東京大学経済学部生の事業会社(非金融)への就職について考えてみた

 

1. 東京大学経済学部生の就職状況

東大経済学部生の就職状況について、大学のHPによる開示はあまり詳細

ではない。

学生向け情報

 

このように、就職実績先の具体的な企業名については開示しているものの、

各企業への就職者数が良くわからない。

 

しかも、金融機関は「サービス業」に含まれているので、どれ位のシェア

かはよくわからない。

 

また、「その他(不詳)」が22.7%とある。

 

とはいえ、主な就職先に紹介されている企業名を見ると、

3メガバンク、大手生損保、大手証券、大手外銀の名前があるので、

早慶同様、それなりに多数が大手金融機関に就職していることがうかがえる。

2. 金融機関以外に就職をしたくなる場合

大手金融機関の場合、年収水準は高いし、それなりのネームバリューは

あるので恰好はつく。

しかも、東大の場合は、入社後も配属や昇格において有利な場合があるので

十分に合理的な選択肢として考えられる。

 

実際、何十年も前から、特にやりたい仕事があるわけではないので、

とりあえず金融機関というパターンは珍しくなかった。

 

しかし、金融機関は収益のほとんどを国内で稼ぐというか、海外で

稼ぐことができない。

そして、少子高齢化のため国内市場は将来先細っていく蓋然性が高い。

 

また、AIやフィンテックの進展によって、金融機関の業務は将来、

機械化・省力化が予想され、メガバンクの人員削減策の発表とも

相俟って、金融機関に対する就活人気度は低下したようだ。

 

スキル的にも、M&Aやトレーディングなどの業務は別として、

特にリテール業務は他業界で転用できるスキルではないため、転職力

という観点からは、東大を始めとした高学歴の学生の間でコンサルなどが

好まれたりしている。

 

このため、東大経済学部の学生の中でも、あえて、金融機関以外の事業会社

に就職することを考えたいという学生が増えてもおかしくないだろう。

3. 東大経済学部生が事業会社を選択するにあたっての判断軸

これは、人それぞれなのだろうが、以下の判断基準に基づいて

事業会社(業界)を検討することとしたい。

①入社することが難しい(採用数がある程度少ない)

せっかく東大に入学することができたので、東大にふさわしい企業に

就職したいという願望はあるだろう。

それを一歩進めて、「東大でなければ入りにくい」企業を抽出したい。

②給与水準がそれなり(生涯賃金メガバンク並み)

学生の段階では、実際に働いたことが無いので、興味ややりがいといった

主観的な事情に基づき、選択するのは危険である。

何故なら、そういったものは実際にやってみないとわからないし、

そもそも、日本の企業の場合、部門別採用では無いので、やりたいと

考えていた職種に就ける保証は無いからである。

 

そうなると、重要なのが給与水準である。

事業会社においても、メガバンク並みの生涯賃金が期待できる業界・企業を

選択したいところだ。

③転職力が付く(或いは安定している)

現在稼げている企業でも20年後、30年後はどうなっているかはわからない。

会社自体は無くなっていないかも知れないが、競争力・収益力を失い、

給与水準が大幅に下がっているかも知れない。

このため、いざという場合でも、転職力があれば、給与水準や待遇を

回避することが可能となる。

4. 魅力のある事業会社(業界)について考える

コンサルティング・ファーム

コンサルティング・ファームは最近、急速に採用を強化している。

マッキンゼー、BCGといった戦略系ファームの最高峰も、ここ数年では

マッキンゼーでも40~50人位新卒採用をしている。

 

そして、総合系ファームの中でも最大手のアクセンチュアは500人位新卒

採用をしているとも言われている。

 

門戸が広くなったこと自体は、学生にとっては喜ばしいことかも知れないが、

このような大量採用が長年継続すると、インフレによって、

コンサルの価値が低下してしまうリスクがあることを十分にふまえる

べきだ。

 

最強の資格であった弁護士でさえも、司法制度改革に伴う供給の増大により

10年も経たないうちに価値が急落したことがその例だ。

 

従って、コンサルティング・ファームを選択するにしても、

トップティアのファームに絞るとか、確固たる専門スキルを習得するよう

心掛けるなど、何らかの対応をしておかないと、10年後位に自分の市場価値が

落ちてしまうことに留意しなければならない。

 

なお、コンサルティング・ファームの年収やキャリアパスについては

こちらのサイトが詳しい。

コンサルタントの仕事内容とキャリア - 戦略コンサルによる転職ブログ

②総合商社

今は、東大生の就職人気ランキングの上位を占める総合商社である。

金融機関志望者(特に外銀)も金融機関を希望しない学生も、

総合商社には興味があるのではないだろうか?

 

とはいえ、総合商社も20~30年前は今ほどは人気が無かった。

当時は、大手金融機関の方が年収レベルは高かったし、販売の中抜きという

ことで「商社冬の時代」と言われていたこともあったからだ。

 

しかし、金融機関の長期的な収益性・人気の低下と、資源価格高騰に

起因した総合商社の収益性の向上と年収水準の増加によって、

すっかり地位は逆転してしまった。

 

総合商社に就職することは悪いとは思わないが、ただ、このような人気が

20年後、30年後も継続しているかは保証の限りでは無いし、

総合商社の場合は、金融プロフェッショナルやコンサルのような確固たる

スキルが身に付かないので、転職力には欠けるということには

留意する必要がある。

③マスコミ、大手代理店

フジテレビ、日テレ、TBSなどのキー局である。

ここはコネが無いと、少人数しか採用せず、かつ超人気職業なので、

東大のような学歴が無いと難しい。

 

また、電通博報堂も同様である。

 

テレビは将来ネットに覇権を奪われるということはよく言われるが、

メディア・コンテンツ作成能力というのは転用可能なスキルなので

キー局に入ること自体は悪くないと思う。

 

また、物やサービスの機能的・スペック的な価値はどんどんコモディティ化

していくので、ブランドとか広告が将来はますますビジネスにおける

カギになっていく可能性は高いと思われる。

 

従って、電通博報堂で広告やブランドを学ぶことができれば、転職力も

修得できると思われる。

 

なお、広告代理店の場合だと、東大経済学部であっても、電通博報堂

は保証の限りでは無いので、「主な就職先」にも載っている、

ADK東急エージェンシーぐらいまでなら、行ってもいいと思うが

いかがだろうか?

