メルカリのフィンテック部門として注目されるメルペイ(メルペイコネクト)への転職と留意点

 

1. 業績や株価では苦労していそうなメルカリであるが、フィンテック部門として期待されるメルペイ(メルペイコネクト)では積極的に採用活動を展開中

米国事業が足を引っ張り、国内の新規事業もなかなか芽が出ず、上場後悩みがつきないメルカリであるが、期待のフィンテック部門であるメルペイ(メルペイコネクト)は、現在でも積極的な採用活動を展開しているようである。

jp.merpay.com

2. 転職を考える際に考えなければならない点は何か?

何と言ってもメルカリである。

知名度は高いし、スケールの大きい事業ができそうである。

それに、社員向けのメディアを 見ても、雰囲気が良く働き易そうな職場に見える。

 

さらに、フィンテックというこれから成長が期待される分野での経験を積むことができる。

やる気も能力も高いビジネスマンにとっては、将来のキャリアのためにも、是非メルペイで挑戦したいという人は少なくないだろう。

 

しかし、「メルカリ、フィンテックだから何とかなるだろう」といった緩い分析だけで転職を決意するのは、おすすめできない。

大事な転職カードの一枚を無駄にしてしまうのだから。

 

そこで、どういうことに留意すべきかについて検討したい。
mercan.mercari.com

 

①メルペイが想定する外部環境について

メルペイや、LINE、楽天などが想定しているのは、日本のキャッシュレス決済が拡大し、自社の決済プラットフォームの上に、銀行、証券、保険、仮想通貨といった金融事業を乗っけて収益化しようというモデルだ。

したがって、日本のキャッシュレス社会が進展するのが前提となっているが、これについては悲観的な見方も多い。

そこで、メルペイがどれくらいのキャッシュレス決済の進展を想定しているのが気になるところである。

ここの拡大が、メルペイのビジネスモデルの前提となっているからである。

このあたりについては、面接の際に是非聞いてみたいものだ。

「なめらかな社会を創る」というコンセプト自体は耳障りがよく、メディアもポジティブにとらえがちであるが、ATMが浸透した現金中心社会の日本で、果たしてどれくらいキャッシュレス社会が浸透するのか、現実を見なければならない。

 

また、外部環境と言うと、Competitorが気になるところである。

具体的には、既に多くの金融子会社が収益を上げている楽天と、7000万ユーザーで金融事業に経営資源を積極投入することを公表しているLINEに勝てるかどうかという点である。

メルカリは知名度では両者に負けないが、金融ビジネスの実績やビジネス規模では劣っており、どのようにして勝てるのかについて、メルペイ社員に質問したいところだ。

②決済事業の後に展開する収益モデルについて

メルペイコネクトという専門の子会社を起ち上げて、メルペイの決済網の整備をしていこうということだが、決済自体は直接収益を産まない事業である。

したがって、その決済事業の上に乗っける個々の金融業務の、どういった分野でどの程度稼げるのかというのがポイントである。

楽天は既にカードや証券事業で稼いでいるが、LINEもメルペイも、このあたりは未知数る。

 

メルペイの決済網に乗っける金融ビジネスとしては、銀行、証券、保険、仮想通貨等を想定しているのだろうが、そのうち、具体的にどの事業で収益を上げることを考えているのか気になるところだ。

メルカリの山田社長とメルペイの青柳社長が上海を視察して大いに感銘を受けたそうなので、アメリカのOndeckとかKabbageのような小規模事業者向けのローン事業よりも、アリババの芝麻信用をイメージしているのだろうが、いくら位の貸出総額を想定しているのか興味があるところである。

メルカリコインというのは面白そうだし、C向けビジネスを得意とするので、仮想通貨交換業は期待できるが、その規模感とかは全く読めない。

証券業については、今更ネット証券をやっても面白くないし、ロボアドバイザーも業界トップのウエルスナビが運用資産1000億をようやく超えたスピード感なので、大きな収益は期待できない気がする。

このあたりの各論、決済プラットフォームに乗っける個別の金融事業の収益見込みについては、議論が進んでなさそうなので、面接時にはいろいろ突っ込みたいところだ。

③時間軸について

楽天、LINEと比べて、メルペイが厳しいのはこれである。

何と言っても赤字会社だし、規模感でも両者には敵わないので、持久戦になった場合には苦しい気がする。

日本のキャッシュレス化とその上の金融ビジネスについて、明るい未来が期待できたとしても、その実現に年数を要するとなれば、体力のない会社は不利である。

何故なら、決済事業構築までには利益が出ないだろうから、その間、資金を食いつぶしていくことになるからである。

この点、何年後を見据えた事業計画をしているのかについて、面接で是非突っ込みたいところだ。

 

3. 自分のスキルアップにつながるか?

上記は、メルペイ事業という会社レベルでの話であるが、仮にメルペイ事業が成功したとしても、その一員に過ぎない各自のキャリアの観点から成功と言えるかどうかはその人次第である。

 

もっとも、自分のスキルアップにつながるかの前に、自分がメルペイに貢献できないと話にならないのであるが、その点は置いておこう。

 

今だと、メルカリは聞こえもいいし、優秀な社員も多いので、表面的にはキャリアにとってプラスとなりそうに見えるが、冷静に考えてみると、不安な点もある。

 

①既に大規模な組織なのでベンチャー企業としてのキャリアにはならないのでは?

ベンチャー企業で働くことによって得られるスキルは、

〇新規事業創造能力を習得すること

〇幅広い業務を独りでこなせるようになること(守備範囲の拡がり)

である。

しかし、メルペイの場合は大規模組織であり、果たしてこのようなベンチャー企業ならではのスキルが習得できるのかは不透明である。

反対に、大企業からでも入って行きやすいという見方もできるが。

 

まあ、メルカリは風通しが良さそうな自由なカルチャーであるようなので、自ら積極的に何でも手掛けようとするタイプの人でないと、成長できないかも知れないので、適性等よく考えてみるべきだ。

②給与水準について

給与水準というのは経済的な満足度だけでなく、その人の価値を示す転職時における重要な指標となる。タイトル、肩書といったものは会社や業界によって異なるので、それほど気にする必要は無いが、年収と言うのは極めて客観的でわかりやすい指標なので、それがその人の実力を示す指標として捉えられてしまう。

 

実際、ベンチャー企業の場合でも、前職の年収を基準として決める場合が少なくないので、年収と言うのはその人の市場価値に影響する重要な指標なのだ。

この点、新規事業であるメルペイの場合には、当面利益が見込めそうもないので、ボーナスとか、昇給は期待できないかもしれない。

となると、ストック・オプションが重要となるので、入社時点においてはキッチリと詰めておきたいところだ。

まとめ

メルペイの理想とする「なめらかな社会」は耳障りがいいし、フィンテックは何となく将来性がありそうだが、よくよく考えると、そんなに簡単なものではない。

収益性を考えるとボーナスにも不安があり、ストック・オプションが気になるところだ。

こういうことばかり言うと、「来なくて結構」と言われそうであるが、ベンチャーへの転職は未知数が多いので、慎重に検討しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トップクラスは年収10億円。バックオフィスで年収3000~5000万円。ヘッジファンドで働きたいか?

