外銀志望の就活生は、外銀間の格差を認識しているか?同業他社の衰退は、将来の転職先の選択肢を狭めることになる。

 

1. リーマンショック後、10年ほどが経過し、「外銀」と一括りにできな状況になってきた。

 

就活生にとって、「外銀」というとどういった会社を何社位思い浮かべることができるだろうか?

リーマンショック後の継続的な投資銀行ビジネスの不振や、大型の不祥事に伴う巨額の罰金(パリバのマネロン違反、LIBOR不正操作事件等)によって、特に欧州系銀行は衰退してきた。

会社名からのイメージとは異なり、「時価総額」を基準とした「外銀」のランキングはこのようになっている。

(単位は十億米ドル、ドルユーロは1.14、ドルポンドは1.30で換算)

 

JPモルガン        362

ゴールドマン・サックス   88

************米系の壁*********************

 

BNPパリバ         66

〇UBS            54

みずほFG           44

*************みずほの壁*******************

 

クレディスイス       33

ソシエテジェネラル     31

〇バークレイズ        27

ドイツ銀行         22

 2. ドイツ銀行とバークレイズの凋落が目立つ

こうやってみると、リーマンショック前と比べると、ドイツ銀行とバークレイズの時価総額の落ち込みは衝撃的である。

クレディスイスソシエテジェネラルは当時から、準大手の位置づけだった。)

 

また、みずほにはかろうじて勝っているものの、UBSの位置付けも寂しい限りである。

リーマンショック前は、米系でのトップがゴールドマン・サックスで、欧州系のトップがUBSということで、相当羽振りが良かった。

反対に、BNPパリバリーマンショック前は存在感の薄い準大手的存在だったのだが、

投資銀行ビジネスが小さかったこともあり、周りに比べるとダメージが比較的小さく、相対的には欧州トップの銀行になってしまった。

 

3. 最初新卒でゴールドマン・サックスに入ったとして将来の転職対象企業は何社か?

ライバルがコケてくれるのは、会社にとっては有難いことだが、従業員的には必ずしもそうは言いきれない部分がある。

何故なら、将来的な転職の選択肢が狭まりリスクが高くなるし、雇用者側の力が強くなるので、給与等の条件が従業員にとって厳しくなりがちである。

 

上のリストでは、モルガン・スタンレーメリルリンチシティグループ証券が入ってかったので、これら米系3社と、先ほどの欧州系6社を合わせると9社しか、将来の転職先が無いことになる。

 

しかも、みずほより小さい会社は将来不安があるので、実質的に将来の転職先になり得るかは保証の限りではない。

 

4. 新規参入とか小さい隠れた優良企業は無いのか?

グローバルな証券会社(投資銀行)は装置産業とも言われており、巨大な自己資本と充実した顧客基盤がモノをいう世界であり、小さい隠れた優良企業と言うのはあまり聞いたことが無い。

また、投資銀行ビジネスが不振なのはグローバルでの動きであり、新規参入の兆しもない。

 

なお、日本に進出している小さい外資系証券会社は会社数ではそこそこあり、それらは全てこちらに掲載されている(日本証券業協会会員名簿)。

「外国法人」というのは「支店形式」の会社を言う。

それ以外に、日本に現地法人(株式会社)を設立する形で進出している外資系証券会社(ほとんどがこの形態)は、日本の証券会社とごっちゃまぜに「東京地区」の中に掲載されているので、興味があったら調べてみて欲しい。

 会員名簿(東京地区協会(外国法人)) | 日本証券業協会

 

5. 相対的に下位にある外銀に行くのが気になる場合の代替策

就職偏差値ランキングの金融版を見ると、あらゆる外銀(外資系証券会社)が国内系証券会社よりも上位に来ているが、「実」を取るのであれば、国内系証券会社のコース別用を選択すべきではないだろうか?

 

確かに、周りに対する見栄という点では、外銀>国内系というのが学生の間に刷り込まれており、自慢できるのかも知れない。

しかし、そういった就活における難易度は社会人になった瞬間にリセットされてしまう。

外銀と言うのは、リストラをする時は、新人だろうが若手だろうがおかまいないしにやる。

反対に、国内系はまずリストラを行わないし、やるにしても若手は基本的に対象外だ。

 

また、顧客基盤という点では国内系証券会社が外資系よりも強いので、仕事内容としては良い経験ができる可能性が高い。

Vorkersによると、野村證券のコース別採用の場合、30歳で順調にVPに昇格できれば年収2000万も可能という。

ワークライフバランスも、外銀の若手のような滅茶苦茶な使われ方をしないので、国内系の方が恵まれている。

 

それに、どうしても外資系証券会社に行きたくなれば、国内系証券会社から転職することは十分可能だ。

 

そもそも、外銀は募集定員も少なく、狙ったところで全滅する可能性も少なくない。

それならば、最初から国内系のコース別採用に焦点をあて、ゴールドマン・サックス記念受験してみるといったやり方が手堅いと思うが、どうだろうか。