧安田火災などはランクインしていない。

もっとひどいのが生保で、業界ダントツトップの日本生命すらランク外である。

それから、極めてわかりやすいのが、メガバンクを始め銀行は全てランク外であることである。政策投資銀行とか日本銀行とか、退職者の母集団が少ないのかもしれないが、就職偏差値が超上位でも入っていない。

それから、いわゆる国内を代表するネット系企業が入っていない…

給与水準が高くないからか、国内系のネット系企業が一切ランクに入っていないのは少し以外である。この調査は2007年7月から2018年8月までの長い期間を対象に実施しているし、ネット系企業は退職者数も多いので母集団に入っていないということはないだろう。

ヤフー、楽天サイバーエージェントDeNA、グリー、ZOZO、このあたりが全てランク外である。

製造業系で意外なのはキーエンス

高給な割には就職偏差値が高くないキーエンスであるが、意外にも10位と上位にランクされている。業種的に、それほど汎用性が高いスキルは身に付かないだろうし、ネームバリューが地味で転職力は低いと思われるので意外感がある。

就活でも転職でも、見直してみる価値はあるかも知れない。

就職人気ランキング上位でも、転職力が弱い企業はダメ?

就職人気ランキングが上位でも、終身雇用が魅力で転職力が低い企業はランク外なのはある程度納得できる。

終身雇用を想定して入社したものの、いざ会社を辞めるとなると、それより待遇が落ちるからである。

例えば、JALANA、JR、大手私鉄はランク外である。NTTグループもランク外である。退職者が相対的に少ないのかも知れないが、人気の消費者向けメーカーの、明治、花王資生堂サントリーもランク外。

 

結局は、転職しても年収やタイトルが下がらないようなスキルを習得でき、その会社のネームバリューが高い会社が強いということか?

母集団が十分ではない可能性があるのでうのみにはできないが、就活や転職に際して、何らかの示唆を与えてくれるランキングではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20代の銀行員の転職先として、LINEはどうか?

将来を見据えて、ネット企業の経営企画・事業開発狙いはありだと思うが…

20代の銀行員が、第二新卒カードを使って、ネットベンチャー企業にポテンシャル採用をしてもらうというのは、キャリアを長い目で考える上において十分ありだと思われる。

しばらくは、年収ダウンとなるが、ネットベンチャー企業といっても大手であれば相対的に低リスクで、よいスキルと経験を得ることが可能だからである。

ネットベンチャー企業大手の中でLINEはどうか?

ネットベンチャー大手の中には、ヤフー、楽天サイバーエージェント、LINE等いろいろあるが、今回はLINEのポジションについて検討したい。

銀行員の狙いは、やはりフィンテック系ポジションか?
linecorp.com

年収を下げてまでの、将来を見据えたスキル・経験獲得のための転職である。従って、花形職種で普遍性の高い経営企画・事業開発系を狙いたい。

そして、銀行員の場合は金融ビジネス系がとっつき易いであろう。

応募資格はどうだろうか…

募集要項の「応募資格」における「必須の経験・スキル」には以下の条件が記載されている。

・予算管理、事業計画策定等の管理会計業務の経験

・上場企業における財務経理の実務経験

・会計数値と事業とを結び付けて考えることができる方

・投資などコーポレートファイナンスの経験

・明朗闊達なコミュニケーション能力・調整能力

 

そんなに厳しいものはなさそうである。しかし、一番怪しいのは「投資などコーポレートファイナンスの経験」だろう。銀行のリテール業務しか経験が無いと、株価絡みのコーポレートファイナンスは語れないのではないか?