 

1. 情報が少なく、謎が多いヘッジファンド

自分は現在運用会社にいるので、ヘッジファンドに転職した知人や元部下から話を聞く機会があるが、不思議な世界である。

ヘッジファンドというのは決まった定義はなく、成功報酬を中心とする運用会社といったイメージである。

 

情報量が少なく、適当なことをいう人が多いので、ますます謎は深まるばかりである。

例えば、「ヘッジファンド 年収」でGoogle検索を掛けると、上の方に、このような記事が出てきたが、いかにもでたらめである。

こんなに自称ヘッジファンド関係者がまとまって登場し、わざわざ発言小町に投稿するなんてことはあり得ない。

まあ、文章力とか誤字とかからして、とても関係者とは思えないが…

ヘッジファンド勤務の彼氏 : 恋愛・結婚・離婚 : 発言小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 

何故情報量が少ないかというと、ビジネスモデルによって免許(単なる駐在員事務所、助言・代理業、投資運用業適格機関投資家等特例業務)が異なるからだ。

一般的な運用業者(投資運用業)であれば、結構詳細な会社情報が開示されているから、誰でも調べることができる。 

会員名一覧 | 日本投資顧問業協会

 

ただ、適格機関投資家等特例業務届出業者に該当すれば、2000社以上あるので、なかなか調べるのは大変だ。

2. いろいろなタイプがあるのは事実

そのようなヘッジファンドであり、いろいろなタイプがあるのは事実である。

自分の知人は、非運用業務が多いが、基本給2000~3000万、ボーナス1000~1500万位のレンジである。

もちろん、これは普通の外資系運用会社よりは高い水準となっている。

 

他方、ヘッジファンドが全体的に普通の外資系運用会社よりも給与水準が高いかというとそうとも限らない。

自分は4年前と去年、転職エージェント経由で米国系の成功している運用会社の話があったが、基本給とボーナスの合計で2000万円にも満たない案件であった。

非運用社員にはあまり支払いたくないのか、全体的に高くないのかはよくわからないが、良くない案件であった。

 

ヘッジファンドは、運用会社のファンドマネージャー(或いは証券会社のトレーダー)が数人集まって、数億円を拠出して、運用を開始し、トラックレコード(運用実績)が良ければ外部の投資家が資金拠出をしてくれて数十億円規模のファンドになる。

そして、さらに運用成績が良ければ大学、年金、金法といった大口の投資家が参加して数百億円、数千億円の大規模ヘッジファンドになっていくというのがサクセスストーリーである。

最初起ち上げるのはそれほどハードルが高い訳では無いので、結構な数があるし、国内系もあれば、外資系もある。

もっとも、外資系の場合は海外(米国とか香港・シンガポール)で成功を収めてから日本に来るので、ある程度の規模であることが多い。

3. ファンドマネージャー(運用職)は本当に数億もらえるのか?

それは、運用資産規模(AUM)と運用実績と社員数(経費)によって違ってくるが、成功した暁には、数億出るケースは少なくない。

 

例えば、AUM100億円の比較的小規模なヘッジファンドを想定しよう。

そして、成功報酬を20%とする。

1年後、+50%のパフォーマンスを達成した場合、

100億×50%×20%=10億円がヘッジファンド全体の収益となる。

社員10名で、非運用が4人、運用チームが6人とする。

非運用に平均4000万円支払うと、運用チームが山分けできるのは、

10億ー0.4億×4人=8.4憶円。

運用チーム6人で割ると、一人当たり1.6億円!

というイメージである。

別途、賃料とか運営費用が掛かるが、大した額ではない。

 

他方、パフォーマンスが悪いと最低限のマネジメント・フィー(1~2%)しかもらえないので、純資産を食いつぶし、最悪解散ということになってしまう。

4. 成功しているファンドマネージャーの最大の悩みは税金

ヘッジファンドは少人数、大きくても日本オフィスは数十人規模なので、勝ち組ファンドにとっては運営費は少ない。

そして、勝ち続けるファンドマネージャーの最大の悩みは税金だ。

年収1億6000万円でも、手取りは8000万円程度となってしまう。

そこで、所得税率の低い香港やシンガポールに拠点を作って引越しし、税金対応をしようというファンドもある。

自分の知人は、まさにそのような仕事をしている。

 

失敗すると1年でクビになるヘッジファンドもあれば、そうでもないヘッジファンドもあり、この点はマチマチであるが、一般的に買ったときに払いがいい会社は、負けた時に厳しいが、まあ当然であろう。

5. 転職する場合の留意事項

ヘッジファンドは、空売りデリバティブ何でもありだったりするので、理論上は相場が悪い時にも儲けることができるはずである。

ところが、実態は相場がいい時ほど成功確率が高く、下げ相場だと失敗するヘッジファンドが多いのが現状である。

 

わかりやすいケースがリーマンショックの時である。

グローバルでほぼ全滅であった。

 

理屈としては、買いの場合には青天井で儲けることができるが、売りの場合には最大でも2倍(1円で買い戻し)しか儲けることができないこと、また、空売りに掛かるコストの方が高いといった点が指摘できる。

 

いずれにせよ、相場が暴落した際には、こぞってやられることを覚悟せねばならない。

その意味で、普通の運用会社よりはリスクが高い業界であると言えるだろう。

 6. ヘッジファンドに転職する方法

まずは、運用会社で十分な経験を積むことである。

新卒で国内系運用会社に入り、運用系のポジションに従事して、ファンドマネージャーに就任。そして、30代前半でVP以上で外資系運用会社に転職して実績を上げてトラックレコードを作る。

この段階まで到達すると、いろいろとお声がかかるようになる。

また、業界のコネもできてくるので、転職エージェントを通さないで紹介ベースでヘッジファンドに転職する場合もある。

 

どういった転職エージェントがいいかというと、これも数多く使うのがいいのだが、

例えば、マイケル・ペイジは独自の案件を持っていたりする。 

外資系転職のマイケル・ペイジ | 世界大手の転職エージェント | 外資系求人5000件以上

 

それから、ヘッジファンドの場合は、日本拠点起ち上げの案件も少なくないので、そういった場合にはエグゼクティブ・サーチ・ファームであるラッセル・レイノルズやハイドリック&ストラグルが強い。

このあたりは、エクスクルーシブ案件も多いので、一気に面接最終段階まで進むことが多い。

ラッセル・レイノルズ>

 Leadership Advisory | Executive Search | Russell Reynolds Associates

 

 <ハイドリック&ストラグルズ>

Heidrick and Struggles Asia Pacific

 

まとめ

リスクは高いが、いろいろなファンドがあり、転職できるチャンスはあるはずだ。

運用会社系キャリアの人の選択肢の一つとなっている。

失敗した場合のバックアップ・プランを固めておくことも重要だ。

外銀志望の就活生は、外銀間の格差を認識しているか?同業他社の衰退は、将来の転職先の選択肢を狭めることになる。

 

1. リーマンショック後、10年ほどが経過し、「外銀」と一括りにできな状況になってきた。

 

就活生にとって、「外銀」というとどういった会社を何社位思い浮かべることができるだろうか?

リーマンショック後の継続的な投資銀行ビジネスの不振や、大型の不祥事に伴う巨額の罰金(パリバのマネロン違反、LIBOR不正操作事件等)によって、特に欧州系銀行は衰退してきた。

会社名からのイメージとは異なり、「時価総額」を基準とした「外銀」のランキングはこのようになっている。

(単位は十億米ドル、ドルユーロは1.14、ドルポンドは1.30で換算)

 

JPモルガン        362

ゴールドマン・サックス   88

************米系の壁*********************

 

BNPパリバ         66

〇UBS            54

みずほFG           44

*************みずほの壁*******************

 

クレディスイス       33

ソシエテジェネラル     31

〇バークレイズ        27

ドイツ銀行         22

 2. ドイツ銀行とバークレイズの凋落が目立つ

こうやってみると、リーマンショック前と比べると、ドイツ銀行とバークレイズの時価総額の落ち込みは衝撃的である。

クレディスイスソシエテジェネラルは当時から、準大手の位置づけだった。)

 

また、みずほにはかろうじて勝っているものの、UBSの位置付けも寂しい限りである。

リーマンショック前は、米系でのトップがゴールドマン・サックスで、欧州系のトップがUBSということで、相当羽振りが良かった。

反対に、BNPパリバリーマンショック前は存在感の薄い準大手的存在だったのだが、

投資銀行ビジネスが小さかったこともあり、周りに比べるとダメージが比較的小さく、相対的には欧州トップの銀行になってしまった。

 

3. 最初新卒でゴールドマン・サックスに入ったとして将来の転職対象企業は何社か?

