億万長者になりたい転職者向けベンチャー企業ベスト30社ランキング
僕はずっと金融系キャリアだけどネットベンチャー企業が好きで、東証マザーズ創設時の第一次インターネットバブルの時からベンチャー企業に憧れていた。
今更自らネット企業を起業することはできないけど、ベンチャー企業に幹部として中途入社してストックオプションをもらって億万長者になることに憧れて、10年以上に亘りネットベンチャー企業のポジションを探し続けている。
そこで、2018年9月下旬時点で、転職によって億万長者になれる可能性のあるベンチャー企業をまとめてみることとした。未上場のベンチャー企業は情報が極めて限られるので、順位付けするのは無理があるかも知れないが、その方がメリハリがあって面白いと考えてベスト30社をランキングすることとした。
したがって、ランキングの対象となる母集団とか順位付けは全く僕の主観ということになるのだが、以下の基準で選定することとした。
〇母集団は2018年9月時点で非上場のいわゆるネット系ベンチャー企業を対象とした。
億万長者となるにはベンチャー企業の場合には現金給与では厳しいため、ストック・オプションで1億円以上もらえる可能性のある企業について考えてみた。
〇資本金(準備金含む)の額、投資しているVC(ベンチャーキャピタル)の会社数、創業者の株式保有率の低さ等を考慮した。VC等の外部投資家の保有比率が高ければ高いほどIPO或いはM&AによるEXITのプレッシャーが強まり、ストック・オプションをもっていれば億万長者になれる可能性が高まるからだ。
もっとも、M&Aの場合でもストック・オプションを実現化できるかどうかについては、付与時の条項に留意する必要がある。
〇株価は人気度・知名度によっても大きく左右されるので、メディアへの露出や話題性等も考慮に入れた。もちろん、僕の主観的なレベルであるが。
〇母集団となるベンチャー企業を洩れなく偏りなく選定するのは難しい。僕の場合は金融系キャリアなので、フィンテック企業にバイアスがかかっている嫌いはある。
ちなみに、一般的な経済誌以外に参考にしている情報源の主なものは以下の通りである。
※(参考にしている情報源:順不同)
テッククランチ、ITメディア、The Startup、グロービス・キャピタル・パートナーズHP、インキュベイト・ファンドHP、Wantedly、Green、サムライインキュベイトHP
では、前置きが長くなってしまいましたが、ランキングに行きましょう!
第30位 トライフォート
サイバーエージェントOBの大竹慎太郎氏が創設の会社。主としてスマートフォン向けのアプリの開発、運営、受託開発を行っている。
準備金を含む資本金は7億円超。アプリにより一発ホームランと受託開発によるシングルヒットをコツコツと狙う手堅い経営スタイル。
興味がある人は、創業CEOの大竹氏のこの書籍が参考になるだろう。
https://www.amazon.co.jp/起業3年目までの教科書-はじめてのキャッシュエンジン経営-大竹慎太郎/dp/4866510730
第29位 株式会社ウフル (uhuru)
uhuru.co.jp
IoTを主たる事業内容とする2006年創設の会社。創業者の園田崇氏は電通出身である。すでに300名近い従業員で、資本金は12億円を上回っている。
なお、社名のウフルとは、スワヒリ語で「自由」を意味する言葉。IoTは人気の出そうなテーマでもあるので、テーマ、IRの観点から面白いと思われる。
第28位 dely株式会社(料理動画の「クラシル」運営会社)
ご存じ料理動画のクラシルの運営会社。26歳の堀江社長ともども大変注目されていた会社であり、本来であればトップ5でもおかしくない会社だったのだが、この7月にヤフーがメイン株主となることにより、少し流れが変わった気がする。
知名度や動画の再生回数は多いが、そこからマネタイズできるかが課題だろう。
第27位 ワークスアプリケーションズ
www.worksap.co.jp
もはやベンチャー企業とは言えないが、再上場に伴うストックオプション期待でランクイン。人工知能技術開発に注力し、人工知能型ERP「HUE」が期待される。