もっとも、外資証券とかの投資銀行部門の人間が応募するポジションとも思えず、競合レベルはそこまで高くないであろう。

いずれにせよ、LINEの株価とか決算説明用資料は十分に読み込んでおく必要はあろう。また、投資銀行部門の友達がいれば、コーポレートファイナンス周りの見方を教えてもらっておいた方がいいだろう。

歓迎する経験・スキル

・上場企業における財務経理の実務経験

・金融に関する知識・経験のある方

・韓国語力あるいは英語力(ビジネスレベル以上)

上の2つは銀行員だとイエスと言えそうな項目である。経理はそれほどでもないかも知れないが、ここは自信を持とう。

問題は語学力であるが、こちらはできればプラスと考える他ない。

銀行員の場合、フィンテック系のポジションの場合は金融業務経験は歓迎されるものの、フィンテックに関する知見はあまり有していないかもしれない。

最低でも、本屋に並んでいるようなフィンテック本は読み込んでおく必要がありそうだ。

ベンチャー系はカルチャーフィットを重視するのでLINEのことは勉強しておこう

ベンチャー系へ転職活動をするにあたっては、直接的には応募ポジションと関係はなくても、その企業のことは十分知っておいた方がよい。

LINEの場合だと、アプリはダウンロードしLINEでのアプリやスタンプには触れておくべきだろう。また、LINEはゲームが収益源なので、実際にダウンロードをしてそれなりにプレイしてみるがいいだろう。お気に入りのゲームやアプリが見つかれば、面接時においても盛り上がりやすい。

他の会社の同種のポジションも十分に調べておくこと

銀行が貴重な第二新卒カードを使ってみるのであるから、後悔しないように、他の同種ポジションを十分に調べておく必要がある。

フィンテック系だと、楽天、メルカリも積極的に採用活動をしているので合わせて調べてみたい。

同業他社のビジネスを検討することによって、LINEの金融事業の意味合い、課題がよりわかるようになるからだ。

そのためにも、十分な数の転職エージェントに登録して研究した上で転職の意思決定をすべきである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20代の銀行員が、楽天ペイの中途採用を狙うのは、将来の「ブランド人」になるため有用な選択肢の一つではないか?

戦略的に転職によってキャリアを積み重ねて、将来「ブランド人」を目指したい。

話題の転職本「転職の思考法」と一緒に、連休中に日経新聞の書籍広告が打たれていた田端信太郎氏の「ブランド人になれ!」だが、若手の銀行員にとっても大いに参考になるのではないか?

https://www.amazon.co.jp/ブランド人になれ-会社の奴隷解放宣言-NewsPicks-Book-信太郎/dp/4344033175

銀行に居続けたところで、役員にまで昇格するか、或いは外銀に転職でもしない限りは、年収・ステイタス的に「ブランド人」になるのは難しい。

役員どころが部長になるのでさえほんの一握りだし、そもそも20年以上も先の話である。また、グローバルで投資銀行ビジネスが縮小している中、外銀への転出を目論むのは至難の業である。

他方、戦略的に転職を積み重ねることによって、銀行員から「ブランド人」になることは可能だろう。

転職はギャンブルではないので、ベンチャー系大手は狙い目である。

とはいえ、せっかく難関を突破して入社した銀行である。せっかく使える20代でのポテンシャル採用、或いは、第二新卒カードは慎重に使いたい。

そこで、いきなり小規模ベンチャーに入ってIPOで一攫千金を狙うのもいいが、ヤフー、サイバーエージェント楽天などのネットベンチャー大手を狙うのも悪くない。

何といっても、ネームヴァリューがあるし、経営基盤がしっかりしているのでスキルを落ち着いて習得できる。最初の場所が仮に間違ったとしても、異動のチャンスが銀行よりある。また、給与面等は銀行よりは劣るが、大手ベンチャーだとそれなりなので、気に入れば長くいることも可能なのである。

言い換えれば、低リスクで銀行では身に付かないスキルを習得する機会となるのである。

それでは、具体的に楽天フィンテック系のポジションを見てみよう。

銀行員が中途採用される可能性があり、将来性もあると思われるのがフィンテック系のポジションである。そのうち、LINEと並んでペイメント系の勝ち組とみられている楽天ペイの中途採用ポジションを見てみよう。 