ライバルがコケてくれるのは、会社にとっては有難いことだが、従業員的には必ずしもそうは言いきれない部分がある。

何故なら、将来的な転職の選択肢が狭まりリスクが高くなるし、雇用者側の力が強くなるので、給与等の条件が従業員にとって厳しくなりがちである。

 

上のリストでは、モルガン・スタンレーメリルリンチシティグループ証券が入ってかったので、これら米系3社と、先ほどの欧州系6社を合わせると9社しか、将来の転職先が無いことになる。

 

しかも、みずほより小さい会社は将来不安があるので、実質的に将来の転職先になり得るかは保証の限りではない。

 

4. 新規参入とか小さい隠れた優良企業は無いのか?

グローバルな証券会社(投資銀行)は装置産業とも言われており、巨大な自己資本と充実した顧客基盤がモノをいう世界であり、小さい隠れた優良企業と言うのはあまり聞いたことが無い。

また、投資銀行ビジネスが不振なのはグローバルでの動きであり、新規参入の兆しもない。

 

なお、日本に進出している小さい外資系証券会社は会社数ではそこそこあり、それらは全てこちらに掲載されている(日本証券業協会会員名簿)。

「外国法人」というのは「支店形式」の会社を言う。

それ以外に、日本に現地法人(株式会社)を設立する形で進出している外資系証券会社(ほとんどがこの形態)は、日本の証券会社とごっちゃまぜに「東京地区」の中に掲載されているので、興味があったら調べてみて欲しい。

 会員名簿(東京地区協会(外国法人)) | 日本証券業協会

 

5. 相対的に下位にある外銀に行くのが気になる場合の代替策

就職偏差値ランキングの金融版を見ると、あらゆる外銀(外資系証券会社)が国内系証券会社よりも上位に来ているが、「実」を取るのであれば、国内系証券会社のコース別用を選択すべきではないだろうか?

 

確かに、周りに対する見栄という点では、外銀>国内系というのが学生の間に刷り込まれており、自慢できるのかも知れない。

しかし、そういった就活における難易度は社会人になった瞬間にリセットされてしまう。

外銀と言うのは、リストラをする時は、新人だろうが若手だろうがおかまいないしにやる。

反対に、国内系はまずリストラを行わないし、やるにしても若手は基本的に対象外だ。

 

また、顧客基盤という点では国内系証券会社が外資系よりも強いので、仕事内容としては良い経験ができる可能性が高い。

Vorkersによると、野村證券のコース別採用の場合、30歳で順調にVPに昇格できれば年収2000万も可能という。

ワークライフバランスも、外銀の若手のような滅茶苦茶な使われ方をしないので、国内系の方が恵まれている。

 

それに、どうしても外資系証券会社に行きたくなれば、国内系証券会社から転職することは十分可能だ。

 

そもそも、外銀は募集定員も少なく、狙ったところで全滅する可能性も少なくない。

それならば、最初から国内系のコース別採用に焦点をあて、ゴールドマン・サックス記念受験してみるといったやり方が手堅いと思うが、どうだろうか。

 

 

 

 

 

外銀・外コンは本当に最上位なのだろうか?リーマンショックとIT化社会の進展によって、本当の勝ち組について考える

 

1. トップ就活生は、皆、外銀・外コンを目指しているようだが…

東大、早慶のambitiousな学生は、こぞって、外銀や外コンを目指しているようだ。

ゴールドマン・サックスとか、マッキンゼーあたりだと、東大生でも10人に1人しか採用されない非常に狭き門である。

2. しかし、外銀・外コンはそこまで苦労して狙う価値があるのか?

外銀については、リーマンショック前までは、その価値があったかも知れない。

何故なら、2004~2007年位の最盛期は、20代のアソシエイトで年収3000~4000万は普通に見られたし、30前半のVPでも5000万円以上、MDとなると数億という世界であった。

さすがに、この水準の年収が期待できるのであれば、十数年も働けば一財産できたので、何も考えずに、新卒で外銀に入って粘れるだけ粘るというのが正解だったのだろう。

 

しかし、リーマンショック後は外銀のビジネスモデル、収益状況が一変し、特に上に行くほど稼げなくなってしまった。

リーマンショック前は、「年収1億」というのは特に驚きも無い数字であったが、今となっては、MDでも頑張らないと行けない年収になってきた。

 

特に問題なのが、VP未満の入社6年目位までのアソシエイト・アナリストというランクの若手社員である。

トレーディング、セールス、営業と言う厳しいフロント職の場合でも、基本給1200万、ボーナス600万というのが関の山となってしまった。

VPでいいとこ3000万位なのだろうが、そもそもここまで辿り着くのは、

新卒入社の2割もいないのではなかろうか?

競争の厳しさ、バカみたいな労働時間を考えると、そこまで美味しい話とは思えない。

 

外コンとなると、もっとひどい。

仕事のハードさと競争の厳しさは外銀と同じで、年収水準が全然外銀には及ばない。

もっとも、外コンは幅広い業種に転職可能なので、その点は外銀よりも恵まれているのだろうが。

 

そういった事情も、浸透してきたので、「外銀・外コンを蹴って、総合商社を選択」という学生ができている。

それは、外部環境の変化を考慮した上の選択であり、十分合理性があるだろう。

3. IT化の進展に伴う、新たな勝ち組の登場

実は、外銀系キャリアの人は総じてITに疎い。

規制業種で閉じられた金融業界の中をぐるぐる回っているし、外銀のヒエラルキーの中では、ITは下位に位置づけられるため、あまり意識しないのかも知れない。

 

リーマンショック以降、外銀は勢いを大きく失ったのとは対照的に、

IT業界は急速に発展し続けている。

スマホが浸透し始めたのも、リーマンショックの頃からであり、スマホを含めITビジネスの市場はどんどん拡大していった。

 

それに伴い、リーマンショック前には見当たらなかった新しい「勝ち組み」が登場してきた。

 

①非上場EXIT組のベンチャー経営者

 

ベンチャー経営者は上場すると、数十億円以上という巨額のお金を手にすることができる、最高の勝ち組であることは東証マザーズ設立(1999年)以降は知られている。

しかし、上場まで辿り着けるベンチャー企業はほんのわずかだし、時間も創業から10年はかかるだろうというのが定説であった。

 

しかし、近年では日本でもようやく非上場でのベンチャー企業M&Aが活発化してきた。このため、数億円クラスのEXITであれば、20代前半とか、学生でも達成している事例が出てきた。

 

従来企業売却によるEXITというのは、雲の上の世界の人の話だから、自分には関係ないよということだったのだが、近年では身近な人たちでもできる世界になってきたのだ。

そういう若手の起業家の活躍については、こちらのCrooz社のニュースが参考になる。

対談の中で、学生起業家が企業を12億円以上でEXITしたケースに言及されている。

www.fastgrow.jp

 
フリーランスで稼ぐエンジニアの登場

 

非上場EXIT以上に驚きなのが、ITビジネスにおけるエンジニア需要の急騰で、フリーランスでも大きく稼げる人達が登場してきていることだ。

 

例えば、プロブロガーの第一人者、イケダハヤトさんのブログで紹介されている迫君は、まだ立命館大学の学生であるが、何と月商3,750万円を達成している(年商ではない)。

これは、外銀志望者の学生にとっては、衝撃である。

だって、厳しい採用試験を通り抜けて外銀に就職し、そこから30歳位まで奴隷のようなハードワークに我慢しながら、ようやくVPまで昇進してもらえるかどうかわからない金額を、学生がわずか1か月で稼ぎだしたのである。

