野村やみずほの決算説明会資料を見ると、フィンテックでは大して金融ビジネスは変わらない?

 

1. 野村ホールディングスの決算説明会用資料にはフィンテックの話は無い

https://www.nomuraholdings.com/jp/investor/summary/financial/data/2019_2q_prem.pdf

野村ホールディングスは、2019年3月期に入り、株安等の影響によって、

収益状況等は全般に苦戦している模様である。

 

しかし、問題はそこではなく、フィンテックについてはこちらの決算説明会資料

では何も触れられていない。

 

2018年の5月には、LINEとの業務提携を公表しているが、その後の進捗に

ついては、詳細なディスクローズは無く、よくわからない。

 

ただ、決算説明会資料を見ると、その重要性が低いからなのか、何も

言及されていないので、少なくとも当面は収益に影響を与えるような

案件では無いということだろう。

 

確かに、LINE証券を通じて有価証券を供給したり、ロボアドバイザー事業を

やったところで、日本の金融資産の2/3以上を60歳以上が保有し、

将来その比率は高まっていくことを考えると、その影響は軽微であることが

うかがい知れる。

 

2. みずほFGの場合は少し異なる模様

https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/ir/briefing/pdf/20181120_1.pdf

 

他方、みずほFGの場合は、野村HDとは少し異なり、資料の32pに

フィンテックについて言及がある。

 

ここでは、J.ScoreとみずほWalletの話がでており、これら自体は特に

利益に対するインパクトはなさそうである。

 

ただ、野村HDと大きく異なる点は、中期的に経費構造を大きく変革

しようという点だ。フィンテックという言葉は使っていないが、

テクノロジーを活用して、なるべく非有人化を勧め、フロント部門の

従業員の比率を高めようとしている。

 

すなわち、フィンテックで儲けようという意気込みはあまり伝わらないが、

経費については踏み込んだ記載をしており、ここは大きく削減しようという

意識は伝わってくる。

 

金融機関、特にメガバンクの経費は莫大で、資料を見ると、半期で

営業費用は7000億円を上回っている。このため、数%でも経費を

削減できると、数百億円単位で増益要因となり得るのだ。

 

このように、大手証券会社とメガバンクを比べて見ると、

フィンテック、テクノロジーによってビジネスが拡がるとは思えないが、

他方、経費カットという意味においてはテクノロジーが重要な役割を

果たせる期待感はある。

 

3. フィンテックというのはキャリア形成上、魅力はありそうか?

銀行、証券業界でフィンテックというと、AIを用いたクレジット・スコアリング

を活用した融資ビジネスとか、ロボアドバイザーのようなものを

想起しがちであるが、スケール感の小さいビジネスであり、

それによって、銀行や証券ビジネスが大きく変わるとは思えない。

 

他方、金融機関の経費は莫大であるため、フィンテックをフル活用する

ことによる経費カットは、現実性があるし、その効果も大きい。

 

したがって、日本でのフィンテックビジネスを考える上では、

IT企画とか営業企画でコストカット業務に関与するのが、地味ながら

面白いのではなかろうか?

 

大手の銀行や証券会社がやりだすと、大手の保険会社や、地方金融機関も

追随するだろうから、市場は拡大していくだろう。

 

そのようなノウハウを持てれば、アクセンチュアとかデロイトのような

総合系コンサルティング・ファームとか、コストカットに強い

ATカーニーのような戦略系ファームに行くのは面白いだろう。

 

4. ただ、IT企画や営業企画の部門別採用は無いので…

もっとも、IT企画とか営業企画を新卒で狙うのは難しい。

コース別採用を行わないからである(エンジニア職は除く)。

となると、最初から、フィンテック系でコンサル業務を展開している

アクセンチュア等を狙うことになる。

 

あるいは、グループ会社である、NRIとか大和総研等を狙うのも

いいかも知れない。

 

いずれにせよ、テクノロジーを使って、経費を減らすというのは

金融機関にとって重要である。

ただ、最大の費用項目である余剰人材を自然減以外の方法で、

一気に削減することができないのが難しいところである。