 

個人的には、総合商社に行くよりは、「メディア・コンテンツ」、

「広告・ブランディング」といったスキルを習得できるこちらの業界に

行きたいと思うが、好き嫌いが分かれる業界であろう。

三井不動産三菱地所

地味ながら、超難関企業である。両社ともに数十人しか採用しないからである。

また、選考基準が、外銀・外コン・総合商社のような「グローバル人材」を

求めているわけでは無いので、単なるスペック勝負ではない。

 

OB/OGとのコネクションとか、リクルーターとの相性がカギになってくる

ところである。

 

三井不動産の場合は特に給与水準が極めて高い。

40歳時点で1600~1800万円くらいある。

メガバンクよりは高く、総合商社レベルは十分にある。

 

課題は、転職力である。不動産業界の外には出ていくことが難しいし、

不動産業界の中で同業他社を探すと、給与水準が大幅にダウンしてしまう。

 

もっとも、バリバリの終身雇用なので、リストラ等によって他を探さなければ

ならないリスクは極めて低いが…

野村総合研究所NRI)、三菱総合研究所MRI)

両社は収益的には①のコンサルに含まれるのかも知れないが、

昔からの2大シンクタンクということで別カテゴリーとした。

 

三菱総研の場合は、給与水準が大手金融機関と比べると劣ってしまうが、

産業界におけるネームバリューは極めて高く、昔から東大経済学部の

中でも地味ながら人気が高い。

 

野村総合研究所は、とにかく業績が好調で儲かっているので、

給与水準が高い。40代の課長だと年収2000万位も可能である。

 

よくある就活の基準の「モテ度」という切り口においては、

商社や代理店に大きく劣るかも知れないが、産業界或いは高学歴の

学生/社会人からは評価されるので、東大経済学部生好みの渋めの

就職先と言えよう。

外資消費財メーカー

P&Gに代表される、近年、就活生に人気の外資消費財メーカーである。

P&Gはマーケティングスキルということと、年俸もそこそこということで、

トップ学生の間において人気が高いことは理解できる。

 

但し、外資消費財メーカーは何でもいいという訳ではない。

ユニリーバ、ルイヴィトン、ネスレ、ロレアルあたりもかなりの

人気のようだが、とにかく給与水準が高くない。

 

また、外資系⇒若いうちから活躍できる、というのも要注意な発想である。

外資系の場合、完全に中途採用文化が根付いているので、管理職以上は

外部から入ってくる場合が多い。

従って、新卒でヒラから始めても、自分の上に外部から上司が

入って来たりするのは面白くないであろう。

中途で管理職以上で入社するということも検討すべきである。

 

従って、国内系消費財メーカーの本当にいいところ、サントリー

味の素あたりを狙うのも手なのだが、「外資系」というところにカッコよさが

あるようだ。

 

また、東大経済学部位になると、サントリーや味の素だと沢山採用するので

特別な感じがしないというのもあるかも知れない。

外資系IT企業

GAFAマイクロソフトシスコシステムズ、オラクルあたりである。

結構給与水準も悪く無いし、転職力も磨かれる(部署・職種によるが)。

 

東大経済学部生が狙うとするならば、⑥の外資消費財メーカーよりは

こちらではないだろうか?

 

もちろん、経済学部の場合には、通常プログラマーとしての入社では

無いので、どういった職種を狙うかがカギになるだろう。

最後に

銀行や保険会社が20年後は無くなることはないであろうが、

給与水準が2割下がる可能性は十分にあるだろう。

 

となると、仕事の面白さとか、転職力を考えると、何となく金融と言うのは

リスクが高いことがわかるであろう。

 

コンサルを選択するというのは問題ないが、終身雇用では無いので、

セカンドキャリアを予め意識しなければならない。

そして、コンサルのセカンドキャリアで一番多いのは事業会社であるので、

学生のうちから、いろいろ考えて視野を広めておきたいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慶應大学法学部(法律学科)と早稲田大学法学部との就職の比較について

 

1. 慶應大学法学部(法律学科)と早稲田大学法学部の就職状況

①就職状況に関するデータソース

慶應大学の場合、学部別に上位就職先企業(3名以上上位20社)について

HP上で開示をしてくれている。

 http://www.gakuji.keio.ac.jp/life/shinro/3946mc0000003d8t-att/a1530669479061.pdf

 

早稲田大学の場合は、全学部合計で5名以上の就職先について、学部別に詳細な

開示をHP上で行っている。

このため、全学部で5名以上就職している企業については、各学部からの

就職者が0~4名でも開示されているため、便利である。 

https://www.waseda.jp/inst/career/assets/uploads/2018/07/2017careerdata.pdf

慶應大学法学部(法律学科)と早稲田大学法学部の就職状況

慶應大学の法学部は、法律学科と政治学科とにわかれており、早稲田大学

法学部は法律学科のみなので、慶応大学法学部の法律学科(政治学科は含まず)

早稲田大学法学部とを比較することとした。

 

なお、就職者の総数であるが、慶応大学法学部(法律学科)は455名で

あるのに対して、早稲田大学法学部は629名と、約4割程度、

早稲田大学法学部の方が母集団が大きくなっている。

 

