「年収ガイドブック」を基に、将来の「転職力」と「年収」を判断軸におすすめ企業ベスト10ランキングを考えてみた
「年収チャンネル」と「年収ガイドブック」とは?
「年収チャンネル」という、主として学生を対象にしたキャリアに関するYouTube番組がある。その中で「年収ガイドブック」という企業情報が無料で送信してもらえるので、学生に限らず社会人も転職の参考になるから取り寄せてもらいたい。
企業ランキング(偏差値)は難易度に過ぎず、企業選びは、「判断軸」が重要。
この「年収ガイドブック」では、就職偏差値のような企業ランクと年収の目安が紹介されている。また、大学別に狙える企業ランクの水準が示されている。
有名な就職偏差値や各種のランキングは、それが企業の良さを示す指標ではなく、単に難易度を示す指標に過ぎない。
従って、就職偏差値等が高いからと言って、将来の年収が比例して高くなるわけではない。また、やりがいとか働きやすさと言った定性的な指標は主観的な側面があるので、就職偏差値等は参考にならない場合もある。
このため、何を「判断軸」として企業選びをするかが重要となる。
とにかく将来の「年収」が高いというのであれば、就職偏差値等がより低いところでも有望な就職先はあるわけである。
「年収ガイドブック」を基に、将来の「転職力」と「年収」を「判断軸に」おすすめ企業を抽出してみた。
但し、対象となるのは「年収ガイドブック」の難易度ランクが60以下の企業のみを対象とした。何故なら、「年収ガイドブック」の入社難易度の目安として、早慶、旧帝大クラスが狙えるところが難易度60とされているからである。
難易度60超の会社には、キー局、大手広告代理店、大手デベロッパー、総合商社等の現実的には入社がかなり困難な企業群が多く含まれているので、現実的に狙える可能性があるおススメ企業を抽出したかったからだ。
なお、「年収ガイドブック」には、いわゆる外コンと外銀は含まれていない。
従って、外コン、外銀やキー局などに行けるのであればそれは素晴らしいと思うが、今回はランキングから除外することとした。
将来の「転職力」と「年収」を判断軸とした、「年収ガイドブック」のおすすめ企業ベスト10
<ランキングの基準>
〇初任給等の目先の年収ではなく、将来の「転職力」と「年収」を基準に抽出した。
従って、終身雇用ではなく「転職」を前提としたもので「安定性」は考慮していない。
〇ランキングの順位は全て私の主観によるものである。ランキングを付けたのはその方がメリハリがあって面白いと考えたからである。従って、順位の上下よりもランキングのコメントに注目していただければ幸いである。
〇2018年10月1日時点の基準である。
前置きが長くなったけど、ランクにいってみましょう!
※企業名の右横のカッコ内の数字は「年収ガイドブック」の「難易度ランク」です。
第10位 ソフトバンクグループ(56)
配属される部署や職種によって、評価は異なるが、企業名や業種はネット系への転職の際にプラスとなるだろう。
特段のスキルが付かない部署への配属であれば、25歳位がめどとなるポテンシャル採用狙いとなる。
第9位 ベネッセホールディングス(56)
数年前の顧客情報流出事件以降、業績他下降気味であるが、何といっても「教育」というテーマだとダントツトップ企業である。EdTechという言葉が流行ったが、まだまだこれといった企業は出てきていない。「教育」にかかるコンテンツを習得して、ネット周りの専門性を付けると、活躍の舞台は拡がるだろう。
第8位 KDDI株式会社(60)
今回の母集団のうち、最高偏差値企業。
ベンチャー企業投資に熱心な企業。新規事業関連部門に行けたら面白いのだが、配属先を選べないのが日本企業の新卒採用時の問題点。
もっとも、ネームバリューは高いし、給与水準も高い。転職できなくても40代で1500-1600万円は可能。
第7位 日本オラクル株式会社 (60)
日本オラクルについて | 会社情報 | 日本オラクル株式会社 | Oracle 日本
GAFAの陰に隠れ、第一次ITバブル(2000年頃)の頃と比べると地味な存在になってしまったが、まだまだグローバルでビッグネームな企業。
エンジニアであれば、転職によって明るい未来が開きやすいのではないだろうか。
給与水準自体もIT業界の中ではトップクラスである。
第6位 ソニー株式会社 (58)
リーマンショック以降、業績・株価ともに回復してきたが、難易度ランクがこんなに低くなってしまったとは。アップルのような会社になれるポテンシャルがあった会社であることを考えると、日本人としては少々寂しい気が…
もっとも、ネームバリューはあるし教育システムも充実しているし、優秀な社員も多い。文系、理系を問わず、専門スキルを習得できれば、転職によって成功できるポテンシャルは高いと思う。
第5位 三井住友トラスト・ホールディングス (59)
金融機関がランクイン。三井住友銀行ではなく、三井住友信託銀行の方であることに注意。アセット・マネジメント部門がおススメだけど、コース別採用をしていないみたいだから、こんな順位。メガバンクよりも信託銀行の方が何かと使えるスキルを習得できるので良い。リテール部門にいても、スキルが付かないので、年を取ればとるほど転職力が落ちてしまうという悲しさ。
信託銀行だと、アセットマネジメント部門だと英語を磨けば、将来外資系運用会社で大きく年収アップも狙えるし、選択肢も多い。不動産部門だと、不動産投資に関するスキルが付く。もっともネットとの相性はあまりよくないが…。
それ以外で、金融機関で生き残れるスキルが身に付きそうにない部門への配属であれば、若いうちに(25歳位)、ポテンシャル採用でネット系に転出することを視野に入れよう。
第4位 キーエンス (59)
日本で一番高給の会社が、こんな難易度低くていいの…、という感じであるが。
金融とかネット系とかに繋がる普遍的なスキルが付くわけでは無いが、何といっても、産業界では知らない人がいない超優良企業。
外国人投資家からの評価も高い。
20代であれば、職種に関係なく、ネット系でも国内系金融でもポテンシャル採用してくれるのではないだろうか?
