年収800万も?東大生も応募すべき?メルカリに新卒で入社することの意義。

 

1. 赤字決算も、まだまだ余裕のメルカリ

2019年2月7日、メルカリの第2四半期の決算が公表された。

結果は、米国事業が相変わらず足を引っ張り続け、まだ開発段階で収益を

産まないメルペイ事業のコストが響き、上期累計で最終損益が

約44億円の赤字であった。

 

他方、国内事業は絶好調で、2018年10~12月の流通総額、月間ユーザー数

ともに大幅のアップであった。

 

また、赤字といっても、メルカリは多額のキャッシュを抱えており、

財務的にコントロールしながら対応できるようである。

2. メルカリの新卒採用

米国事業や新規事業で苦戦はしていても、抜群の知名度と、成長性を

誇るメルカリである。

 

大変柔軟性に富む、ユニークな雇用システムを有しているメルカリであるが、

他の日本企業と同様に新卒採用もやっている。 

https://www.mercari.com/jp/recruit/newgrads/

 

新卒採用も、典型的な日本企業とは異なるユニークで中途採用に近い

イメージである。

 

まず、通年採用なので、いつでも応募可能である。

そして、インターン経由で入社する方法と、インターンを経由せずに

面接のみで入社する方法もある。

 

当然、コース別採用になっており、

エンジニア、

デザイナー、

プロデューサー、

と職種別の採用がなされている。

3. メルカリの新卒は初任給もバラバラ?

メルカリの新卒採用は中途採用に近い柔軟性がある。

したがって、初任給も人によって異なるし、交渉も可能なようだ。

 

少し前の、ソーシャルゲーム全盛期に、DeNAやグリーが初年度の年収が

1000万円以上も可能ということをアピールしたが、実際、1000万円を

新卒時からもらえた社員がどれほどいたかは定かでない。

 

他方、エンジニアの場合であるが、既に初年度の年収が800万円という

事例も出ているようだ。

 

非エンジニア職の、プロデューサー職の場合は大体450万円位が初年度の

年収の目安の様だ。

4. メルカリに新卒で入社することのメリット

①最新、最強のネットビジネスに参画することができる

ネットビジネスは、まだまだこれからも成長が期待されるビジネス分野である。

しっかりとしたスキルを身に着けると、将来の起業や、他のベンチャー

起ち上げに参画することも可能となる。

 

また、メルカリの場合はネームバリューもあるので、大企業に中途採用

入社するという選択肢もあるだろう。

 

ある意味、最強のECビジネスを展開している会社なので、そのビジネスに

参画できるという意義は大きいだろう。

フィンテック事業(メルペイ)も進行中である

今のところ開発段階で、収益的には足を引っ張っているメルペイ事業

であるが、こちらも注目度は高いし、戦略的な投資分野である。

最初は決済事業を起ち上げ、その後は各種金融事業への展開を目論んでいる

ようだ。

 

メルカリの場合、社内異動については極めて柔軟性が高いようなので、

こちらに異動してフィンテック事業に参画するという選択肢もある。

③副業OKなので、将来独立・起業を考える人には向いている

メルカリは明確に「副業OK」を強調している。

いきなり起業というのは抵抗があるが、サイト運営、受託開発等、

副業から小さく始めて様子を見るという選択肢もある。

 

メルカリには、優秀なエンジニア、デザイナー、マーケティングスタッフ、

コーポレートスタッフが存在するため、他の会社よりも成長できる

機会に恵まれているだろうし、将来に向けたネットワーク作りもし易い

だろう。

④充実した社内研修・教育体制

例えば、英語であるが、1 on 1レッスン、オンライン英会話等の

語学研修インフラがあるし、海外カンファレンスなど出張する機会も

多い。そして、何よりも、外国人社員も多く、英語を話せる機会が多い。

 

また、セミナー参加制度があり、一定の条件で会社が費用まで

出してくれる。

 

どこの会社も、研修・社員教育重視とは言うが、ここまで各種制度が

整った会社はそれほど多くない。

⑤従業員持ち株会制度

ずっとサラリーマンをやっていると、株式保有とは無縁になってしまう

場合が多い。

昔の大企業というのは、従業員持ち株会制度を推奨し、多くの社員が

自社株を保有していたようだが、最近では必ずしもそうではないようだ。

 

将来、独立・起業したいという人は、そもそも「株式」について

十分認識することが必要であって、従業員持ち株会制度によって

若いうちから株主になるのは悪くない。

5. 難易度はどうか?

メルカリの場合、メガバンクや総合商社と違って、一括採用ではない。

従って、多くの学生と直接競争をするというイメージでは無いので、

競争率とか、難易度を図ることは難しい。

 

もっとも、外銀・外コンのようなハイスペックの学生達と少ない椅子を

巡って戦う必要は無いし、総合商社のように、OB訪問での評価を

積み上げていくような面倒臭さはないであろう。

 

スペックは高いに越したことがないが、メルカリのプロダクトに対する

愛着度・関心度や、会社の経営理念に対する共感度・理解度、

そして、何よりも現に働いている人達との相性・好かれるか、

といったところがカギとなるのだろう。

 

外銀のValuationとか、外コンのフェルミ推定、ケース対策といった特有の

知識対策とかが不要であるので、東大生も、勉強を兼ねて話を聞きにいっても

面白いのではないだろうか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外銀や総合商社の若手社員が、ベンチャー企業への転職を考える場合の、チェックポイントについて

 

1. 何故わざわざ外銀や総合商社を辞めてベンチャー企業に?

まず、ここでいうベンチャー企業とは狭義のベンチャー企業で、非上場の

ベンチャー企業である。

ヤフー、楽天サイバーエージェントのような既上場の大手ベンチャー企業

含まれない。

 

せっかく、難関で好待遇の外銀や総合商社に入社できた若手社員が、

退職してベンチャー企業に転職を考えるのであろうか?

 

共通点としては、いずれもできあがった組織であり、上下関係が厳しく、

自由に好きなように働ける雰囲気ではないということであろうか。

 

しかし、ハイステイタス、高給、将来性、安定性等を考慮すると、

一般的には、ベンチャー企業に行くのは得策では無いだろう。

周りの人に相談すると、ほぼ辞めた方がいいという回答が返ってくるのだろうが、

それでも、あえてベンチャー企業に行きたいのであれば、以下のような事項を

チェックしてから、結論を出すべきだろう。

2. ストック・オプションをもらえるか?

①お金の問題だけではない、ストック・オプションの付与

ベンチャー企業に行くと当然年収は下がる。大体、20代で幹部社員

(といっても部下のいない1人部長のようなイメージ)の場合でも、

年収500~800万円位のレンジである。

(それについては、こちらのポストコンサルの記事が詳しい。) 

ポストコンサル転職の実態 - 戦略コンサルによる転職メディア

 

したがって、ストック・オプションを付与されないと転職すべきではない。

これが最初のチェックポイントである。

外銀・総合商社のステイタスを捨てて、わざわざベンチャーに行くのだから、

経営者側としても、ストック・オプションを付与するのは当然なのである。

 

というと、「自分はお金じゃないから、ストック・オプションは無くても

よい。」と思われるかも知れないが、それは誤りである。

 

それは、創業メンバー等はそれでよいかも知れないが、事業の拡大に伴い、

組織を拡大、要するに社員を増やしていく必要がある。

その場合に、相応の報酬を用意できないと、結局優秀な社員を採用する

ことができないのである。

 

ベンチャー企業は、人材の質こそが全ての競争の源泉であるはずなのに、

「お金が無くても優秀な人を採用できる」という安易な人的資源管理(HRM)

のセンスしかない経営者の会社は、競争に勝てないのである。

 

実際、UberとかAirbnbなんかもコアとなる社員には数千万円レベルの

パッケージを用意した上で採用してきている。

メルカリなんかも、上場前の早い段階から、コアとなる社員には

ストック・オプションを含む相応の待遇を要した上で採用してきた。

 

