東大から大手ベンチャー企業に就職した後のキャリアについて考える
1. 何と2014年は東大からDeNAに28人!
就職人気企業というのは、その時代時代によって、流行り廃りは
あるものだが、わずか4年前は、異常な(大手)ベンチャー人気
であった。
2014年は。何と、東大からDeNAに28人も就職しているのだ。
例えば、2018年に東大でも人気の財閥系総合商社に行った人数は、
であるので、いかに当時人気があったかがうかがえる。
東大に限らず、早稲田、慶応、京大、東工大、一橋からも、
当時新御三家と言われた、サイバーエージェント、グリー、
DeNAに就職しているのだ。
2. 4年前の入社組は後悔しているか?
4年前に、企業を選べる立場にある高学歴の学生達は、敢えて大手ベンチャーを
選んで、今後悔しているかどうかはわからない。
もっとも、当時の「新御三家」はその後の企業の勢いには明確な違いがある。
サイバーエージェントは、Abema TV事業が巨額の赤字を垂れ流しているものの、
ゲーム事業と広告代理店事業は好調であり、まだまだ成長過程にある。
他方、グリーとDeNAは唯一ともいえる収益源のゲームがじり貧で、
新規事業はうまく行かず、業績的にも厳しく、当然、給料とかも
上がるわけはなく、複雑な心境の社員もいるだろう。
特に、DeNAはWELQ問題という大きな不祥事が2016年末に発生し、
社員の士気にも影響を与えたであろう。
従って、サイバーエージェントは別として、DeNAとグリー入社組の中には
転職・キャリアチェンジを考えたい者もいるだろう。
3. まず、起業を今でもやりたいか?
①社内ベンチャーとしての新規事業と純粋な起業との違い
上記の東洋経済によると、DeNAの志望理由の1つは、新規事業への憧れに
あったという。
しかし、新規事業と起業は異なる。
DeNAのような大手ベンチャーでの新規事業は、資金、人材、信用、ITインフラ等が
既存の会社のものを利用できる。わからないことがあれば、先輩や上司に
聞くことができる。
他方、純粋の起業であれば、資金、人材、インフラ全て自分自身が
対応しなければならない。誰も助けてくれない。
そこでのプレッシャーは計り知れない反面、無事、成長軌道に乗せ、
IPOまで行かなくてもM&AでEXITできるところまで持っていければ
少なくとも数億円のキャッシュを手にすることができる。
このように、新規事業と起業は似たように見えて、大きな違いがあり、
新規事業をやりたかったからといって、次は起業をしたいと思うように
なるとは限らない。
しかも、DeNAで新規事業の成功体験を得た者は少数であろう。
②そもそも大手ベンチャー企業では成長できるのか?
大手ベンチャーは出自がベンチャーであっても、既に、資金、スタッフ、
社内体制等の面では一般的な大手企業と異ならない。
また、教育体制については、日本の大手企業の方が研修制度とかが
充実しているとも言える。
したがって、大手ベンチャー企業にいつづけても、大企業以上に
成長していけるとは限らない。
以上のような状況から、会社を辞めて起業するよりは、
転職を考えたいという社員も少なからずいるだろう。
4. 対象となる転職先
現在は景況感も良く、人材需要は強く、特に4年前に新御三家に
就職できたハイスペックの人材は、転職先の選択肢も多いだろう。
大半はまだ20代であろうから、年齢的にも、他業態への
転職についても可能性がある。
対象となる転職先としては、以下のような先が考えられる。
①コンサルティング・ファーム
戦略系、総合系ともに、今は需要増に伴い、未曽有の拡大期にある。
東大出身でハードワークを厭わないタイプであれば、MBBも
可能性はあるだろう。
アクセンチュアとかデロイトのような総合系のファームもおすすめだ。
なお、コンサルティング・ファームの現在の採用拡大と機会については、
この記事が詳しい。
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②リクルート
リクルートは、今でも積極的に20代の若手の中途採用を行っている。
リクルートの場合、「新規事業」というスキルをアピールすることが
できる。リクルートからは継続的に成功する起業家を輩出し続けており、
ここで心機一転するのも悪くないだろう。
なお、リクルートの給与水準は世間一般が思うほども高くはないが、
グリーとDeNAは入社後の昇給のスピードが極めて遅いので、
待遇面においても問題はない。
以上より、リクルートは有望な転職先の1つであろう。
③総合商社
4年前の新御三家の内定者であれば、総合商社を受けていても内定をもらえた
社員もいるだろう。
総合商社も20代の若手を対象に、第二新卒的な中途採用をやっている。
もちろん、難関ではあるが、「ネット系ベンチャー」というのは
有利である。
何故なら、三菱商事もそうであるが、ネット事業・IT系事業を苦手としている
反面、将来に向けて、展開せざるを得ないからである。
第二新卒として、総合商社に入社できれば、十分成功キャリアと言えるだろう。
④国内系大手事業会社
ベンチャー系企業に疲れてしまった場合には、安定的でのんびりとした
国内系大手企業を目指す手もあるだろう。
例えば、KDDI、ドコモ、ソフトバンクといった通信大手は、新規事業にも
熱心であるが、非常に安定している。
また、B to C系の消費財メーカーの場合には、Webマーケティング系とかの
ポジションを狙う手もあるだろう。
他方、重厚長大とかB to B系は、あまり切り口が無いかも知れない。
5. 数多く情報収集することが先決
20代で、高学歴であり、名のあるネット系大手に勤めている実績が
あれば、選択肢はかなり広いと思う。
従って、どういう選択肢があるかについて、転職エージェントに
登録しまくって、とにかく多くの情報を収集することが先決だ。
リクルート、JAC、エン・ジャパン、プロフェッショナル・バンク、
ビズリーチといった大手にはとりあえず全て登録したい。
就活は、人気企業に集中しがちであるが、周りが狙うからという
ことだけで追随するのは危険だ。
ファースト・キャリアはその後のキャリア形成において重大な
影響を与えるので、じっくりと考えたいところだ。