新しいキャリア形成法 ストックオプション、ショートイグジット、プロブロガー

 

急速に変容していく勝ちパターン

 

一流大学を出た若者が社会的、金銭的に成功するパターンは、昔はそんなに多くなかった。当時、例えば1980年代においては、インターネットも無いし、東証マザーズも無い。従って、起業、IPO、企業売却によるイグジットなどはあり得なかった。

もちろん、ブログとかも無いので、イケダハヤトさんやはあちゅうさんのように、著名ブロガーが知名度を活かして、出版したり、コンテンツ課金によって儲けるという途は無い。

さらに、当時株式手数料は自由化されておらずネットも無いので、ネット証券は存在しなかった。このため、デイトレーダーで成功するというパターンも無い。

結局、成功しようと思えば、医学部を出て医者になる、極めて狭き門であった司法試験に合格して弁護士になる、国家一種試験に合格して一流官庁に入省して年を取ってから成功する、一流企業に入って出世をするというパターンしかなかった。

ホリエモンなど登場の余地はなかった。

 

インターネットの登場によってベンチャー起業による成功の途が開けた

 

ところが、1990年代にインターネットが拡がりはじめ、東証マザーズが1999年に開設されると、ネット起業&マザーズ上場という新しい勝ちパターンが生まれた。

それまでは上場というと少なくとも10年は掛かったところが、ネットとマザーズの組み合わせにより、わずか2-3年でIPOができるようになったのだ。

もちろん、IPOがしやすくなったといっても、一年間で上場できる会社は100社程度。多い年でも年200社程度であり、ネットIPOのハードルは低くない。

もちろん、自ら起業しなくても、大企業からネットベンチャー企業に転職し、ストックオプションをもらって成功するというパターンもある。例えば、グリー、MixiDeNA、Gumi等に早いタイミングで幹部で入社した社員は多額の金額をストックオプションによって手にすることができた。とはいえ、ストックオプションを行使できるまで通常2年間は待たないといけないし、必ず成功裏に上場できるという保証はない。ストックオプション狙いの転職も容易な途ではない。

 

自ら起業した会社を短期間で売却するショートイグジットという途

 

アメリカではベンチャー企業の場合は、IPOよりも売却(M&A)というのが一般的な選択肢になっている。VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けた企業は、8割以上がM&Aによってイグジットしている。

日本でも、2017年頃から、M&AによるイグジットがIPOを上回るようになったと言われている。既存の大企業だけでなく、ネットベンチャー企業も一旦上場してしまうと、株主からの成長プレッシャーからか、ベンチャー企業を買収するというニーズが高まってきている。

この場合、面白いのは比較的短期間にまとまった金額で売却に成功したケースが出ていることである。例えば、動画の3ミニッツという会社は創業わずか2年で40億円強でGREEに買収されている。そして、特に強烈な印象を残したのはDMMによる、中古品換金アプリの「CASH」の買収であるある。これは、創業わずか2か月の会社が70億円で売却できたケースであり、ネットビジネス関係者も驚愕した話である。これは大変夢のある話である。

もちろん、こういったケースは特殊であり、なかなか狙ってできるものではない。

しかし、売却金額が10億に満たない、1-5億円クラスになると短期間での企業売却成功のケースはごろごろあり、最初から短期間での売却を狙っての起業する経営者も出てきている。

それでも、起業するとなると、会社勤めの人は仕事を辞めないといけないし、そもそも、何で起業すればいいかすらわからない人が大半であろう。特に、一流企業のサラリーマン程、組織が大きいため独立・起業には不向きであるし、給料・ステイタス等の待遇が良く失うものが大きいため、なかなかショートイグジット狙いの起業に踏み込めるものではない。

 では、プロブロガーの途はどうだろうか?

 

さらに時代は進化し、プロブロガーというキャリアも選択肢となってきた。プロブロガーとは、ブログに専念し月間数十万レベルのPVを獲得することを前提に、アフィリエイトGoogleアドセンスによる広告収入、有料オンラインサロンやNoteの販売、リアルのセミナー開催や出版によって生計を立てる人々である。

イケダハヤトさん、はあちゅうさんが知られているが、トップクラスでは年商が億を超える水準になっているようだ。

そこまで行かなくても、月商100万円以上というレベルであればいくらでもあるという。

 

このプロブロガーというのは、上述した起業の途とは大きく異なる点がある。それは、元手がかからないということと、兼業として始めることが可能なことだ。

兼業として始めて、様子を見て専業にできるという点は大きい。

成功するかどうかがわからない起業と比べて格段にリスクが低いからだ。

 

働き方改革による副業規制緩和の流れの中、プロブロガーを目指すというのは面白い選択肢になりうるのではないだろうか。