したがって、ストック・オプションも付与してもらえないベンチャー企業

ポジションには、わざわざ外銀・総合商社から応募すべきではないのである。

②ストック・オプションの内容

VCのトップ企業である、GCP(Globis Capital Partners)の幹部社員から

聞いた話であるが、発行済株式総数の約10%をストック・オプションに

使用するよう推奨しているという。

 

さらに、その10%の内訳は、3%を創業メンバー、3%を一般社員に付与

するイメージなので、創業メンバー以外の幹部社員(執行役員とか部長クラス)

には、合計3~4%付与するという形である。

 

この場合、各幹部社員に付与されるストック・オプションは、幹部社員の

人数によるわけだが、通常、幹部社員の数は5~10人位と想定されるから

1人あたり、0.3~0.6%位が目安となる。

 

そうすると、時価総額が100億円の場合だと、3000~6000万円、

時価総額が300億円の場合だと、9000万円~1億8000万円の

経済的利得をIPOが成功した暁には実現できることとなる。

③ストック・オプションの行使可能時期

ストック・オプションの行使可能時期は、入社後2年以降という、

「2年」が多いのではなかろうか。

もっとも、中には、3年~4年と長めであるが、その代わり、

1年毎に1/3、1/4が付与されるタイプもあり、この点については

会社によって違いがあるので要確認だ。

④ストック・オプションの内容

ベンチャー企業に参画して成功する場合というのは、IPOの成功に

依拠する場合が多いが、最近ではIPOではなくM&AによってEXITする

パターンも増えてきている。

 

M&A、要するに株式が未公開の段階で売却される場合には、付与される

ストック・オプションの行方がどうなるかについても確認しておいた

方がよい。

3. ベンチャー企業での職歴の評価

上記2では、経済面についてのチェックポイントである、ストック・

オプションについて述べたが、ここではベンチャー企業の職歴の評価

について考えたい。

 

もちろん、IPOまで辿り着いた場合には、その後転職したり独立したり

する場合でも、輝かしい経歴となるだろう。

 

しかし、問題はIPOM&Aまで辿りつけずに、失敗に終わった場合である。

 

結論的には、この場合は残念ながら、外資系企業や国内系大手企業からは

全く評価されないと考えた方が賢明である。

「優良企業を捨ててまでベンチャーで挑戦したので、失敗しても、

そのベンチャー・スピリットは評価できる!」といった甘い話は無いのだ。

 

要するに、ベンチャー企業での転職の失敗は、単なる「履歴書の汚れ」

黒歴史」にしかならないということを認識する必要がある。

 

2000年前後の第一次インターネット・ブーム、2005-2006年頃の

ホリエモンが台頭してきた頃の第二次インターネット・ブームの

期間、野村證券とか外資系証券からベンチャー企業に転職して失敗

した人達を知っているが、結局、彼らは金融業界(銀行系証券会社)に

復帰し、年俸は以前より下がることになってしまった。

どこの金融機関も、数年間の失敗したベンチャー企業での経験は

マイナスにしか評価してくれなかったのだ。

 

したがって、ベンチャー企業に転職するにあたっては、失敗して、

元の業界に復帰する場合には、マイナスにしかならないということを

念頭に置くべきである。

4. ベンチャー企業の後のキャリアをどう考えるか

上記の話と重複するのであるが、IPOに成功した場合であっても、

そのまま定年までベンチャー企業で働き続けることを想定する人は

少ないであろう。

 

従って、ベンチャー企業への転職が成功しようが失敗しようが、

その後のキャリアを考えておく必要がある。

 

失敗した場合の、典型的なパターンは元の業界に戻るということであるが、

総合商社の場合は難しいであろうから、どこか別の国内系の優良企業を

探すことになるのだろうか。

 

成功した場合には、IPOの成功体験を持って、また別のベンチャー企業

転身する場合もあるし、また、自ら起業に挑戦をするというのも

アリだろう。この場合には、いろいろと楽しい未来が待っている。

5. ベンチャー企業の探し方

ベンチャー企業の場合、外資系企業や国内大手企業と違って、転職エージェントを

使わないケースが多い。

或いは、転職エージェントを使う場合にも、ベンチャーに特化した転職エージェントを

使うケースも多い。具体的には、この辺りである。

 

〇グリーン

〇Goodfind

〇プロコミット

〇for Startups, Inc.(旧ネットジンザイバンク)

 

それ以外だと、ビズリーチとか、Wantedlyを使って検索することになる。

どこが特におすすめというわけではないが、結局一か所だと案件数が

足りないので、併用するのが一番賢いやり方である。

 

それから、上記以外だと、リクルートはおススメである。

既存ベンチャー大手の子会社を始め、かなり多くのベンチャー企業

求人情報も持っている。

 

結局、ベンチャー企業も、外資系金融機関のポジションを探すのと同様で、

面倒だが、数を打つしかない。

まとめ

外銀や総合商社から、ベンチャー企業に転職するのは上記の通り、

あまりお勧めではない。

 

条件的なものもあるのだが、自ら起業をしたいというのなら理解できるが、

「雇われ」の身分でベンチャーに行くというのが中途半端だからだ。

 

それでも、ベンチャーに行きたいという場合には、上記のチェック

ポイントを慎重にチェックして、納得の上で転職すべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年収や将来性の観点から、東大法学部生は、最初から「社内弁護士」を目指すくらいであれば、他の途を選択した方がいいのでは?

 

1. 社内弁護士の人数の急増

司法制度改革に伴う弁護士数の急増に伴い、社内弁護士の人数も急増しているようだ。

従来は、弁護士というのは独立して自分の事務所を持つか、あるいは、

渉外事務所のパートナーを目指すというのが一般で、社内弁護士というのは、

極めて例外的な位置づけであった。

ところが、司法制度改革に伴う弁護士数の急増に伴い、社内弁護士の人数も

急増しているという。

 

しかし、ほとんどの場合、社内弁護士の年収等は、独立している弁護士と比べると

大きく見劣りするケースが多いと考えられ、これから弁護士を目指す学生は、

以下の点を吟味した方が良いと思われる。

①独立弁護士と社内弁護士との年収格差

弁護士会の統計等を見ても、年収に関しては、独立弁護士の方が

社内弁護士よりも明らかに多い。

全然業界は違うが、イメージ的には、開業院の年収が勤務医の年収の2倍位

あるのと似ているのかも知れない。 

bengo4.hatenablog.com

②年収3000万円以上の社内弁護士もいるというが…

上記引用ブログの中で紹介されている日本組織内弁護士協会の2016年

実施のアンケートによると、社内弁護士の年収に関して、

・年収5000万円以上:2.9%

・年収3000万円~5000万円:1.6%

・年収2000万円~3000万円:3.7%

と、そこそこの年収がある人もそれなりにいるではないかという

ように見えるかも知れない。

 

しかし、留意しなければならないのは、現在年収が3000万円以上ある

社内弁護士は、法務部長、MDクラスであって、年齢的には40~50代が多い。

合格者数500人~700人時代の旧試合格者で、勝ち逃げできるような人たちで

あって、今からそのポジションを目指すのは競争がし烈であり、

そこに就くことができると考えるのは楽観的である。

 

ある程度参考になるのは、平均年収が1143万円(2016年調べ)という

点であり、今後これが維持される保証もない。

③社内弁護士はサラリーマンであり、「経費」が使えない

さらに、社内弁護士の夢を削ぐようなコメントをして申し訳ないが、

社内弁護士の場合はサラリーマンなので、個人事業種の強みである

「経費」が使えない。

 

このため、年収2000万円以上の勝ち組社内弁護士のポジションにつけた

としても税金がタンマリと取られ、同じ年収レンジの独立弁護士のような

ゴージャスな生活が送れない。

 

ただし、社内弁護士の場合には、手厚い退職金と年金があるので、

老後については有利かも知れないが。

2. それでも社内弁護士になりたい人はどうすればいいか?