就職者数合計 455 629
  慶應大学法学部法律学 早稲田大学法学部
三菱UFJ銀行 10 9
みずほ銀行 9 7
東京海上日動火災保険 9 16
三井住友銀行 8 8
東京都 7 27
野村證券 7 1
デロイトトーマツコンサルティング 6 1
伊藤忠商事 5 6
三井住友海上火災 5 6
三井住友信託銀行 5 9
三井物産 5 4
三菱商事 5 2
住友商事 5 3
電通 5 0
日立製作所 5 2
弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所 5 NA
丸紅 4 6
国土交通省 4 NA
損害保険ジャパン日本興亜 4 4
日本銀行 4 0
野村総合研究所 4 2

 

2. 慶應大学法学部(法律学科)と早稲田大学法学部との就職の比較

慶應大学法学部(法律学科)の上位20社のリストを基に、早稲田大学法学部の

就職者数を参照する形でリストを作成した。

 

基本的に、両校両学部ともに伝統あるトップ校で就職状況が全体的に良好なのは

間違いないが、もう少し細かい点を業種別に以下で比較してみた。

①大手金融機関への就職について

まず、3メガバンクについては、慶応大学法学部(法律学科)からは

合計27人(5.9%)に対して、早稲田大学法学部からは24人(3.8%)

就職している。若干、慶応の方が就職者の割合が高い。

 

他方、東京海上三井住友海上、損保ジャパンの大手損保については、

慶應大学法学部(法律学科)からは合計18人(4.0%)、

早稲田大学法学部からは26人(4.1%)とほぼ互角である。

 

また、野村證券については、慶応法学部(法律学科)から7人に対し、

早稲田大学法学部からは1人と差があるようだが、

早稲田大学法学部からは日本生命に6人、第一生命に6人と

大手生保では早稲田の方が多い。

 

結局、大手金融機関については、ほぼ互角と言うことでいいのではないかろうか。

②総合商社について

大学(学部)の就職力を測る上でのバロメーターとなり得るのは、

最難関とされる総合商社への就職力では無いだろうか?

 

そのうち、大手5社について比較すると以下のようになっている。

  慶應大学法学部法律学 早稲田大学法学部
三菱商事 5 2
三井物産 5 4
住友商事 5 3
伊藤忠商事 5 6
丸紅 4 6
合計 24 21
就職者総数に対する比率 5.27% 3.33%

 

就職者総数に対する比率で、慶応大学法学部(法律学科)が早稲田大学

上回っている。

また、総合商社の中でもトップとされる三菱商事について、

慶應大学法学部(法律学科)が5名に対し、早稲田大学法学部は2名と

なっている。

 

従って、総合商社に対する就職力においては、若干慶應が早稲田を

上回っているというところだろうか。

③コンサル、マスコミ等のその他の業界について

まず、人気の電通博報堂については、慶応大学法学部(法律学科)からは、

電通5人、博報堂はNA(3名以下)である。

他方、早稲田大学法学部は電通博報堂ともにこの年は0名であった模様だ。

もっとも、NHKには4名就職しており(慶應大学法学部法律学科はNA)、

マスコミについては、慶応大学法学部(法律学科)が明らかに強いという

ことは言えないであろう。

 

また、人気のコンサルティング・ファームについては、

慶應大学法学部(法律学科)からは、デロイトトーマツコンサルティング

6名だが、それ以外は不明である。

早稲田大学法学部は、デロイトトーマツコンサルティングこそ1名だが、

アクセンチュア3人、アビームコンサルティング4人、

イカレントコンサルティングに2名であるので、この点については、

両学部に特に差は無いのではないだろうか。

まとめ

慶應大学法学部(法律学科)も早稲田大学法学部も、

大手金融機関、総合商社、コンサル等に就職者を送り込んでおり、

量的な面では特に両校両学部の差は特に無く互角と言えるのではないだろうか。

 

ただ、総合商社において慶應大学法学部(法律学科)が若干上回っているので、

この点が慶應が良く見えるところかも知れない。

 

もっとも、法学部(法律学科)の優劣というのは、従来は司法試験合格者数

というのが大きく、かつては、この点で長らく、早稲田法>慶応法(法律学科)

であった。

しかし、法科大学院における慶応法科大学院の活躍や、弁護士の人気低下に

伴い、弁護士の数で法学部を比較する時代ではなくなっているのかも知れない。

 

そして、両校両学部ともに、法科大学院に進学する者の割合はせいぜい15%

位なので、弁護士を目指す者の割合はそれほど高くは無い。

そうなると、経済学部や商学部ではなく、何故わざわざ法学部(法律学科)

を選択するのかについて、将来のキャリアを踏まえた上でじっくり考える

ことが重要だと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

京都大学法学部の就職と課題について。東大法学部と比較するとどうか?

 

1. 京都大学法学部の進路における特徴

法科大学院への進学率が高い

京都大学法学部の就職を見る前に、まず、進路の特徴を把握しておく

必要がある。

 

というのは、京都大学法学部の特徴として、大学院進学、特に、

ロースクール法科大学院)への進学者数が大変多いのだ。

学部卒業生の進路 | 統計で見る法学部・法学研究科 | 京都大学 法学部・法学研究科

 

上記のリンクは、京都大学法学部の公式HPからであるが、

この中で直近の年次を見ると、325人の卒業者のうち、100人(31%)が

大学院に進学している。

 

そのうち、81人が法科大学院への進学者であり、その比率は25%である。

何と、京都大学法学部の場合は、約4人に1人が法科大学院に進学しているのだ。

 

実はこの比率は東大法学部よりも高い。

東大法学部の場合は、386人の卒業生のうち、法科大学院進学者は78人であり、

比率でいうと20%である。

京都大学法学部の方が、東京大学法学部よりも法科大学院進学率が5%

高いのだ。

 