jobs.rakuten.careers

このうち、狙うは[楽天ペイ事業]の「新規サービス企画」である。

何故このポジションかというと、以下の通りである。

①いわゆる事業開発・新規事業系のポジションであり、どこのネットベンチャーにでも持ち越せる普遍的なスキルと事業経験が習得できる。

②新規事業企画からアライアンスまで幅広い業務が経験できる。

③プログラミングの知識は要求されない。

「必須スキル・経験」についての留意点を見てみよう

ここで気になるのは「必須スキル・経験」の欄にこのように記載されていることである。

・インターネットビジネス経験者

・コミュニケーション力/企画力/デザイン思考をお持ちの方

このうち、銀行員だと「インターネットビジネス経験」が無いではないかということだ。

この点、20代のポテンシャル採用の場合には、募集要項に記載されている通りの経験がなくとも書類審査に通る可能性は十分にあるので、あきらめないで挑戦してみることだ。この辺りは、転職エージェントに相談した方がいいだろう。

学歴・職歴が良ければ、ビジネス経験は多めに見てもらえることはあるし、他の類似のポジションに回してもらえることもあるからだ。

その意味で、レジュメ(職務経歴書)の書き方は重要になるので、転職エージェントと相談しながら良いものを準備したい。

年収が下がる分、「職種」には十分なこだわりを持つこと

楽天ペイには他にも総務系などポジションはあるようだが、わざわざ第二新卒カードを使っていくのだから、「職種」には十分こだわるべきだ。

年収がある程度下がる分、将来の年収アップや転職力強化、いわゆる「ブランド人」になるためにも、将来につながる汎用性が高く価値のあるポジションにこだわるべきだ。

 

メルカリやLINEなど、フィンテック事業が注目される中、銀行員にも転職のチャンスが拡がってきている。転職によって「ブランド人」になれる可能性が拡がっているわけなので、Web情報だけでなく知り合いや転職エージェントなどから情報収集を十分に行い、転職によるキャリアップを目指してはどうだろうか?

 

 

 

 

 

 

就活ルールの廃止を不安視する意見もあるが、「ブランド人」を目指すトップ学生にお勧めの3戦略

就活ルール廃止の動向に関係なく、学生のうちから長期的なキャリアを見据えた対応を採るべき。
news.yahoo.co.jp

就活ルールの廃止を巡ってはいろいろな意見が対立しているが、一つ言えることは長期的なキャリアを前倒しで考えていく必要性が高まることであろう。この点については、Yahooニュースを参照のこと。

長期的なキャリアを考えていくということは、終身雇用だけではなく、転職をうまく自己のキャリア形成に活用していくことも見据えるべきである。

この点、最近話題の田端信太郎氏の書籍「ブランド人になれ!」はキャリア形成について十分考えさせられる面白い本である。 

https://www.amazon.co.jp/ブランド人になれ-会社の奴隷解放宣言-NewsPicks-Book-信太郎/dp/4344033175

要するに、自分自身がしっかりとしたスキルと実績を持てば、新卒採用の第1社目だけで自分のキャリアが左右されることは無いのである。むしろ、転職も視野に入れたキャリア戦略がより重要になるのである。

1. トップ学生がまず押さえるべきスキルは「英語」

ここでいう英語は、即戦力でビジネスができるほどの高度な英会話力を意味するものではない。入社後、ある程度のトレーニングを積めば、英語でのコミュニケーションが可能となるレベルの英会話力をいい、TOEICでいうと900点くらいである。TOEICの一番上の区切りが860点以上であるので900まで行かなくとも、この近辺のスコアがあればいいだろう。