それでも自分は、個人で独立経営するのは面倒くさいし、経費なんて使いたくない。

そして、大きな組織で働きたい、という人もいるだろう。

そういう場合、社内弁護士で高い年収が狙えるのは以下のパターンであろう。

外資系金融機関の社内弁護士

社内弁護士の最高の勝ち組は、外銀のGeneral Counsil(MD)、或いは、

法務・コンプライアンス本部長である。

リーマンショック前の最盛期は、Max年収2億円、大手外銀のMD/

法務・コンプライアンス本部長であれば、年収1億2000万円位が

相場であったろうか。

 

この当時は、社内弁護士と言っても最高峰の大手外銀MDに就任できた

弁護士は、渉外事務所のパートナーからもうらやましがられる存在

であった。

 

しかし、リーマンショック後は、トップクラスなら年収1億円も

いるかもしれないが、大手外銀MDでも7000万円クラスであろうか。

 

ただ、この大手外銀のMD、法務・コンプライアンス部長のポジションは

1社に1つしかない。

また、ナンバー2のSVP/Directorポジションも、1社あたり1~2名

程度であり、年収水準は、4000~5000万円である。

 

極めてポジション数は限られていることに留意しなければならないので、

なかなか狙ってなれるものではない。

 

外資系運用会社(バイサイド)には、ほとんど社内弁護士のポジションは

なく、ヘッジファンドの良いポジションで3000~4000万円くらいである。

そうなると、渉外法律事務所のパートナーよりも少なくなってしまう。

外資ITのシニア・リーガルポジション

外資系金融以外で、高給が期待できる社内弁護士のポジションは、

GAFAマイクロソフトシスコシステムズ、オラクル等の外資ITの

シニア・リーガルポジションである。

 

部長(General Counsil)だと、ベース(基本給)、ボーナス、RSUと

呼ばれる株式ボーナスを全て合わせると5000万円以上のポジションもある。

また、ナンバー2のSenior Manager或いはDirectorのポジションで

3000万円程度が期待できる。

 

もっとも、これらのポジションの数は業界全部で数十人分くらいしかない

ので、狙ってなれるものではない。

現在就任している人達は、ほとんどが四大渉外事務所或いは外資系法律

事務所からの転職組なので、生え抜きで狙うのは厳しいだろう。

 

また、「外資系」といっても、製薬含むそれ以外のメーカーの社内弁護士の

給与水準は大幅に見劣りする。

 

そのあたりの社内弁護士の年収事情については、こちらの過去記事もご参照

下さい。 

blacksonia.hatenablog.com

3. 国内系企業の社内弁護士について

①大前提:そもそも法務部長は社長になれない!?

国内系企業の社内弁護士の年収を考える前に、まず、そもそも論なのだが、

法務部長は社長になれるポジションだろうか?

 

答えは明らかでNoである。

経理部長や人事部長、営業部長は社長になり得るポジションであるが、

法務部長は社長どころか代表取締役までもなれない、端っこの

ポジションではなかろうか?

 

したがって、社内弁護士になるというのは、そういうことであり、

あくまでもスペシャリストであり、取締役等への出世を期待しては

いけないポジションなのだ。

 

これが出発点である。

②国内系企業の社内弁護士の年収について

基本的に、国内系企業の社内弁護士の年収は、非弁護士の法務部員、

要するに、一般社員と同じである。

 

従って、業種と役職によって異なるが、せいぜい1000万円代前半

程度である。若手であれば、1000万円にすら満たない。

 

もちろん、退職金とか企業年金といった福利厚生には恵まれているが、

それは一般社員も同じである。

別に、社内弁護士の退職金や企業年金が一般社員よりも良いという

ことはない。

 

ということは、弁護士になるまで、既習2年、新試と合格発表まで半年、

修習1年を考えると、最短でも4年は入社が遅れてしまう。

すると、その分、生涯賃金は少なくなってしまう。

 

それに、なるまでのコストとプレッシャー、リスクを考え合わせると、

わざわざ一般社員と同じであれば、最初から社内弁護士になるために

わざわざ弁護士資格を取ろうとするのは割に合わないのではないだろうか?

4. それでは、どうしたら良いのか?

今、既に弁護士資格を持っており、ワークライフバランス、その他の理由から

社内弁護士を検討するのはわかる。

 

しかし、今法学部生で、最初から社内弁護士になるのを前提として法科大学院

目指すのは何ともコスパが悪いのではないだろうか?

 

東大法学部生の場合は、先輩や同期のキャリア、また、周りの目?、

から弁護士位にならないと格好がつかないのではというプレッシャーを

感じるのかも知れない。

 

これは、早慶、或いは、一橋の法学部生との違いであろう。

 

もちろん、法律専門職になりたくて弁護士を目指したいというのであれば

全く問題はない。ただし、そういった場合には、

(1)独立弁護士

(2)渉外弁護士のパートナー

を目指すのがいいのではなかろうか?

 

特に、法律職に興味は無いし、独立とか個人経営は面倒くさいなと考えるので

あれば、サラリーマンの最高峰である、外銀とかの金融キャリア、

あるいは終身雇用の最高キャリアの総合商社を目指してみればいいのでは

ないだろうか?

 

東大法学部生といえども、弁護士の資格を取るのは大変だが、

外銀とか総合商社であれば、相応の対策をとれば、それほど難しいわけではない

だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外資系投資運用会社(アセマネ/バイサイド)の就活における特徴

 

1. 外資系か国内系か?

証券会社と比して、地味目で一見何の仕事をやっているのかわかりにくい存在として

投資運用会社が存在する。

 

証券会社がセルサイドというのに対して、運用会社はバイサイドという呼ばれ方を

されたりもする。

また、会社名の語尾に「アセット・マネジメント」というのが付く会社が

多いことから、略して「アセマネ」という呼ばれ方をされたりもする。

 

証券会社の場合、外銀と呼ばれる外資系証券会社と、リテール部門を持つ

国内系証券会社とでは就活における対策が異なってくる。

同様に、投資運用会社の場合も、外資系と国内系とで対応法が異なってくる

ので、今回は外資系投資運用会社について言及したい。

2. 外資系投資運用会社(アセマネ/バイサイド)の就活について

①そもそも新卒で募集している会社数及び採用人数が少ない

日本で活動をしている外資系投資運用会社の会社数は多い。

これは、外資系投資運用会社の魅力なのだが、1社あたりの従業員数が

20~100人位と少人数であるところが大半である。

このため、新卒採用をしている会社は以下の会社位である。

 

外資系金融機関系>

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)

JPモルガン・アセット・マネジメント

UBSアセット・マネジメント

ドイチェ・アセット・マネジメント

 

<独立系>

ブラックロック

〇フィデリティ

外資系投資運用会社の就活で求められるスペック

外資系投資運用会社も、外銀同様に、新卒・若手の段階から給与水準は

高い。また、将来も金融プロフェッショナルとして自分のスキルによって

どんどんキャリアアップが可能な業界であることは同様である。

 

このため、自分に自信のあるハイスペックな学生が応募するため、

狭き門であること自体には変わりない。

 

また、実は、入社後は外銀ほどは使用頻度は少ないのだが、英語力を

問われるので、高度な英語力(最低でもTOEIC860以上)を持ち合わせて

おく必要がある。

③性格における相性

同じ外資系といっても、外銀と運用会社とではかなりカルチャーは異なる。

運用会社は、長期的な視点で運用を行う会社であり、ストックビジネス

である。

このため、運用資産残高(AUM:Asset Under Management)さえ存在すれば、

何もしなくても、運用報酬が入ってくる。

外銀のように、顧客に頻繁に有価証券の売買や、M&A/ファイナンス

してもらわないと稼げないビジネスとは異なるのである。

 

