外銀・外コンは本当に最上位なのだろうか?リーマンショックとIT化社会の進展によって、本当の勝ち組について考える
- 1. トップ就活生は、皆、外銀・外コンを目指しているようだが…
- 2. しかし、外銀・外コンはそこまで苦労して狙う価値があるのか?
- 3. IT化の進展に伴う、新たな勝ち組の登場
- 4. 将来稼ぐには視野の広さとIT周りの情報が不可欠に
1. トップ就活生は、皆、外銀・外コンを目指しているようだが…
東大、早慶のambitiousな学生は、こぞって、外銀や外コンを目指しているようだ。
ゴールドマン・サックスとか、マッキンゼーあたりだと、東大生でも10人に1人しか採用されない非常に狭き門である。
2. しかし、外銀・外コンはそこまで苦労して狙う価値があるのか?
外銀については、リーマンショック前までは、その価値があったかも知れない。
何故なら、2004~2007年位の最盛期は、20代のアソシエイトで年収3000~4000万は普通に見られたし、30前半のVPでも5000万円以上、MDとなると数億という世界であった。
さすがに、この水準の年収が期待できるのであれば、十数年も働けば一財産できたので、何も考えずに、新卒で外銀に入って粘れるだけ粘るというのが正解だったのだろう。
しかし、リーマンショック後は外銀のビジネスモデル、収益状況が一変し、特に上に行くほど稼げなくなってしまった。
リーマンショック前は、「年収1億」というのは特に驚きも無い数字であったが、今となっては、MDでも頑張らないと行けない年収になってきた。
特に問題なのが、VP未満の入社6年目位までのアソシエイト・アナリストというランクの若手社員である。
トレーディング、セールス、営業と言う厳しいフロント職の場合でも、基本給1200万、ボーナス600万というのが関の山となってしまった。
VPでいいとこ3000万位なのだろうが、そもそもここまで辿り着くのは、
新卒入社の2割もいないのではなかろうか?
競争の厳しさ、バカみたいな労働時間を考えると、そこまで美味しい話とは思えない。
外コンとなると、もっとひどい。
仕事のハードさと競争の厳しさは外銀と同じで、年収水準が全然外銀には及ばない。
もっとも、外コンは幅広い業種に転職可能なので、その点は外銀よりも恵まれているのだろうが。
そういった事情も、浸透してきたので、「外銀・外コンを蹴って、総合商社を選択」という学生ができている。
それは、外部環境の変化を考慮した上の選択であり、十分合理性があるだろう。
3. IT化の進展に伴う、新たな勝ち組の登場
実は、外銀系キャリアの人は総じてITに疎い。
規制業種で閉じられた金融業界の中をぐるぐる回っているし、外銀のヒエラルキーの中では、ITは下位に位置づけられるため、あまり意識しないのかも知れない。
リーマンショック以降、外銀は勢いを大きく失ったのとは対照的に、
IT業界は急速に発展し続けている。
スマホが浸透し始めたのも、リーマンショックの頃からであり、スマホを含めITビジネスの市場はどんどん拡大していった。
それに伴い、リーマンショック前には見当たらなかった新しい「勝ち組み」が登場してきた。
①非上場EXIT組のベンチャー経営者
ベンチャー経営者は上場すると、数十億円以上という巨額のお金を手にすることができる、最高の勝ち組であることは東証マザーズ設立(1999年)以降は知られている。
しかし、上場まで辿り着けるベンチャー企業はほんのわずかだし、時間も創業から10年はかかるだろうというのが定説であった。
しかし、近年では日本でもようやく非上場でのベンチャー企業のM&Aが活発化してきた。このため、数億円クラスのEXITであれば、20代前半とか、学生でも達成している事例が出てきた。
従来企業売却によるEXITというのは、雲の上の世界の人の話だから、自分には関係ないよということだったのだが、近年では身近な人たちでもできる世界になってきたのだ。
そういう若手の起業家の活躍については、こちらのCrooz社のニュースが参考になる。
対談の中で、学生起業家が企業を12億円以上でEXITしたケースに言及されている。
②フリーランスで稼ぐエンジニアの登場
非上場EXIT以上に驚きなのが、ITビジネスにおけるエンジニア需要の急騰で、フリーランスでも大きく稼げる人達が登場してきていることだ。
例えば、プロブロガーの第一人者、イケダハヤトさんのブログで紹介されている迫君は、まだ立命館大学の学生であるが、何と月商3,750万円を達成している(年商ではない)。
これは、外銀志望者の学生にとっては、衝撃である。
だって、厳しい採用試験を通り抜けて外銀に就職し、そこから30歳位まで奴隷のようなハードワークに我慢しながら、ようやくVPまで昇進してもらえるかどうかわからない金額を、学生がわずか1か月で稼ぎだしたのである。
本当に自分は外銀でいいのだろうかと思い始めてもおかしくはない。
もちろん、迫君の事例は特殊で彼が特別優秀だからだということはあるのだろうが、月商100万とか200万を稼ぎ出しているフリーランスのエンジニアはザラにいる。
このあたり、悔しいけれどプログラミングができない外銀関係者がいろいろと考えさせられるところである。
なお、彼の話しはこちら。
③年収2000万円を稼ぎ出す学生・若手ブロガー達
うらやましいけどプログラミングは無理だから、外銀目指すしか仕方がないよという就活生の諸君、プログラミングができなくても外銀以上に稼いでいる学生や若手もいる。
それは、プロブロガーだ。
プロブロガーというと、ちきりん、イケダハヤト、はあちゅう、といったところがトップクラスでこのあたりになると年商1億円以上の世界である。
しかし、学生とか20代のブロガーが年商2000万円程度を達成している。
もちろん、普通の雑記ブログなのでプログラミング能力とかは無縁の世界だ。
誰でもやろうと思えばできる世界である。
年商2000万というと、驚くほどではないかも知れないが、何といっても労働時間と自由度が外銀とは違い過ぎる。
もちろん、稼ぐブロガーはそれなりに働くのであろうが、拘束下での一日15時間労働の半分以下の労働量である。
例えば、若手のブロガーの彼女の暮らしぶりはブログに書かれているが、外銀の暮らしぶりと比べてどうだろうか?
4. 将来稼ぐには視野の広さとIT周りの情報が不可欠に
外銀志望の就活生はどのように感じただろうか?
金融キャリアの人は概して、ITに疎いので、このあたりの世界は知らないことが多い。
実は、自分も外資系金融の世界に20年近くいるが、このあたりの世界を知ったのはここ数年である。
外銀志望の就活生はどのような情報収集をしているだろうか?
トップ学生はリクナビとかは使わないで、ワンキャリアとか外資就活に登録して活動しているようだが、それだけでは不十分である。
将来勝ち組になれるかどうかは、単に能力の問題だけでは決まらない。
いかに優れた情報を広く集めて、分析・行動できるかどうかにかかってくる。
一番いいのが、実際に成功している社会人に話を聞くことだ。
ここでいう「成功」というのは、30歳で少なくとも2000万円以上の年収がある人だ。
ある意味、サラリーマンでない場合が多いだろうから、そういう人たちからは面白い話が聞けるだろう。
そういう人が見つからなければ、外銀や外コンで成功している人、最低VPとかマネージャーに到達した人達だ。
そういう人は若手のアナリストやコンサルタントよりも、いろいろな成功パターンを知っているだろうから、いい刺激を受けることができると思う。