東大京大の就職ランキング。外資以外のコンサルよりも、有力ベンチャーで経営企画か事業開発をやった方がいいのでは?
トップ学生の就活人気はあまりにもコンサルに偏り過ぎ。外資以外のコンサルの過大評価には疑問
こちらワンキャリアというユニークな会社が公表している直近のトップ学生の就活人気ランキングである。これを見るとあまりにもコンサルが評価されて過ぎているのが気になる。
マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニーは理解できる。20年位以上も前から超難関であった狭き門であり、グローバル・ファームだからである。
国内系、会計事務所系は過剰評価ではないか?
ところが、アクセンチュア、デロイトは外資系上位3社と同列で扱うのはどうだろうか?まず、給与水準が全然違うし、ネームバリューも違う。それは海外においても同様だ。
さらに、経営共創基盤に至っては、なお理解不能である。確かに、元BCGの富山さんらが設立した特色のあるファームであることには違いないが、給与水準は著しく落ちるし、そもそも海外だと誰も知らない。
これは、トップ10には入っていないが上位にランクされている、PwC、KPMGといった他の会計事務所系や、ドリームインキュベータのような国内独立系にもあてはまる。
何よりも中途採用でのネームバリューが同じではないはず。
まあ、会計事務所系や国内独立系のコンサルまで、これほどランキングの上位にあるのは、外資コンサルに連れ高しているのだろう。昔よりは大幅に定員が増えたとは言え、外資コンサルの採用数の合計は少ない。したがって、それらと併願して内定をもらえなかったトップ学生がどっと押し寄せるのであろう。
しかし、それは勿体ない話である。トップ校での評価は高くても、外部の評価、特に中途採用での評価はそこまで高くないはずだ。コンサルというだけで何でも採用してくれるわけではない。
コンサル志望の学生は、終身雇用ではなく、途中でキャリアアップを考えている学生が多いのであろうから、中途採用での可能性をもっと考慮したほうがいいのではないか?
例えば、優良ベンチャー企業の経営企画職或いは事業開発のポジションを狙うのはどうか?
コンサルを狙うような野心のある学生は、30歳前後でベンチャー企業の幹部を狙えるポジションに就いた方がいいのではないか?
有力ベンチャー企業の中途採用の募集条項を見ればわかるが、たいていの会社に経営企画/事業開発ポジションがある。したがって、コンサルではなく、有力ベンチャー企業で実務経験と実績を積んだ方が成功への早道ではないだろうか?
インターネット・ベンチャー業界は極めて狭い世界なので、コンサルに行くくらいならその業界で経験を積んだほうが人脈形成という点においても有利であろう。
優良ベンチャー企業の例としては、以下の企業が挙げられる。
〇メルカリ
〇アカツキ
〇HEROZ
〇マネーフォワード
他にもいろいろあるだろうが、ポイントとして、
①現在も成長中である
②新規事業に熱心で変なM&Aで失敗していない
③非上場あるいは上場したばかりで、企業自体が硬直化していない(CAは例外)
このため、DeNA、Mixi、グリーのように新規事業で行き詰っている企業は除いてみた。
このあたりを相談できるようなキャリアの人が周りにいないのが問題
ただ、学生が気の毒なのは、このような提案をしてくれるような社会人が周りにいないことである。東大や京大はほとんどが大企業に行くのでベンチャー企業で活躍している人の比率は低い。特に、京大の場合、立地的に有力ベンチャー企業がないのでますますこのあたりを教えてくれる人は少ないだろう。
このランキングを公表しているワンキャリアという会社はトップ学生に向けて、いろいろな独自の情報や視点を提供しているので、学生も大いに活用すべきだろう。
大学院を使ったいわゆる学歴ロンダは、転職において有効か?
結論的には、年齢、対象ポジション、採用キーマンの好みによって異なるが、マイナスになるとは考えられず、無駄ではないのではないか?