外部株主の持ち株比率が高いので、果たしてどれほどストックオプションがもらえるかが不明なのだが、もともと給与水準は高い会社であり、転職価値も非常に高い会社なので「隠し玉」的な位置づけで、この位置に入れてみた。
第26位 株式会社エブリー
corp.every.tv
料理動画のデリッシュキッチンの運営会社。他にも、KALOS、MAMADAYS、TIMELINE等のメディアを手掛ける動画関連銘柄。
社長の吉田氏を始め、経営陣はグリー出身者が多い。一般的にDL数とか再生回数は増やせてもマネタイズは難しい動画関連なので、IPOではなくM&AによるEXITの可能性もあるが、その場合にはストック・オプションの条件に留意しなければならない。
第25位 株式会社プレイド
plaid.co.jp
CX(顧客体験)分析プラットフォームであるKARTEなどを開発、運営しているデータ分析サービスを企業に提供する会社。CEOの倉橋健太氏は楽天出身で、CTOの柴山直樹氏は東大工学部大学院博士課程中退のバリバリのエンジニアである。
株価、IR的にも面白そうな会社であるが、僕自身がこの分野には強くないので、控えめなこの位置のランクとなった。
第24位 株式会社coly
2014年設立のスマホゲームの開発・運営会社。主力のゲームは、スタンドマイヒーローズ、ドラッグ王子とマトリ姫、オンエア!等であり、少女漫画的なテイストのUIのプロダクトである。ゲームは限界利益率が高く、収益性においては妙味があるのだが、最近マザーズのゲーム関連銘柄のValuationが下がり気味なのが気がかりな点である。
第23位 株式会社 Kyash
kyash.co
ようやく登場のフィンテック銘柄。この会社は元三井住友銀行出身の鷹取真一CEOが2015年に設立したが、準備金を含む資本金は既に12億円超もある。資本が大型化するのがフィンテック企業の特徴である。
ウォレットアプリのKyash(キャッシュ)がメインプロダクトであり、最近大いに注目され始めているキャッシュレス社会関連銘柄である。
ただ、既にハイスペックな社員が多数いるようなので、入社する場合には幹部社員として採用されるかがカギとなるだろう。
第22位 株式会社エアークローゼット
corp.air-closet.com
女性向けに定額制のファッションレンタルサービスを提供している当社は、アビームコンサルティング出身の天沼社長が2014年に設立した。
独特のビジネスモデルを始め、AI活用×C向けビジネスという派手さがあり、2017年末にはジャフコを始めとする複数の企業から十億円弱の出資を受けている。
ホムペを見ると、CFOポジションを募集しているようなので手を挙げたいところであるが、女性向けのファッションには疎いので、このあたりのランクになってしまった…。
第21位 C Channel株式会社
ご存じ元LINEの森川さんが2015年に創業した動画を中心としたメディアの会社。
準備金を含む資本金は91億円を超え、売上高は連結ベースで50億円以上に及ぶ。
実力的には非上場ベンチャーの中ではトップ10、いやそれ以上の会社なのだろうが、既に大きくなっており、今更相応のストックオプションをもらえるようなポジションは難しいのではないかということと、動画メディアの今更感(僕の主観)もあるので、個人ベースで億万長者になれるかという観点から、この順位になってしまった。
第20位 株式会社トレタ
トレタは、飲食店向けに予約/顧客台帳サービスを提供する会社であり社名と同じトレタというサービスは既に1万店舗以上が導入している。顧客のトレタの継続率は99%以上と非常に満足度が高く注目されるサービスである。
元パナソニックの中村仁代表取締役が2013年に設立し、準備金を含む資本金は30億円を超えており十分な規模感がある。また、経営陣も、ベネッセ、クックパッド、リクルート、経営共創基盤出身者と多様であり、平均年齢も高めな点が特徴となっている。
他方、ある程度幹部は埋まった感もあるので、会社の将来性よりも個人としてシニアなポジションで入社できるかどうかが課題であり、若干控えめなランキングになってしまった。
