【ES、志望動機】GCAから内定をもらうために必要なことと、外銀・国内系IBDとの比較
- 1. GCAにおけるキャリアの特徴
- 2. GCAの年収、年金・退職金、ワークライフバランス、リストラリスクについて
- 3. GCAのESについて
- 4. GCAから内定を得るために必要は基本的な事項
- 5. まとめ
GCAは、東証1部上場の、M&Aに特化した独立系のアドバイザリー・ファームである。
最近では、中途採用より新卒からの採用に軸足を置いている模様であり、
外銀や国内系IBDを目指すハイスペックな学生としては、気になる会社であろう。
そこで最初に、GCAの特徴について、外銀や国内系IBDとの比較の上で、検討したい。
1. GCAにおけるキャリアの特徴
①案件のソーシング段階からPMIまで幅広いM&A関連業務に従事できる
GCAは証券会社ではなく、M&Aに特化したアドバイザリー・ファームであるので、
M&AのExecutionだけではなく、案件ソーシングの段階から、PMIまで幅広く関与することができる。
この点、野村・大和等の国内系IBDは、案件ソーシングは強大な法人販売網を基に、案件は法人営業部門が持ってきてくれるし、外銀も国内系もPMIは労働集約的で儲からないので本音はやりたくない。
このため、M&AはExecutionに特化しがちであるが、GCAだと幅広くM&Aに掛かるスキルを習得することが可能となる。
②中小型案件は十分にあるが、大型案件の機会にはそれほど恵まれない
GCAの場合、外銀が相手にしないような小型案件、フィーの安い案件でもバンバンとってくるので、中小型案件では十分な経験を積むことができる。
しかし、国内系大手や外銀と比べて、グローバルネットワークや大手企業に関する営業力は劣後するので、大型案件に関与できる機会は多いとは言えないようだ。
結局、佐山さんとか渡辺さんのような創業者が個人的な知名度とスキルで大型案件を取ることができたのだが、今後、そういった機会がどれほどあるのかは未知数である。
③ネームバリューが高くない
GCAは一般的に知名度が高くないのは仕方がないとして、外銀や国内系IBDの
プロフェッショナル達の間で特に評価が高いということはない。
(もちろん、佐山さんや渡辺さんは除く。)
従って、外銀や国内系IBDに転職する際に、特に一目を置かれるとか、
他の候補者よりも優先的に採用されるというメリットはない。
また、ネームバリューの低さが響くとすれば、ベンチャー系に転身する場合であろう。
ゴールドマン・サックスとかモルガン・スタンレーとかであれば、企業名だけで
ベンチャー企業のCFOポジションが回ってくるチャンスがあるが、
GCAは知名度・ブランドが無いので、そういった恩恵には預かれないことを留意すべきだ。
2. GCAの年収、年金・退職金、ワークライフバランス、リストラリスクについて
①表面的な年収は、まずまずである。
GCAの場合、入社1~2年目の年収は600万円程度であり、外銀よりは劣るが、
国内系IBDと比べるとそん色はない、
そして、20代後半のシニア・アソシエイトになると、1000万円程度に到達することが可能である。
30代前半で無事VPに昇格できれば、トータルで1500万円位の水準となる。
もっとも、ボーナスの変動によってブレ幅が大きいことは外銀・国内系IBDと
同様である。
そして、30代半ば以降、ディレクターに昇格すると、年収は2000万円以上となる。
(もちろん、ボーナス次第であるが。)
結局、外銀IBDと比べると、上になるほど大きく見劣りするものの、
国内系企業ということであれば、総合商社や国内系IBDクラスのハイレベルの
年収を得られるということになる。
②問題は、退職金も確定拠出型年金も無いこと
ただし、留意しなければならないことは、退職金も確定拠出型年金も無いことだ。
これらは、事実上非課税なので、その影響は結構大きい。
例えば、外銀IBDで30歳位まで働いて退職した場合には、手取りで1000万円程度の
退職金がもらえるケースが多い(基本給の1割位が退職金になるので)。
また、確定拠出型年金が1年間で約60万円なので、運用益がゼロだと仮定しても、
約500万円程の年金が積み立てられることになる(但し、使えるのは60歳時点)。
従って、この点は、実質的に給与水準を割り引いて見る必要があるので、
これらを踏まえると、GCAの給与水準はそれほど魅力は無いということになる。
③クビ、リストラのリスクは外銀と比べて格段に低いが、終身雇用では全くない
日本人メインの日本企業であるので、クビやリストラのリスクは外銀と比べると
格段に低い。
これが、待遇面における、外銀と比較した場合の最大のメリットであろう。
また、ハードワークであるが、外銀のようなひどさではないので、
この点でも外銀よりは恵まれている。
しかし、だからといって終身雇用ではない。
50歳を過ぎると基本給はどんどん下げられていくし、ディレクター以上に昇格して、
会社との雇用形態が業務委託になれば雇用の安定性は落ちる。
この点は、国内系IBDより大きく劣る点である。
結局、リスクやワークライフバランスという点では、外銀と国内系IBDとの中間という
位置付けであろうか。
3. GCAのESについて
前置きが長くなったが、ESにおいては、基本的に志望動機、自己PR的なもので
特段奇をてらった内容ではない。
もっとも、GCAの場合は、国内系IBDのように(IB業務に詳しくない)若手の人事部員がESをチェックするということはない。
また、M&A専業のアドバイザリー・ファームであるという特徴がある。
このため、具体的なM&Aに関する内容を踏まえて構成するのがいいだろう。
面接においても、バリュエーションとかM&Aプロセスのようなテクニカルな内容について聞かれることがあるので、M&Aについては気になる事例とか、基本的な知識については予め押さえておくべきである。
4. GCAから内定を得るために必要は基本的な事項
まず、学歴であるが、やはりそれなりにスペックは高い。
MARCHは公認会計士資格保有者を除き、あまり見当たらないようだ。
(詳しくは企業Webのプロフィールを参照。)
但し、外銀や国内系IBDと比較すると、東大があまり見られない。
良くも悪くも、東大は特別評価してもらえないかも知れないので、東大生としては
そこは気になるところである。
英語については、東京オフィスは基本的に日本人ばかりなのだが、
クロスボーダー案件の拡大を図ろうとしているし、海外拠点も拡張している。
したがって、外銀レベル程は不要であるが、英語力は将来のキャリア形成も踏まえて
磨いておくことが望ましい。
それから、GCAの特徴としては、M&Aに特化した企業である。
従って、M&Aに対するこだわり、知識、関心度は、潜在力も重視する外銀や国内系IBDよりも、強く意識しておく方がいいだろう。
関連する書式は最低限押さえておくべきだ。
なお、GCAを第一志望とする学生は多くないかもしれないが、外銀の押さえとしてでも、真剣に内定が欲しい学生は、OB訪問をしておくべきだろう。
やはり、小規模なオーナー系企業であるので癖はあるのと、コネクションがものをいうだけに、シニアレベルの社員から推薦してもらえると、その後もスムーズに行く可能性が高まるからだ。
5. まとめ
将来のキャリア、待遇、業界内のポジション等を考慮すると、
外銀>国内系IBD>GCA>国内系金融総合コース、という序列になるだろうか。
しかし、M&Aにこだわりのある専業ファームであるし、社員のスペックは総じて高い。
トップ学生とはいえ、舐めてかかると落とされるだろうから、
M&Aの事例や理論を予め十分予習した上で臨みたいところだ。