これは、MARCHと日東駒専の間位の東京の私立大学経済学部を中退した人から、相談された質問である。彼は当時28歳位で税理士資格を持ち、都心の有力な会計事務所で法人税の業務に従事していた。
彼は国内系証券会社の投資銀行部門に中途採用で入社することを希望していたが、「大学中退」がコンプレックスであった。日本の大手金融機関は、コンサバなのでそのあたりを気にするのではないかということだ。
夜間の社会人向けのビジネススクール(MBA)は取得しやすい。
もっとも、彼は会計事務所で働きながら社会人向けのビジネススクール(MBA)に通い、卒業することができたので最終学歴は大学院卒となっていたのだ。
彼はそれを履歴書に記載すべきか否か悩んでいたのだ。
もともと、中途採用は職歴重視なので学歴の重要性は低いのだが…
中途採用の場合には、職歴・実績が重視されるので、学歴の重要性は新卒採用の場合と比べると遥かに小さい。したがって、本来は気にすることもないのであるが、20代対象のポテンシャル採用となると、ある程度学歴も参考にするので、それをどう考えるかが問題となる。
しかし、学歴は事実をありのままに記載すべきであるし、コンサバな日本企業といっても働きながら大学院に通うこと自体はマイナスとならないだろう。
大学院よりも、気になるのは「中退の理由」
日本企業のコンサバな大企業の場合、個性よりも協調性を重視することは珍しくない。
簡単に卒業できる日本の大学を卒業しないのは、社会的な適合性が弱いのではないか、協調性に欠けるのではないかというのが人事担当者の気になる点だ。
そこは、中退の理由を整理してきっちりと説明すればそれほど気にすることはないだろう。
大学院に行った理由を、大学中退をカバーするためというと謙虚で印象が良くなりやすい
そして、大学院に行った理由を、「大学の時にまともに勉強できず、社会人になって後悔したので、それをカバーするために大学院に行きました。ですから私の場合は、ようやく大学卒業レベルです。」と話せば、謙虚だし説明がつきやすいのではなかろうか?
日本企業の場合には、「中退の何が悪い!」というよりも「(若気の至りで)中隊して反省しています。」というスタンスで言った方が好感度が高く賢明だろう。
中退と比べるとFランクの学歴は問題となりにくい。気になるのであれば、通いやすい社会人向けの大学院に行けばいいのではなかろうか?
結局、彼も書面も通過したし、上記のような説明で面接も問題がなかった。
学歴は必要以上に本人が気にしたりコンプレックスになっていたりする場合が多いが、そうであるならば、気にせず大学院でロンダすべきだ。
特に、外国人は修士号を重視するし、日本の大学は知らないので使える場合がある。
外資系企業において、外国人はそもそも日本の大学名とかは気にしない上、修士号を評価する。したがって、早稲田とか慶応のMBAコースはおすすめだ。
(もっとも、慶応のMBAは夜間がないので、お金に余裕がある人対象。)
20代の銀行員がベンチャー企業への転職をするにあたって必要な準備活動
ポテンシャル採用をしてもらえる20代
銀行員の転職が難しいことについては、いろいろとWebメディアでも取り上げられている。しかし、20代となると話は別だ。まだポテンシャル採用をしてもらえる年代だし、日本の場合優秀な学生は一旦大手に就職するとされているので、人材不足のベンチャー企業からは銀行員も重宝してもらえる可能性はあるのだ。
まず、条件設定をしてみる。
まず最初に、ベンチャー企業への転身を考えている銀行員A君について条件設定をしてみる。
〇年齢25歳(入社3年目)
〇慶応大学経済学部卒(プログラミングはできない)
〇三菱UFJ銀行(銀行の中ではトップブランド)
〇リテール店勤務(2ケ店目)
A君は、皆の憧れの慶応大学経済学部卒で三菱UFJ銀行勤務の25歳。学生の時は就活の勝ち組ということで鼻高々であった。ところが、いざ就職してみると、つまらないリテール関連の配属で2ヶ店目の異動先も普通のリテール店舗であった。他方、東大や同じ慶応でも一部の者は本部への配属になった者もいる。また、大学の同級生たちも、証券会社に行って投資銀行部門で働いていたり、大手ベンチャー企業で新規事業開発に従事している話を聞くと、「俺はこのままでいいのか?」という危機感をもっても不思議ではない。自分もベンチャーで一発逆転したいとも思い始める頃だ。
しかし、彼はベンチャーのことは何もわからないので、どういいた準備をすればいいのだろうか?