第19位 ワンダープラネット株式会社
DL数世界で1000万越えのクラッシュフィーバーを開発・運営しているのがこの会社。
誰でも楽しめるシンプルなゲームが特徴であり、すそ野が広いのが強みである。
創業者の常川友樹CEOは、元サイバーエージェント出身の取締役が設立したモバイル系ベンチャー企業等を経て2012年に当社を創業した。
準備金を含む資本金は24億円を超えており、グローバルブレイン、ユナイテッド、ジャフコを始めとするメジャーなベンチャー投資企業が並んでおり、IPOが期待される。
本社が名古屋にあるというのがユニークな点である。
ただし、今ゲーム業界はバリュエーション的に逆風ということと、経営幹部として今更食い込めるのかというところが課題となるだろう。
第18位 株式会社Viibar
プラットフォームへの動画配信運用や、動画メディアの運営によって消費者の情報を収集分析し、企業クライアントに提供を行う動画関連銘柄である。
創業者である上坂優太CEOはテレビ制作会社出身で、楽天を経て2013年に当社を創業している。ナンバー2の高橋俊輔COOはNHKに入社し、番組ディレクターをやっていた。このため、高い動画編集ノウハウを持っているのがこの会社の特徴である。
準備金を含む資本金は約10億円であり、メインのVC系投資家としてGCP(グロービス・キャピタル・パートナーズ)が入っており、何らかの形でEXITまでもっていってもらえそうな期待感がある。
B向けの会社であり一般的な知名度が低いことと、動画関連ビジネスに伴う収益性がよく見えないという懸念はあるが、ホムペを見た限りでは経営幹部として入り込める余地はまだあるかも知れない。
第17位 akippa株式会社
www.akippa.com
これは地味ながら、日本を代表するシェアリング・エコノミー関連銘柄。
全国の空いている月極め駐車場や個人の駐車場をシェアできるサービスを提供している。独特のビジネスモデルはメディアの注目度も高く、新聞、経済誌、ウェブ等において多く報道され評価されている。
資本的にも、今年の5月に住友商事を肇とする7社より合計8.1億円を資金調達し、累計の総調達金額は24億円にも及んでいる。
創業者の金谷元気CEOは、元サッカー選手であり実業団を経てザスパFCの練習生にていたという変わり種である。当社の前身となる合同会社ギャラクシーエージェンシー009年に創業し、2015年に現状のakippaに社名変更している。
採用情報を見ると、広く募集しているようであり、幹部社員としてストックオプションをしっかりもらって入社できれば、将来が楽しみではないだろうか?
第16位 株式会社お金のデザイン(THEOの運営会社)
こちらは、いわゆるロボアドバイザーサービスのTHEO(テオ)の運営会社である。
日本を代表するフィンテック関連銘柄の一つであり、ロボアドバイザーというカテゴリーにおいては、ウェルスナビ社に次ぐナンバー2のポジションにある。
ライフネット生命等を手掛けた谷家衛氏がプロデュースした会社で、元マッキンゼー、グーグル、ブラックロック等の超ハイスペックなメンバーが参画し、準備金を含めた資本金は80億円を超える等、当初より極めて注目度の高い会社であった。
気になる点は、提供しているサービスの質の割に、預かり資産が伸び悩んでいる点である。ロボアドバイザートップのウェルスナビ社は本年の8月中に節目の預かり資産1000億円を達成したが、当社のTHEOはその半分も達成していない模様である(開示していないので預かり資産の詳細は不明)。
メイン投資家のうちの一社がGCPであり、辣腕投資家である谷家さんとともに、EXITまで持っていける腕力には期待できるが、THEOの成長度合いが気になるところである。また、最初のメンバーがぱらぱらと退社しているようなので、その点も少し気になるところである。
現状の収益性はともかく、資本金が厚くスペックの高い人にはそれなりのストックオプションを供与することも期待できるであろうから、フィンテックに関心があり自身のある人は検討に値する会社ではないだろうか?
