大正製薬やベーリンガーインゲルハイム等のリストラで揺れる製薬業界において、40代の社員が考えておくべきこと

 

1. 安定かつ高給の製薬業界も、もはや安泰ではなくなった?

安定かつ高給で知られている製薬業界だが、ここ最近、ネガティブなリストラ関連の話題が立て続けに取り上げられている。

また、業界最大手の武田薬品も約7兆円という超巨額の買収(シャイヤー)で、その将来性に不安が生じてきている。

年齢が40歳を過ぎると、転職力が一般に低下するので、40代の社員は今のうちに、いざという時に備えて何らかの準備をしておきたいところだ。

 

2. しかし、手を打つと言ってもできることは限られてくる

打ち手としては、「本業」に関する打ち手と、「本業」以外に関する打ち手とがある。

「本業」に関する打ち手としては、以下の選択肢が考えられる。

 

①現在と同じ会社で働き続けること

②同業他社で働くこと

③異なる業界で働くこと

ベンチャー企業で働くこと

⑤独立・起業を考えること

 

下に行けば行くほど、現実的な可能性が低い(実行が困難)と考えられる。

典型的な規制業種かつ大企業である製薬業界から、

⑤独立・起業をしたり、

ベンチャー企業に転職をするというのは考えにくい。

確かに、バイオベンチャーというのも無いではないが、日本の場合、なかなか芽が出にくいようである。

 

また、③他業界に40歳を過ぎて転職するというのはハードルが高い。

これは、製薬業界に限った話ではないが、40歳を過ぎると専門スキルは当然として、管理職としてのノウハウも要求されるので、見ず知らずの業界に40過ぎて採用されるのは至難の業である。

バックオフィス系の、知的財産/法務、人事、経理といったものは他業界でも通用しなくもないが、競争力が大幅に落ちてしまう。

これが可能なのは、コンサルとかIT関係で競争力のある人達位ではなかろうか。

 

となると、現実的な選択肢は、

①今と同じ会社で頑張るか、②同業他社に転職するかの2パターンが大抵の人にとってのメインシナリオであろう。

 

3. 副業というのは解決策にはならないが、始めておいて損はない

本業以外の打ち手と言うことで、「副業」を始めるということも選択肢の一つである。

しかし、製薬会社でフルタイムで働きながらということを前提にすると、副業で稼げるのは知れているので、抜本的な解決策にはならない。

しかし、「定年後」も踏まえたかなり遠い将来までも踏まえると、今から始めておいて損はない。

製薬業界の場合、退職金に加え、手厚い企業年金もあるので、一ヵ月あたり8万円位稼げるようになると相当余裕ができるからである。 

この点、プロブロガーの第一人者であるイケダハヤトさんが詳しい。

ネットを使って、無理しないで月数万円位稼げるようになっておけば十分だろう。
www.ikedahayato.com

 

4. 今の会社で働き続ける場合の考え方

高給で福利厚生に手厚い製薬会社で40代以上の場合、結局一番堅い方法は、なるべく長く製薬業界で働き続けるように手を打つことである。

今の会社で働き続ける場合には、より転職しやすい、言い換えると市場価値の高い職種に就くため、社内異動を考えるというのが有用な選択肢となる。

転職価値の高い部署、職種と言うのは、各製薬会社内部でステイタスが高い部署とは必ずしも一致しない。

例えば、文系の場合には、人事、経理、知的財産・法務、内部監査といった分野はどこの会社にもある普遍性の高い職種なので、このあたりは狙い目である。

といっても、いきなり経理や知的財産をやらせろといっても、40過ぎれば厳しいが、

内部統制関係であればハードルは下がる場合もある。

また、USCPAを取得することによって経理を狙うとか、社会保険労務士を取ることによって人事を狙うというのは、選択肢として取り得るものではなかろうか。

 

研究職の場合であれば、プログラミング周りが得意であれば、ITを狙うという手もあろう。また、弁理士を取得、或いは知財関連法を勉強して(夜間の大学院でも学べるところがある)、知的財産部を狙うという手もある。

 

日本企業でも、社内異動というのは狙って実現できるものではないが、同じ会社で働き続けるのであれば、挑戦してみる価値はあるだろう。

5. 同業他社への転職を踏まえた活動をすること

将来に備えて、予め、より安定性の高いポジションを同業他社に求めるという手がある。外資系、国内系関係なく、行き先の多い製薬業者の社員にとっては、大本命の対応策である。

 

転職に関しては、40歳を過ぎると厳しいことは厳しいが、英語ができない人は英語を磨いて外資系も選択肢に含められるようにしておきたい(もっとも、外資系金融と違って英語が不要のポジションも多くあるかも知れないが)。

多少英語に素養のある人であれば、ベルリッツに通うなどして、英語のレベルを上げておきたい。そうすれば、いざという時にも選択肢が拡がり易い。

 

それから、転職エージェントにも数多くあたって、最善の選択ができるよう頑張っておきたい。

結局転職の場合、どこのエージェントがいいとは言い切れず、数多く当たるのが一番良いだろう。

例えば、

リクルート

JAC

DODA

〇エン・ジャパン

ビズリーチ

といった国内系大手を使っている人はいるだろうが、以下のような専門系、外資系の転職エージェントにも相談しておくのが良い。

 

ISS

〇エリートネットワーク

〇マイケルペイジ

〇ロバートウォルターズ

〇メディエージェント

 

更に、現在部長職以上のポジションにある人は、エグゼクティブ・サーチ・ファームに今のうちに登録しておきたい。

エグゼクティブ・サーチ・ファームは常に求人案件を持っているわけではないが、大抵はエクスクルーシブなので、いざ案件が来た場合には、最終面接位までは進む可能性が高いからである。

昔は、この手の会社は敷居が高く、お声がかかるのを待つしかなかったのだが、今は自ら登録することができるようになったので、是非利用したいエージェントである。

 

ラッセル・レイノルズ

〇エゴン・ゼンダー

〇コーンフェリー

〇スペンサースチュワート

〇トランサーチ

〇ハイドリック&ストラグルズ

 

最後に

40代にもなると、転職先を見つけるのは難しい。

しかし、だからといって、独立・起業やベンチャーへの転職と言うのは現実的でないし、リスクが高い。

 

他方、ネットで副業というのは簡単かも知れないが、それほど稼げるわけではないので、抜本的な解決策にはなり得ない。

 

となると、やはり本命は自社を含めた製薬業界で働き続けることであり、社内での異動や転職情報の充実化など、まだまだ採れる手段は残っているはずだ。

製薬業界は退職金や年金に厚いので、粘れば粘れるほど将来は安泰となる。

特に、新卒からずっと同じ会社の人は転職能力に欠ける恐れがあるので、早めに行動していざという時に備えるようにしておきたい。