先ずは、ベンチャー企業関連のイベントに行ってベンチャー企業の雰囲気をつかもう
A君が最初にすべき活動は、ベンチャー企業の雰囲気をつかむことだろう。どのような人がどのようなことをやっているのか見聞してみることだ。
例えば、VC(ベンチャーキャピタル)主催で、無料で誰でも参加できるイベントがあるので是非行ってみるべきだ。
上記は、インキュベイトファンドとサムライインキュベートという、日本のスタートアップ投資ファンドの草分けだ。これらの団体は若手にもフレンドリーなので、是非出席して雰囲気をつかんで欲しい。
次に、専門スキル磨きだ。~財務分析能力の向上~
25歳という若さではこれといったスキルは無くてもポテンシャルで見てもらえるが、そうはいっても何らかの最低限の普遍的なスキルはもっておきたい。銀行員の場合、最低限の会計力はあるから、そちらを身が磨いておきたい。
具体的には銀行員は、株式関連の知識が弱いと考えらる。それは当然で、銀行法上銀行員は株式関連業務を経験できないからだ。しかし、ベンチャー企業では、IPOの準備、IR、財務戦略のお手伝いをCFOの下、期待されることがある。従って、株価評価やIPOの手続き周りを勉強しておくことがおすすめだ。
少なくとも、ベンチャー志望であれば、この本は読んでおきたい。
https://www.amazon.co.jp/起業のエクイティ・ファイナンス-経済革命のための株式と契約-磯崎-哲也/dp/4478028257
あと、大事なのはプレゼンテーション能力。これは一生使えるスキルなので、若いうちに身に着けておくと大きな武器になる。
A君の25歳という若さを考えると、今のうちに是非とも身につけておきたいのがプレゼンテーション能力だ。日本人はハイスペックのエリートサラリーマンでも光るプレゼンをできる人は本当に少ない。
これは、TEDとかの本を読んでもなかなか身に付かないので、ここはスクールに行くのをお勧めする。これはグロービスのものは、隔週で全6回のプレゼンテーションのクラスを受講できる。四半期ごとに開催だし、振替で他の日のクラスに変更することもできるなど極めて便利だ。
費用は12万6000円だが、銀行員からするとどうってことない投資額だし、回収するのは簡単だろう。
そして、一通りの準備ができたら、情報収集である。片っ端から転職エージェントにあたろう。
基本的な、株式等の財務スキル、プレゼンテーションスキルを身に付ければ、いよいよ具体的な情報収集開始だ。ベンチャー企業のポジションについては、とにかく、数多くの転職エージェントにあたる他はない。
リクルートのような大手に加えて、ベンチャーに強いエージェントも含めて登録してみるのが良い。
<転職エージェントの例>
〇マイナビ
〇TYPE
〇DODA
〇エン・ジャパン
〇Green
〇キープレイヤーズ
〇プロコミット
それから、Wantedlyのアプリのダウンロードと登録も必須だ。
また、中小転職エージェントのプラットフォームであるビズリーチへの登録もおすすめである。有料会員になる必要は無い。
良さそうなポジションを取捨選択し、まず話を聞きに行ってみよう
上記の転職エージェントやWantedlyで求人ポジションが見つかれば、取捨選択して、実際に話を聞きに行ってみればよい。その段階で決める必要は無く、そもそも自分はベンチャーに合っているのかを含め、いろいろと考察する良い機会になるはずだ。
留学経験・TOEIC900点 VS エントリーシート職人。新卒採用で有利なのはどちら?中途採用だとどうなの?