別に英語の仕事はしたくないという学生もいるかも知れないが、トップ学生からすると、資格・差別化要因の一つと考えればいい。

英語を押さえることがおススメの理由を整理すると、以下の通りである。

〇就活中に弁護士や公認会計士資格を取れるライバルはほぼゼロと想定できるので、英語(TOEIC900以上)は最高の差別化できる資格である。

 ⇒帰国子女が体育会と並んで別枠とされる実態と合致する。

〇国家資格のように合格か不合格かのゼロイチの試験ではないので、やった分だけ報われる。

 ⇒TOEIC900は間に合わなくとも、800点代後半であれば十分差別化可能。

外資コンサル、外銀など、ハイスペック職業は英語必須が多いので、将来も英語は長く広く使えるスキルである。

 ⇒30過ぎて英語をマスターするのは厳しいので、学生時代に磨いておくと、将来のキャリアプランが大いに拡がる。

2. ブログを書いて月間数万PV程度にはしておこう

ここでいうブログとは、プロブロガーの八木じんべえさんのレベルを目指せという意味ではない。長期間継続し、就活のネタにできる程度のものががあれば十分である。

学生の間は時間があるし、雑記ブログでいいので、何らかの趣味とかにフォーカスし1年以上継続して300記事以上を達せすれば月間数万PVは十分可能と言われている。

テーマは、鉄道、投資、ネットビジネス、高校野球B級グルメ等何でもいいが、自分が好きで長く続けられるものがいいだろう。

ネタにできる程度のブログが有用だと思われる理由は以下の通り。

〇就活時における差別化できるネタとなる。

 ⇒エントリーシートとか面接とかで必ず問われるネタが「学生時に打ち込んだこと」である。一部の体育会とか留学経験者でなければ、これといったテーマは見当たらず、「バイトで頑張った」「サークル頑張った」「ゼミ頑張った」あたりしかテーマにできない。ある程度のPVを集めるブログの方が、サークルやバイトよりもビジネスで有用なスキルだし、面白みがある。

〇ある程度のPV獲得を狙って真剣にブログをつけることはWebマーケティングを学ぶ

良い機会である。

 ⇒ある程度のPVを狙おうとすれば、テーマを探したり、他の競合ブログを勉強したり、SEOライティングを身に着けたりと、Webマーケティングを意識した行動が求められる。そういったものを工夫しながらやった体験は、将来の参考にもなるだろうし、面接ネタでも使えるものである。

〇お金が特にかからず、誰にでも実行可能である。

 ⇒ブログを真面目に継続して続けるのであれば、海外短期留学のようにお金がかからない。また、競合体育会でレギュラーを目指すような苦労を伴わない。

3. 就活も情報戦であることを意識し、とにかく情報を取る能力を高めること

就活ルール廃止に反対の人たちは、情報収集に劣る学生にとって不利であることを主張する。しかし、一旦就職してしまえば、中途採用以降は全て情報戦である。良いポジションが何なのか、それはどこにあるのか、どのようにエージェントを見つけるのか等、全て良い情報を持ったものが有利になるのが社会人である。

そもそも、企業自体、情報収集力が業績に影響するものなので、情報収集力自体が一つのスキルと言える。

このため、学生のうちから、情報収集で優位に立つことを心がけるのがブランド人を目指すトップ学生に求めらるものである。

そのためには、早くから多くの友人や学校、OBの人たちに接したり、他のトップ校の生徒と情報交換できるように行動するほか無いのである。

今は、Webにも多くの情報が載っているので、まず日頃から取り入れていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

【書評】田端信太郎著「ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言」読了。アマゾンレビューで酷評されているが、転職によるキャリア形成にあたって十分に参考になる本。

ビジネス書で売れているにも関わらず、これほどアマゾンレビューで酷評されている本は初めてみた。好き嫌い分かれるのは著者の想定内であろうが、転職によるキャリア形成を考えるにあたっては十分に参考になる。

https://www.amazon.co.jp/ブランド人になれ-会社の奴隷解放宣言-NewsPicks-Book-信太郎/dp/4344033175

1. 実は第1社目のNTTデータは、キャリア形成において必要がなかった。

田端さんは、新卒で就職したNTTデータについては、猛烈に働くことを覚えた2年間であったとし、満足されているようだ。

しかし、客観的に見ると、1社目のNTTデータは失敗とまでは言わないが、大成功とはいえないだろう。

そもそも、外資系コンサル等を除けば、1社目で職歴2年というのはキャリアにならず、社会人としての作法を学んだくらいにしか見られないからだ。

でも、田端さんが優れているのは、わずか2年でNTTデータを見限って、転職に踏み切ったことだ。このあたりの決断力と行動力は成功の秘訣である。

2. 第2社目のリクルートが彼のコアスキルの源流となった。

田端さんのキャリアの中で大成功だったのが2社目のリクルートだ。

R25という彼の最初の功績を作れた会社であるし、若くして裁量を与えられ活躍することが可能な数少ない日本企業である。

結果論であるが、田端さんは新卒でリクルートに入っていれば良かったのだが、その後うまく行ったので、NTTデータで転職カードを1枚余分に使うことになった程度なので問題は無いだろう。

