総合商社等の人気企業から内定を得るには、面接の内容だけではなく、プレゼンテーション能力も重要
1. まずは、話の内容(コンテンツ)を固めることが重要だが…
2020年卒業予定者は、年明けの3月から就活(OB/OG訪問等)が本格化する。
従って、面接で話すべき内容、すなわち、自己PRと志望動機を固める
必要がある。
しかし、面接で話をする内容だけに専心していてはまずい。
すなわち、いくらいい内容の話ができたとしても、それをうまく伝えることが
できないと、結局、面接で良い評価を得られないからだ。
実は、面接力というか、プレゼンテーション能力については、
社会人でも苦手な人が多い。
社会人が中途採用に臨む場合には、職務経験重視であるので、
レジュメが良ければ(当該ポジションとフィット感が高ければ)、
最終選考まで行く可能性はかなり読みやすいのであるが、話下手、
何言ってるのかよくわからないような場合には自滅してしまうこともある。
しかし、中途採用の場合は、ほとんどがOne on oneの面接で方式自体は
オーソドックスなのであるが、就活の場合は、OB/OG訪問、
グループディスカッション、面接と様々な形態で面接力、
プレゼンテーション能力を試されてしまうので、面接の内容だけでなく、
そのプレゼンテーション、表現力についても注力する必要がある。
2. 就活における各段階毎のプレゼンテーションにおける留意点
①OB/OG訪問時におけるプレゼンテーションの留意点
3月1日以降のOB/OG訪問は、単に企業の説明をしてもらう場ではなく、
選考プロセスの1つであると認識すべきである。
面談を行うOB/OGは、学生と比較的年齢が近く、雰囲気的にも
話がしやすい環境にある。
しかし、ただ漫然と自分の話をしたり、戦略性の無い質問をしてしまうと、
人気企業の場合、それで終わってしまう。
したがって、何と言っても「A」評価を取りに行く対応をしなければならない。
書面の上で自己PRや志望動機といった話す内容が固まっても、まだ終わりではない、
それを端的に伝えるように、予め練習をしておかなければならない。
また、ここでは質問能力を問われる。
単に、企業HP、IR情報に載ってあるような内容を質問すると、ネガティブな
評価になってしまう。
このため、自己PR、他の学生と差別化できる質問事項は何かについて考えた上で
準備をしなければならない。
そのために有用なのは、企業分析の深さである。
主として中期経営計画や、決算説明会用資料を読み込んで、当該企業の戦略目標を
十分理解した上で、主要プロジェクトの内容について深い質問をしてみるというのは
1つの方法である。
②面接でのプレゼンテーションの留意事項
OB/OG訪問を高評価で突破し、いよいよ本選考に呼ばれた場合である。
この6/1以降に実施されるフォーマリティの高い面接は、面接官の年齢も
相対的にOB・OG訪問よりも高めで(30代、40代、50代)、
場所も企業内であるので緊張感が高い。
したがって、話す内容は同じであっても、話し方とか表現はより
フォーマルにしなければならない。
それから、面接に先立って留意すべきは、必ずしもOB・OG訪問で話した内容は、
自己の履歴書、ES等の書面は必ずしも、面接官に読まれているとは
限らないことである。
面接官は、日常業務が忙しい中対応するし、多くの学生と面接をするので、
いちいち全ての学生の資料を丹念に読み込んでいないことが多いのだ。
(この点は、対象者が限られる中途採用との違いである。)
従って、個々の面接官は自分の情報は十分には知らないという前提で、
ゼロから自分の話(自己PR、志望動機等)をするということを理解して
おく必要があろう。
また、1回あたりの面接時間がOB/OG訪問と比べて短いことが多いので、
ペース配分を考えておく必要がある。
業種がコンサルでなくとも、結論ファースト⇒理由①、理由②、・・・
というプレゼンも用意しておいた方がよい。
なお、短くわかりやすい話については、伊藤羊一著「一分で話せ」が
参考になるだろう。
③ESについて
ES/筆記試験というのは、企業側の立場からすると、学歴フィルターとしての
制度という点も少なくない。
本当は、学歴等のスペックが不十分という場合に、テストで落ちたという風に
思ってもらった方が都合がいいのだ。
また、OB/OG訪問がイマイチだった場合、実質的にはそれでアウトだった
わけだが、ES/筆記テストで落ちたことにするケースもある。
他方、OB・OG訪問が高評価だった場合は、特に気にする必要は無いのだが、
そのOB・OGではなく、また別の人がESを見るので、そこの内容が
悪ければ、落とされてしまうということもある。
したがって、ESについてもそれなりのものを用意しなければならない。
本来、複数回のOB・OG訪問を突破しているということは、
志望動機、自己PRというコンテンツはできているはずなのだが、
書面で表現するというのはまた別の能力なので、文章力が下手だと、
損をしてしまう。
ロジカル・ライティングを心掛けて、とにかく、わかりやすく書くことが
先決だ。何を書いているのかよくわからないというのが一番問題である。
この点については、社会人(成功している人)に見てもらうことが
望ましい。もちろん、大学のキャリアセンター等で見てもらえるのなら
それでいいのだが、いろいろツテを使って、書面も磨いていく必要がある。
最後に
面接能力、書類(レジュメ)作成に関するプレゼンテーション能力というのは
学生が思っている以上に、社会人になれば効いてくる。
同じような職務経験の場合、レジュメ、面接に長けた要領の良い人が
良いポジションをかっさらうということはよくある話だ。
今の段階から、面接、書面におけるプレゼンテーション能力を磨いておくことは
先々のキャリア構築にもつながる重要なことである。