www.onecareer.jp
新卒採用は詳しくないけど、中途採用のヒントにもなる面白い記事を発見
「普通のMARCH生が東大生に勝つ」就活のコツみたいなタイトルだったので、読んでみた。これは連載物の第1回目だが、エントリーシートの書き方について、その書き方のポイント、考え方を知っているか知らないかでスペック差を逆転できるという内容だ。
同じMARCHの在学中の留学経験者VSエントリーシート職人の普通のMARCH生
今の就活市場においては、留学経験者(当然英語堪能)は別格だそうだ。
この記事だと、以下のエントリーシートの設問に対して、在学中に1年間のアメリカ留学をした英語堪能の生徒と、特段アピールポイントの無い生徒がそれぞれ下記の回答をしている。
<エントリーシートの設問>
あなたはメーカーの営業職志望とする。
「学生時代に頑張ったことを教えて下さい」
<留学経験者でTOEIC900のMARCH生の回答>
私は大学2年時に、1年間のアメリカ留学で異文化理解と語学力の向上に力を入れました。結果として、留学終了後はTOEICで900点を記録し、留学前から400点もスコアを伸ばすことができました。
<普通のMARCH生の模範解答例>
私は塾のアルバイトで、生徒の成績向上のための「授業の質」に力を入れています。
そのため、日頃から生徒や保護者との会話ニーズを探り、授業に取り入れています。
その経験から「ニーズを把握し、適切に伝える」大切さを学びました。
結果は、留学経験者はエントリーシート落ちで、普通のMARCH生は通過したという…
突っ込みどころ満載なのだが・・・
まあ、この記事の筆者の伝えたいことは、「営業職」でのエントリーシートなのだから、それを踏まえた「採用企業の人事の目線」で答えたものが勝つということだ。
しかし、新卒採用はポテンシャル採用なので、営業職だろうが経理職だろうが、学生時代の活動には大して期待していないので、エントリーシートの書きぶりをそんなに気にするものだろうか?
採用ポジションとは直接関係なくても、「帰国子女」「体育会」が別格だというのは、エントリーシートの書きぶりの整合性なんて大きな問題ではないと考えられる。
また、採用側からすると、何の変哲もない「塾の講師」というアルバイトネタを取り入れるのは、それ自体でパッとしないように見えるのだが…
新卒採用は別として、問題は中途採用
私は新卒採用には詳しくないので、最近の就活の掟だとそうなのかも知れない。
しかし、中途採用となるとそうではない。
職務経歴書の書き方といったテクニックもあるかも知れないが、基本的な職務経験とスキルが採否の基準となる。
この点、英語力は大きく、英語ができない者はそもそも応募すらできない。
上のケースでいうと、英語力が必須なポジションであれば英語ができないものはエントリーシートさえ提出できないのだ。
また、そのポジションで求められるスキル、プログラミング、財務、マーケティング、人事といったものは関連する業界のしかるべき部署での職務経験が求めらえる。
書類の書きぶりとか面接の話し方といったテクニックでカバーできる問題ではないのだ。
このため、就活では就活のルールがあり、いろいろなテクニックが求められるのかも知れないが、中途採用になると根本的な業務経験とスキルによって決まるので、採用ルールが新卒のそれとはまったく異なるのだ。
したがって、就活テクニック自慢の学生たちも、就職後は基本的なスキルの習得に専念するべきだろう。
ベンチャー企業への転職が難しい理由と対応策
- PKSHA TechnologyやHEROZのようなAI銘柄、メルカリの上場などによって、ベンチャー企業への関心度は高まってきていると考えられる。
- 1. そもそも「ベンチャー企業」の定義が曖昧である。
- 2. ベンチャー企業の定義と転職のための情報量の違い。
- 3. (非上場の)ベンチャー企業の場合、採用体制が未成熟であり、効率的な採用活動ができていないリスクが十分に高い。
- 4.(主として)非上場のベンチャー企業への転職対応策
- 5. まとめ
PKSHA TechnologyやHEROZのようなAI銘柄、メルカリの上場などによって、ベンチャー企業への関心度は高まってきていると考えられる。
そして、ベンチャー企業は絶えず優秀な人材に対する強い需要があるため、ベンチャー企業への転職市場もさぞかし盛り上がっていると推察される。
しかし、求職者側の立場からすると、ベンチャー企業への転職の難易度は高い。
そこで、その原因について整理するとともに、対応策を考えてみた。
1. そもそも「ベンチャー企業」の定義が曖昧である。
(1)あなたは「ベンチャー企業」というとどういった企業を想起するだろうか?