この2社目でリクルートというのは、一般的に使用可能な転職カードである。

高学歴で就職偏差値の高い就職に成功したものの、「ブランド人」には慣れないと判断した人は、是非考えるべき選択肢であろう。

20代であれば、業種・職種関係なくポテンシャル採用してもらえるので、銀行、損保のリテール配属に嫌気がさしたり、トヨタ三菱重工重厚長大の工場勤務で嫌になったというエリートサラリーマンにとっては、第二新卒カードを使ってリクルートに行くというのは極めて有効だ。

しかし、第二新卒カードを使えるのは、25-27位なので、潰しの効かない業種・職種に就いてしまった人は時間切れに注意しなければならない。

3. 実は失敗だったと思われるライブドアへの転職

田端さんは前向きに考えられる人なので、本人は良いキャリアだとされているライブドアであるが、結果的にはその後はうまく行ったものの、客観的には失敗だったのではないかと思われる。

潰れかけの会社であれば、何でもできるし手柄も自分のものになるという考え方には一理あるが、多くの場合はマイナスキャリアにしかならない。

例えば、金融界だと元リーマン・ブラザーズの人はその職歴を必要以上に答えたがらない。何故なら、誰も「会社が厳しい中でよく頑張った」と好意的にとらえてくれないからである。「証券マンなのに潰れた会社を選ぶなんて相場観が悪い」「潰れるような会社にいても大した仕事はできない」「運気が下がる」といった程度にしか思ってもらえない。

したがって、沈みかけた会社にいる場合には、さっさと脱出するのがセオリーである。

それに、傾いた会社から脱出したところで、誰も「裏切者」とかは思わない。

4. コンデナストはまずまず

知名度が低いからか、田端さんは余り多くを語らないこの4社目である。VogueとGQのデジタル化という彼のメディア・スペシャリストとしての経歴を固めたものであるので転職としては成功だと思う。

もっとも、田端さんのいう「ブランド人」になるためには、それなりの派手さのあるわかりやすい経歴の方が望ましいのであろうから、ここは少し地味すぎたのであろう。

2年間という短期間で次に移っていることからもうかがえる。

しかし、「職種」「スキル」というのが転職によるキャリア形成において重要であるので、この「職種」と「スキル」を固めることができた2年間は悪くなかったと思われる。

5. 1社目~4社目の総括:実はこの時点では「ブランド人」とは思われない

華々しい経歴とされている田端さんであるが、実は転職4社を終えた時点では「ブランド人」としては不十分であると思われる。

何故か?それは「年収」である。ライブドアとかコンデナストでは、せいぜいメガバンクかそれ以下の年収しかなかったのではないだろうか?もともと特別給与水準が高い企業ではないし、ストック・オプションも無かったからである。

ある意味、この時点では本書は出版できなかっただろう。

6. 5社目のLINEが彼の中で最高の転職であった。

田端さんの転職キャリアの中で最高の転職となったのが、5社目のLINEであろう。

それは、シンプルに「執行役員」という肩書と「ストック・オプション」という、いわゆる金と名誉を手にすることができたからである。

LINEは一般に渋い会社で、田端さんは0.02%しか株をもらっていなかったと、どこかのサイトにあったが、現在のLINEの時価総額は1兆円くらいなので、2億円相当の資産を持つことができた(いくらで売却・行使されているかはわからないが)。

また、LINEという誰でも知っている会社の執行役員というステイタスも入手できた。

もちろん、広告ビジネスの基盤を作るという実績も形成できた。

その成功には、1社目~4社目のキャリアとスキルがあったからこそ、上のポジションでLINEに転職できたのであるが、LINEがコケていたら今の彼はなかったので、先を読む能力というのが極めて重要であることがわかる。