よって、比較的穏やかでのんびりしているタイプが適しており、短期な

人には向いていないかも知れない。

 

面接では、優秀かどうかというより、結局は好きか嫌いか、「一緒に

働きたい」と思ってもらえることが重要である。

 

したがって、知識の凄さをアピールしたり、アグレッシブに自己主張したがる

タイプは合わない。(外銀IBDもそうだが)

 

相手の話をよく聞いて、にこやかに対応する戦略が堅実であろう。

④準備しておきたいスキルに関する知識

ハイスペックな学生が競争するので、外銀ほどは就活時点での知識は

厳しく問われないだろうが、基本的な投資に関する知識は学習しておく

必要がある。

 

おすすめなのは、証券アナリスト試験(CMA)で1次試験3科目に

合格しておくと、話が早い。

費用も数万円程度だし、入社後も必要な知識を予め学習できるので

やっておくといいだろう。

外資系でも、証券アナリストの1次試験に合格しておくと

そこそこ差別化は可能であるし、国内系運用会社、或いは、

国内系証券会社(コース別)の就活においても汎用的に使える。

 

また、市場・相場に関する好奇心は持っておくべきだ。

昨日時点での日経平均株価、NYドル、円ドル為替相場位はフォロー

しておきたい。

できれば、少額でもいいので、株式投資をやっていると自然な形で

投資に興味が持てるのでこちらもおススメである。

⑤就活においての心構え

本当に外資系投資運用会社で働きたいのであれば、仮に新卒採用で

落とされたとしても、国内系運用会社で経験を積めば、将来外資系に

転職することは十分可能である。

この点は、外銀との違いである。

外資系運用会社の就活時におけるポジション数は少ないが、反面、

中途採用になると、会社数が多いため、きっちりした国内系での

業務経験さえあれば外資系への転職は難しくないのである。

 

従って、最終的に就職するかどうかは別として、国内系運用会社も

併願し、「仮に就活で外資系に落とされても中途で行けるから

問題ない。」という気持ちで臨むのがいいだろう。

 

外資系運用会社の就活でのチャンスは多くないので、無用なプレッシャーを

持たずに自然体で臨めることが重要なのだ。

まとめ

まだまだ投資運用会社の魅力については、十分に認知されていない。

証券会社よりも運用会社の方が性格的に向いている人はいるので、

相場や投資に興味がある学生は挑戦してみてはどうだろうか?

 

なお、外資系投資運用会社の年収等については、こちらの過去記事を

ご参照下さい。 

blacksonia.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東大生(法学部、経済学部)の、将来の就活・勝ち組キャリアプランについて予想してみた

 

序. 就活や勝ち組キャリアは20~30年単位では変化する?!

世の中の変化に伴い、大学生の就活の人気企業とか、勝ち組キャリアは

20~30年もすると変化するものだ。

 

例えば、東大生(主として文系)の場合も、外銀・外コンなんて30年前には

影も形もなかった業種である。

また、東大法学部の中でも、弁護士が最高の勝ち組、続いて官僚、そして

民間企業という序列があったが、薄給でステイタスも凋落傾向にある

官僚の人気は無くなってきている。

 

さらに、東大法学部卒業生の間でも羨ましがられる存在であった弁護士も

司法制度改革による弁護士数の急増により、以前ほどの人気は無いだろう。

 

他方、東大生の間ではまだまだマイノリティかも知れないが、

ベンチャー起業⇒IPO/M&AによるEXITというキャリアは30年前には無かった。

 

現在の東大生(特に法学部、経済学部等の文系)にとっての、人気トップ3の

外銀、外コン、総合商社も5~10年位のスパンでは上位に留まっている

のだろうが、20~30年位先になるとわからない。

 

そこで、ここでは、20~30年先の東大生の就活・キャリアプランについて

長期予想をしてみることとした。

1. 将来予想をする上での基本的な視点

就活やキャリアプランの将来予想をするには、社会全体がどのように

なっているかの予想が前提となる。

ここでは、以下のような基本的な視点に立って、予想を行うこととする。

(平凡な項目で申し訳ないが…)

少子高齢化

面白くもなんともない、聞き飽きたテーマであるが、ただ、これは20年位

先でも外すことはないであろう。

また、現在の企業の採用においても、この考え方が前提になっている。

 

少子高齢化が進展すると国内市場が縮小する。

しかし、経済界の主体である大企業(上場企業)は成長を余儀なくされており、

売上・利益・株価時価総額を成長させていかなければならない。

そうなると、海外市場で稼ぐとか、新しい財・サービスを創造させていく他ない。

このため、就活においてもグローバル人材が求められているのだ。

 

この少子高齢化に伴う国内市場の縮小と、グローバル人材・新規事業創造人材

というテーマは継続して行くだろう。

②極限までの東京一極集中化の進展

今は東京オリンピックのイベントネタ、或いは、東京オリンピックの後には

不動産価格が下落するのではないかということが取り上げられたりする。

 

しかし、問題はそのような短期的な問題ではなく、今後も続いていくであろう

東京一極集中の動きが止まらないことだ。

 

現在の東京都の人口を即答できるだろうか?

従来は長らく1200万人と答えれば正解であった。

では、今は1300万人?

正解は、何と1400万人(1386万人、平成31年1月1日現在)である。

そして、「東京」というのは「首都圏」と置き換えても構わない。

神奈川、埼玉、千葉県も増加しているからである。

札幌、仙台、広島、福岡のように県全体では人口が増加していないが、

県庁所在地が県内の人口を吸収したという事情とは異なるのである。

 

意外にヤバイのが、神奈川県の人口が918万人(平成30年8月1日現在)と

1000万人に迫る勢いだからである。当然、大阪府(882万人)より多い。

 

ちなみに、埼玉県は733万人、千葉県は627万人と、こちらもかなりの

ものである。

 

ここ数年は、東京都は年10万人程度のペースで増加しているので、

単純にこのペースが継続するとなると、20年後には1600万人になってしまう。

もし、年20万人ペースになると、20年後には2000万人が視野に入って

来てしまう。

 

東京都の人口増加のペースが高まることは十分に考えられる。

人が多く集まると、ビジネスがし易い。ビジネスがし易いと、投資資金や

情報がますます集中する。そうなると、ビジネスがますますし易くなり、

仕事が増えて人がますます多く集まる。そうすると、投資資金や

情報に加えて、エンターティメント、飲食店等の娯楽施設もますます

充実する。

そうなると、エンターテインメントを求めて、ますますインバウンドの

外国人観光客にとっての魅力がますます高まる。そうすると、更に

東京都にお金が落ちてますます栄え、人が増え続ける。

 

さらに、地方の少子高齢化に伴うネガティブな影響は深刻であり、

地方が衰退すればするほど、職あるいは刺激を求めて、東京に人が

集中する。

 

この動きを食い止めることは困難である。

 

もちろん、人口が増え続けると、環境、通勤、犯罪等、ネガティブな要因も

増えるのだろうが、東京がますます繁栄し、地方がますます衰退していく

という流れを反転させるのは難しいのではなかろうか?