第15位 株式会社Donuts
ゲーム好きの人なら知っている「単車の虎」を開発、運営したスマホゲームの老舗のDonuts。
最近はゲームだけではなく、MixChannelというWebサービス事業や、ジョブカンという勤怠管理・シフト作成ソフトウェアなどのASP事業も展開し、多角化を図っている。
人材採用にも力を入れ、ハイスペックな社員を昔から登用しているし、ドーナツ試食会という名の不定期の会社案内企画を開催している。
数年前からIPOの噂はあったが、ゲーム事業によりキャッシュフローを稼得できるからか、IPOの意図は不明である。
ゲーム好きの社員や、最近「HRテック」というカテゴリーでASP事業の強化を図っているようなので、腕に自信のあるベンチャー志向の方は挑戦してみてもいいのではないか。
第14位 ラクサス・テクノロジーズ株式会社
laxus.co
何と月額6800円(税別)でブランドバッグを使い放題の、ブランドバッグ・レンタルサービス「ラクサス」を提供している会社である。
取り扱いブランドは、エルメス、シャネル、グッチ、プラダ、ルイヴィトンからフルラ、ブルガリ、ケイトスペード、コーチ等、無いブランドは無いのではないかという程幅広い。
ファッション系のレンタルサービスというと、上述のエアークローゼットと類似するかも知れないが、使用頻度と一個当たりの値段の高さという点から、ラクサスの方がレンタルに適しているのではないかと自分は考える。
ルイヴィトン、プラダ、グッチという見慣れたブランドバッグでも、円安と消費税等に伴うリーマンショック後の値上げにより、革のバッグであれば、一個10万~20万円はする上、陳腐化するのが早いので、なかなか普通のOLには手が出しにくい商品となってきた。その意味で、潜在的な需要が大きく面白いサービスと考えられる。
創業者である児玉昇司社長は、シリアルアントレプレナーで自身4度目の起業が当社である。既に資金調達類型額も20億円以上になっており、注目度が高い企業である。
もっとも、採用情報を見ただけでは空きポジションの状況が良くわからない。
ハイスペックのキャンディデイトであれば、転職エージェント経由で打診してみてはどうだろうか?
第13位 freee株式会社
数年前から既に上場を果たしたマネーフォワード社と並び、フィンテック銘柄の代表格とされていた当社であるが、こちらは2018年8月にLINEや三菱UFJ銀行等から約65億円の追加増資を受けた。この結果、累積ベースの資金調達額は161億円にも及ぶ。
メルカリのような巨大なIPOを目指しているのだろうか。
フィンテックといっても、実際に提供しているサービスは会計フリーや人事労務フリーという中小企業向けのクラウド型無料サービスであり、金融免許を必要とする狭義のフィンテック銘柄ではない。もっとも、これぐらいのシェア、サービスが普及していれば「フィンテック」という名を借りなくとも、株価、IR的には全く問題ないであろう。
創業者の佐々木社長は38歳でGoogle出身。経済系メディアにも登場し、注目度は高い。
採用については、幅広く全ポジションについて募集しているようだが、既に組織が大きくなっており、このタイミングでストックオプションをもらえるようなポジションに就くのが難しいと考え、このような中途半端な順位にしてしまった。
企業そのものの実力や話題性であれば、トップ5位になるのではないだろうか。
第12位 株式会社Kaizen Platform
about.kaizenplatform.com
一般的な知名度は低いが、VC、スタートアップ界隈では、いわゆるミスコン荒らしのようなイメージで飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していった会社が当社である。
B DASHでの優勝を皮切りにあらゆるベンチャー系のコンテストで勝利していったのだが、その後成長は鈍化し、昨年には経営的にヤバイ状況に陥ったという。
しかし、昨年全社一丸となって危機を乗り越え、再上昇のフェーズに入ってきたようである。
当社は、ウェブサイトや広告の課題を抽出分析して、それらの改善点をクライアントに提案する法人向けサービスであり、一般的には地味だが、リクルート出身の創業CEOである須藤憲司氏の経営手腕は信頼できるのではないだろうか?
