トップクラスは年収10億円。バックオフィスで年収3000~5000万円。ヘッジファンドで働きたいか?

 

1. 情報が少なく、謎が多いヘッジファンド

自分は現在運用会社にいるので、ヘッジファンドに転職した知人や元部下から話を聞く機会があるが、不思議な世界である。

ヘッジファンドというのは決まった定義はなく、成功報酬を中心とする運用会社といったイメージである。

 

情報量が少なく、適当なことをいう人が多いので、ますます謎は深まるばかりである。

例えば、「ヘッジファンド 年収」でGoogle検索を掛けると、上の方に、このような記事が出てきたが、いかにもでたらめである。

こんなに自称ヘッジファンド関係者がまとまって登場し、わざわざ発言小町に投稿するなんてことはあり得ない。

まあ、文章力とか誤字とかからして、とても関係者とは思えないが…

ヘッジファンド勤務の彼氏 : 恋愛・結婚・離婚 : 発言小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 

何故情報量が少ないかというと、ビジネスモデルによって免許(単なる駐在員事務所、助言・代理業、投資運用業適格機関投資家等特例業務)が異なるからだ。

一般的な運用業者(投資運用業)であれば、結構詳細な会社情報が開示されているから、誰でも調べることができる。 

会員名一覧 | 日本投資顧問業協会

 

ただ、適格機関投資家等特例業務届出業者に該当すれば、2000社以上あるので、なかなか調べるのは大変だ。

2. いろいろなタイプがあるのは事実

そのようなヘッジファンドであり、いろいろなタイプがあるのは事実である。

自分の知人は、非運用業務が多いが、基本給2000~3000万、ボーナス1000~1500万位のレンジである。

もちろん、これは普通の外資系運用会社よりは高い水準となっている。

 

他方、ヘッジファンドが全体的に普通の外資系運用会社よりも給与水準が高いかというとそうとも限らない。

自分は4年前と去年、転職エージェント経由で米国系の成功している運用会社の話があったが、基本給とボーナスの合計で2000万円にも満たない案件であった。

非運用社員にはあまり支払いたくないのか、全体的に高くないのかはよくわからないが、良くない案件であった。

 

ヘッジファンドは、運用会社のファンドマネージャー(或いは証券会社のトレーダー)が数人集まって、数億円を拠出して、運用を開始し、トラックレコード(運用実績)が良ければ外部の投資家が資金拠出をしてくれて数十億円規模のファンドになる。

そして、さらに運用成績が良ければ大学、年金、金法といった大口の投資家が参加して数百億円、数千億円の大規模ヘッジファンドになっていくというのがサクセスストーリーである。

最初起ち上げるのはそれほどハードルが高い訳では無いので、結構な数があるし、国内系もあれば、外資系もある。

もっとも、外資系の場合は海外(米国とか香港・シンガポール)で成功を収めてから日本に来るので、ある程度の規模であることが多い。

3. ファンドマネージャー(運用職)は本当に数億もらえるのか?

それは、運用資産規模(AUM)と運用実績と社員数(経費)によって違ってくるが、成功した暁には、数億出るケースは少なくない。

 

例えば、AUM100億円の比較的小規模なヘッジファンドを想定しよう。

そして、成功報酬を20%とする。

1年後、+50%のパフォーマンスを達成した場合、

100億×50%×20%=10億円がヘッジファンド全体の収益となる。

社員10名で、非運用が4人、運用チームが6人とする。

非運用に平均4000万円支払うと、運用チームが山分けできるのは、

10億ー0.4億×4人=8.4憶円。

運用チーム6人で割ると、一人当たり1.6億円!

というイメージである。

別途、賃料とか運営費用が掛かるが、大した額ではない。

 

他方、パフォーマンスが悪いと最低限のマネジメント・フィー(1~2%)しかもらえないので、純資産を食いつぶし、最悪解散ということになってしまう。

4. 成功しているファンドマネージャーの最大の悩みは税金

ヘッジファンドは少人数、大きくても日本オフィスは数十人規模なので、勝ち組ファンドにとっては運営費は少ない。

そして、勝ち続けるファンドマネージャーの最大の悩みは税金だ。

年収1億6000万円でも、手取りは8000万円程度となってしまう。

そこで、所得税率の低い香港やシンガポールに拠点を作って引越しし、税金対応をしようというファンドもある。

自分の知人は、まさにそのような仕事をしている。

 

失敗すると1年でクビになるヘッジファンドもあれば、そうでもないヘッジファンドもあり、この点はマチマチであるが、一般的に買ったときに払いがいい会社は、負けた時に厳しいが、まあ当然であろう。

5. 転職する場合の留意事項

ヘッジファンドは、空売りデリバティブ何でもありだったりするので、理論上は相場が悪い時にも儲けることができるはずである。

ところが、実態は相場がいい時ほど成功確率が高く、下げ相場だと失敗するヘッジファンドが多いのが現状である。

 

わかりやすいケースがリーマンショックの時である。

グローバルでほぼ全滅であった。

 

理屈としては、買いの場合には青天井で儲けることができるが、売りの場合には最大でも2倍(1円で買い戻し)しか儲けることができないこと、また、空売りに掛かるコストの方が高いといった点が指摘できる。

 

いずれにせよ、相場が暴落した際には、こぞってやられることを覚悟せねばならない。

その意味で、普通の運用会社よりはリスクが高い業界であると言えるだろう。

 6. ヘッジファンドに転職する方法

まずは、運用会社で十分な経験を積むことである。

新卒で国内系運用会社に入り、運用系のポジションに従事して、ファンドマネージャーに就任。そして、30代前半でVP以上で外資系運用会社に転職して実績を上げてトラックレコードを作る。

この段階まで到達すると、いろいろとお声がかかるようになる。

また、業界のコネもできてくるので、転職エージェントを通さないで紹介ベースでヘッジファンドに転職する場合もある。

 

どういった転職エージェントがいいかというと、これも数多く使うのがいいのだが、

例えば、マイケル・ペイジは独自の案件を持っていたりする。 

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それから、ヘッジファンドの場合は、日本拠点起ち上げの案件も少なくないので、そういった場合にはエグゼクティブ・サーチ・ファームであるラッセル・レイノルズやハイドリック&ストラグルが強い。

このあたりは、エクスクルーシブ案件も多いので、一気に面接最終段階まで進むことが多い。

ラッセル・レイノルズ>

 Leadership Advisory | Executive Search | Russell Reynolds Associates

 

 <ハイドリック&ストラグルズ>

Heidrick and Struggles Asia Pacific

 

まとめ

リスクは高いが、いろいろなファンドがあり、転職できるチャンスはあるはずだ。

運用会社系キャリアの人の選択肢の一つとなっている。

失敗した場合のバックアップ・プランを固めておくことも重要だ。