 

この東京集中の一極化は、後述のIT化の進展とも相俟って、東京でビジネスを

始めることにより、ベンチャー、起業等、個人経営で一発当てることが

し易い環境になるのではないかと推測される。

③IT化の進展と高まるエンターティメントへの渇望

IT/AI技術の進展に伴う雇用の影響云々ということは、聞き飽きるくらい

あちこちメディアで取り上げられている。

 

しかし、この流れが外れるということは無いであろう。

シンギュラリティがどうのこうのと言っても仕方がないが、単純に考えても

IT関係、AI関係の市場・雇用は拡大するのであろう。

 

その中で強調したいのが、エンターティメントに対する人々の渇望の

増大である。

衣食住に必要なものはとうに揃っているし、途上国経済が進展すると、

コモディティ的な農産物、工業製品、或いは事務処理サービス等はどんどん

途上国にアウトソースされるだろう。

そして、人々の自由時間、余暇の時間が増えるに連れ、エンターティンメント

に対する人々の欲求は増大するであろう。

 

実は、エンターティメントに係る職業の収入レベルは、以前よりも遥かに

高まっているし、増加傾向にある。

スポーツ選手の年収、映画俳優、ミュージシャンの年収は、海外のケースを

見ると明らかだが、桁が違ってきている。

 

日本でも30年ほど前には、落合選手あたりのダントツトップの選手で

ようやく年俸1億と騒がれたが、今ではトップクラスの選手の

年俸は5~6億程度になっている。この間、物価水準は5倍にもなっていない

はずだ。

 

例えば、トップクラスのユーチューバーの年収が5億円クラスであるが、

これはエンターティメントに対する需要が高いということが裏側に

あるのであろう。

 

今後は、ますますエンターティンメントで大きく稼ぐことができるように

なると考えられる。ここはまだまだAIに作れるとは思われないからだ。

(何故、エンターティンメントビジネス従事者が大きく稼げるかについては

こちらの過去記事もご参照ください。) 

blacksonia.hatenablog.com

働き方改革の影響(労働時間、副業、フリーランス

現在、政府が推進しようとしている働き方改革である。

不思議なことに、学生、特に東大のようなトップ学生は、就活の企業選びの

ファクターに「労働時間が少ないこと」をあげていないようだ。

年収にはこだわるが、「時給」にはさほどこだわりはない。

というか、長時間労働、ハードワークを選好しているようにさえ、

見える。

だからこそ、勤務時間が長い割には給与水準は外銀ほどには高くない

外コンが人気なのである。

 

しかし、これは副業禁止とも関係があるのではないだろうか?

要するに、副業が禁止されていると、労働時間に余裕ができたところで、

そのぶん副業で稼ぐということができない。

そうであれば、現状の仕事に集中投下した方が、昇格、スキルの習得

といった点で、有利なのだ。

 

ところが、副業が解禁・緩和され、アルバイトに毛が生えたような月数万円

程度の副業ではなく、月に数十万円稼げるような仕事が可能になると

状況は変わってくる可能性がある。

副業がOKか否かで、実質的に年収が数百万円単位で変わり得るからだ。

 

そうなってくると、ヤフー、メルカリといった新しい会社の人気度が上昇

してくる可能性がある。

 

時間の問題だけではなく、エンターティメントへの需要と、IT技術

進展によって、ますます個人の情報発信による収益化が簡単になると、

C向けのIT企業がノウハウの取得という点においてもメリットが生じて

くることとなる。

2. 現在の東大生からの人気職種はどうなるか?

上記の基本的な予想に基づき、現在多くの東大生が就職している企業・

業界はどうなるのかについて予想してみた。

メガバンク・生保・損保

比較的予想しやすいのが、このセクターではないだろうか?

少子高齢化によって、国内市場はまず縮小するだろう。

かといって、海外市場で稼ぐのは容易ではなく、安易なM&Aに走ると

野村證券のリーマンブラザーズ買収のように、大損するリスクが

高い。クロスボーダーM&Aは大変難易度が高いM&Aだからである。

 

また、IT/AIの進展によって、既存の実店舗、従業員等は余剰資産に

なっていく可能性が高い。

 

もっとも、先鋭的なメディアが時々取り上げているような、銀行が

要らなくなるということはないだろう。

独立系FINTECH企業は既存の金融機関に依存しようとしているし、

LINE等の事業会社は金融機関経営のスキルが全くないからである。

 

以上より、20~30年後もこういった既存の大手金融機関は存在

しているが、年収水準は今より2割程度下がると想定しておくのが

無難ではないだろうか。

実際、メガバンクの年収水準はこの20~30年間で、部店長クラスは

2割は減少しているだろう。

外資系金融機関

外資系金融機関のうち、外銀、外資系証券会社は、会社数は減少

するかも知れないが、ゴールドマン・サックスJPモルガン、UBS

あたりのトップファームはまだ生き残るだろう。

歴史も長い業界だし、グローバルでトップクラスの人材が集まる

企業だからである。

 

したがって、今よりはマイナーな存在になるかも知れないが、

金融プロフェッショナルというスキルとサラリーマンとしては最高の

年俸水準を武器に、東大生の中でも人気業種であり続けるの

ではないだろうか。

 

外資系金融機関のうち、運用会社(バイサイド)またはヘッジファンド

存在感は今よりも高まる可能性がある。

今では新卒採用をしていない会社が大半であるため、認知度は低いが、

外銀に準じる高額な年俸と、金融プロフェッショナルという点は

共通点があるからである。

グローバルで運用が求められる資金量は継続して拡大することが

予想される以上、業界としては健在ではないだろうか?

 

また、ヘッジファンドでは今でも1億円以上の高額な年俸が狙える

職業であり、もう少し注目されてもいいだろう。

③外コン

サービス業、ITビジネスの進展に伴い、外コンという職種に対するニーズは

まだまだ増加していくし、無くなることは無いと考えられる。

 

ただ、問題は需給であって、近年、戦略系も総合系も人材採用のペースが

早すぎるきらいがある。昔は4~5人位しか新卒採用をしなかった

マッキンゼーやBCGが40~50人も採用している。

 

また、総合系ファームも同様で、アクセンチュアは400~500人位

新卒採用をしている。

 

さらに、戦略系、総合系ファームはいずれも中途採用にも熱心である。

 

そうなると、弁護士でさえ、供給(合格者数)が増えればあっという間に

人気が急落したので、外コン系は要注意である。

④総合商社

総合商社は、グローバルでありとあらゆる業種を展開できるというのが

特徴のグローバル・ポートフォリオビジネスである。

従って、その存在価値が無くなることがないというのが強みである。

 

問題は、どういったビジネス分野に注力をし、その見通しが当たるか

どうかということである。

 

その点、金属・エネルギー資源に偏りすぎな三井物産はリスクが高い

ように思われる。

他方、伊藤忠住友商事はバランス的に面白い。どういうテーマが

来てもそれなりに対応できる素地がありそうだ。

 

ただ、総合商社全般に言えるのが、今後ますます存在感が高まる

IT分野でどう稼ぐかだ。バリバリの年功序列で生え抜き至上主義の

総合商社のカルチャーとITビジネスとの相性が悪いからだ。

このため、GAFAとか、アリババ、テンセントといったところで

大儲けをし損なっている。

 

今後は、IT分野で稼ぎ損なうことが無いよう、対応できるかどうかが

カギであろう。

⑤弁護士、官僚

官僚の薄給、長い労働時間、年功序列、副業規制、周りからの厳しい目を

考えると、まだまだ東大生における人気は下がって行くだろう。

 

弁護士については、1500人程度の新司法試験合格者数は継続すると

予想され、全体としてはまだまだ厳しくなっていくだろう。

もっとも、弁護士は歴史的にもグローバル的にも、一定の存在感の

あるエリートの職業であり、ニーズ自体は根強く存在する。

このため、渉外事務所のパートナークラスについては、

まだまだ1億以上の年俸が期待できるし、個人経営の事務所も

何らかの分野で存在感を示せれば大儲けすることもできるだろう。

3. 新しい勝ち組は、会社経営・個人事業者・フリーランスではないか?