これは少々意外感があるが、法曹志望者の割合が高いのが京都大学法学部の

大きな特徴だ。

②公務員への就職者も多い

京都大学法学部の特徴として、公務員に就職する学生が多い。

直近の卒業年次で見ると、325人の卒業生のうち、21人が中央官庁に、

13人が地方公共団体に就職し、合計34人(約11%)が

公務員に就職しているのだ。

 

この比率は、東京大学法学部(91人/386人=24%)と比べると、

その比率は低い。

2. 京都大学法学部の民間企業への就職状況について

上記の通り、京都大学法学部の場合、何と4人に1人が法科大学院に進学し、

他に法科大学院以外の大学院に進学する者や、公務員となる者が多い。

従って、民間企業に就職する者の比率は約半分とかなり少ない

ことが特徴である。

 

京都大学の就職に関するディスクロは大変よく、就職者が1人でもいる

企業名を全て開示してくれているが、1人の就職先も含めると

かなりの量になるので、2名以上の就職先に絞って記載すると、

以下のようになる。(民間企業のみ)

 

三井住友銀行 9
大阪ガス 5
日本生命 5
みずほFG 5
東京海上日動火災保険 4
丸紅 4
三菱UFJ銀行 4
イカレント・コンサルティング 3
関西電力 2
サイバーエージェント 2
シティ・コム 2
新日鐵住金 2
住友商事 2
住友生命保険 2
JR東海 2
トヨタ 2
JR西日本 2
三井住友信託銀行 2
メルコホールディングス 2

 

 このリストにある企業への就職者数合計が61名で、全民間企業就職者の約4割しか

カバーしないので、特定の企業や業種には他の有力校と比べて集中していない

ように見える。

 

また、大阪ガス関西電力JR西日本という関西ローカル的な企業も

ランクインしている者の、その割合は特に顕著とは言えず、

京都大学経済学部と同様に、中央志向が結構強いのではないだろうか?

 

いわゆる、高就職偏差値企業・人気企業ランキング的な視点からすると、

京都大学経済学部の方が、就職状況はいいようにも見える。

京都大学経済学部の就職状況についてはこちら。) 

blacksonia.hatenablog.com

3. 京都大学法学部の就職の課題について

①多くは弁護士の将来のステイタス性に掛かっている?

京都大学法学部の就職先のトップシェアは、法科大学院であり、

その比率は約四分の一もあり、東京大学法学部よりも高い比率となっている。

おそらく、日本の大学で最も法科大学院進学率が高い法学部であろう。

(ちなみに、法科大学院進学率は、早稲田、慶応の法学部で約1割、

一橋大学の法学部で約15%)

 

法科大学院卒業後、裁判官や検察官になる者もいるが、大半は弁護士に

なるだろう。

 

そうすると、弁護士の社会的評価が京都大学法学部(というか有力校の法学部全体)に

影響をするだろう。

 

司法制度改革が浸透する前、リーマンショック前くらいまでは、弁護士のステイタスや

収入レベルは高く、司法試験合格者数や合格率が高い法学部は評価も高かった。

しかし、既に弁護士の人気や評価は下がり始めているので、10年~20年後は

どうなるのかが気になるところである。

②外銀・外コンを目指さなくていいのか?

東京大学法学部の場合、昔は、「上位三分の一は司法試験を目指す」と

言われていた時代もあったようだが、最近では、最上位層が外銀・外コンを

志望するようになってきているという。

 

他方、京都大学法学部の場合は、外銀・外コン志向はまだ見られないようだ。

京都大学の場合、1名以上就職者がいる企業は全開示してくれているのだが、

ゴールドマン・サックス等の外銀、マッキンゼー、BCG、ベインといった

戦略系の外コンへの就職者は見られなかった。

 

この辺りは、弁護士>その他の民間企業というコンサバな価値観が残っている

からかどうかはよくわからないが、もし、弁護士のステイタス・年収水準が

このまま少しずつ下がり始めたとすると、法学部自体の評価もつられて

下がりかねない。

 

この点は、既にゴールドマン・サックス証券JPモルガン証券、BCGといった

外銀・外コンに就職者がいる、京都大学経済学部とは異なっているようだ。

感想

京都大学法学部の特色は何といっても、法科大学院進学率の高さである。

東京大学法学部よりも比率が高いというのは意外感があった。

法科大学院の人気・難易度は明らかに低下しているようだが、定員を減らして

供給を抑制したからか、有力大学の法学部の難易度は特に低下していない

模様だ。

 

しかし、法曹(或いは公務員)を目指さないのであれば、法学部に進学する

意味は何かということになる。最初から民間企業への就職を考えているので

あれば経済学部・商学部の方がいいのではないかということだ。

 

この点は、中長期的に興味深いところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京都大学経済学部の就職と課題について。大阪大学経済学部、慶応大学経済学部との比較はどうか?

 

1. 京都大学経済学部の就職状況

京都大学経済学部の基本情報

京都大学経済学部は学部生のトータル人数が265名で、13名が進学。

22名が不詳。したがって、就職者総数は230名であり、大阪大学

経済学部が約200名なので、それより少し多い程度である。

慶應大学経済学部の就職者数は約1000人なので、それと比べると

約1/4強しかなく、かなりの少人数である。

 

公務員になるものは8名と少なく、大半は民間企業への就職である。

この点は、大阪大学経済学部や慶応大学経済学部と同様である。

京都大学経済学部の就職先について

京都大学経済学部の具体的な就職先については、京都大学が公式HP

において完全な開示をしてくれている。

要するに、1名以上の就職先を全て開示してくれている。 

 (若干、探しづらいが、キャリアサポートルームの「就職のしおり」に

詳細が記載されている。)

http://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/wp-content/uploads/2018/09/shiori2019.pdf

 