本当に自分は外銀でいいのだろうかと思い始めてもおかしくはない。

 

もちろん、迫君の事例は特殊で彼が特別優秀だからだということはあるのだろうが、月商100万とか200万を稼ぎ出しているフリーランスのエンジニアはザラにいる。

 

このあたり、悔しいけれどプログラミングができない外銀関係者がいろいろと考えさせられるところである。

 

なお、彼の話しはこちら。

www.ikedahayato.com

③年収2000万円を稼ぎ出す学生・若手ブロガー達

うらやましいけどプログラミングは無理だから、外銀目指すしか仕方がないよという就活生の諸君、プログラミングができなくても外銀以上に稼いでいる学生や若手もいる。

それは、プロブロガーだ。

 

プロブロガーというと、ちきりん、イケダハヤト、はあちゅう、といったところがトップクラスでこのあたりになると年商1億円以上の世界である。

しかし、学生とか20代のブロガーが年商2000万円程度を達成している。

もちろん、普通の雑記ブログなのでプログラミング能力とかは無縁の世界だ。

誰でもやろうと思えばできる世界である。

 

年商2000万というと、驚くほどではないかも知れないが、何といっても労働時間と自由度が外銀とは違い過ぎる。

もちろん、稼ぐブロガーはそれなりに働くのであろうが、拘束下での一日15時間労働の半分以下の労働量である。

 

例えば、若手のブロガーの彼女の暮らしぶりはブログに書かれているが、外銀の暮らしぶりと比べてどうだろうか?

www.mazimazi-party.com

 

4. 将来稼ぐには視野の広さとIT周りの情報が不可欠に

外銀志望の就活生はどのように感じただろうか?

金融キャリアの人は概して、ITに疎いので、このあたりの世界は知らないことが多い。

実は、自分も外資系金融の世界に20年近くいるが、このあたりの世界を知ったのはここ数年である。

 

外銀志望の就活生はどのような情報収集をしているだろうか?

トップ学生はリクナビとかは使わないで、ワンキャリアとか外資就活に登録して活動しているようだが、それだけでは不十分である。

 

将来勝ち組になれるかどうかは、単に能力の問題だけでは決まらない。

いかに優れた情報を広く集めて、分析・行動できるかどうかにかかってくる。

一番いいのが、実際に成功している社会人に話を聞くことだ。

ここでいう「成功」というのは、30歳で少なくとも2000万円以上の年収がある人だ。

ある意味、サラリーマンでない場合が多いだろうから、そういう人たちからは面白い話が聞けるだろう。

そういう人が見つからなければ、外銀や外コンで成功している人、最低VPとかマネージャーに到達した人達だ。

そういう人は若手のアナリストやコンサルタントよりも、いろいろな成功パターンを知っているだろうから、いい刺激を受けることができると思う。

 

 

 

 

外銀(外資系証券会社)の社員は、どのような資産運用を行っているのか?FXとか仮想通貨で儲けているのだろうか?

気になる外銀(外資系証券会社)の社員の資産運用術

その高収入とステイタスから、外コンと並んで最難関の外資系証券会社であるが、

高収入であるため運用の原資は十分にできるし、

何と言っても彼らは証券ビジネスのプロなので、さぞかし自分自身の資産運用でも

しっかりと儲けているのだろうと思われるかも知れない。

 

実は、規制でがんじがらめの証券会社社員の資産運用

しかし、実態はその全く逆で、外資系証券会社(国内系証券会社も同様)の社員は、

証券業協会規則という業界ルールと、社内規則によって、資産運用が著しく制限されているのだ。

 

その内容と言うのは、そもそも自分が担当している会社の株式や債券を投資対象とすることは禁止されている。

 

また、自分が担当しているかどうかに関係なく、全ての株式・債券については、売買の都度、コンプライアンス部門から事前承認を取らなければならない。

 

さらに、承認を取ったとしても、「売り」と「買い」、「買い」と「売り」の間、6か月間(会社によっては3か月間)の待期期間が必要となる。

要するに、短期間の取引で儲けることは不可能なのだ。

 

これらの規則は、金融庁証券取引等監視委員会)、証券業協会の定期検査や、内部監査で必ずチェックされる項目なので、ザル法ではなく、キッチリと遵守されているはずだ。

 

このように、売買の都度承認を取るのは面倒だし、売買の間に6か月間もの待期期間というハンディを課せられるので、ほとんどの外資系証券会社の社員は運用をやらない。

特に、IBDと呼ばれる投資銀行部門の社員は、まず、運用をやらない。

 

それでは、FXとか仮想通貨はどうか?

もっとも、このような厳しい規制が課せられるのは、株式・債券等の有価証券であって、FXとか仮想通貨とか不動産投資まで規制されるわけではない。

 

それでは、外資系証券会社の社員は、FXや仮想通貨の取引で儲けているのだろうか?

実は、こういった投資をやっている外資系証券会社の社員は稀である。

何故か?

そもそも、彼らは投資のプロであって、投資が絶対儲かるものではないということは十分認識している。

いや、投資の怖さ・リスクというものを十分認識しているので、投資に慎重だという見方もできる。

したがって、FX証拠金取引とか仮想通貨のような怪しい取引については、株式・債券取引以上に慎重なのだ。

 

また、仮想通貨は証券会社が取り扱っていい商品ではないので、外資系証券会社の社員とは言え、仕事とは無関係の商品についてはそれほど詳しくない。

 

それに、そもそも、外資系証券会社というのは当然本業についてプレッシャーが強いので、日中、トレーディングをしたりして遊んでいられるようなお気楽な環境にない。

 

このため、FXとか仮想通貨に投資をしている外資系証券会社の社員はほとんどいないはずだ。

 

ただ、不動産投資をしている人たちは少なくない

以上のような理由から、外資系証券会社の社員は、自分の資産についての運用にはあまり興味が無く、多額の銀行預金、せいぜい個人向け国債というのが資産内容の大半だったりする。

 

もっとも、不動産投資は別だ。

基本的に、外資系証券会社の業務内容と不動産投資とは、それほど関連性があるわけではない。

しかし、不動産投資が好きな外資系証券マンは一定数存在する。

引退時期が早い(40代)ということも理由なのだろうが、不動産投資で一定の賃料収入を確保しようという狙いなのだろう。

また、不動産は流動性が低く、短期のトレーディングをする資産では無いので、多忙な外資系証券会社の社員でも投資がしやすいという事情もあるのだろう。

 

投資対象となる不動産は、賃料を生み出す収益物件が中心だ。

都心のワンルームを複数持つ人もいれば、借入金を使って、住宅地のマンション・アパートを丸々一棟購入する人たちもいる。

 

なお、30代後半以降で生き残っている外資系証券マンの中には、軽井沢に別荘を持つ人も一定数存在する。

それらは、趣味(あるいは見栄)として購入するのであって、投資目的ではない。

まとめ

外資系証券会社の社員は、規制が厳しかったり、投資のリスクを十分認識しているため、有価証券投資には慎重な人たちが多い。

FXとか仮想通貨のような投機的な取引についても、同様に慎重である。

運用するとすれば、キャッシュを産みだす不動産がメインであり、結構堅実な投資スタンスを取っていると言える。

投資のプロ達でも投資には慎重なので、一般人はリスクを十分認識したうえで投資を検討するべきではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポルシェ?ジョンロブ?うかい亭? 年収1200万円の独身サラリーマンが、どのくらい贅沢な暮らしができるのか考えてみた

年収1200万円の独身サラリーマンとは?

サラリーマンで年収1200万円に到達するのは、勝ち組の部類である。

メガバンク、大手生損保、大手証券、マスコミ、総合商社あたりは30代で達成可能であろう。

通信、JR、メーカーの一部も40代では到達できるだろう。

 

それでは、年収1200万円ではどれくらいの暮らしができるのだろうか?