実は一番言いたいところは、これである。

今は、ほとんどの東大生が考えていない、会社経営、個人事業者、

フリーランス、要するに組織に属さないで個人の力で稼ぐことが

できる職業だ。

 

典型的なのは、ユーチューバーとか、個人ブログ運営者だ。

既に、トップクラスはユーチューバで年収5億以上、

個人ブログ運営者で年収1億円以上を稼いでいる。

 

また、ベンチャー起業家も今まで以上に存在感を増すだろう。

 

そうなってくると、東大生から、これらの個人事業者、経営者を目指す

者も増えて来るのではないだろうか。

 

そのあたりの理由について、以下まとめてみた。

①サラリーマンとのあまりにも大きな年収格差

起業家にせよユーチューバーにせよ、成功すると数億円クラスの年収と

なる。しかも、20代で達成が可能だ。

 

これに対して、サラリーマンの場合は、上場企業の場合だと

30年かけて役員に昇格しても年収は数千万円位にしかならない。

 

実は、東大生は多くの年収を稼げる職業に動く。

外銀が典型だ。きれいごとを言ったところで、もし外銀の年収が

メガバンクと同じになれば、東大生は誰も外銀に行かないだろう。

 

リスクがあるのを承知で、東大生は外銀に挑戦しているのだ。

外コンも、年収水準は外銀には及ばないが、似たような理由であろう。

 

ただ、東大生は慎重なので、そういった美味しい話にはすぐには

飛びつかない。

しかし、周りの目を気にする点は他の人達と同様、いやそれ以上に

強く、一定数の東大生が目指すようになれば、一気に追随する

学生が急増するのだ。

一見リスキーに見えるが、周りの東大生がパラパラと志すように

なると、安心して追随するのだ。

 

外銀・外コンもそのようなプロセスを経て、一気に東大生の中で

浸透したのだ。

 

東大生ユーチューバーとか、東大生ブロガーというのは今だと

今では想像できないかも知れないが、数人、数億稼ぐ人がでてきたら

変わる可能性がある。

②引続き需要があるであろう新規事業の創造ができる人

グローバルでの運用対象資金は引き続き増加が見込まれ、先進国の

経済成長に伴い、VCを含むオルタナティブ資産への資金の増大が

見込まれる。

 

また、既存の事業会社も、新規事業の創造が苦手であり、また、

手っ取り早く売り上げを作れるM&Aへのニーズは消えない。

 

そうした環境下、相場環境によって左右されるものではあるが、

ベンチャー起業家の存在感はまだまだ高まって行くだろう。

 

特にここ数年、IPOだけではなくM&AによるEXITが増えてきており、

数億円規模であれば、最初からEXIT目的での起業も可能である。

 

株式譲渡による所得については、税制上も大いに有利であり、

年収、お金という観点からは極めて魅力的だ。

 

起業、事業者としての能力は、学歴に必ずしも比例するわけではないが、

東大からベンチャー起業を目指す学生は徐々に増えていくのではないだろうか。

③個人事業者/会社経営者と、サラリーマンの、税制上の不均衡

サラリーマンの場合、「経費」というものが事実上使えないため、

同じくらいの年収であれば自営業者が有利である。

 

外銀で成功して年収1億円になっても、きっちり半分は税金でもって

行かれてしまう。

 

サラリーマンの場合、給与収入が2000万円を超えない限り、確定申告さえ

不要なので、税金に対する理解が不十分な人が東大生でも多い。

 

沢山稼ぎたい場合には、税制を考えると、サラリーマンよりも個人事業者、

会社経営者が有利なのである。

 

(もっとも、実質年収が1000万円に満たないような、稼げない自営の

場合は社会保険とか、退職金・年金の面で、同じくらいのクラスの

サラリーマンに劣ってしまうので、これは稼げる自営業者についての

話である。稼げないとそもそも、「経費」云々を使える局面が

無いからである。)

 

なお、このあたりの新しい稼ぎ方については、こちらの過去記事をご参照ください。 

blacksonia.hatenablog.com

4. 将来、大きく稼げる東大生に求められるスキル

①情報発信力

個人で低コストで手っ取り早く稼げるビジネスは、ブログ・SNSを駆使した

ビジネスである。

上で引用した過去記事の通り、ブログビジネスの強みは、低コスト、というか、

ほぼコストゼロなので、売上が起てばほぼ利益である。

 

そのために必要となるスキルが情報発信力である。

SEOとか、ツィッターYouTubeといったテクニック的なスキルも当然重要だが、

根本的にコンテンツを作成し、情報を発信する能力が試される。

 

このような情報発信力を習得するには、まず、実践してPVを獲得する感覚を

身に着けることだ。自分自身のブログ・SNSにPV、要するに集客できることが

できれば、後はマネタイズの方法に過ぎない。

 

学生時代から、ブログやツィッターで情報発信を行う練習を始めるのがいいだろう。

ブログの始め方については、既に多くの書籍やウェブ情報が沢山ある。

ちなみに、こちらはブログ界の大御所イケダハヤトさんのブログより。

 

ブログ初心者だった頃の自分に教えてあげたいこと。 : まだ東京で消耗してるの?

②個人の経営センス

東大生に弱点があるとすればここである。

東大生が強い、大きな組織、官僚、大企業、外銀・外コンは全て、

できあがった組織であり、自分自身は歯車の一つとして出世の階段を

上っていくだけである。

 

東大生(法学部)が強い、渉外弁護士事務所も、形の上では個人事業者である

ものの、多くの部下(アソシエイト)やバックオフィス(秘書、経理、総務等)を

抱え、大きな組織の役員のような位置づけである。

 

ところが、個人経営の場合は、全て1~10まで自分一人でやらなければならない。

仕事も上から与えられるものではなく、自分自身で開拓していかなければ

ならない。

 

そのためには、本当のベンチャー(従業員10人未満)で長期バイトなどを

してみると、経営者(個人事業者)の感覚がわかるのではないだろうか?

チェーン店の飲食店とか塾講師のバイトをしても何の役にも立たないので、

勉強という意味で、本当の零細ベンチャーをおすすめできる。

嫌だと思えば、すぐ辞めればいいし。

ちなみに、その手のベンチャーのバイトは、こちらのサイトで検索するのが

便利なようだ。

www.passion-navi.com

 

所得税:退職金、経費、株式のキャピタルゲイン税制等

これは、税法のお勉強、知識の習得ではなく、税制の重要性を認識するという

ことである。

 

これは、国策なのではないかという意見もあるが、サラリーマンというのは

税制に無頓着であり、それは、エリートサラリーマンも同様である。

というのは、給与収入が2000万円を超えない限り、サラリーマンは

大手でも中小でも、国内系でも外資系でも、会社が源泉徴収してくれる。

長年それに慣れると、その方が楽だと洗脳され、自らの所得税を計算

できないサラリーマンが大半ではないだろうか?

 

ところが、年収が増えるに従って、税金の重みは効いてくる。

将来稼ぎたい者は、若いうちから税制について敏感になっておく必要がある。

④エンターテインメントのセンス

これは、上記①の情報発信と被るところがあるが、エンターテインメントの

センスは今後個人事業で稼いでいくためにはますます重要になるだろう。

 

トップクラスのユーチューバー、ヒカル、ヒカキン、ラファエル、

はじめしゃちょークラスになると、年収数億~5億程度である。

それには、エンターテインメントのセンスが必要だ。

 

特に、2020年から開始予定の5G時代になると、個人コンテンツである

SNSにも動画の要素が絡んでくることになり、コンテンツのレベル

だけではなく、動画を通じたエンターテイメント性も競争要因に

なってくると予想される。

 

東大生が人気ユーチューバーの番組を見ても面白いと思わないだろうが、

どこが受けているのかという観点で、勉強のためにチェックしても

いいのではないだろうか。

ファイナンスのセンス

外銀・外コン・総合商社を狙うのであれば、英語力が必須となって来る。

しかし、最初から個人事業者を目指すのであれば、英語はできるにこした

ことはないが、必須では無いだろう。

 

他方、東大生であればマスターしておきたい基本スキルはファイナンス

であろう。

会計とは微妙に異なる。ファイナンスを理解するためには、

会計の基礎知識は必要だが、それにプラスアルファの学習が必要となる。

 

要するに、株式、不動産といった資産、ストックの評価が必要になるという

ことだ。個人ブログでビジネスを始める際には、ブログ自身を売却して

儲けることもできる。

その際には、ブログの価格評価をして、それをどうやったら高めることが

できるのかというのが重要になる。

 

個人のブログ売却といっても、数千万円から数億円で売却できるケースも

あり、重要な収益源の一つである。

 

東大であれば、経済学部の金融学科の科目に企業価値評価とかファイナンス系の

科目があるので、そういったものを履修するのもいいし、また、

証券アナリスト試験(CMA)は簡単だし、いざとなれば金融系の就活にも

転用できるのでおススメである。

最後に

学歴・学力と稼ぐ力・年収は必ずしも一致するわけではない。

それは、海外でも同様で、HBSを成績優秀で卒業しても商才が無い者もいる。

 

しかし、学力が高い者が稼ぐために本気で勉強すると、勤勉だし、理解力も

高いため、一般人よりも成功できる可能性は高いのではないだろうか?

