一橋大学生の三井不動産・三菱地所への就職について、バブル期を振り返って考えてみた

 1. 再び一橋大学生の不動産会社への関心が高まってきている?

どれくらいの信憑性があるかわからないが、東洋経済が大学別の就職人気ランキングというのをやっていた。

記事は、1年前のもので、順位の変動が激しいので参考程度にした方がいいが、

とにかく不動産会社の人気が急上昇していた。


toyokeizai.net

 

まあ、理由としては不動産市況が高騰しており、大手デベロッパーの業績も良好だということは容易に推察できる。

2. 30年前、バブル期の一橋生の就職人気ランキング

統計的なものは残っていないが、バブル期の就職人気は以下のようなものであった。

 

興銀>電博、不動産>メガバンク(都銀)>商社>証券>メーカー

 

顕著な傾向としては、とにかく興銀が文句なしの人気ナンバー1であった。

10人に1人しか内定はもらえないイメージで、体育会、国家一種試験合格者じゃないと

厳しいという理解であった。

興銀に内定をもらえた学生は一目を置かれた。

 

80年代後半(バブル期)の特徴として、商社の人気は高くなかった。

当時は商社冬の時代と言われ、給与水準も今の8掛け位のイメージで、

給与トップは、野村證券日本生命東京海上より明らかに下であった。

このため、大手5社を会社訪問すると、普通の学生でも少なくとも1社は内定を

もらえる状況であった。

 

バブル期で証券会社は空前の好況であったが、上位校からの証券会社の人気は低く、

都銀(メガバンク)よりも格下の業界と言われていた。

当時はコース別採用が無く、リテール営業に回されるリスクを排除しきれなかったのも

上位校から採用ができない原因であった。

都銀や証券、生保はフリーパスで誰でも内定をもらえた。

(今も、証券会社のコース別を除くと、そうかも知れない。)

 

メーカーというのは、当時もマイナーな存在であって、経団連銘柄(自動車、

鉄鋼、重電、化学)と大手食品(ビール、味の素)に毎年数人行くイメージであった。

もちろん、内定は難しくなく、普通に対応できれば誰でも内定はもらえた。

 

不動産、一橋生が検討するのは、三井不動産三菱地所であったが、バブル期の前から

採用人数は極めて少なかったので、もともと内定は至難の業であった。

一橋の場合は、建築学科とか土木学科とかは無いので、どうしても不動産会社に

入らなければならないといった事情は無かったので、三井不動産三菱地所がダメであれば、東急不動産、東京建物あたりまで対象を拡げることはあったものの、それ以外に就職するのはほとんどいなかった。

 

なお、バブル期においては、外銀・外コンというのは、

ほとんどまとまった新卒採用を実施しておらずまだまだマイナーな存在であったので、

上記のランキングの対象外というイメージであった。

 

結局、バブル期においては、興銀がダントツナンバー1で、

反面、商社は人気が無く、電博、不動産は採用人数が少ないため、一貫して狭き門であった。

 

3. 歴史からの教訓

30年前の歴史を振り返ると、こういった企業・業種の栄枯盛衰は必ずあるので、

付和雷同的に人気ランキングや周りの学生の行動ばかりを気にしても、

あまり賢明ではないということだ。

 

結局、商社を選んだのが勝ち組で、興銀含む金融を選んだのは負け組という結果となった。当時、金融の凋落を誰も予測できなかったので、反対に、30年後は商社がどうなっているかはわからない。

 

他方、大したものだと思われるのは、30年以上の長期に亘って、

不動産会社(三井不動産三菱地所)と電博は、ずっと、勝ち組だということだ。

 

反対に、メーカーは一貫して、サービス業に勝ったことがない。

自動車は若干向上、鉄鋼・化学は横ばい、重電は下降といったイメージか?

結局、給与水準では役員にでもなれない限り、大手金融には勝てないし、

だからと言って、ベンチャーで成功することもできない。

こういうことを考えると、一橋からメーカーに就職する意味はなんだろう?と考えてしまう。

4. 不動産会社でのキャリアについて

不動産会社を志望する学生は、純粋に開発業務とかに憧れるのが志望の理由であろう。

高年収とかカッコよさ(モテ度)の追求ではないだろう。

三井不動産とか三菱地所の場合は、完全終身雇用だし、AIに将来仕事を

奪われるといった脅威も無いだろう。

従って、転職力とか、将来の転職を考える必要はあまりないだろう。

 

2000年前後は、ローンスターとかエートスとか、ハゲタカ系の不動産ファンドに転身する人も若干いたが、マイノリティであった。

不動産会社にいたら、不動産価値評価、デューデリジェンスといった不動産投資に関する基本的なスキルは習得できるのであろうが、今後、そういったスキルを利用して、

外資系ファンドでアップサイドを狙うというのは難しいだろう。

 

もっとも、個性的な独立系の不動産会社は、時々現れるので、そういった不動産系ベンチャーに転身するといった途は開けるだろうが、年収水準とリスクを勘案した場合には、あまりおすすめではない。

 

以上より、やはり、高い競争を経て、三井不動産三菱商事に就職できたのであれば、

素直に終身雇用を狙うのが堅実なのではないだろうか。

 

5. デベロッパーに行きたい場合は、どこまで見るべきか?

三井不動産三菱地所は難関なので、デベロッパーを志望する学生は、

どこまで会社訪問をすべきかということであるが、住友不動産東急不動産

東京建物、せいぜい、野村不動産までで十分ではないだろうか。

それ以下だと、ネームバリューや給与水準で見劣りするからである。

したがって、NTT都市開発とかヒューリックとかサンケイビルとか、そういった

ところを回るのであれば、他業界を検討した方がいいのではないだろうか?

 

或いは、信託銀行の不動産コースを狙うという手もあるが、部門別採用では無いので、そこはリスクである。

 まとめ

上位のデベロッパーというのは、長期間上位に君臨している、安定した魅力のある

業界である。

但し、入社するのは困難なので、柔軟に他の業界も並行して検討するのが堅実だろう。