慶應大学商学部の就職と課題について。慶應大学経済学部と比較するとどうか?
1. 慶応大学商学部の就職の状況
①大学による就職状況の開示
慶應大学は、学部別に具体的な就職状況について開示をしている。
http://www.gakuji.keio.ac.jp/life/shinro/3946mc0000003d8t-att/a1530669479061.pdf
②主な就職先の状況
慶應大学商学部の場合、経済学部のようなより詳細な開示は無いが、
就職先のトップ10は、以下のようになっている。
1. 三菱UFJ銀行 17人
2. 東京海上火災 14人
3. 三井住友銀行 13人
4. アビームコンサルティング 12人
5. みずほ銀行 11人
6. アフラック 9人
6. 三井住友海上火災 9人
6. 三井住友信託銀行 9人
9. アクセンチュア 8人
9. NTTデータ 8人
9. 三井物産 8人
9. NTT東日本 8人
9. 有限責任監査法人トーマツ 8人
就職人気企業である金融機関、コンサル、総合商社が並んでいる。
広告代理店、メーカー、インフラと幅広く人気業種に就職している。
2. 慶応大学経済学部との比較
以上のように、慶応大学商学部の就職状況は極めて良好である。
ところが、気になるのは同じ慶応大学の経済学部との比較では無いだろうか?
経済学部と商学部とは、同じ広義のビジネス・経済系の学部ということと、
入試科目で「数学」を選択する受験生が多い(A方式)ことから、
併願・比較の対象となってきた。
経済学部は伝統の看板学部であり、受験の難易度(偏差値)も歴史的に
経済学部が高かったことから、学部内格差を学内・学外から指摘される
ことは多い。
そこで、両学部の就職状況に差があるか気になるところである。
なお、就職者数は、経済学部が1003人に対し、商学部は839人であり、
2割弱程経済学部が多い。
①大手金融機関
3メガバンクの合計は、経済学部が74人、商学部が41人であり、
比率にすると、7.4%と4.9%と若干経済学部の方が比率が高い。
他方、生損保のトップ企業である、東京海上と日本生命については、
とほとんど差が無い。
また、経済学部、商学部ともに、大手信託銀行、商工中金、農林中金等への
就職者数が多く、特に差は無い。
②総合商社、マスコミについて
総合商社については、意外なことに、経済学部と商学部の差がほとんどない。
興味深いのは、就職偏差値最高峰のブランド企業である三菱商事については、
慶応の内定者の半分は経済学部からだという噂もあったが、
この統計を見ると全くの経済学部も商学部も変わらない。
また、広告代理店のトップ企業の電通についても、
経済学部8名に対し、商学部が6名と検討している。
あとは、外銀・外コンの統計があればいいのだが、人数が少なく、
学部別の内訳まではわからない。
ここで経済学部と商学部の差が無ければ、両学部の差は実質的に差は無いと
言えるのではなかろうか。
3. 慶応大学商学部の就職における課題
上記のように、慶応大学商学部の就職状況は極めて良好であり、
また、経済学部との比較においても特にそん色は無いと言えるだろう。
このため、大手企業、就職人気先企業における就職能力においては、
特にこれといった課題は無いのではないだろうか?
もっとも、現在40代、50代以上の人達からすると、経済学部>商学部、
という認識を持っている人が多い。
両学部に合格した場合、今でもほとんど経済学部を選択するのでは
無いだろうか?
となると、就職力だけでなく、ステイタスやイメージでも経済学部に
追いつくためには商学部としての独自性を発揮することではないだろうか?
例えば、ベンチャー起業で成功した卒業生が増えると、商学部としての
存在感は高まって行くだろう。経済学部は、起業よりも大手、有名企業への
関心度が高いからである。
ところが、起業というと、慶応の場合は商学部よりもSFCの方が存在感が
高いのが現状である。
このため、カルチャーは異なるかも知れないが、SFCの学生とも吊るんで
ベンチャー起業を目指す学生が増えて行けばますます良くなるのでは
無いだろうか?
まとめ
就職については、慶応大学経済学部の方が、商学部よりも良好なのでは
ないかと思っていたが、ほとんどそん色はなかった。
ところが、歴史的な経緯や偏差値から、経済学部>商学部と
思っている人達はまだまだ少なくないので、ベンチャー起業などで、
商学部としての独自性を発揮できれば、ますます商学部のステイタスは
上がるのではないだろうか。