昨年の経営危機によって、人材が流出したため、ポジション的にはチャンスが拡がった可能性がある。
資金調達ニーズが強そうな点も踏まえ、IPOの可能性はあると思われるので、幹部ポジションの有無も含め検討する妙味はあるかと思う。
第11位 株式会社FOLIO
当社は証券会社のライセンス(第一種金融商品取引業)を持った、フィンテック関連銘柄である。
当社の特徴は、「わくわくする投資」を提供することを社是としており、単なる金融サービスを超えた、「エンターテインメント×金融」を提供するユニークなフィンテック企業である。
具体的には、VR、寿司、ペットと暮らす、京都、人工知能といったテーマを選定し、それらに約10万円から投資をすることができるサービスを提供している。
(※米国にMotif Investingというテーマごとに投資をすることができるフィンテック企業があるので、それを参考にしているのかも知れないが、不明である。)
また、UI/UXに対する徹底的なこだわりを持ち、証券会社とは思えないUIの美しさと使い易さを有している。
当社は元ゴールドマンサックス出身の甲斐真一郎社長によって2015年12月に創設され、バークレイズ、野村證券等の金融バックグラウンドの人達に加え、ヤフー他ハイスペックのエンジニアやデザイナーの人材が集結しているところが強みである。
今年の1月には、LINE、ゴールドマンサックス等から約70億円もの資金調達を実施し、LINEとは業務提携を行うことにより、LINEの有する月間7100万人を超えるユーザー基盤に対してFOLIOを展開すべく協業していくという。
もっとも、最大の課題は、どれだけ現実的にマネタイズできるかということであろう。LINEの顧客基盤がいくら大きいとしても、そこから、どれだけFOLIOに入ってきてくれるのかというのは全く未知数である。LINEのユーザーはチャットやゲーム等のアプリのためにLINEを利用している訳であって、そこから先の金融サービスに対するニーズはまだわからないのである。
ポジションは広く募集しているようだし、ハイスペックな人材にはそれなり待遇が期待されるので、フィンテックに関心のある優秀なCandidateにとっては面白い企業ではないだろうか。
第10位 ランサーズ株式会社
www.lancers.co.jp
いよいよトップ10であるが、第10位は既に上場を果たしたクラウドワークスと並ぶクラウドソーシング業界の雄、ランサーズである。
主力のクラウドソーシングのプラットフォームであるランサーズ事業の他、ITフリーランス紹介のTechAgent、法人向けのサービスであるEnterprise、スキルシェアリングのPOOK、転職求人メディアのPARAFTと関連サービスを展開している。
創業者の秋好陽介社長はニフティ出身で、2008年4月にランサーズを設立。
準備金を含めた資本金は22億円を上回る。
採用については各種ポジションを幅広く募集しているようである。
副業促進を掲げる「働き方改革」を政府が進める環境下、ピッタリのテーマだと思われるが、課題は目先の市場の小ささではないだろうか?
IPOを果たしたクラウドワークスの決算説明会用資料を見ると、今期の通期予想の売上高はわずかに65億円。利益にいたっては収支トントンである。
潜在的な市場規模は8兆円とも言われているし、副業が進んでいけばあながちウソではない数字かも知れないが、現実的にはその程度の市場規模しかないのである。
実際、クラウドソーシングのサイトを見てみると、単価の安い単純作業がほとんどで、結局「質の高い」仕事が圧倒的に不足していることがうかがえる。
もっとも、数年前から注目されてきた分野であり、「働き方改革」の一環としての副業推進というのは退職者のアルバイト(年金不足の問題の裏側)を含め、日本社会にとって重要なテーマだと思うので、応援の気持ちも含めこの順位にした。
第9位 スマートニュース株式会社
www.smartnews.com
こちらも、ライバルであるグノシーが一足早く上場を果たしているという点では、先ほどのランサーズと類似しているのかも知れない。
IPO一番乗りを果たせないとなると焦っても仕方がないわけで、非上場の間にじっくりと準備をして、スケールの大きいIPOを達成しようという戦略であろうか。
実際、2018年の2月にはディヴィデュアルというメディア関連の会社を買収している。もっとも、買収金額等は非公開なのでその影響度合いはよくわからない。
同業のグノシーが業績、株価ともに堅調であるので、当社もIPOしたとすればそれなりに明るい未来が期待できるのではないだろうか?
課題は、魅力的なポジションに就けるかどうかであるが、現在でも幅広く募集はかけているようだ。もっとも、ストックオプションをもらえるような部長以上のポジションに就くのは容易ではないと推察される。十分な資金力、知名度があり、仕事もクリエイティブで面白そうなので、それなりの人材が集まるからだ。
だから、僕のような金融系スキルしかない人間は行きたくとも、手を挙げるようなポジションが無いのが厳しい。
第8位 Sansan株式会社
jp.corp-sansan.com
松重豊さんのTVCMや電車内のOOH広告でお馴染みの、クラウド型法人向けの名刺管理ビスが主力業務の会社である。
創業者の寺田親弘代表取締役は三井物産出身で、2007年に当社を創業。名刺一本で途中でEXITすることなくリーマンショックを挟んで11年以上もコツコツ続ける辛抱強さは商社マン気質か?