 

実際、東大からも古くはリクルートの江副さん、最近では工学部の松尾先生の

研究室から成功する起業家を輩出している。

 

20年以上先の将来、東大から就職せずにいきなり起業・個人事業者を目指す

勝ちパターンができていたら、面白いのではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘッジファンドに就職するための転職エージェントの探し方。通常のバイサイド(運用会社)との違いは?

 

1. 情報が少なく、ミステリアスなヘッジファンド

外銀(外資系証券会社)と比べて、地味目で情報が少ない存在であるバイサイド

(運用会社)であるが、その中でも、輪をかけてヘッジファンドの情報は

少ない。

 

実は、現役のバイサイド(運用会社)の社員でさえ、ヘッジファンドの情報は

あまり持ち合わせていない。

 

もし、フィデリティ、ブラックロック、或いは、野村アセットマネジメント

大和投資信託委託の知人がいると、以下の質問をしてみたらいい。

 

「転職したいと思う、ヘッジファンドにはどういうところがあるか?」

「日本で成功しているヘッジファンドにはどういうところがあるか?」

 

おそらく、「よくわからない」という回答が返ってくるのではないだろうか?

それほど、ヘッジファンドは知られにくい存在であるのだ。

2. 日本に拠点のあるヘッジファンドの分類

ヘッジファンドは、その投資戦略や投資対象によって分類されることが多いが、

ここでは、テーマが「就職・転職」であるので、「免許」「業態」を

基準に分類したい。

 

結構マニアックな情報で、同じ金融業界でも、証券会社とか銀行の人は

ピンと来ないかも知れないが、イメージをつかんでいただければOKである。

 

(1)駐在員事務所(REP:Representative Office)

通常、REP(レップ)という呼び方をされる日本への出店形態の1つである。

REPはヘッジファンドに限らず、海外の親会社の業態が、証券、銀行、

バイサイドを問わず、採り得る形態である。

 

REPというのは単なる駐在員事務所で、日本の金融免許を何一つ持っていない。

したがって、営業活動をすることは認めらず、調査活動が認められる程度である。

 

したがって、スタッフの数も1人とか2人と少人数で、オフィスも小さい

ローコストで運営されるケースが大半である。

 

このため、日本のビジネスを本気で展開しようと海外の本社が決断した

わけではないので、簡単に撤退してしまうリスクがあることに留意すべきだ。

 

(2)投資助言業

投資助言業というのは金融庁への登録が必要とされる業態である。

国内、外資系を問わず、小規模な業者が採用する形態であり、

通常5人か、せいぜい10人以下の陣容である場合が多い。

 

海外のヘッジファンドが日本への進出にあたって、この投資助言業の形態を

採っている場合は、そこそこ見られると思う。

 

(3)投資一任業務(+投資助言業務)

これは上記(2)のワンランク上の、バイサイド(運用会社)における

ライセンスであり、これ以上のものは無い。

 

フィデリティとか野村アセットマネジメント保有している金融免許も

この投資一任業務であり、この投資一任業務をもっているヘッジファンド

日本で本格的にビジネスをしようという意図であると推察される。

 

とはいえ、証券会社と比べると、従業員数は少なく、国内・外資系を問わず、

10人~30人位のレンジであることが多い。

 

(4)第二種金融商品取引業

これは、バイサイド(運用会社)の社員でもよく知らないであろう、

マイナーなライセンスであるが、海外のPEファンド、不動産ファンド、

VC(ベンチャーキャピタル)等が保有する場合が多い。

 

上記(3)の投資運用業のライセンス保有会社が、併有することもある。

 

(5)適格機関投資家等特例業者

国内・国外を問わずヘッジファンドがこの免許で営業をするケースは多い。

VCなどが好む事業形態である。

ここでは、比較的小規模(従業員数10人以下)のヘッジファンドが選好

する形態と覚えておけばいいのではないだろうか。

3. ヘッジファンドに就職するための転職エージェントについて

ヘッジファンドは大手の場合であっても、日本における拠点の従業員数は

少なく、求人の募集を掛ける場合も、一斉に多くの大手転職エージェントに

声掛けすることは通常見られず、付き合いの深い転職エージェント、

或いは、個人経営のヘッドハンターに依頼することが多い。

 

このため、バイサイド(運用会社)の社員も、普段付き合いがある

転職エージェントからは、ヘッジファンドの求人情報をつかめない

場合がある。

 

結局、以下のような方法で、広めに網を張る他ないだろう。

①エグゼクティブ・サーチ・ファームを使う

ヘッジファンドへの就職を真剣に考えるのであれば、これが王道と言える。

エグゼクティブ・サーチ・ファームというのは、求人企業から、

特定の人材の一本釣りを依頼されるステイタスの高い転職エージェント

である。

 

ここから話が来ると、独占的な案件である場合が多いため、採用されるか

どうかはわからないにせよ、最終的な面接プロセスまで進む場合が

多い。

要するに、お声がかかれば、オファーをもらえる確率が高いということだ。

 

但し、一般の転職エージェントと違って、常時求人情報を多数持っている

わけではない。このため、自分が転職をしたいタイミングで案件を紹介

されるわけでは無いのが難点である。

 

また、対象者が少なくとも部長(CXO)以上であるので、若手社員は

対象外になってしまう。

 

エグゼクティブ・サーチ・ファームのうち、ヘッジファンド

強いと思われる以下の2社には登録することをお勧めである。

 

ラッセル・レイノルズ

 Leadership Advisory | Executive Search | Russell Reynolds Associates

 

ハイドリック&ストラグルズ

Heidrick and Struggles Asia Pacific

②一般的な金融系に強い転職エージェントのうち、ヘッジファンドにも強いところ

金融機関に強い転職エージェントは沢山あるが、その中でも、

ヘッジファンドに強いところと、ほとんど、扱っていないところもある。

転職エージェントは転職をする人が多く、こういった案件は属人的で

あったりするので、常に以下の転職エージェントがヘッジファンド

強いというわけではないことに留意すべきである。

 

2019年2月時点で、比較的ヘッジファンドの情報を持っている転職エージェント

としては以下のものがあげられる。

もちろん、これらのエージェントに限られるわけではないので、数多くの

エージェントにあたれば、掘り出し物が出てくる可能性が拡がる。

 

マイケルペイジ

外資系転職のマイケル・ペイジ | 世界大手の転職エージェント | 外資系求人5000件以上

 

モーガンマッキンリー

 Morgan McKinley : 外資系転職・国際的な人材コンサルティング会社

 

アンテロープ

金融&コンサルティング業界専門の転職エージェント アンテロープキャリアコンサルティング

③個人経営のヘッドハンター

ヘッジファンドは小規模な組織なので、元金融機関の個人経営のヘッドハンター

を利用して採用活動を行うケースもある。

ただし、どこの個人経営のヘッドハンターが良いのかを個別に検索することは

できない。

従って、個人経営のヘッドハンターの多くが依存している転職プラットフォーム

ビズリーチに登録する他ない。

 

