ESや面接で定番の飲食店でのアルバイトネタについて、バージョンアップする方法を考えてみた

 

1. 「学生時代に力を入れたこと」と言われても…

就活のESや面接の定番の「学生時代に力を入れたこと」であるが、

皆が皆、海外に留学をしたり、体育会で華々しい活躍ができるわけではない。

 

このため、バイト、サークル、ゼミ(研究室)といったお馴染みの経験を

アウトプットするしかないのである。

 

もっとも、ESや面接というのは、「凄い経験」の凄さを競う場ではない。

バイト、サークルといった月並みな経験でも、論理性、一貫性をもって

きちんと説明できれば、それで十分合格できる可能性はある。

 

実際、外資就活、ワンキャリア等の内定者のESの事例等を見ても、

バイト、サークル、ゼミのネタで外銀とか総合商社等の難関企業から内定を

もらった事例は少なからず見られる。

 

とはいえ、皆が行きたがる、総合商社、コンサル、外資メーカー、

国内系金融コース別採用、サントリー、味の素等の人気メーカーあたりとなると

競争率も高いので、できることなら少しでもいい物を用意しておきたい。

 

そこで、平凡なアルバイトについて、バージョンアップする方法を考えてみた。

2. 経営戦略のフレームワークである「3C」に即して考える

東大や早慶等のトップ校の学生は、コンサル業界にも関心があるだろうから、

知っている人は多いと思うが、経営戦略でよく使われる基本的な

フレームワークで「3C」分析というのがある。

 

3Cというのは、

 

顧客・市場(Customer)

競合(Competitor)

自社(Company)

 

の頭文字をとったもので、経営のカギとなる顧客(市場)と競合の状況を

分析した上で、自社が取り得る最適な戦略を構築していくという

基本的なフレームワークをいう。

3C(サンシー)とは・意味|MBAのグロービス経営大学院

 

ESや面接で問われる「学生時代に力をいれたこと」のネタである

アルバイトについて、3C分析のうち、特に学生が見失いがちな

Customer(この場合は採用先企業の面接官やOB/OG)と、

Competitor(内定の椅子を巡って争う学生)の観点から

考えてみよう。

 

①Customer(面接官)の観点

自分が面接官やOB/OGになったと思って考えてみよう。

新卒採用においては、多くの社員が対応に当てられるわけで、人事部採用課

以外の社員も手伝わされることが多い。

 

そういう社員の人達は通常の仕事を持ちながら新卒採用の仕事もするので

忙しい。そういった環境下、大量のESとかを読まされるわけである。

しかも、学生は文章を書くことに慣れていないし、教えてくれる機会も

無いので、下手な日本語で書かれており、わかりにくい文章も多い。

 

とはいえ、新卒採用に駆り出される若手社員等は真面目な人達だから、

ESはそれなりに目を通す。

 

そういうことをやっていると、最初にバイト、ゼミ、サークルの話がでてくると

即座に、「ああ、またこのネタか」ということで、最初の数行で大体、

内容がわかってしまう。

 

そこで、冒頭で「これは!」と少しは興味を持って読んでもらえそうな

ものを提供してあげたいところだ。

②Competitor(競合する学生)との比較、差別化の観点

ESで多くの学生に見られるのは、「凄い」と思わせようとすることである。

多くの競合する学生に勝たなければいけないというプレッシャーがあるから、

「凄さ」アピールのために話をできるだけ盛って、アピールしたいという

気持ちはわからないでもない。

 

しかし、本来、ESは「凄さ」をチェックするためのものではないことに加え、

社会人からすると、どうでもいいことについて、盛ろうとするので

(どうせ「ウソだろう」と思われているし、本当でもウソでもどうでも

いいのだが)、ますます、ESの内容が複雑骨折をしていく。

 

採用企業の社会人からすると、飲食店のバイトで新メニューの提言をして

来客が増えたとか、塾講師をやって生徒の成績が伸びたとか、

ゼミ長をやったとか、100人規模(どうせ盛るなら1万人にしたら?)の

サークルを運営したとか、どうでもいいし、凄いとは思ってくれないのだ。

 

以上のように多くの学生が凄くない「凄さ」アピールばかり熱心なので、

そこで、自分の「凄さ」には全く触れない別の切り口で攻めると、

容易に差別化できることが思料される。

 

3. 飲食店でのアルバイトネタをバージョンアップする具体例

バイトにもいろいろあるが、今回は飲食店でのアルバイトのバージョンアップ

について考えてみた。

 

その方法は、単純で、「ミシュラン☆付の有名店」でのバイト体験である。

店の種類は、和食、洋食なんでも構わない。

例えば、「ロブションでバイトしました」「さいとう(三ツ星寿司)で

バイトしました」と固有名詞を付けなければならない。

星付きの店は全て面接官が認識している訳でもないので、冒頭に

ミシュランで☆付の〇〇で」と修飾語を付ければよい。

そうすると、これだけで、読み手の注目度・好奇心が上がる。

 

そして、重要なのはここなのだが、決して自分の「凄さ」アピールを

してはならないということだ。

町の飲食店やチェーン店のバイトで、自分が店長に提言をして、来客数

ないしは売り上げが増えた系の「凄さ」を書いてはいけないのだ。

 

そうではなく、ミシュラン☆付の一流店は他と比べて〇〇が違うと

気づいたことを書くのだ。

 

ジャンルでいうと、「サービス・マネジメント」とか、

「サービス・マーケティング」或いは日本の強みのサービス業における

「おもてなし」だ。

これは、高級ホテルとかプライベート・バンキングなどの

プレミアム・サービス業だけでなく、サントリー資生堂等のメーカー

でも通じるネタだ。

 

それから、ESに書くかどうかは別として、ここでのスタンスは、

自分の「凄さ」をアピールするよりも、むしろ反対に、自分の「未熟さ」

「能力不足」を痛感したという謙虚さアピールをした方がいいだろう。

そういった余裕のある学生の方が、これは中途採用でも同じなのだが、

明らかに好かれるからだ。

 

また、ミシュラン店の内情(どちらかというと、高いお金を払ってでも

行くべきだという方向のポジティブネタの方が良い)、凄さというネタは

社会人の興味を引くネタであるので、雑談的な場でも使えるし

有用性は高いと思う。

最後に

ESや面接では一貫性とか論理性が重視されるので、ネタに関わらず、

その点上手く流れるように留意する必要がある。

 

「学生時代に力を入れたこと」というのはすぐに作れない、

学生にとって頭の痛い項目かも知れないが、少し視点を変えたり工夫を

するとかなり差別化することが可能なのだ。

 

ESや面接は「凄さ」アピールの場では無いということを認識することが

肝要だ。