資金調達累計額は46億円にも及び、シンガポールでも事業を開始している。
もっとも、課題は損益状況。決算公告を見ると、売り上げは順調に増えているものの販売管理費が嵩み、大幅な赤字。もっとも、粗利率は高いし広告宣伝費が経費のメインであるので、ここで我慢できれば克服できるのではないだろうか。
投資家陣に、抜け目の無いゴールドマンサックスが入っているところが心強い気がする。
採用については幅広いポジションで募集中であるが、何度も資金調達し、外部投資家が多く、ストック・オプションは余りもらえないおそれがある。
堅実そうな社風が好みのタイプのハイスペック・サラリーマンであれば、話を聞きに行きたいところだ。
第7位 BASE株式会社
binc.jp
一般的な知名度は別として、ネット業界やVC業界では知らない人はいないと思われる、無料で誰でも簡単にECを始めることができるサービスを提供するBASE株式会社。
創業者である鶴岡裕太氏は大学在学中からクラウドファンディングのCAMPFIRE運営会社でエンジニアインターンを経験し、若干23歳の時に「BASE」をリリースする。
何が凄いかというと、BASEを利用した店舗があっという間に1万店舗を達成し注目され、サイバーエージェント等からの出資を受ける。既にBASEを利用した店舗数は50万軒以上に上っている。
また、2018年1月にはフィンテック部門への業務展開を企図して、グローバル・ブレインとマネーフォワードから15億円の出資を受けている。
もっとも、フィンテック分野に進出するには収益力(現段階では赤字)も資金力も不足しており、楽天、LINE、メルカリといった巨人に戦いを挑むのは厳しい気もする。
まあ、メルカリの投資家でもあったグローバル・ブレインがコミットすることだし、若くてスケールの大きい会社なので、魅力が大きいことは間違いないだろう。
採用も、WantedlyとかGreenとかで広く募集中なので、やる気満々のambitiousな若者は早いうちに挑戦した方がいいのではないだろうか。メルカリみたいに、大きくなればなるほど、参画したいハイスペックな人たちが急増するからだ。
第6位 株式会社 FINC
company.finc.com
ヘルスケア用のスマホ向けアプリや、プライベートジムからECサイトまで幅広く健康に関するサービスを提供する、ヘルステックベンチャー。
つい最近の、9月20日に55億円もの資金調達を発表し、経営体制、組織体制、商号等の変更を行った。累計の資金調達額は100億円にも及ぶ。
ユニークなのは、株主に事業会社が多く、今回の増資ではロート製薬、NEC、第一生命が加わり、他に資生堂、中部電力、江崎グリコ、講談社、竹中工務店等が株主となっている。
とにかくやることなすこと全てが派手で、元ゴールドマンサックスの幹部、元IBMの役員、東大出の若きAI技術者、元DeNA、元サイバーエージェント、元クックパッドCFO、元BCG日本代表、といろいろなジャンルのハイスペックな人たちを次々と集めている。
他方、不安な点はその割に業績がついていっていない点であり、決算公告によると2017年12月期の赤字が25億円とかなり大きい。それ以上に問題なのが、売上が7億円と極めて小さい点である。まあ、その後に今回の大型の資金調達をしているわけなので、当面はやっていけそうであるが。
Vorkersのコメントとかを見ると、ハイスペックの人達を集めるためにはストックオプションとかも用意するそうなので、懐具合は楽じゃないかも知れないけど、派手な雰囲気が好きで、ヘルステックという分野が好きであれば挑戦してみてもいいのではないだろうか。もっとも、その後のキャリア(バックアップ・プラン)も一応用意しておいた方が良さそうな気はする…
第5位 ウェルスナビ株式会社
www.wealthnavi.com
フィンテック銘柄の代表格で、ロボアドバイザー事業でダントツのトップ企業。
マッキンゼー出身の柴山和久社長が2015年4月に設立。
月々1万円から積立を使って、国際分散投資を全自動でやってくれるというロボアドバイザー・サービスであり、先行者である米国のBettermentやWealthfrontを参考に導入した事業だと考えられる。
フィンテック事業に熱心な北尾さん率いるSBIが出資や販売面で協力してくれている。
2018年の8月には預かり資産額が1000億円を突破した。2か月弱で100億円のスローペースではあるが、変動費率が低いため一旦損益分岐点を突破すると後はどんどん儲かるモデルなので有望である。