ヤフー、楽天、サイバー・エージェント?
さすがにそれは上場してから20年近く経つし、さすがにベンチャー企業とは言わないのでは?とも考えられる。
これらも上場から10年以上経つし、十分大きいからどうなのだろうか?
それでは、メルカリ、マネー・フォワード、グノシー、フリークアウト?
確かに、これらのアベノミクス以降に上場した銘柄は新しいし、会社名もまだ十分には浸透していないかも知れない。ただ、「上場」してしまうとストック・オプションの妙味も無いし、少し違うのかも知れない。
それでは、ビットフライヤー、ウェルスナビ、クラシル(dely)、プリファード・ネットワークス、ランサーズ、ビズリーチ、Vasilyあたりではどうか?
さすがに未上場であれば、規模は大きくてもベンチャー企業と言えるだろう。
それでも、このような既に多額の資金が注入され、ある程度の顧客基盤を持ち、組織・人員もそれなりに整っているのは本当のベンチャー企業とは言えない。本当の(最狭義の)ベンチャー企業は、従業員数人で売り上げも無いような企業を言うのだという意見もあるかも知れない。
(2)まず、ベンチャー企業の定義を明確にし、それに応じた対応策が必要に
以上のように、「ベンチャー企業」といってもピンキリであり、その状況によって当然転職のための対応策は異なってくる。ざっと整理してい見ると以下のようになるだろう。
①上場大手ベンチャー企業
⇒Yahoo、LINE、ZOZOからグリー、DeNAあたりの企業
「大手」かどうかは相対的な概念だが、時価総額で3000億を超えると大手と言えるだろう。
②上場ベンチャー企業
⇒マネーフォワード、クラウドワークス、Gumi、フリークアウトなどの企業
上場しているが、時価総額では3000億に届かない企業群
③上場予備軍のベンチャー企業
⇒ビットフライヤー、ビズリーチ、Sansan、ランサーズ他
既に億単位の資金が投入され、主幹事証券会社も決まり上場に向けて動いている企業
④それ以外のベンチャー企業
⇒スタートアップ企業や、まだ1億円以上の出資がなされていない段階の企業
2. ベンチャー企業の定義と転職のための情報量の違い。
上記のように、ベンチャー企業を定義した場合、まず、上場しているかどうかで転職の情報が大きく異なる場合が多い。
第一に、上場しているベンチャー企業の場合は、大手の転職エージェント、例えば、リクルート、DODA、マイナビ、TYPE、エン・ジャパンあたりを通じて中途採用の対応を行っている場合が多いので、ネット検索をかけると比較的まとまった情報が採りやすい。
また、上記のような大手の転職エージェントに登録すれば、黙っていても求人情報が送られてくる。
第二に、上場していると、四半期ごとに決算説明会が開催され詳細なディスクロージャーが行われる。このため、企業の業績や経営戦略についてある程度研究することができる。
このように、上場しているのとそうでないのとでは、取れる情報の量に大きな差がある。
ベンチャー企業というと、非上場の段階の上記③ないしは④を想起する場合も多いだろう。非上場のベンチャー企業への転職を考える場合には、情報不足を補うような対応を行う必要がある。
3. (非上場の)ベンチャー企業の場合、採用体制が未成熟であり、効率的な採用活動ができていないリスクが十分に高い。
上記の1と2は、主として求職者側が情報を取りにくいという問題である。
もう一つ厄介な問題は、採用側である(非上場の)ベンチャー企業の問題である。
それは、ベンチャー企業は人事部、採用組織が組織として未整備であり、かつ、採用担当者もスキル不足である場合が少なくない。
このため、本来であれば面接に進むべきものが落とされ、反対に、書面で落とされるべき者が面接に進むなどの非効率性が存在しているリスクが高い。
実は、私もこれを体験した。2年以上前の2016年にメルカリのIR・ファイナンス系のポジションについて、直接「採用担当者御中」で応募書類を送った。ところが、その後はなしのつぶてで、「お祈りレター」さえも来なかった。ところが、有力転職エージェント経由でつい最近遥かに上のポジションで話が来たのだ。
