メガバンクから外資系運用会社にポテンシャル採用で転職する場合の条件、年収等について

 

たまたま、元同僚のT君と機関投資家向けのセミナーでばったり会ったので、この話をupしたい。

T君は、現在41歳で米国系の運用会社に営業職として勤務している。

彼の特徴は、最初メガバンクに入社したもののリテール配属となり、苦労しながら、

外資系運用会社にポテンシャル採用で入社したことだ。

1. T君の経歴

〇年齢  :41歳

〇現職  :米国系運用会社

〇職種  :機関投資家営業

〇タイトル:Directorクラス

〇年収  :3000~4000万円(基本給+ボーナス)

〇学歴  :慶応大学経済学部

〇職歴  :1社目 メガバンク(リテール)4年

      2社目 外資系商業銀行(外為営業)2年

      3社目 外資系運用会社①(機関投資家営業)4年

      4社目 外資系運用会社②(プロダクト)2年

      5社目 外資系運用会社③(機関投資家営業)7年~

 

2. T君がメガバンクのリテール職から外資系運用会社(1社目)にポテンシャル採用で入社するまで

慶応大学経済学部のT君は、バイタリティにあふれ、グローバル・マーケットでの活躍を夢見て、メガバンクに入社した。

 

メガバンクの場合、基本的には全員リテールスタートであり、T君は都内のリテール店での配属となった。同期の中には、入社2年目から東大出身者などがパラパラとリテール店から本社に配属されるようになった。

T君は自分はいつ本社に呼ばれるか期待しながら、リテール営業を頑張っていたが、

4年目の異動で別のリテール店への配属が決まり、頭にきて転職することとした。

 

努力家のT君は、帰国子女ではないが、学生時代に英語を磨いていたので、英会話には問題は無かった。このため、外資系の運用会社に挑戦したが、リテール営業しか職歴が無いのでうまく行かず、とりあえず外資系の商業銀行で為替のセールス職に就くこととなった。

 

T君は外資系の商業銀行でも外資系運用会社に行くことを諦めずに転職活動を続け、

何とか29歳で外資系運用会社にポテンシャル採用で入社することに成功した。

 

一旦、外資系の運用会社に採用されてからは、比較的順調にキャリアを重ね、現在外資系運用会社3社目であるが、シニアポジション(Director相当)に就き、

年収3000~4000万円のキャリアを達成している。

 

3. T君が外資系運用会社に採用されるまでに苦労したこと

まず最大の試練は、なかなかメガバンクのリテール職(支店勤務)から抜け出せなかったことである。特に、同期が自分のあこがれの運用職に異動になるのを見るとメンタル的につらかったのだが、彼は諦めずに転職活動を継続した。

 

リテール職が長くなると、モチベーションも落ち気味で、「もういいか」となりがちだが、T君は粘り強く頑張ったのだ。

 

次の試練は、2社目の外資系商業銀行の時である。メガバンクのリテール職から、外資系商業銀行の外国為替の営業職は、半歩前進ではあるが、彼の理想とする職種ではなかった。

T君は、早稲田日本橋ファイナンシャル・スクールに通う等しながら運用の勉強を続け、転職活動をしながら、外資系の運用会社に挑戦し続けた。

ここでの粘りも大変だったという。

 

4. 外資系運用会社にポテンシャル採用で入社するための条件

以上は、T君の具体的なケースであるが、運用業務の経験が一切無い社会人が、

ポテンシャル採用で外資系運用会社に入社するための条件は以下の通りである。

 

①英語

 これは必須である。ポテンシャル採用なので、英語が不十分だと尚厳しい。

TOEICだと900以上が望ましいが、最低でも860は欲しい。

英会話ができれば別にTOEICスコアは必須ではないが、取っておいた方がベターである。

 

②年齢

 証券会社と比べて平均年齢の高い運用業界であるが、運用業務の経験が無いポテンシャル採用の場合には、やはり「若さ」が求められる。

29歳でもいいので、何とか20代の間にチャレンジしたい。

 

③職歴

 ポテンシャル採用だからと言って、業界が遠ければ遠いほど厳しいし、会社名も大きな要素となる。

従って、例えば、銀行・証券(いずれもリテール)>保険>非金融(メーカー他)

といったイメージである。

同じ業界であれば、見た目がいい方がいいので、メガバンク>地銀、

大手証券>準大手証券、ということになる。

 

④学歴

 ポテンシャル採用の場合、これも参考になる。

もっとも、③の職歴の方が④の学歴よりもウエイトは高い。

結局①~④の総合判断ということになるのだが、学歴については、MARCH以上であればそれで足切りを食らうことは無いだろう。

 

5. おすすめの方法

運用業務の経験が一切ないポテンシャル採用枠で、いきなり外資系の運用会社に入社をすることはそれほど容易な途ではない。

何故なら、国内の大手企業のように、常に第二新卒的なポテンシャル採用の枠があるとは限らないからだ。

そうなると、ポジション数は限定されるので、狭き門となりがちだ。

 

そこで、おすすめなのが、一旦、国内系の運用会社にポテンシャル採用で入社することだ。国内系の運用会社であれば、どこかには第二新卒・ポテンシャル採用枠があるので、この段階で運用会社にもぐりこんだ方が早い。

 

何故なら、国内系の運用会社にポテンシャル採用で入るほうが明らかに入りやすいし、

一旦運用会社で業務経験を詰めれば、その後は、経験者採用枠でいくらでもその後に外資系運用会社に行く機会はあるからだ。

経験者採用の場合、そもそも、年齢制限というものは無い。

 

もっとも、国内系の運用会社のポテンシャル採用の場合も、年齢は若ければ若い方がいい。25歳前後位が一番いいのではないか。

 

だから、T君の場合も、外資系商業銀行を挟まずに、メガバンクから国内系の運用会社に転職するという途もあったはずだ。

ただし、国内系の運用会社は、若い時は特に給与水準は高くない。

(25-26歳の平社員だと、せいぜい500~700万である。外資系であれば、20代後半でも1000万円程度は期待できる)

 

6. 今後の留意点

外資系の場合、基本的にポテンシャル採用というのは例外的であり、狭き門である。

また、メガバンク等から外資系金融機関を希望する者も今後増えていくことが見込まれる。

このため、動くのであれば早いに越したことはないので25歳位までに、見切りをつけたい。

また、いきなり外資系を目指すのではなく、一旦国内系の運用会社を挟むというのは堅実な方法である。

中途採用の場合は職歴と経験で判断されるので、会社名よりも職務内容が重要な要素となるからだ。