東大・慶應の外銀志望者は要チェック!独立系VC(ベンチャーキャピタル)の魅力について
- 1. 外銀志望者が考慮すべきリスク
- ①そもそも内定をもらえないリスク
- ②無事入社できたとしても、入社後の生存競争が厳しい
- ③生き残れても、リーマンショック後の年収はそれほど大したことはない
- ④金融以外では、とにかく潰しが利かない
- 2. 選択肢としての独立系VC(ベンチャーキャピタル)
- 3. どうやって独立系VCに就職するのか?
1. 外銀志望者が考慮すべきリスク
就活における最高峰が外銀である。
特に、トップ校の中でも、東大と慶応の割合が高く、志望者も多い。
しかし、外銀というのは特殊な業界であるため、特有のリスクを認識して
おいた方が良い。
①そもそも内定をもらえないリスク
外銀は1社あたり数十人程度しか採用せず、また、特に欧州系の経営状況が
芳しくないことから、米国系大手数社しか受けないとすると、当然、
全落ちするリスクが高い。
(というか、全落ちする割合の方が高い。)
従って、バックアップ・プランを考えておく必要がある。
②無事入社できたとしても、入社後の生存競争が厳しい
外銀の場合、外コン同様に、働き方改革などどこ吹く風で、あり得ないほどの
ハードワークを強いられる。このため、途中で自主退職をしたり、
相場環境の悪化に伴い、若手社員(アナリスト・アソシエイト)でもリストラの
対象となってしまうこともある。
このため、管理職であるVP(バイス・プレジデント)に到達できるのは
少数の者である。
③生き残れても、リーマンショック後の年収はそれほど大したことはない
入社後の厳しい生存競争を切り抜け、30歳位でVPに昇格できたとしても、
IBDのVPだと、いいところ、3000~4000万円程度であり(しかも、
ストックボーナス分も含んだ上で)、リスクや労働量を加味すると、
それ程のうま味はないとも言える。
④金融以外では、とにかく潰しが利かない
外銀でキャリアを積むと、同じ外銀内や国内系証券会社が転職対象となる。
しかし、40歳を過ぎると国内系証券会社への転職は厳しくなり、
事業会社への転職もほとんど案件がない(そもそも事業会社は給与の時点で
無理があるが)。
また、IPOを目論む有望ベンチャー企業にストック・オプション狙いで
転職をする方法もあるが、CFOポジションというのは思いのほか少なく、
簡単にいいポジションは見つからない。
以上のように、外銀で「最終的に」成功するといえるためには、長い長い道のりが
あり、リスクも高い。
2. 選択肢としての独立系VC(ベンチャーキャピタル)
東大・慶應の外銀志望者としては、他の選択肢も調べておきたいところ、
独立系のVCは穴場であると言える。
なお、ここでいうVCとは、「独立系」である。
国内最大手の、ジャフコは野村證券系、大和企業投資は大和証券系、
ニッセイ・キャピタルは日本生命系であり、国内大手金融機関の
子会社としての位置づけである。
このため、給与水準は親会社の8掛け程度であり、ステイタス的にも
年収的にも、外銀志望者は対象としたくないだろう。
しかし、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、
インキュベイト・ファンド、グローバル・ブレインといった独立系VCの場合には、
年収水準は外銀ほどにはないにせよそれなりだし、パートナーになると
1億以上も可能である。また、ベンチャー企業経営ノウハウという金融機関では
得られないスキルが習得可能である。
以下、VCの魅力を整理してみた。
①ベンチャー企業経営というスキルを習得できる
独立系のVCの場合には、資金も供与するが、自らも役員等になって
ハンズオンでの対応を投資先のベンチャー企業に行うことが基本的なスタイル
である。
もちろん、ベンチャー・ファイナンスのスキルも要請され、こちらについては、
DDとかValuation等は外銀のスキルを持ち越すことができる。
しかし、独立系VCの主眼は、ベンチャー経営者と一緒になって経営全般に
コミットすることであり、経営戦略の構築、人材の採用・育成、マーケティング
戦略、IT戦略、内部統制・経理、広報IRとあらゆることに首を突っ込んでいく。
また、通常対象となる業種はベンチャー企業については全業種であり、
フィンテック、アドテック、HRテック、ヘルステック、AI、ゲームと
広く業種を見ていくこととなる。
こうした経験を通じて、ベンチャー企業経営全般に関するスキルが習得可能で
あり、将来はベンチャー企業に幹部として自らが入って行くことも可能だし、
自らベンチャー企業を起ち上げることも可能である。
ベンチャー経営というのは普遍的なスキルであるので、応用範囲は広い。
②ベンチャー企業に幹部として就職するのと違ってリスクが分散されている
外銀の若手がビットフライヤー、メルカリ、お金のデザイン等のベンチャー
企業に転職するケースもちらほら見られる。
しかし、それはその会社が潰れなくてもIPOまで辿り着けないことには、
せいぜい800~1000万円程度の給与がもらえるだけであり、リスクが高い。
これに対して、VCは複数の大手ベンチャー企業に分散投資をするので、
投資先ベンチャー企業の1社がコケても、全体としての影響は限定的である
(そもそもVCは、1勝9敗のビジネスモデルなので、投資先ベンチャー企業が
コケるのは想定内である。)
③ワークライフバランスが良く、外銀のようなカースト制度が無い
独立系VCの場合は、案件が動いている時は忙しいが、総じて外銀や外コンのような
劣悪な労働環境ではない。
また、VP⇒アソシエイト⇒アナリストという、IBD特有の軍隊のような
組織では無いので、働きやすさという点では恵まれている。
④年俸水準は非パートナーだと外銀に劣るが、パートナーだと逆転可能
独立系VCの場合、企業によって報酬体系は様々である。
しかし、ベース、ボーナス、キャリーの3本立てになっているところが
基本では無いだろうか。
シニアアソシエイトクラスだと、ベース1000万円程度で後はボーナス。
ただ、パートナーになると、キャリー次第で1億円も可能である。
頑張れば、外銀のMDと違ってパートナーになることも十分可能だ。
また、外銀IBDクラスのスキル・能力の社員は少ないので、
十分に競争して行けると考えられる。
3. どうやって独立系VCに就職するのか?
①そもそもどういったVCがあるのか?
独立系VCで最高峰はGCP(グロービス・キャピタル・パートナー)だ。
あと、グローバル・ブレイン、East Venture、ユナイテッド、YJキャピタル、
インキュベイト・ファンド、WiLなどがある。
VCについては、こちらの転職エージェントであるアンテロープのサイトが詳しい。
②どうやってアプローチするのか?
勿論、先ほどのVCにメールでアプローチする方法もあるが、VC主催の
イベントに参加するのがいいだろう。
無料の勉強会などをやっているし、社員に相談すれば就活の相談にも
乗ってもらえるだろう。
インキュベイト・ファンドはイベントが充実しているので、
是非行ってみたい。
③中途採用も当然OK
新卒で入らなかったとしても、中途で独立系VCに入ることは当然可能だ。
先ほどのアンテロープに登録する等して待つのもいいし、
イベントでアプローチしてみるのもありだ。
外銀に就職しても途中で方向転換してみたくなったり、国内系金融機関に
一旦就職してから独立系VCに行くのでも構わない。
まだまだ知られてないVCの世界なので、こちらの世界も知っておいて損は
無いだろう。