ビズリーチに登録しているヘッドハンターからの求人情報はハズレも多く、

玉石混交であるが、なかなか効率的に活動するのも難しく、

とりあえず登録して気長に待つしかない。

4. 通常のバイサイド(運用会社)を対象とした転職活動との違い

最大の違いは、ヘッジファンドの案件数は少なく、情報を持っている

転職エージェントが偏在しているので、普通に活動していたらなかなか

案件に出くわさないということだ。

 

しかし、裏を返せば、幅広く的を得た転職エージェントとの付き合い方を

していると良い案件に出くわす可能性が高まるわけである。

そうなった場合、ライバルが少ない分、オファーをもらえる可能性は

高いのだ。

 

長年外資系金融にいて、何回も転職をしているにも関わらず、

ごくごく限られた転職エージェントとしか付き合いがなかったり、

エグゼクティブ・サーチ・ファームを知らない人が結構いる。

 

転職活動は情報戦であるので、この辺は面倒かも知れないが、頑張って

広く活動する他ない。

 

 

 

 

 

一橋大学よりも良好?慶応大学経済学部の就職と課題について

 

1. 極めて良好な慶応大学経済学部の就職状況

慶応大学は就職に強いとされているが、伝統のある看板学部の経済学部

の就職状況はとりわけ良好である。

学校側もHPで詳細に経済学部の就職先について開示をしてくれている。

2017年度 経済学部卒業生の進路 - キャリア - 経済学部 - 慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科

 

上位には、メガバンク東京海上野村證券と大手金融機関の、しかも

トップ企業がずらりと並ぶ。

 

さらに、トップ学生の間でも人気ナンバー1である総合商社も、

経済学部だけで、三菱商事に8名、三井物産に7名、丸紅に7名、

住友商事6名、伊藤忠に5名と、多くの学生を送り込んでいる。

 

また、日本航空電通野村総合研究所ソニー新日鉄住金

NTT東日本キーエンスと、サービス業、インフラ、メーカーと幅広く

人気企業への就職者を輩出している。

 

少々意外であるのが、日本政策金融公庫(8名)、商工組合中央金庫(8名)、

日本銀行(5名)と、国立が優位とされている、採用数が少なく狭き門と

されている政府系金融機関にも人材を輩出している。

 

それから、慶応大学経済学部の特徴として、

新日本監査法人(14名)、トーマツ(9名)、あずさ(9名)と、

監査法人に就職する学生が多いことが指摘できる。

これは、公認会計士の合格者数が長年トップであることに起因すると思われる。

 

以上のように、慶応大学経済学部の就職については、質的にも量的にも

何ら課題は無いように見える。

2. 一橋大学と比べてもそん色はない慶応大学経済学部の就職内容

①よくある批判的な意見

上記の就職状況については、2ch等の学歴板では、国立優位を唱える

者が多いことから、

「慶応大学経済学部は人数が多い」、

「慶応大学経済学部には強固なコネや体育会が混ざっており、

一般学生の枠は見かけよりも減る」、

「慶応大学の場合、女子が一定数いるので、一般職も含まれている。」

といった批判がなされることがある。

 

しかし、女子と一般職については、経済学部の場合は女性の比率は2割程度と

他学部(例えば法学部は4割)と比べて低く、そもそも一般職自体枠が少ないので

全体に大した影響を及ぼすことは無い。

 

また、強固なコネとか体育会というのは、はっきりとした統計が存在する

わけではなく、人数自体はそれほど多くないと思料される。

②生徒数が多いとの批判:一橋大学全体との比較

東大や京大の場合、理系が含まれており、学部別の詳細な就職先の開示が

無いので、一橋大学全体との比較が参考になるだろう。

 

一橋大学の場合は、理系が存在せず、また、文学部・教育学部系も

存在しないから、慶応大学経済学部と比較しやすいからである。

 

また、慶応大学経済学部の就職者数は1003人であるところ、

一橋大学全体での就職者数は850人程度であり、若干、少ない程度だ。

 

一橋大学の3メガバンクへの就職者数は、17~18人なので、慶応大学経済学部

の方が多い。

生損保については、日本生命が12名、東京海上が9名であり、特に東京海上

については、慶応大学経済学部が明らかに優位である。

 

一橋大学から三菱商事住友商事伊藤忠は、9~12名と、ここでは、

若干一橋大学が優位であるが、三井物産では慶応大学経済学部の方が

優位である。

 

以上のように、慶応大学経済学部の場合、生徒数を考慮しても、

一橋大学全体に劣っているということはない。

 

また、ここでの統計には表れていないが、外銀・外コンへの就職者数では、

慶応大学経済学部が一橋大学よりも多い。

 

このため、トータルで見ても、慶応大学経済学部の就職状況は、

国立大学でトップクラスの一橋大学と変わらないレベルなのである。

3. 慶応大学経済学部の就職における課題

メガバンクと生損保への就職者と将来のキャリアプラン

以上のように、人気企業・就職偏差値上位企業への就職力という点では、

何の課題もないだろう。

 

しかし、課題は就職してから先のキャリアについて、十分に考えられて

いるかどうかということだ。

 

外銀・外コン、監査法人、総合系コンサルティング・ファームに

就職する者は、セカンドキャリアを十分考えているだろう。

 

また、総合商社を選択した者は、総合商社のビジネスモデル的に、

終身雇用を想定したとしてもいいだろう。

 

ところが、メガバンク、生損保を選択した多数派の学生はどうだろうか?

ファーストキャリアとしての、入り口段階での就職偏差値や就職人気度

こそ高い、これらの国内系金融機関であるが、将来も安泰とは言い難い

のではないだろうか?

 

もちろん、20年後には無くなってしまうということはないだろうが、

少子高齢化で間違いなく国内市場はシュリンクするわけで、

国内でしか稼げないメガバンクや生損保の将来はどうだろうか?

 

国内で稼げないからといって、下手に海外に出たり、海外M&Aを

やると特損につながるということが歴史的教訓ではなかったろうか?

 

また、フィンテックの進展によって、店舗や人材の過剰感は既に見えて

いるのではなかろうか?

 

このため、会社は将来も存続するのだろうが、年俸水準は今よりも

2割位減ると考えた方が堅くないだろうか?

 

そうなった場合、会社に留まりたいと思うだろうか?

また、20年後に会社を出たいと思ったときに、年収が上がるような

転職が可能なスキルを付けることが可能だろうか?

 

慶応大学経済学部の場合、こういった国内系の金融機関の比率が他校と

比べて極めて高いため、そこに就職した学生が将来のキャリアをしっかりと

踏まえた上で就職しているのかが大きな課題だと思われる。

 

慶応大学経済学部卒業生数が1003人のうち、3メガバンクだけで74名、

大手損保が44名、大手生保が16名と、これだけで134名となる。

他の民間銀行や生損保を加えると、かなりの数となるだろう。

これらの金融機関に就職した学生が20年後、競争力のある市場価値の

高い人材になれるかが課題なのである。

メガバンクと生損保に就職した場合の転職強化策

スキル的には、英語力を磨く、ITリテラシーの向上、社外でも通用する

金融スキルの習得といったところが上げられる。

 

ただ、転職エージェントに足を運んで自分の市場価値を検証したり、

外銀・外コン・総合商社に就職した友人と交流したり、

独立・起業に関するコミュニティに足を運んだり、自己のキャリアを

如何にして磨いていくかを考えなければならないだろう。

 

慶応大学の強みとして、豊富な情報量というのがあり、それは就活時の

他校には無い強みとなっているが、そういったネットワークは就職後も

活用すべきだと考えられる。