母集団は230名しかいないが、1名以上の就職先は全て開示してくれて

いるので、かなりのロングテールになる。

従って、ここでは2名以上の就職先について抜粋する。

経済学部(就職者数230名) 京都大学HPより2名以上の就職先を抽出。
         
みずほフィナンシャル・グループ 8      
有限責任あずさ監査法人 6      
三菱UFJ銀行 5      
三井住友銀行 4      
三井物産 4      
三菱商事 4      
三菱電機 4      
アクセンチュア 3      
ウィル 3      
大阪ガス 3      
京都銀行 3      
国土交通省 3      
新日本有限責任監査法人 3      
トヨタ自動車 3      
野村證券 3      
パナソニック 3      
イカレント・コンサルティング 3      
三井住友信託銀行 3      
ゆうちょ銀行 3      
伊藤忠商事 2      
経済産業省 2      
JPモルガン証券 2      
住友商事 2      
ソフトバンク 2      
ダイレクト出版 2      
有限責任監査法人トーマツ 2      
日本放送協会 2      
日本航空 2      
日本生命 2      
農林中央金庫 2      
日立製作所 2      
みずほ証券 2      

 

2. 京都大学経済学部の就職先の特徴

まず、全体観であるが、極めて良好なのは学校のレベルから当然として、

ほとんどローカル色が無いのが意外であった。

この点は、同じ関西の名門国立大学である大阪大学経済学部とは

若干異なっているようだ。

 

そして、後述するが、外銀・外コン、メディア、ネットベンチャーなど、

最上位の企業や、新しいところを志向するところが特徴的だ。

①金融機関が多い

上位には、3メガバンク、信託、野村證券日本生命などがランクイン

している。この傾向は、大阪大学経済学部、慶応大学経済学部と同様であり

トップ大学経済学部の全般的な特徴である。

②総合商社が多い

ランキングの5位に、三菱商事三井物産がそれぞれ5名ずつでランクイン

している。

また、伊藤忠に2人、住友商事に2人、丸紅に1人と入社している。

 

ちなみに、就職者数に対する比率で見ると、15/230=6.5%と、

総合商社に強い慶應大学経済学部を上回っているものと思われる。

 

この点は、大阪大学経済学部には見られない特徴である。

③外銀、外コン、マスコミ等超難関企業が見られる

京都大学経済学部からは、JPモルガン証券に2人、ゴールドマン・サックス証券

1人と外銀に就職者を輩出している。

 

また、BCGに1人に加え、アクセンチュアに3人、ベイカレント・コンサルティング

2人、アビームコンサルティングに1人、クニエに1人、

デロイトトーマツコンサルティングに1人、PwCコンサルティングに1人と

母集団が少ないにも関わらず広くコンサルティング・ファームに就職

している。

 

また、NHKに2人、東急エージェンシーに1人、博報堂に1人と、

マスコミ関係にも就職者を輩出している。

 

このあたりは、東大、慶応などの東京のトップ校と類似している。

④ネット系ベンチャー企業が多い

京都大学経済学部の特徴は、ネット系ベンチャー企業への就職が結構目立つ

ことである。

しかも、京都や大阪のベンチャー企業ではなく、東京のベンチャー企業

就職している。大手金融機関と違って、関西まで来てくれないので、

東京に企業訪問等に行く負担を考えると結構大変である。

 

具体的な企業名としては、アカツキイトクロ、エムスリー、オロ、

クックパッド、Donuts、フリークアウト、PLAN-B、レバレジーズ等

である。

 

上位20社までしか開示が無いのでよくわからないが、慶応大学経済学部は

コンサバティブで大手企業や有名外資を好むようであり、ベンチャー系とか

自ら起業するのはあまり好まれないとも聞く。

 

この点は、京都大学経済学部の方が、ベンチャースピリットに溢れている

ということであろうか。

3. 京都大学経済学部の就職における課題

以上のように、京都大学経済学部の就職の特徴としては、中央志向が強く

ローカル色はほとんど感じない。

 

そして、超人気・超難関企業にも挑戦し、外銀・外コンにも人材を輩出

している。東京以外の大学で、外銀・外コン(MBB)に就職者がいるのは

京都大学位ではなかろうか。

 

また、総合商社にも強く、非関西系商社である三菱商事三井物産にも

強いのが興味深い。

 

さらに、地理的に不便であるにもかかわらず、多数がネットベンチャー

企業にも就職しており、慶応大学経済学部以上にフロンティア・スピリット

に溢れているのではなかろうか?

 

このように、京都大学経済学部の就職については特に課題というものは

ないであろう。

 

ただ、中央志向が強いため、就職活動で東京まで出てこなければならないという

不便さがある。この点は、大学としてはできることは限られるだろうから、

OB/OGの協力・支援体制がより必要とされるだろう。

 

また、京大経済学部からは、Wantedlyの仲さんとか、ドリコムの内藤さんと

いった著名なベンチャー起業家を輩出している。

ネット系ベンチャーについては東京が有利なのは否めないが、成功した

起業家を輩出すれば、ますます、良くなるであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

政治経済?国際教養?早稲田大学の学部別就職力を総合商社への就職者数と率とで分析してみた。

 

1. 学部別の就職力の比較が難しい理由

①そもそも学部別のデータが不十分

早稲田大学にせよ慶應大学にせよ、大きな大学で、学部数が多く存在し、

学部毎の難易度、伝統、学習領域がそれぞれ異なるため、

就職力がどのように違うのか気になるところだ。

 

学部別の就職力を調べるには、大学がHPで開示してくれている

学部別の就職状況を参考にすればいいのだが、各学部上位20社という

場合、各学部から5名未満の就職状況が把握できないので不便である。

 