7. 田端さんの今後の課題

余計なお世話ながら、田端さんの今後のキャリア形成上の課題を考えてみたい。

第一は年収を本当の「ブランド人」レベルに上げることである。

LINEもZOZOも一般的には高給の会社ではないので、田端さんのような執行役員クラスでも3000万円位ではないか?その水準であれば、40歳で外資コンサルとか外銀だとそれより多い人はゴロゴロいるからである。

外資コンサルだと一番上のパートナーまで行かなくとも部長クラスのプリンシプルで3000万円程度はあるだろう。

外銀だと、MDまで行かなくとも、SVPとかDirectorレベルで3000-5000万くらいはあるだろう。

やはり、真の「ブランド人」と文句なく言えるためには年収1億は要るだろう。

もちろん、ストック・オプションでもいいが。

第二は、「独立しても稼げるか?」である。

イケダハヤト氏とかはあちゅうとか、個人でやっている人たちで成功している人は会社の後ろ盾がなくとも、1億程度は稼げると言われている。

果たして、田端さんはどうだろうか?会社の名前が無くとも、何やっても稼げるようになれれば真の「ブランド人」ではないだろうか?

 

いずれにせよ、田端さんんは転職を通じてキャリア形成に成功している。

特にポテンシャル採用、第二新卒カードが使える20代のサラリーマンはこれを読んで、自分自身のキャリアを考えてみたいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外資系も国内系と同じ。新卒入社で3年以内に辞めるのはキャリアダウンに繋がり易いので要注意である。

外資系でも転職回数が増えれば増えるほど転職の時には不利となる。

外資系企業で働いたことが無い人に限って、「外資系の場合には、転職回数の多さは問題にならない」と勘違いしている人がいる。

これは誤った情報である。確かに、転職回数が1回や2回で不利になることは無い。

しかし、それは程度の問題で、転職回数が5回を超えると、だんだんと事情は違ってくる。

外資系といっても、職務経歴書の審査をするのは日本人であることが多い。

外資系の場合でも、業界や規模によって異なるかも知れないが、採用の決定権を握るのは日本人であることが多い。もちろん、その人たちは帰国子女や海外勤務経験者ばかりではないので、国内系企業と似たような価値観の人も少なくない。

したがって、転職回数が多いとそれだけでレジュメ(職務経歴書)はゴミ箱行きになってしまうこともある。

※ちなみに転職回数と転職については、こちらの過去記事をご参照。
新卒の場合にすぐに辞めると特に不利益の度合いが大きいということは無いが…

「新卒の場合は、石の上にも3年だから少なくとも3年は辞めるな」ということは、必ずしも正しいとは限らない。

特に、投資銀行とか外資系コンサルの場合には、新卒入社後2年程度で辞めてもその後成功しているケースはある。

しかし、だからといって、安易に辞めるのは感心できない。

新卒の場合には、優良な外資系企業ほど優れた研修プログラムが用意されているし、仕事における期待やプレッシャーは他のシニアスタッフと比べて当然小さい。

最初のぬるい3年間でさえ持たないのかと思われても不思議ではない。

短期退職の負のスパイラルに注意を

転職活動において、一回短期で退職してしまうと、その次も短期で退職してしまう負のスパイラルがある。

どういうことかというと、短期で辞めるのは好ましくないというのは誰でも意識している。しかし、それにも関わらず短期で辞めたいというのは、よほどその会社にいるのが嫌だということである。このため、じっくりとした幅広く長期的な視野に立った冷静な転職活動ができない。

そうなると、最初に決まった、そんなに行きたくない会社であっても十分に吟味することなく、「とにかく今の会社を辞めたいから、妥協してここに転職しよう!」という考えに陥りがちである。

