京都大学経済学部の就職と課題について。大阪大学経済学部、慶応大学経済学部との比較はどうか?
1. 京都大学経済学部の就職状況
①京都大学経済学部の基本情報
京都大学経済学部は学部生のトータル人数が265名で、13名が進学。
22名が不詳。したがって、就職者総数は230名であり、大阪大学
経済学部が約200名なので、それより少し多い程度である。
慶應大学経済学部の就職者数は約1000人なので、それと比べると
約1/4強しかなく、かなりの少人数である。
公務員になるものは8名と少なく、大半は民間企業への就職である。
この点は、大阪大学経済学部や慶応大学経済学部と同様である。
②京都大学経済学部の就職先について
京都大学経済学部の具体的な就職先については、京都大学が公式HP
において完全な開示をしてくれている。
要するに、1名以上の就職先を全て開示してくれている。
(若干、探しづらいが、キャリアサポートルームの「就職のしおり」に
詳細が記載されている。)
http://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/wp-content/uploads/2018/09/shiori2019.pdf
母集団は230名しかいないが、1名以上の就職先は全て開示してくれて
いるので、かなりのロングテールになる。
従って、ここでは2名以上の就職先について抜粋する。
経済学部(就職者数230名) 京都大学HPより2名以上の就職先を抽出。 | ||||
みずほフィナンシャル・グループ | 8 | |||
有限責任あずさ監査法人 | 6 | |||
三菱UFJ銀行 | 5 | |||
三井住友銀行 | 4 | |||
三井物産 | 4 | |||
三菱商事 | 4 | |||
三菱電機 | 4 | |||
アクセンチュア | 3 | |||
ウィル | 3 | |||
大阪ガス | 3 | |||
京都銀行 | 3 | |||
国土交通省 | 3 | |||
新日本有限責任監査法人 | 3 | |||
トヨタ自動車 | 3 | |||
野村證券 | 3 | |||
パナソニック | 3 | |||
ベイカレント・コンサルティング | 3 | |||
三井住友信託銀行 | 3 | |||
ゆうちょ銀行 | 3 | |||
伊藤忠商事 | 2 | |||
経済産業省 | 2 | |||
JPモルガン証券 | 2 | |||
住友商事 | 2 | |||
ソフトバンク | 2 | |||
ダイレクト出版 | 2 | |||
有限責任監査法人トーマツ | 2 | |||
日本放送協会 | 2 | |||
日本航空 | 2 | |||
日本生命 | 2 | |||
農林中央金庫 | 2 | |||
日立製作所 | 2 | |||
みずほ証券 | 2 |
2. 京都大学経済学部の就職先の特徴
まず、全体観であるが、極めて良好なのは学校のレベルから当然として、
ほとんどローカル色が無いのが意外であった。
この点は、同じ関西の名門国立大学である大阪大学経済学部とは
若干異なっているようだ。
そして、後述するが、外銀・外コン、メディア、ネットベンチャーなど、
最上位の企業や、新しいところを志向するところが特徴的だ。
①金融機関が多い
上位には、3メガバンク、信託、野村證券、日本生命などがランクイン
している。この傾向は、大阪大学経済学部、慶応大学経済学部と同様であり
トップ大学経済学部の全般的な特徴である。
②総合商社が多い
ランキングの5位に、三菱商事と三井物産がそれぞれ5名ずつでランクイン
している。
また、伊藤忠に2人、住友商事に2人、丸紅に1人と入社している。
ちなみに、就職者数に対する比率で見ると、15/230=6.5%と、
総合商社に強い慶應大学経済学部を上回っているものと思われる。
この点は、大阪大学経済学部には見られない特徴である。
③外銀、外コン、マスコミ等超難関企業が見られる
京都大学経済学部からは、JPモルガン証券に2人、ゴールドマン・サックス証券に
1人と外銀に就職者を輩出している。
また、BCGに1人に加え、アクセンチュアに3人、ベイカレント・コンサルティングに
2人、アビームコンサルティングに1人、クニエに1人、
デロイトトーマツコンサルティングに1人、PwCコンサルティングに1人と
母集団が少ないにも関わらず広くコンサルティング・ファームに就職
している。
また、NHKに2人、東急エージェンシーに1人、博報堂に1人と、
マスコミ関係にも就職者を輩出している。
このあたりは、東大、慶応などの東京のトップ校と類似している。
④ネット系ベンチャー企業が多い
京都大学経済学部の特徴は、ネット系ベンチャー企業への就職が結構目立つ
ことである。
しかも、京都や大阪のベンチャー企業ではなく、東京のベンチャー企業に
就職している。大手金融機関と違って、関西まで来てくれないので、
東京に企業訪問等に行く負担を考えると結構大変である。
具体的な企業名としては、アカツキ、イトクロ、エムスリー、オロ、
クックパッド、Donuts、フリークアウト、PLAN-B、レバレジーズ等
である。
上位20社までしか開示が無いのでよくわからないが、慶応大学経済学部は
コンサバティブで大手企業や有名外資を好むようであり、ベンチャー系とか
自ら起業するのはあまり好まれないとも聞く。
この点は、京都大学経済学部の方が、ベンチャースピリットに溢れている
ということであろうか。
3. 京都大学経済学部の就職における課題
以上のように、京都大学経済学部の就職の特徴としては、中央志向が強く
ローカル色はほとんど感じない。
そして、超人気・超難関企業にも挑戦し、外銀・外コンにも人材を輩出
している。東京以外の大学で、外銀・外コン(MBB)に就職者がいるのは
京都大学位ではなかろうか。
また、総合商社にも強く、非関西系商社である三菱商事と三井物産にも
強いのが興味深い。
さらに、地理的に不便であるにもかかわらず、多数がネットベンチャー系
企業にも就職しており、慶応大学経済学部以上にフロンティア・スピリット
に溢れているのではなかろうか?
このように、京都大学経済学部の就職については特に課題というものは
ないであろう。
ただ、中央志向が強いため、就職活動で東京まで出てこなければならないという
不便さがある。この点は、大学としてはできることは限られるだろうから、
OB/OGの協力・支援体制がより必要とされるだろう。
また、京大経済学部からは、Wantedlyの仲さんとか、ドリコムの内藤さんと
いった著名なベンチャー起業家を輩出している。
ネット系ベンチャーについては東京が有利なのは否めないが、成功した
起業家を輩出すれば、ますます、良くなるであろう。