非上場のベンチャー企業の場合、社会人歴3年程度の人事担当者が採用を担当していたりする場合が珍しくなく、そういった場合には「年齢と転職回数」だけで振り分けられるとも言われている。このため、それへの対応策が必要となる。
4.(主として)非上場のベンチャー企業への転職対応策
(1)情報不足に対する対応策
非上場に伴う情報不足であるが、それに対応するためにはいろいろなソースから情報を取って企業や業界の状況を理解しておくことが必要だ。そのためには、以下のようなウェブサイトを日頃からチェックしておくことが有効だろう。
また、求人情報についても既存の大手に加えて、以下のベンチャー系に強いエージェントを活用する必要がある。
IT/Web業界の求人・採用情報に強い転職サイトGreen(グリーン)
もちろん、これらのベンチャーに強い転職エージェントでも、非上場のベンチャー企業には不明な点も多いため、そのアドバイスをうのみにするのではなく、自分自身でも考察できるようにしなければならない。
なお、上記エージェントに加えて、ビズリーチは中小の転職エージェントがぶらさがっているので、こちらも活用できる。
そして、エージェントではないが、特に非上場のベンチャー企業の転職活動には欠かせないプラットフォームであるのが、Wantedlyである。
Wantedlyは結構な求人情報を持っているのだが、注意しないといけない点は、間に転職エージェントが介在しないストラクチャーだからである。従って、中立的な意見や情報が転職エージェント経由の時と異なり入手できない。
このため、採用者側であるベンチャー企業が言っていることやオファーの条件が適切であるかどうかを見極めるための判断力が前提となる。
(2)ベンチャー企業の採用スキルが未熟なことに対する対応策
これは、レジュメ等を会社に直接送る場合には、「採用担当者御中」としないことである。送り先は「社長」か「役員」である。結局、ベンチャー企業の場合には、一番採用に熱心なのは経営者である。また、そういう人たちの方が若手の採用担当者よりも目利きができるはずである。したがって、自信がある場合には直接経営者に売り込むという方法は検討に値すると考えられる。
もっとも、これはある意味上級者向けの方法であるので、転職エージェントやWantedlyに基づき転職活動をするという方法でも構わない。
5. まとめ
〇ベンチャー企業と一口に言ってもヤフーからスタートアップまでいろいろなタイプがある。
〇上場ベンチャーと非上場ベンチャーとでは転職するための情報、転職エージェントに違いがあるので、それに応じた情報ソースと転職エージェントを使用するべき。
〇非上場ベンチャー企業の場合は採用能力が未成熟であることが多く、経営者に直接応募してみることも一案である。
外資系金融機関とIT企業のオフィス環境比較。オフィス環境はIT企業に軍配だが、学生はオフィスよりも年俸重視?
問題の所在:日本のトップの学生は何故IT企業を選ばないのか?
こちら最近話題の「転職の思考法」の著者の北野唯我氏のブログより。日本のトップ学生が外資金融や外資コンサル、総合商社ばかり見て、成長性・将来性に富む大手IT企業を選ばないのは問題だという話。その中で、北野氏はIT企業の魅力の一つとして、「オフィス環境」の良さに触れている。
それでは、果たしてIT企業と外資系金融機関のオフィス環境はどれほど違うのだろうか?
驚くべき楽天のオフィス環境
まず、IT企業のオフィス環境から見てみよう。引っ越して間もない楽天のケース。
素晴らしいオフィス環境で、私もこれを見て働きたくなった。楽天のホムペを見れば一目瞭然であるが、その魅力を抜粋すると以下の通りである。
〇ゴージャスで個性的な共用オフィススペース
〇立派なカフェテリアがあり、朝昼晩と食事が無料!
〇店内にオリジナルのコンビニが設置
〇社内託児所が設置
〇社内にフィットネスとスパが設置
これに対して、外資系金融機関はどうか?