すると、妥協して転職した会社なので何かしらの不満はあり、またそこでも早く辞めたいと思うようになる現象が短期転職の負のスパイラルである。

若い段階で、こういった悪い癖は付けない方が良い。

社内異動によって問題が解決するのであれば、その手もある。

外資系企業の場合でも、辞意を上司に伝えた場合、カウンターオファーとして社内異動を打診される場合もある。

一般論としては、退職を決意した場合にはカウンターオファーは受けるべきでないのが原則だが、新卒入社の会社の場合にはそれもありだ。

例えば、P&Gに入社して1年で辞めてしまえば、どういう言い訳をしてもキャリアにならない。しかし、慰留されて他部署に行って合計5年在籍できれば立派な次につながるキャリアとなる。外部からは慰留されて異動になったなんてことはわからない。

また、結局辞めることになったとしても、外資系の場合は特にあとくされは無い。

そういうことで、転職カードには枚数制限があるので、新卒入社した会社を辞める時も安易に辞めることなく、計算した上で行動すべきである。

 

 

 


 

20代の銀行員にとって、金融とITの融合ビジネスであるフィンテック企業に転職する意義。メルペイの大量採用はチャンスかも知れない。

 

mercan.mercari.com

キャリアチェンジが難しい銀行員

超低金利の継続に伴う預貸スプレッドの縮小によって収益拡大の見込みが厳しい中、ネット化の進展で人員の余剰感が漂い始めている銀行。まだ、慌てる必要はないかもしれないが、収益力が既に大幅に低下してきている地銀の状況を見てみると、メガバンクの行員も楽観的な将来は描きにくいかも知れない。

他方、銀行は規制産業で決まった業務しかできないので、非エンジニアの銀行員が他業界への転職の際に持ち出せるような普遍的なスキルは少ない。

ところが、インターネット技術の急速な進展によって、フィンテックビジネスが勃興し、日本でも仮想通貨ビジネス、ロボアドバイザー、マネーフォワードなどの新業態が育ち始めてきている。

また、楽天 PayやLINE Payといった事業会社が決済業務への進出をテコに他の金融事業への進出を目論んでいたりする。

そうした中で、現在メルカリが金融事業のために積極的な中途採用を開始した。

これはメルカリの重要な新規事業で、メルカリ事業での売買代金を用いた飲食・買い物での決済事業に進出し、銀行、証券、仮想通貨等の金融事業に展開しようという戦略だ。

ここでは、エンジニア、営業からコーポレートスタッフまで幅広く募集しているし、青柳社長や役員のインタビュー記事を見ると、銀行員のような金融関係者も歓迎されているようである。

しかし、メルカリの金融事業は成功するのだろうか?

そもそもこれから決済事業のための準備活動をするわけなので、最終的に金融事業のどういった業種への展開が可能かはわからないし、金融事業だと楽天に大幅に遅れをとっている。従って、現段階でメルカリが金融事業の勝者になれるという確信は持てないだろう。

IT業界への切符を所有できることが重要

もっとも、銀行員がメルカリに限らず他のIT企業の金融事業に転職した場合、確実に「IT業界」としての経歴ができる。これが今後のキャリアを考える上で重要な意義を持つ。

例えば、メルカリの場合、メルペイ事業は金融業を手掛けたとしても、社内的な意思決定、従業員の働き方、近いところにいる経営陣など、IT業界のカルチャーに慣れることができる。当然、プログラミングは覚えられなくとも、IT業界に関する知識は確実に増える。

そして、何よりもIT業界としての職歴ができる。これが将来のキャリアを拡げる上で重要なのだ。

銀行員からは直接行けなくとも、フィンテック企業を経由することにより、多くのIT企業への転身が可能になる。

フィンテック企業はIT業界としてとらえられているので、この業界に参入すると、将来は他のIT企業で働ける可能性がグッと拡がる。経理、人事、総務といった昔からの銀行員が担当する職種もあるが、経営企画とかWebマーケティングのような新しいスキルを習得することも可能だ。IT業界の場合には、旧来的な日本企業と違って、社内異動はフレキシブルだからだ。

このため、次の次のキャリアの可能性をフィンテック業界に行くことによって拡げることができるのだ。

最終的に行くかどうかは別として、話を聞きに行く価値は十分あると思うので、若手の銀行員はフィンテック業界を今の間に研究しておくべきだろう。