というのは、本当にトップの企業の採用数は相対的に少数であることが多く、

例えば、外銀・外コン(MBB)、電通博報堂、キー局、

三井不動産三菱地所、P&Gあたりへの学部毎の就職状況が把握できない

ことが多い。

 

早稲田とか慶応クラスになると、ある程度の人気企業には就職できるので、

このあたりの超難関企業への採用状況が、学部毎の就職力を知る上で

気になるところなのだ。

②業界が異なる企業同士を比較するのは難しい

一般的に、メガバンク、大手信託銀行、大手損保、大手生保、大手証券といった

大手金融機関や、アクセンチュア等のコンサル、総合商社、マスコミ等の

就職者数が多いと、就職力は良いと世間一般的に判断しやすい。

 

しかし、学部間の微妙な比較になると、このあたりの大手への就職割合は

あまり変わらない場合もあるし、業界が異なる企業同士を比較する

ことが難しい。

 

例えば、日本航空全日空と、損保ジャパンや明治安田生命とどちらが上とか、

サントリー、キリン、味の素等のトップ食品メーカーとメガバンク

どちらが上かとか、なかなか判断できないので、学部同士の就職力を厳密に

比較するのは難しい。

2. 総合商社への就職者数と就職率は就職力のバロメーターか?

上記のような就職力の比較を厳密に行うのは難しいのだが、一つ参考に

なると思われる方法が、総合商社への就職者数と就職率に着眼する

方法である。

 

例えば、早稲田大学の場合には、早稲田大学全体で5名以上就職者がいる企業

について、学部別に詳細な情報を開示してくれている。

また、総合商社は超トップ企業の中でも100人以上採用しているので、

早稲田の学部別の詳細な数字を把握することができる。

 

もちろん、「学生がみんな総合商社に行きたいわけではないよ。」という

批判は承知の上だが、総合商社の場合は広範な商品/サービスを扱い、

世界中に拠点がある業態なので、金融、コンサル、メーカーよりも

普遍性はあるのではないかと考えられる。

3. 早稲田大学の学部別の総合商社(五大商社)への就職状況

結果はこの通りである。

なお、理系の場合は商社志向が文系よりも弱いと考えられるため、対象外とした。

また、総合商社の定義は、五大商社及び双日豊田通商の7社であるが、

今回は五大商社を対象とした。

 

早稲田トータル 27 29 26 23 19      
  三菱商事 三井物産 住友商事 伊藤忠 丸紅 五大商社合計 就職者数 五大商社比率(%)
政経 10 6 8 5 3 32 799 4.0%
2 4 3 6 6 21 629 3.3%
教育 1 2 1 0 2 6 807 0.7%
1 2 4 8 3 18 866 2.1%
社学 1 0 2 0 0 3 598 0.5%
人科 0 1 0 0 0 1 505 0.2%
スポ科 1 0 1 1 0 3 358 0.8%
国教 4 3 4 2 4 17 486 3.5%
文構 2 3 1 0 1 7 806 0.9%
文学 1 3 0 0 0 4 543 0.7%

 

①結果は、入試における偏差値を反映したものとなっている?

総合商社以外の優良企業、例えば、東京海上火災日本生命NHKアクセンチュア

日本航空といった企業では、いわゆる上位学部以外の学部も検討していたり

するのだが、総合商社について比較すると、見事なまでに大学入試における

偏差値・難易度・伝統を反映した結果となってしまった。

 

政経がダントツの32人、法学部が21人、商学部が18人と、いわゆる上位学部が

ベスト3を占めている。

 

また、偏差値が極めて高い流行りの国際教養学部は検討し、合計17人を

総合商社に送り込んでいる。

 

他方、伝統のある学部でも、文学部からは4人、教育学部からは6人という

結果である。

 

さらに、社学、人間科学、スポーツ科学は3名以下となっている。

②「率」で見ると更に違いが浮き彫りに?

単純な五大商社への就職者数だけで比べると、定員が少ない、要するに就職者数が

少ない学部は不利になるため、五大商社への就職者数を各学部の就職者数全体で

割った「率」を上記の表の一番右側に加えてみた。

 

その結果、

 

政経(4.0)>国教(3.5)>法(3.3)>商(2.0)

 

~1%の壁~

 

文構(0.9)>スポ科(0.8)>教育(0.7)>文学(0.7)

>社学(0.5)>人科(0.2)

 

と見事なまでに、受験におけるヒエラルキーを反映する結果となった。

③注目される国際教養学部

注目されるのは、新興の人気の国際系学部、国際教養学部である。

率で見ると、政治経済学部に次ぐナンバー2である。

 

しかも、三菱商事だけで見ると、政経が10人に対し、国教は4人と、

法学部(2人)や商学部(1人)を上回っている。

 

受験の難易度が就職にもきっちりと反映されており、今後も注目される学部である。

感想

やはり総合商社の採用責任者である40代、50代の人達はコンサバなのか、

同じ早稲田と言っても政経、法、商に拘るようである。

 

また、注目されるのが国際教養学部の躍進である。

いかに、企業がグローバル人材を求めているのかということがうかがえる。

 

ということは、上位学部でなくとも、留学経験があったり英語が非常に得意な

学生はチャンスがあるということなので、英語磨きをすれば就職の可能性は

広まると言えるのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慶應大学法学部(政治&法律)の就職と課題について。慶應大学経済学部と比較してどうか?