それは家族構成によって大いに異なるので、今回は独身者を想定することとした。

実際、エリートサラリーマンは従来は30までに結婚する人が大半であったが、

最近では40歳になっても独身の人が増えてきているそうなので、年収1200万の独身サラリーマンの数は増えてきているはずだ。

年収1200万円の手取りはどれくらいか?

年収1200万円だと税金も高いし、社会保険も結構かかる。

所得税・住民税・社会保険控除後の手取り額は、年間880万円程度となる。

実際は、額面月収70万、年2回のボーナスの額面がそれぞれ180万円ずつというように、ボーナスの比率が高いケースが多いのだろうが、簡略化するために、

ボーナスも含めて計算すると、一月当たりの手取り額は73万円ほどとなる。

最低限生きていくために掛かる費用を控除してみる

その人の価値観・生活観に関係なく、必ず必要となる費用項目がある。

これについては、リクルート系の住宅情報誌に、年収1300万円強の世帯の平均値が載っていたので参考になる。

もっとも、これは結婚していて子供がいることを想定しているので、ある程度修正してみたい。

下の数字の左側が子供がいる年収1300万円の家庭の支出の平均値で、右側が独身者用に修正してみた数値である。

 

水道光熱費: 2.5万円⇒2.5万円

〇通信費  : 2.1万円⇒1.5万円

〇医療費  : 1.5万円⇒1.0万円

〇保険代  : 4.5万円⇒2.0万円

〇日用品雑貨: 1.5万円⇒1.5万円

〇教育費  : 6.3万円⇒0.0万円

〇食費   : 10万円⇒ 7.5万円 

 

独身者の場合は、教育費が0なのが大きい。

なお、ここでの食費は普段の日常的な食費であって、外食費は含まない。

これらを足し算すると、16万円となる。

貯蓄もゼロというわけには行かない。

さすがに独身だからといって、この年収で貯蓄ゼロというわけには行かない。

せめて年収の1割は貯蓄に回したい。

そういうわけで、月々10万円を貯金することとする。

何にウエイトを置くか、メリハリをつけた贅沢となる

月々の手取り額73万円から、必ず必要な生活費16万円と、貯蓄額10万円を控除した、

47万円が自由に使えるお金となる。

住居費、クルマ、外食、持ち物と、全て贅沢に使うことはできない。

従って、どれか一つの項目に重点を置けば、どういった贅沢ができるかについて検討したい。

 

クルマが好きであれば、ベンツのEクラスでもポルシェのケイマンでも結構いいものが買える。

ベンツのEクラスクーペでもポルシェのケイマンでも車両本体価格が800万円程度なので、諸経費込みで1000万円位で十分買える。

そして、半額の500万円を残価設定ではない通常ローンを使用した場合、金利3.9%で月々の支払額が15万円以内で収まる。

従って、47万円ー15万円の32万円で、家賃とか外食とかに充てればいいので、無理なく高級車を手に入れる暮らしができる。

<ポルシェ・ケイマン>

https://www.porsche.com/japan/jp/models/718/718-cayman-models/718-cayman-s/

外食にこだわる場合

クルマには興味が無いが、贅沢な外食にこだわりたいという人はいるだろう。

そういった場合、シャネルのベージュ、銀座奥田、イタリアンのアッピア鉄板焼きの五明など、一回2人で5万円くらいするとした場合、週1回位は行ける計算となる。

もちろん、バカ高いワインとか酒を沢山注文したら、これでは収まりきらない。

また、うかい亭とか寿司の青木とかだと、一回2人で5万円は超えてしまう。

そう考えると、好きなだけ有名店で外食をするというのは、結構ハードルが高いということになる。

tabelog.com

 

時計とか靴にこだわる場合

クルマや外食はそこそこでいいけど、時計とか靴といった持ち物にこだわりたい人もいるだろう。

靴と言うと、最高峰のジョンロブとかベルルッティあたりで一足20万円位なので、ボーナス毎に一足位買ってもいいのではないか(月当たり3万円強)。

また、時計についても、並行輸入店だと金利ゼロで36回ローンとかも使えるので、結構何でも買える。

もちろん、1000万円を越える、パテックフィリップとかオーデマピゲのトゥールビヨーンものは無理だが、ロレックスのデイデイトとか、オーデマピゲ、ブレゲあたりの300万円級のトップモデルでも2年に1個位買えるのではないか(月当たり12万円)。

(※もちろん、この手のものは本来1個あれば十分で2年に1個ずつ買う必要はない。)

 

そう考えると、年収1200万円で独身であれば、モノについては結構好きなものが買えることがわかる。

www.watch-yoshida.co.jp 

production-emea1-berluti.demandware.net

 

残念ながら、住宅については厳しい…

自分はクルマ、グルメ、時計なんかには興味が無い。

その代わり、住まいにはこだわりたいという人もいるだろう。

ところが残念なことに、不動産価格が高騰している東京では、年収1200万円でも、

それほど凄い物件は買えなくなってしまった。

 

どういうことかというと、年収1200万円で、住宅ローン金利1.5%、ローン期間30年、年収に対する返済率が平均的な20%と想定した場合、借入できる金額は5800万円程度だ。

そして、頭金を2割充当すると考えても、予算は7000~7500万円が限界である。

この予算で港区の物件を検索しても全然素晴らしい物件が出てこない。

古い、狭い、鉛筆のように細長いといったものばかりである。

その中で、まずまずの物件がこれであるが、50平米前半だと、一人で住むには十分だが、二人だと広いとは言えない。 

suumo.jp

 

感想

独身で年収1200万円であれば、好きなクルマや持ち物は結構いい物が買える。

 

他方、意外に厳しいのが外食で、普通の食費とは別に、外食費の予算を20万円とったとしても、週1回好きな店に行くというのは厳しい。

もちろん、これは2人で行って相手の分も支払うという想定なので、1人で行ったり、割り勘だったりすると別だが。

もっとも、寿司屋は例外かも知れないけど、ロブションとかアッピアには流石に一人では行けないだろう…

 

本当に厳しいのは住まいだ。

ここでは、港区の物件が高いことを紹介したが、それは賃貸にしても同じだ。

家賃25万円でもそれほど凄いところに住めるわけではない。

 

もっとも、これは東京での話なので、大阪とか名古屋とかであれば、

年収1200万円で独身であれば、クルマも持ち物も、外食も、結構贅沢できるだろう。

 

 

 

 

ベンチャー企業に落とされまくった外銀の僕が、秋のニューヨークで考えたこと

  

ニューヨーク初日 ニューヨークよりも快適なのは国内系エアライン?

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外資系金融機関には長く勤めているが、ニューヨークに来るのは10年ぶりだ。

実は、ニューヨークはあまり好きではない。また、そのような考え方の外銀マンは結構いる。

何故か? 街並みは古く舗道はデコボコで歩きにくいし、自動車の運転は荒く、かといって地下鉄はそれなりに物騒だ。

走っている車や建物は東京の方がゴージャスだし、食べ物も東京の方が美味しい。でも、物価はニューヨークの方が高い。

それに、東京、香港、シンガポールのアジアの大都市の方が人口密度が高く活気がありそうな気がする。

 

とはいえ、贅沢は言えない。会社が用意してくれた東京・ニューヨークの国内系エアラインのビジネスクラスは往復で120万円以上もする。

まあ、確かに国内系エアラインは快適で、機内食一つとっても、三ツ星レストランである小十の元料理長の奥田さんがプロデュースの和食を用意してくれている。

 

したがって、そんな贅沢な旅であるので、ニューヨークのいいところも見つけたい。

1つ見つけたのは、ニューヨークはミッドタウン、要するに丸の内・銀座のような街のど真ん中にも、このような伝統のある美しい教会が見られることだ。

他にも美しい教会はいくつも見られたし、グッゲンハイム美術館は建物自体がフランク・ロイド・ライトなので、こういった文化的遺産のスケールの大きさについては、他のアジアの大都市は敵わないかも知れないと思った初日であった。