とにかく日本の投資家は高齢化していて、金融資産を十分に保有していない20~40代がターゲットなので市場は大きくないのだが、長期・分散投資に立脚した王道の投資サービスなので日本の個人投資家にとっての必要性は高い。
IPOによって知名度を高めると同時に、その資金を広告宣伝に回せば更なる預かり資産の増加ペースを高めることができるのではないだろうか。
アメリカではロボアドバイザー専業業者よりも、Vanguard、Charles Scwabといった既存の大手金融機関がシェアを拡大しているが、大手が参入し、市場のパイ自体を大きくするのは望ましいかも知れない。
懸念事項は将来的な手数料の引き下げで、今は1%程度であるが、参入者が増えると手数料率が低下していくので預かり資産の拡大に見合った収益が得られないことは十分認識すべきである。
ここは転職エージェントを使ったリクルーティングもやっているので、金融機関キャリアの人はストック・オプション等を含めた相談をしてみる価値はありそうだ。
第4位 株式会社ビズリーチ
www.bizreach.jp
転職に慣れた人たちは大抵使っているビズリーチ。
転職の場合にはポジションに関する情報収集が極めて重要であるが、ビズリーチに登録すると、複数の中小の独立系転職エージェントに一斉にリーチできるので、物凄く効率的な転職活動ができる。面白いのは、JACとかその他大手の外資系エージェントもビズリーチを使って候補者探しをしていることである。
自分は転職慣れしているが、外資系企業でもポジション探しが上手くない人たちがいる。そういう人達に出会うと、ここを紹介している。
もう完全に転職プラットフォームになっているので、準備金を含む資本金が41億円と知ると「そんだけしか無いのか?」と思ってしまう。
IPOもする必要があるのかどうかわからないが、IPOしたとすればかなりの規模になるだろう。
もっとも、Vorkersを見てみると給与水準は総じて低そうだ。
億万長者を目指すなら現金給与だけでは到底不可能で、ストックオプションをもらう他いだろう。既に多くの人材が参画しているので、今から幹部で採用されるのは容易ではないだろうが、無事ストックオプション付きで採用されれば明るい将来が待っていそうだ。
第3位 株式会社 bitflyer
bitflyer.com
フィンテック銘柄を代表する、日本最大の仮想通貨交換業者であるビットフライヤー。
年初に始まったコインチェックの一連の事件、その後の金融庁による一斉点検を受けたビットフライヤーの行政処分、さらに最近のZaifの仮想通貨流出事件と暗い話題ばかりの仮想通貨業界である。
しかし、それは仮想通貨が終わることを意味するわけではないし、仮想通貨交換業協会という業界団体が立ち上がり、ICOに関するルール作りも進んできている。
今回のZaifの問題で、金融庁は一連の後始末にリソースを割かれるだろうから、時間は少し先になるかも知れないが、仮想通貨はまだまだこれからのビジネスである。
実際、楽天、LINE、メルカリといった事業会社大手は金融事業にも注力しており、今は決済事業のインフラ作りを行っている段階であるが、将来は楽天コインとかメルカリコインの導入が期待されるなど、その拡がりは大きい。
ビットフライヤーの特色は、創設者の加納裕三社長がゴールドマンサックスのITエンジニア出身であるが、他にもバークレイズ、ゴールドマンサックス、UBS証券、クレディスイス証券と金融のプロが集結していることである。
この点は、他の仮想通貨を取り扱う業者とは全く異なる点である。金融ノウハウという点では全く歯が立たない。
年収・待遇等においてももはやベンチャーとはいえず、エンジニアやトップティアの金融機関出身者は年俸2000万円以上支給されているし、オフィスも東京ミッドタウンである。ストックオプションが無くとも現金給与で1億円位貯まりそうである。
そんなわけで、英語堪能でハイスペックなエンジニアや金融機関の人にとっては大変有望な会社である。
なお、6月に受けた行政処分は過度に気にする必要はない。行政処分には種類があり、業務改善命令と業務停止命令の間には大きな差があるが、ビットフライヤーが受けたのは前者である。業務改善命令の場合はその後の改善状況が良ければOKである。