 

1. 慶應大学法学部(政治&法律)の就職状況

①就職状況の開示について

慶應大学の場合、全学部について、上位就職企業(3名以上上位20社)について

HPで開示してくれている。

これによって、大体の状況は把握できる。他方、経済学部のように、5名以上の

就職先については20位以下も開示してくれるということは法学部は無い。

http://www.gakuji.keio.ac.jp/life/shinro/3946mc0000003d8t-att/a1530669479061.pdf

②慶応大学法学部(政治&法律)の具体的な就職先について

慶應大学の場合、法学部は政治学科と法律学科について別々に開示して

くれている。

しかし、ここでは「法学部」ということで合算してみることにした。

政治学科のランキングをベースに、そこに法律学科の人数を加えるという

対応を行った。

 

このため、日本放送協会NHK)、博報堂アクセンチュア

三菱UFJ信託銀行三菱電機富士通キーエンス日本テレビ

明治安田生命については、政治学科の数字のみとなっている。

これらの企業については、法律学科からの就職者がゼロということは

無いと思われるので、「法学部」としての就職者数はもう少し多い

可能性がある。

 

  法学部(政治+法律) 経済学部
東京海上日動火災保険 26 23
みずほ銀行 24 32
三井物産 20 7
三菱UFJ銀行 21 27
丸紅 14 7
三井住友銀行 18 15
日本放送協会NHK) 8 NA
三井住友信託銀行 12 11
三菱商事 12 8
博報堂 7 NA
アクセンチュア 6 18
三菱UFJ信託銀行 6 11
三菱電機 6 NA
住友商事 11 6
富士通 6 6
SMBC日興証券 5 13
キーエンス 5 6
伊藤忠商事 10 5
日本テレビ放送網 5 NA
明治安田生命保険 5 9

以上のように、政治学科と法律学科とを合算した慶応大学法学部全体の

就職状況は極めて良好である。

 

東京海上メガバンク、総合商社、マスコミ、大手広告代理店と

超人気&高就職偏差値企業がズラリと並んでいる。

 

また、三菱電機富士通キーエンスというメーカーや、

アクセンチュアといったコンサルなど、多様性も確保されている。

2. 慶応大学経済学部との比較 

慶應大学法学部(政治&法律)の就職状況が極めて良好であることは

わかった。そうすると、気になるのが、経済学部との比較だ。

 

歴史的には経済学部が慶応の看板学部であり、入試難易度も長らく

経済学部>法学部>商学部、であったため、特に今40代、50代以上の

ビジネスマンにとっては、経済学部の方が良好なのではないかという

認識があるだろう。

 

他方、今の若者や現役学生の間では、法学部>経済学部という認識が

あるらしい。このため、就職については、その差がどのように反映

されているのか気になるところである。

 

なお、経済学部の就職状況についてはこちらの過去記事をご参照下さい。
blacksonia.hatenablog.com

①大手金融機関(メガバンク、生損保等)

まず、分母となる法学部と経済学部の就職者数であるが、

政治学科と法律学科を合計した法学部の就職者数は982人、

他方、経済学部の就職者数は1003人である。

従って、差は2%と誤差の範囲内であり、上の表について、実数比較

すればいいだけなので便利である。

 

まず、3メガバンクについては、経済学部が74人に対して、法学部が

63人である。気持ち、経済学部が多めであるがそれほど差は無い。

 

東京海上については、法学部が26人に対して、経済学部が23人と

こちらもほぼ互角。

 

証券会社や信託銀行についても両学部とも多く就職している点は同じである。

 

意外であったのは、日銀に法律学科から4名就職している点である。

なお、経済学部からは5名である。

 

以上のように、大手金融機関については両社ほぼ互角であろうか。

②総合商社(5大商社)について

さて、気になるのは上記①の金融機関よりも、こちらの総合商社、

特に5大商社である。

何故なら、就職偏差値・難易度が最上位であり、大手金融機関よりも

就活生的には上位にランクされるからである。

 

5大商社の就職者数の合計で見ると、法学部からは63人、経済学部からは

33人である。

 

何と、法学部の圧勝である。特に三菱商事についても、法学部から12人、

経済学部から8人であり、ここでも法学部の勝利である。

 

これはかなり意外感のある結果(特に年配のビジネスマン)だろうが、

総合商社については、法学部>経済学部、というのが現実である。

③マスコミその他について

法学部の特色は、入社難易度が極めて高い大手マスコミへの就職が目立つ点で

ある。

例えば、NHK、日テレが上位にランクされている。

これは経済学部には無い特色である。

 

また、電通については、法学部から5名(法律学科のみのデータ)、

経済学部からは8名、博報堂については、法学部から7名(政治学科のみの

データ)、経済学部からは不明(7人以下)となっており、

こちらの就職状況も良好である。

 

なお、外銀・外コンへの就職状況に係るデータがあれば参考になるが、

こちらの詳細はよくわからない。もっとも、慶応の場合、法学部からも

ゴールドマン等に何人も就職しているので、こちらの点で法学部が

経済学部に劣るということは特に無いのではなかろうか?

 

以上のように、経済学部と比較しても法学部の就職状況は

劣っておらず、総合商社やマスコミについては、法学部が優位とさえ

言えるのではないだろうか?

3. 慶應大学法学部の就職に関する課題について

①民間企業への就職について

慶應大学法学部の就職状況は極めてよく、私立大学ナンバー1というか、

日本の中でも、ここに勝てるとすれば、東大(文系学部)か一橋くらい

しか見当たらないだろう。

この点については、後日、比較してみたい。

 

いずれにせよ、民間企業への就職については特に課題は無いのでは

ないだろうか?

 

強いて言えば、多様性ということで、ネットベンチャー系に行く者が

もう少し増えても悪くないのかも知れない。

②弁護士(法科大学院進学者)をどう考えるか?

法学部での最高の勝ち組は、大学名を問わず、弁護士であった。

旧司法試験の何度は極めて高く、司法試験の合格者数が大学の法学部の

格を示していた。

 

しかし、司法制度改革における弁護士数の急増によって、弁護士の

人気は急低下してしまった。

今では、弁護士がうらやましいと思う学生は多くないのではないだろうか?