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ニューヨーク2日目 (上場)ベンチャー企業に書面落ちしまくった2年前の話

①45歳が定年とも言われる終身雇用が保証されない外銀でのキャリア形成

リーマンショック後の現在でも、就活生の間では依然として人気が高い外銀。

確かに年俸は国内系金融機関の数倍はあるだろうが、何と言っても終身雇用が全く保証されていない。

そして、45歳が定年とも言われる世界なので、外銀をリタイアした後のキャリアを考えなければならないのだ。

 

「45歳まで居られたら、十分貯金ができるからいいんじゃないの?」

といった疑問もあるかも知れないが、実はそうでもない。

その最大の理由は税金だ。

年収5000万円でも、手取り額は2700万円程度だ。年間1000万円貯めることは難しい。

そうすると、年収5000万円を10年間継続させることができても、1億円も貯められない計算となる。

それから、外銀の人はそれなりに消費性向も高いので、貯金もより多く貯めなければならないのだ。

そんなわけで、45歳を過ぎれば、次どうするかについて考えなければならないのだ。

②国内系の事業会社は中途で外銀マンを雇ってくれない

45歳を余裕で過ぎている外銀マンを雇ってくれる国内系の事業会社は、まず見当たらない。まず、プログラミングができるIT職のような人を除くと、売り込めるスキルは財務、IR位しか無い。

しかし、例えば、パナソニック資生堂武田薬品電通NTTドコモといった事業会社に対して、「財務かIRで雇って下さい。給与は貴社の基準で結構です。」と売り込んだところで、そもそもコンサバな国内系事業会社は特に管理職以上の中途採用に不熱心である。そして、どうせなら若い人の方がいいというのはどこも同じだ。

さらに、事業会社の場合は「転職回数」にうるさい。

転職回数が5回以上で、年齢が45歳を超えている場合には、そもそも余裕で書面落ちとなってしまう。

したがって、そもそも国内系事業会社に転職するという選択肢は無いのだ。

③可能性があるのは、何でもありのベンチャー系のみ

年齢と転職回数にうるさく、管理職以上の求人ニーズが強くない、大手の国内系事業会社に転職することは選択肢となり得ない。

そうであれば、とにかくいい人材が不足していて、年齢とか転職回数とか、うるさいことを言わないのは、ベンチャー系企業ということになる。

 

ベンチャー系といっても、サイバーエージェントDeNAのように、既に上場している大手ベンチャーもあれば、近い将来に上場を控えているようなベンチャー企業、そして、従業員10人未満の本当のドベンチャー企業までいろいろある。

自分は2年前のこの時は、まず、大手ベンチャー企業から話を聞きに行こうと考えた。

 

何故か?

それは単に、給与水準がそこそこであると考えたからだ。

外銀から転職すると、どこに行っても大幅な年収ダウンとなるのは仕方がないことなのだが、さすがに、給料が「年収 × 1万円」というのは厳しいと考えたのだ。

また、ある転職エージェントが、「DeNAが、日本の弁護士資格をもった人に年収2500万円を支払ったことがある。」と教えてくれたので、ひょっとしたらそれなりに高い年収が得られるのではないかという甘い期待があった。

 

兎にも角にも、まずは情報収集ということで、とりあえず、大手ベンチャー系企業に話を聞きに行きたいと考え、各企業毎に職務経歴書とレジュメを用意した。

外銀への転職と異なり、転職エージェントを使わずに、各企業に直接申し込むこととした。ネットでの申し込みだとインパクトに欠ける、ちゃんと採用担当者に伝わるか不安な点があったので、書類を直接採用担当者当てに簡易書留で郵送するということにした。

 

しかし、結果は惨敗であった。

以下の企業に簡易書留で申し込んだのであるが、2/3位は「お祈りレター」で残り1/3はそれすらも来なかった。

当時、DeNAはWERQ問題で揺れており、志望者がいないだろうから書面位は通過するだろうと思っていたが、こちらも書面落ちであった。

 

<簡易書留にて申し込んだベンチャー企業

DeNA

〇グリー

Mixi

〇LINE

コロプラ

アカツキ

〇メルカリ

 

この結果から、ベンチャー企業といっても既上場は、既に社員数も多く、モチベーションを失っていて普通の大企業と変わらなくなっているので、やっても無駄だと考えた。

そこで、「次は非上場のベンチャー企業のポジションに申し込むしかない」と2年前に考えたことを、トランプタワーを見ながら思い出したのだ。

 

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ニューヨーク3日目 外銀の後の行き先は非上場ベンチャーしかない!

①魅力が極めて大きい、非上場ベンチャー企業のストック・オプション

既上場の大手ベンチャー企業から、書面落ちしまくった後は、負け惜しみもあるが、

本来自分が申し込むべきポジションは、同じベンチャーといっても非上場ベンチャーだと考えるようになった。

非上場の段階であれば、まだまだ人材は不足しているし、上場に向けてファイナンス的な観点から手伝えることは多い。それに、ストック・オプションというのがとても魅力的だった。

 

何故魅力かというと、税率である。

上場後においては、ストックオプションを行使することに関して掛かる税率は20%であり、これは、50%近い所得税・住民税が課せられる給与所得とは大きく異なる。

 

例えば、ストック・オプションを1億円分もらったと仮定しよう。

そして、無事、上場に成功し、通常の行使期間である2年間が経過したとする。

その場合、手取りベースで1億円×80%=8000万円をゲットできることになる。

これは上述したが、年収5000万円とするとガッツリ所得税・住民税が課税されるので、手取りは2700万円程度になり、年間1000万円も貯めることは難しい。

したがって、1億円のストック・オプションが無事行使できた暁には、年収5000万円の10年分以上の貯金が一気にできてしまうのだ!

 

②それでは、実際にどれくらいストック・オプションをもらえるのだろうか?

もちろん、非上場のベンチャー企業から付与されるストック・オプションの金額は企業によってマチマチだ。相場環境によっても変わるだろう。

 

もっとも、この点について、GCPグロービス・キャピタル・パートナーズ)の知り合いから、このような目安を聞いていた。

 

〇投資対象企業については、約10%をストック・オプションとして活用することを推奨している。

〇その10%分のストック・オプションとしては、それをさらに、3%、3%、4%に3分割し、創業メンバーである幹部社員、中途入社の幹部社員、中途入社の一般社員に配分することを推奨している。

〇従って、中途入社で部長以上で入社する人たちの割り当ては3%程度であり、そういった人たちが5人いたら、0.6%、10人いたら、0.3%というのが、目安である。

(もっとも、部長クラス以上で中途で入る人が10人と言うのはかなりの大規模な会社だそうだ。)

 

以上を参考に、計算すると、コンサバに見て0.3%分のストック・オプションをもらった場合には、行使時の株価時価総額が300億円であれば、300億円×0.3%=9000万円、税引き後でも7200万円ゲットできるという皮算用だ。

③非上場のベンチャー企業のポジションをどうやって探すか?

ストック・オプションは美味しいということを分かったのはいいが、そういったポジションが見つかるかどうかは全く別問題だ。

既上場ベンチャー企業では惨敗しているので、非上場ベンチャーに切り替えたところで面接までたどり着けるのか不安であった。

 

そもそも、非上場ベンチャーは転職エージェントを基本的に使わない。

かといって、直接、レジュメを郵送するやり方はウンザリだ。

そこで、今回はWantedlyを試しに使ってみることとした。

これは、お気楽なイメージがあって、担当社員レベルが中心であって、幹部社員は対象外ではないかという一抹の不安はあったが、とにかく真面目に経歴やアピールをアプリに入力し、登録してみた。

www.wantedly.com

 

④何と、Wantedlyで申し込みをすると、一転引っ張りだこに!