外資系金融機関のオフィス環境は、一般的な日本企業と比べて良好であると考えられるが、その内容は会社によって違う。
私が勤務したことがあるゴールドマン・サックス証券は外資系金融の中でもトップクラスだと思うが、その特徴は以下のものである。
〇ゴージャスなオフィス環境(社内の講堂とかガラス張りの会議スペース等)
〇社内に専用スターバックスを設置(しかも社員は割引)
〇社内にトレーニングジムとシャワールームを設置。
こうして比べてみると、楽天に大きく引けを取ることは無い。
最大の違いは無料の食べ物の違いか?
ちなみに外資系金融機関については、一般に無料の食べ物は基本無いと思う。リーマンショック前にメリルリンチ証券に朝菓子パンが食べ放題だったという噂は聞いたことがあるが、今はどうか知らない。基本的に食べ物はタダではない。
飲み物については、コーヒーと水は無料である。会社によっては、ネスプレッソが飲み放題だったり、自動販売機が設置されていてソフトドリンクが飲み放題の会社もある。
結局、日本のトップの学生はシビアに計算しているので、結局給与で大幅に勝る外資系金融とか外資系コンサルを志向するのではないか?
こうやってみると、物理的な設備面では若干IT企業に分があり、無料の飲食物の提供という点ではIT企業が圧勝である。
とはいえ、飲食物が無料だといっても、仮に1日2500円相当と計算しても、一ヵ月あたりで営業日ベースで計算すると5万円位の差にしかならない。
それだったら給与が多い方がいいやということか?
トップ学生は計算力が高いので、うわべのゴージャスさではなかなかごまかされないのかも知れない。
外資系企業への転職を考える場合、資格やMBAはどの程度役に立つか?
トレンドとして、資格やMBAは転職の役に立たなくなってきている(特にリーマンショック以降)
資格の効果
特定の大型資格、具体的には、弁護士或いは公認会計士以外はほとんど役に立たないだろう。従って、知名度の低いマイナー資格は履歴書や職務経歴書に書かない方が良いくらいである。
ある程度は効くかも知れないのは以下の資格である。
〇簿記一級
⇒外資系の事業会社や金融機関だと、経理職限定で多少はプラスになる場合もあるという程度である。長期の実務経験が必須ではない若手のポジションの場合には、経験不足を補うために多少プラスに見られる場合はあるがあまり期待はできない。
〇米国CPA
⇒日本の公認会計士資格が難しいのでその代替として、これを取りたい人は一時期結構いた。しかし、経理以外の部門ではほとんど不要だし、経理部門では結局実務経験が全てなのでほとんど効果は無いだろう。ただ、職務経歴書に書いてもマイナスになることは無いだろう。
〇行政書士、司法書士、宅建、マンション管理士、CFP、CMA
⇒司法書士は、外資系の法務部門でプラスになる場合もある。他の法律その他金融系の軽量資格は外資系企業の場合、書かない方がいいかも知れない。
〇英語資格
⇒TOEICは860以上であれば書いても良いが、結局面接をやる場合にそれが全て。TOEIC900越でも会話力が低いと落とされる。英検準1級は書いても良いが何の+にもなならない。
MBAについて
①外資系事業会社、外資系コンサルティング会社
TOP20MBAであればプラスになる場合がある。MBA生を対象としたインターンのようなものがあるので、機会は拡がるだろう。但し30前半まで。
もっとも、OBのツテを頼って自ら機会を作り出すことは可能。MBAもその使い方次第だが、成功している先輩がいるのもTOP校なので、無理して中下位校に私費留学するのはおすすめしない。
②外資系金融機関
MBA生を対象としたインターンのようなものがあるので、機会は拡がるだろう。但し30歳前半でTOP校に限る。
外資系事業会社やコンサル以上に、期待すべきではない。
もっとも、OBのツテを頼って有力な先輩に気に入られるとチャンスが拡がる可能性はあるので、行動力・社交性のある人はフル活用すべきである。
なお、国内MBA(早稲田、一橋、グロービス等)の場合は、外国人は知らないので、あまり期待しない方がいいだろう。
結局、トップファームでの勤務経験というのがどの資格や学位よりも有効なキャリアアップのツールとなるのだ。