 

旧司法試験時代は、司法試験合格者数において、早稲田>慶応であったが、

新司法試験制度になって、合格「率」が判断基準となり、

今では、慶応法科大学院>早稲田法科大学院、であろう。

 

ただ、残念なのは弁護士人気が低下してしまったことで、大学として

法科大学院や弁護士というのをあまりアピールできない点である。

 

とはいえ、弁護士というのは法学部(他学部からでもなれるが)の象徴的な

職業であるので、ここをうまくPRしていきたいところである。

まとめ

慶應大学法学部の民間企業就職状況は極めて良好というより、

日本ナンバー1といえるレベルではないだろうか?

 

長年の評価であった、経済学部>法学部、というのも時間が経つにしたがい、

解消されていくのかも知れない。

これには、入試の方法も影響しているのかも知れない。

入試科目に数学が無いと、馬鹿にされがちな傾向にあるので、いっそ

法学部の入試科目にも選択でいいので数学をいれてみてはどうだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慶應大学商学部の就職と課題について。慶應大学経済学部と比較するとどうか?

 

1. 慶応大学商学部の就職の状況

①大学による就職状況の開示

慶應大学は、学部別に具体的な就職状況について開示をしている。 

http://www.gakuji.keio.ac.jp/life/shinro/3946mc0000003d8t-att/a1530669479061.pdf

②主な就職先の状況

慶應大学商学部の場合、経済学部のようなより詳細な開示は無いが、

就職先のトップ10は、以下のようになっている。

 

1. 三菱UFJ銀行       17人

2. 東京海上火災       14人

3. 三井住友銀行       13人

4. アビームコンサルティング 12人

5. みずほ銀行        11人

6. アフラック          9人

6. 三井住友海上火災                    9人

6. 三井住友信託銀行       9人

9. アクセンチュア                        8人

9. NTTデータ           8人

9. 三井物産              8人

9. NTT東日本           8人

9. 有限責任監査法人トーマツ    8人

 

このように慶應商学部からの就職先トップ10には、

メガバンク東京海上、アビーム、アクセンチュア三井物産

就職人気企業である金融機関、コンサル、総合商社が並んでいる。

 

また、キーエンス電通日本航空、日立、富士通など、

広告代理店、メーカー、インフラと幅広く人気業種に就職している。

2. 慶応大学経済学部との比較

以上のように、慶応大学商学部の就職状況は極めて良好である。

ところが、気になるのは同じ慶応大学の経済学部との比較では無いだろうか?

 

経済学部と商学部とは、同じ広義のビジネス・経済系の学部ということと、

入試科目で「数学」を選択する受験生が多い(A方式)ことから、

併願・比較の対象となってきた。

 

経済学部は伝統の看板学部であり、受験の難易度(偏差値)も歴史的に

経済学部が高かったことから、学部内格差を学内・学外から指摘される

ことは多い。

 

そこで、両学部の就職状況に差があるか気になるところである。

なお、就職者数は、経済学部が1003人に対し、商学部は839人であり、

2割弱程経済学部が多い。

①大手金融機関

3メガバンクの合計は、経済学部が74人、商学部が41人であり、

比率にすると、7.4%と4.9%と若干経済学部の方が比率が高い。

 

他方、生損保のトップ企業である、東京海上日本生命については、

経済学部が、東京海上23名、日本生命7名、

商学部が、 東京海上14名、日本生命7名、

とほとんど差が無い。

 

また、経済学部、商学部ともに、大手信託銀行、商工中金農林中金等への

就職者数が多く、特に差は無い。

②総合商社、マスコミについて

総合商社については、意外なことに、経済学部と商学部の差がほとんどない。

 

 

三菱商事は、経済学部が8名、商学部が7名、

三井物産は、経済学部が7名、商学部が8名、

 

興味深いのは、就職偏差値最高峰のブランド企業である三菱商事については、

慶応の内定者の半分は経済学部からだという噂もあったが、

この統計を見ると全くの経済学部も商学部も変わらない。

 

また、広告代理店のトップ企業の電通についても、

経済学部8名に対し、商学部が6名と検討している。

 

あとは、外銀・外コンの統計があればいいのだが、人数が少なく、

学部別の内訳まではわからない。

ここで経済学部と商学部の差が無ければ、両学部の差は実質的に差は無いと

言えるのではなかろうか。

3. 慶応大学商学部の就職における課題

上記のように、慶応大学商学部の就職状況は極めて良好であり、

また、経済学部との比較においても特にそん色は無いと言えるだろう。

 

このため、大手企業、就職人気先企業における就職能力においては、

特にこれといった課題は無いのではないだろうか?

 

もっとも、現在40代、50代以上の人達からすると、経済学部>商学部

という認識を持っている人が多い。

両学部に合格した場合、今でもほとんど経済学部を選択するのでは

無いだろうか?

 

となると、就職力だけでなく、ステイタスやイメージでも経済学部に

追いつくためには商学部としての独自性を発揮することではないだろうか?

 

例えば、ベンチャー起業で成功した卒業生が増えると、商学部としての

存在感は高まって行くだろう。経済学部は、起業よりも大手、有名企業への

関心度が高いからである。

 

ところが、起業というと、慶応の場合は商学部よりもSFCの方が存在感が

高いのが現状である。

 

このため、カルチャーは異なるかも知れないが、SFCの学生とも吊るんで

ベンチャー起業を目指す学生が増えて行けばますます良くなるのでは

無いだろうか?

まとめ

就職については、慶応大学経済学部の方が、商学部よりも良好なのでは

ないかと思っていたが、ほとんどそん色はなかった。

特に、三菱商事電通あたりでも差が無いのが意外であった。

 

ところが、歴史的な経緯や偏差値から、経済学部>商学部

思っている人達はまだまだ少なくないので、ベンチャー起業などで、

商学部としての独自性を発揮できれば、ますます商学部のステイタスは

上がるのではないだろうか。