Wantedlyの場合、一旦自分の情報を入力すると、「話を聞きに行きたい」ボタンを押すと簡単に申し込みができる。

「経営企画」「CFO」あたりをキーワードに、ダメもとで申し込みしまくったところ、何と、企業側から連絡が来るわ、来るわ・・・

エントリシートで落とされまくっていたFランクの学生が、突然、早慶クラスの学生になったような気分だ。

もちろん、ウソを買いても意味が無いので、年齢とか転職回数とかは全て曝している。

ちなみに、連絡がもらえたのはこのような企業である。

 

〇既に数億円の資金を調達済のHRテック企業

〇既に数億円以上の資金を調達済みの動画関連企業

〇ヘルスケア関連の大手ベンチャー企業

〇仮想通貨系の大手企業

フィンテック系の大手企業

フィンテック系の大手企業その2

〇Webマーケティング関連企業

 

このうち、数社と面談をすることとなった。

⑤やったー!ストック・オプション付のオファーをもらった!

このうち、お互い感触がよかったのは、仮想通貨とかフィンテック系の企業である。

やはり、金融ビジネスのスキルが使えて、年を取っていても需要があるのは広義のフィンテック関連なのである。

そのうち1社とは、初回面談のうちから意気投合し、すぐにオファーをもらえることとなった。

オファーの概要は、ざっと、以下のようなイメージである。

〇いわゆる現金給与  :約1000万円

〇ストック・オプション:約7000~9000万円

もっとも、このストック・オプションの金額は時価総額がわからないので、当時の相場環境が続いたことを想定した上での皮算用に過ぎない。

そもそも、相場が崩れれば上場できなくなってしまうリスクはあるし、他方、株価が跳ねれば1億を遥かに超える金額となる可能性もある。

この点は全く保証の限りではない。

⑥結局、ベンチャー企業のオファーはお断りし、しばらく外銀を続けることに…

せっかくトントン拍子に話が進み、それなりの(というか現金給与については、非上場ベンチャーのポジションであればほぼ上限か?)条件のオファーをいただいたのに、結局受けないこととした。

 

何故か?

それは、感覚的なものである。そのフィンテック事業が必ず大成功できるという確信めいたものを持てなかったからだ。

また、職務内容が経営企画/財務・IRといったファイナンス的な内容よりも、総務・内部統制的な部分が多く、希望していたものと少しズレがあったというのも理由である。

 

また、リスク面を考慮した上での将来の収入等が、現状の外銀を続ける方が有利であると考えたからだ。自分の場合、まだ数年は外銀にいることができるので、ベンチャーに行きたいという確信が持てなければ、しばらく先送りした方がいいという判断があったのだ。

 

さらに、仮想通貨事業を含めたフィンテックというのは、まだまだこれからなので、数年後でもチャンスがあるという楽観的な見通しもあった。

 

とにかく、既存の外銀の高給を捨てるという判断はできず、結局、将来のキャリアについては先送りすることとなったのだ。

(もっとも、こういう発想をすること自体、ベンチャーには不向きと言われるかも知れないが…)

 

メットライフビルを眺めつつ、このような話を思い出し、将来のキャリア・プランを早く詰めなければならないと反省したのであった。

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ニューヨーク4日目 遂に見つけた!会社を作って、サクッと売却するぞ!!

①果たして自分には、ストック・オプション狙いの転職は向いているのか? 思い悩む日々

フィンテック系のベンチャーからのオファーをお断りした後、次に進むべきキャリアについて考えていたが、なかなか答えが見つからない。

フィンテック系は将来性があるし、自分のポジションも見つかりそうなのだが、以下の理由でなかなか前向きになれなかったのだ。

 

(i) ストック・オプションを行使できるまでの2年間が長すぎて待てない

 2年と言っても、最短で2年だ。その間、囚人が刑期が終わるのを待つような感じがして、自分にはとてつもなく長い期間に感じられるのだ。

 

(ii) もらえる可能性のあるストック・オプションの金額が大きくなく夢が無い

 フィンテックの特徴として、金融関連だからなのか、上場前に注入される金額が大きく、数十億円規模の資本金の企業も少なくない。そうすると、当然オーナー社長の株の持ち分も少なくなり、幹部社員に付与されるストックオプションが少ない気がした。

 手取りで1億円には及ばないレベル感であり、計算上は悪くは無いが、生活が一変する程のスケールではなく、何となく夢が無いように感じられた。

 

(iii) 仕事の内容があまりワクワクするものではない

 フィンテックというと聞こえがいい気がするが、結局、仮想通貨交換業者、ロボアドバイザー、決済関係、クラウド会計あたりなので、何かあまり面白くないような気がした。それだったら、メルカリとかAIとかの方が面白そうだなあと思う(もちろん、その手のところからは、お声がかからないのであるが…)

②人生を変える?、Idealink社のM&Aセミナーに感動!

そうやって悶々とした日々を過ごしていると、たまたま、フェイスブックかPeatixで知ったセミナーで「M&Aベンチャーサミット」というのがあった。

これは、ベンチャー企業創業者がIPOを狙うのではなく、M&Aによる企業売却でEXITに成功した事例を紹介するセミナーだった。

このセミナーは、今年の春頃?、丸の内のおしゃれな会場(Wework)で、パネルディスカッション形式で実施された。

ちなみに、そのセミナーの主催者はこちらの企業。

この企業の創業者も、「フランチャイズの窓口」という会社を2億円強でEXITしたそうだ。

ma-bank.jp

 

自分はこのセミナーの途中で、「自分が探していたものはこれだ!」と直感した。

何故か、よくわかりもしないくせに、「これなら自分にもできる!」と直感したのだ。

起業というと、①共同経営者(特にIT系)を見つけて、②VCから出資してもらって、③ある程度の売り上げが立って、ようやくEXITできるという先入観があり、自分にはとてもできないと感じていた。

しかし、このセミナーによると、①プログラマーを雇わなくてもいいし、②VCからの出資は要らないし、③自分一人でWebsiteを立ち上げれば、EXITができるということを知ったのだ。

③ポイントは、数千万円から数億円規模のM&A市場が存在することを知ったこと

何故、それまで自分がこのような、小さな会社を起ち上げて売却するという世界を知らなかったのかというと、小規模な非上場企業のM&A市場があるということを知らなかったからだ。

IPOまでには至らなかったが、そこそこのグロースに成功したベンチャー企業でも、売却するとすれば10億円以上からと勝手に思い込んでいた。

自分は国内系・外資系合わせて何十年もこういった世界にいるが、金融機関が絡むM&Aというのは最低でも10億円からというイメージがあったので、このような小規模M&Aの世界は知らなかったのだ。

 

家業の事業承継等の非上場の小規模M&Aというと、日本M&Aセンターやストライクなどが知られているが、彼らも想定時価総額の最低金額を下げてきているようだ。

小規模のM&Aの仲介ビジネスは利ザヤが5-10%と厚いので、例えば、2億円位の案件でも、往復だと2000万円位の手数料が一案件で得られる。

これは、小規模な会計事務所、コンサル会社等からすると十分うま味があるビジネスだ。

既存の大企業はどうあがいても新規事業を作れないし、ベンチャー企業も上場してしまうと、小規模な会社を買収した方が手っ取り早い。数億円というのは上場企業からすると少額なので出しやすいが、個人事業者からすると数億円は小さくない。

このような小規模M&Aビジネスは今後ますます発展するだろうと確信し、自分も小規模M&AでEXITしようと考えるようになった。

④しかし、起業アイデアが思いつかない、悲しい金融キャリア

小さな企業を起ち上げて短期で売却するというのは素晴らしい。

売却価額は2億円というのがとりあえずの目標であるが、別にそれよりも少なくても構わない。売却価額が低ければ低いほどハードルは下がるし、別に8000万円だったとしても十分だ。税制の違いがものをいうし、フローとストックという違いもあるので、年収8000万円と企業を8000万円で売却できるのとは全然違う。