問題点は、大阪勤務になった場合には転職しにくいこと。
社内研修も充実しているだろうから、英語を20代のうちにマスターしておいて欲しい。
第3位 日本M&Aセンター (59)
ここも日本最高給の会社でもあるにも関わらず、難易度的にはそうでもない会社。
理由は、M&Aの仲介営業が歩合的でキツイからということでしょう。
それでも、転職力が高いのは「M&A」というのが使えるスキルだから。
もちろん、ここからゴールドマンとかの外銀のIBDには行けないだろうけど、外銀がやっているようなM&Aのアドバイザリーよりも、ここの泥臭い中小企業を対象とした泥臭いM&A仲介営業の方がベンチャー系だと何かと使えるスキルでしょう。
ベンチャー系が扱うのは外資が扱うような大型M&A案件じゃないからね。
それと、最低限のM&Aの会計、税務、法律的なスキルはマスターできるでしょ。
ここで5年間耐えて、ベンチャー企業のCFOを目指しましょう!
会社に在籍している間も給料いいしね。
第2位 双日株式会社 (60)
総合商社の範疇の双日が、難易度ランク60でいいの?採用してもらうの、もっと難しい気がするけど、入れるならここは良い。
業務部門とか職種が指定できないのは日本企業の悪さだけど、何をやるにせよ、格好は付く。オジサン達の評価も高い。英語も身に着けやすい(総合商社で英語できない人いるのかな?)。
1位にならないのは、持ち越しできる汎用性の高いスキルが身に付かないことかな。
でも、20代だとネット系も含め多くの良い会社がポテンシャル採用してくれるでしょ。
優秀であれば、外コンとかにも入れる可能性があるんじゃないかな?
それに、会社で働き続けるにしても終身雇用だし、給与水準も財閥系商社の8掛けくらいはあるからいい会社でしょう。
1位は、年収チャンネル編集長の株本さんの古巣のベイカレント・コンサルティング。
でも、ここの難易度ランクが55というのは間違いじゃないかな?シグマクシスが62だし、少なくとも、60はあるような…
まあ、それは置いておいて、入れるならやっぱりコンサルティング。
中の人からすると、「エクセルとパワポ作っているだけだよ」というかも知れないけど、他業界から見て、コンサルティングのスキルを持っているのはコンサルティング・ファームの人だけ。金融と比べても、コンサル出身者は人数が少ないので、需給的にまだまだ重宝されるはず。
それと、周りもハイスペックな頭のいい人が多いし、仕事はキツイからもまれることは間違いない。
20代でのネット企業への転身を考えると、どこでもいけるんじゃないかなあ。
経営企画系のポジションはどこでもニーズがあるし、そのポジションで競合することもないでしょ。
ドベンチャーよりも、そこそこ大手のベンチャーでストック・オプション狙いという方が向いているかも知れない。
それから、同じエリートでも外銀系はネット関連が弱いので、ネットベンチャーで成功するにはコンサルキャリアがいいなあ。
感想・まとめ
難易度ランクは、人によって意見が異なるところはあるのだろうけど、入社できる可能性がある企業群の中にも、十分将来稼げるようになれる会社・ポジションはいくつもある。
反対に、難易度ランクが高くても、将来の転職力を考えると20年後にはヤバイ状況に陥る人も出るだろう。
将来の「転職力」とか「年収」を判断軸として考えると、就活の視点も変わってくるのではなかろうか?