野村證券もゴールドマンサックス証券も過去3回位、業務改善命令を受けているが、改善報告書が受理されその後の運営が適切であれば、普通に業務をやっていけるのだ。
第2位 株式会社 Preferred Networks
https://www.preferred-networks.jp/ja/
日経新聞が今年の1月に「巨人が群がるAI集団 プリファード・ネットワークス」として報道した。推計時価総額が2000億円を超えるということで、注目を集めている。
自動運転関連も手掛けるそうで、何とトヨタは既に100億円以上出資をしているということだ。
トヨタが出資しているAI関連銘柄というと、同じPで始まる企業があった気がする…
採用も幅広く募集中であるが、条件が厳しそうである。
まあAI関連の技術者メインの会社であるので、どれだけ対象者がいるのかわからないが、ストックオプションをもらって採用されれば億万長者の途が見えるであろう…
第1位 メルペイ
jp.merpay.com
「何だよ、メルカリなんて既に上場しているじゃないか!」と思われるかも知れないが、これは「メルペイ」でメルカリの金融事業の方である。
この夏の上場後最初の決算により赤字額が拡大していること、それにも起因すると思われる株価の値下がりといったネガティブな要因はあるものの、まだまだベンチャーの癖に週刊東洋経済とか、直近の週刊ダイヤモンドで丸ごと一冊「メルカリ」特集が組まれるなんて如何に注目度・期待度が高い企業だろうか。
どうやら、金融事業も本気のようである。メルカリ本体の吉田社長とメルペイの青柳社長が上海のキャッシュレス社会を視察して、テンセントやアリババの凄さに感動し、メルカリでもフリマアプリに続く主力事業としてフルコミットすることを決断したようだ。
もちろん、問題は山積みである。そもそも「〇〇経済圏」と銘打ったライバル、楽天やLINEには規模感、事業の幅では勝てないし、 金融事業を展開するには500億円程度の現状の純資産では到底足りない。
メルカリに蓄積される顧客の売買履歴を分析し、融資事業への展開を考えているようだが、日本はオーバーバンキング状態で米国のOnDeck、Kabbageのように入り込める余地があるかどうかは疑問だ。
それに、メルペイコネクトという個人経営の飲食店や小売店にメルペイの決済サービスを売り込む営業部隊を起ち上げたのだが、そもそも決済サービス自体は儲かるものではない。
金融事業のどの分野どうやっていくら位の利益を上げる積りなのかは、よくわからない。
但し、メルペイは本気でトップクラスの人材を求めている。Executive Serch Firmを雇ってまでハイスペック人材を探しているベンチャー企業はメルカリ位だろう。
ストック・オプション関係なく、キャッシュベースで数千万円を用意してまで良い人材を採用しようという意欲、抜群の知名度、メルカリ事業の成長性を考えると、経営資源で勝る楽天やLINEも敵ではないかも知れない。組織が新しく小さい分、一人当たりの従業員の質や俊敏性では大手を凌駕できる可能性があるのだ。
優れた人には相応の報酬が用意される筈であろうから、メルカリファンのハイスペックな人材は手を挙げてみるべきではないだろうか。
まとめ、感想
感じたことは、自分がわかる範囲の対象となる有望ベンチャー企業数が少なすぎるということだ。本当はベスト100を作ってみたかったのだが、ベスト30を作るのが関の山であった。
調達資金の累計額が10億円以上で、成長が期待されるテーマを扱っているベンチャー企業は100社位あっても良さそうであるが、そもそもそういったベンチャー企業数自体が足りないのか、それとも、情報が入手できないのかはよくわからない。
いずれにしても、米国と比べるとまだまだ日本の面白いベンチャー企業数は少ないのではないだろうか?
それから、「億万長者になりたい」、言い換えれば、「お金が欲しい」という修飾語
を付けたのだが、手取りで1億円(税込み1億2500万円)を得ようとするには、時価総額200-300億円で付与される株数が時価総額の0.3~0.6%必要ということになる。
しかし、果たしてそれ位の条件が与えられるポジション数は少ないような気がする。
それなら、優秀な人であれば、小さめの会社を自分で作って、サクッと売却する方法の方が早い気もするがどうだろうか。
そのためには、メルカリ、プリファード・ネットワークスのようなメガ・ベンチャーがバンバン出てきて、ベンチャー業界がもっともっと盛り上がればいいなと思う。