後者の方が圧倒的に優れている。

また、ストックオプション狙いの転職は、結局サラリーマンとして歯車として使われるに対して、小規模会社の企業であれば、2年間をビクビクすることなく自分のペースでやれる。これが何よりも大きい。

EXITした暁には、記念にこれを買うか?という夢は拡がるばかりだ。

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ところが、EXIT後のイメージばかり想像できても、肝心の起業アイデアが全然浮かんでこない。

そもそも、金融業は規制業種である。これは国内・外資を問わないし、リーマンショック後はグローバルで規制強化の傾向にある。

しかも、大企業だ。自分一人で完結できる仕事は無く、あくまでも会社の看板と資本力、そして、分業でやっている組織に乗っかっているだけなのだ。

そういうところで何十年もやっていると、自己完結できて、新規性のある面白いビジネスの種がなかなか浮かばないのである。

 

そして、今日現在でもそのアイデアは見つからないままだ、ということを自分はニューヨークのスターバックスで再認識したのであった。

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ニューヨーク5日目 とりあえずはプロブロガーを目指すしか無いのか?

①プロブロガーというビジネスとその課題

「小さな会社を起業して、短期で売却!」という途しかないと直感したものの、

具体的なアイデアが全然浮かばないまま今日に至ってしまった。

その過程で知ったのは、プロブロガーでやっていくという途だ。

イケダハヤトさんとか、立花丘志さんとか、はあちゅうさんとか、トップクラスの人は月商1000万円を越えるレベルだという。

また、月商100万円レベルになると、もちろん簡単ではないものの、かなり多くの人が実現している模様だ。

 

もっとも、月商100万円レベルだと、外銀の場合だと年収は大幅減となってしまう。

また、金融機関は国内・外資を問わず基本的に副業禁止なので、副業でやる途は無い。

となると、メルカリとかの副業OKのベンチャーに転職して、副業でプロブロガーをやるか? むむー、それも結構面倒な話だ。

 

何よりも、プロブロガーというのはフロービジネスなので、企業の短期売却と違って、税制上のメリットも無いし、一気にキャッシュが手に入るわけではない。

従って、抜本的な解決策とはならないのだ。

②プロブロガーのビジネスモデル

第一人者のイケダハヤトさんによると、プロブロガーというのはようやく始まったばかりで、いろいろなビジネスモデルがあるし、これから発展していく可能性があるということだ。

 

基本的には、PVを増やしてアフィリエイトとグーグルアドセンスの広告料で稼ぐというモデルがメインである。

ただ、アフィリエイトは水物なので、並行して、noteやメルマガ、オンラインサロンなどでコンテンツ課金をするというのが副収入のようである。

ただ、アフィリエイトのメインは金融(FX、クレジットカード等)とか美容系らしいが、リスクが高くて大して儲からないFX証拠金取引を推奨するのは乗り気がしないと思っている。

 

他方、面白いと思ったのは、もう一人の第一人者、立花丘志さんだ。

彼は特定の企業寄りのアフィリエイトは好きでない様で、Face to Faceのセミナーをメインに展開されている。彼のように名前が売れると、1回数万円のセミナーで数百人を集客できるので、それがメイン収入となっている。

何となく、こちらの方が面白い気がしたけど、これは労働集約ビジネスなので、手間がかかりそうだ。

 

依然として、起業アイデアは浮かばないままだが、とりあえずブログにフォーカスして、並行して考えるしかないかと認識したニューヨーク最終日であった。

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帰りのエアラインで考えたこと 起業できる能力があるのが最強である

ニューヨークから東京は、片道13時間ほど。

国内系のエアラインは快適なので、いろいろ考えるには最適な環境だ。

そこで、どういうキャリアが最強なのか、自分のことは棚に上げて、

考えてみた。

その結果、「自ら起業できる能力がある人が最強だ!」と強く感じた。

 

①どこの大学でやり直す?

もし、大学1年生に戻れるのであれば、起業できる能力を身に着けたい。

大学は、早稲田の一番楽に卒業できる学部に入りたい。

何故か? 結局、学歴と言うのは大学名だけで、学部というのはあまり重要ではないからだ(医学部を除く)。

そうであれば、ネームバリューがあって、起業に向けた準備がじっくりできる大学・学部を選びたいのだ。早稲田だと、教育学部とか社会科学部あたりかな?

それから、ネット系ベンチャー企業でバイトをしたいので、都心まで遠い大学は無理だ。だから、一橋とかICUは没だ。

 

ネット系ベンチャーといっても、サイバーエージェントとかMixiのような大手ではなく、社員数が10人に満たないようなドベンチャーでバイトをしたい。

その方が、新卒採用の一環としての囲い込みのバイトではなく、実践に近い経験ができるからだ。

(そのあたりの情報については、こちらの過去記事をご参照ください。) 

blacksonia.hatenablog.com

 

②就活はどうするか?

学生時代に、ベンチャー企業でバイトをして、起業の勉強をしたとしよう。

それでは、就職をどうするか?

そのままベンチャー企業に行くという手もあるが、せっかくの機会だから、ノウハウを掴むためにどこかに就職してみるという方法もある。

将来の起業に向けて、どういった企業がいいかとなると、総合商社は真っ先に候補から外れる。年功序列だし、これといったスキルが身に付かないからだ。

その点、外銀IBDとか国内系コース別採用IBDは良いと思う。

ファイナンススキルが身に付くからだ。ファイナンスは本で書かれていることと、実務でやっていることとで大きく異なることがあるため、実際に投資銀行の中で働く経験ができるのは大きい。

もっとも、外銀IBDは最難関なので、狙うなら国内系IBDだがこちらもかなりの難関というのが問題点だ。

それから、こちらも難関だが、コンサルは国内、外資、戦略系、総合系問わずにいいのではないだろうか? 周りの人たちは優秀だし、ハードワークなので、若いうちにスキルを磨くには良い環境なのだろう。

③経営者が最強。外銀も外コンも経営者には全く歯が立たない

外銀或いは外コンに就職できたとしても、最終的に経営者の途を目指さなければならない。どうあがいても、外銀・外コンでも、給与所得をあてにする限り、大して蓄財することはできないのだ。

 

それは、税制と時間の問題だ。

例えば、外銀で考えてみよう。年収5000万円に到達するまでに何年かかるか?

リーマンショックの後では、25歳で飛び級でVPになって5000万円ということは考えられない。順調にいって、30歳位だ。5000万円といっても、手取りは2700万円程度なので、年に貯金できる金額はせいぜい700-800万位ではないか?

したがって、退職金とか考慮しても、1億円貯めることができるのは、40歳近くになってしまう。

 

他方、経営者だと今では20代でも数億円でEXIに成功している事例がいくつも出てきている。そうすると、そのお金を基に投資をしたり、再度事業を起ち上げたりして、ますます資産が膨らんでいく。

そうなると、外銀や外コンの出世頭と比べても、30半ばにして追いつけない位の差ができてしまっている。

 

もちろん、適性と言うのがあるので、外銀・外コンのトップであれば必ず起業でも成功するというわけではない。

しかし、東大からでも10人に1人しか採用されず、朝の9時から夜中の2時、3時までのハードワークが可能な人であれば、それなりの成果を残せるのではないだろうか。

IPOとか、二桁億のEXITを目標とするのもいいし、手堅く2億円位のEXITを狙う方法でも良い。そのあたりのゴール設定を自分の実力や資質に合わせて設定できるのも、自らが経営者になることのメリットだ。

 

ということを考えている内に、最後の機内食が到着した。

(結局、東京到着までに、ビジネスのネタは思いつかなかった…)

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