不動産ファンドの年収と転職について
- 1. 不動産ファンドとは
- 2. 不動産ファンドを運営している企業にはどういうものがあるか
- 3. 不動産ファンドの年収と職種について
- 4. 不動産ファンドに転職する意味
- 5. 不動産ファンドに転職するにはどうすればいいか?
- まとめ
1. 不動産ファンドとは
不動産ファンドとは、投資からの出資や、銀行からの借入によって資金を集め、
その資金で不動産を購入し、その不動産からの収益(賃料収入や売却益)を
投資家に還元する仕組みを言う。
世の中、〇〇ファンドと呼ばれるものが数多く存在するが、不動産ファンドは
投資対象が不動産である点が特色だ。
2. 不動産ファンドを運営している企業にはどういうものがあるか
不動産ファンドを運営している企業は、不動産会社系、金融機関系、外資系と
様々な運営母体がある。
良く知られているのが、J-REITの運用会社で、日本ビルファンドマネジメント、
ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント等、40社以上存在する。
また、主として機関投資家向けに不動産を運用する会社として、
三菱地所投資顧問、三井不動産投資顧問など、「投資顧問」と名の付く
大手デベロッパーや住宅メーカー等の子会社が数多く存在する。
さらに、外資系の不動産(ファンド)運用会社の日本拠点も数多く存在し、
ラサール不動産投資顧問、エートス、GIC、キャピタランド、オークツリー、
ハドソン、CBRE等の他、ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン、
モルガン・スタンレー・キャピタルといった投資銀行系の会社も
存在する。
(※アンテロープというのは不動産ファンドにも強い転職エージェントで、
「不動産金融」というのはここでは不動産ファンド関連という意味である。)
主要な不動産金融の企業一覧リスト|金融転職・コンサルタント転職のアンテロープ
3. 不動産ファンドの年収と職種について
不動産ファンドの年収は、国内系か外資系か、また職種によって異なる。
職種については、アクイジション・マネージャーと呼ばれる物件取得を
メインとする投資運用の職種と、それ以外のバックオフィス(経理、
コンプライアンス、レポーティング)に大別される。
①国内系の会社の年収について
J-REIT系の運用会社を含め、国内系の会社の場合には、職種による違いは
それ程大きくなく、800~2000万円位のレンジとなる。
投資運用関連については、担当者レベルであれば、800~1000万円位、
マネージャー、部長というシニアなポジションの場合、1200~1600万円
位であろうか。
また、経理とかコンプライアンスといった非運用系の職種では、若干安く、
管理職で1000~1200万円、多いところで部長クラスで1200~1500万円
程度であろうか。
いずれにしても、年収2000万円を超えるのは難しい。
②外資系の会社の年収について
不動産ファンドは、有価証券を投資対象とする外資系運用会社や
ヘッジファンドと比べて、年収の水準は高くない。
アセットマネージャー等の運用系の職種の場合、担当職から課長クラスの
マネージャーの場合、800~1500万円、部長(Director)クラスで、
1600~2500万円という水準である。
非運用関係の職種である経理、レポーティング、コンプライアンスだと、
部長(Director)クラスで1500~1600万円位であろうか。
コンプライアンス部長の場合だと若干高く、2000万円位は出る場合も
あるようだ。
これを見ると、外資系といっても、それほど妙味のある年収はもらえない。
この背景としては、不動産ファンドは「ファンド」という金融的な名称は
付くが、その実態は「不動産」業であるので、金融業界の給与水準の方が
不動産業界の給与水準よりも概して高いので、このような形に
なると言われている。
90年代の後半には、銀行の不良債権(不動産担保付き)のバルクセールの
絡みで、ローンスターとかサーベラスという不動産系のハゲタカファンドが
荒稼ぎし、その従業員も5000万円、ポジションによっては1億円という
景気のいい話も散見されたが、残念ながら、今ではそのような案件は
存在しないようだ。
4. 不動産ファンドに転職する意味
給与水準が外資系でもせいぜい2000万円程度であり、終身雇用が保証
されていない状況を考慮すると、40代で1400~1500万円位もらえる
日本の金融機関から、不動産ファンドに転職する意味はあまりない。
実際、不動産ファンドの社員の多くは、不動産畑である。
不動産会社の場合は、三井不動産のようなダントツ給与水準が高い会社は
例外なので、大手の管理職でも1000~1200万円位に収まるので、
1500~1600万円、場合によっては2000万円が見えると、年収面における
魅力はあるのである。
また、不動産ファンドのポジションは、J-REITや私募不動産ファンドを
含めて、国内系の会社の数が多く、また、外資系でも英語ができなくても
OKというポジションがある。
このため、どこかしら行き先が多いのと、外資系金融のようなハードさは
無いので、ワークライフバランスは確保できるという利点もある。
5. 不動産ファンドに転職するにはどうすればいいか?
不動産ファンドは、物件の取得がメインであるので、不動産会社といっても
エイブルとか東急リバブルのような仲介系ではそのスキルが身に付かない。
デベロッパー系で、物件の売買の経験をし、物件DD(デュー・デリジェンス)
のスキルを習得することが求められる。
一番確実なのは、「不動産投資顧問」と名の付く子会社に異動させてもらう
ことだ。
また、信託銀行の不動産部門での職務経験を有する人も、不動産ファンドの
世界では割と見られる。信託銀行の不動産部門であれば、不動産に掛かる
物件の売買、評価のスキルと、ファンドに係る金融のスキルを両方兼ね備える
ことができるからだ。
もっとも、信託銀行の場合だと、40代であれば1200~1500万円位の年収は
あるので、2000万円クラスのシニアなポジションを見つけないと行く
旨味が無いので、対象となるポジションは限定されてしまう。
なお、不動産ファンドへの転職に興味があれば、このApexという
転職エージェントはかなり詳しいので、参考になるのではないだろうか。
まとめ
不動産ファンドというのは、外資系金融の世界と比べると、驚くほどの
高水準の年俸が期待できる世界ではないが、転職マーケットというのが
存在している。
英語ができなくてもOKというポジションが多いので、不動産会社の
物件取得業務に携わっている人であればチャンスがあるだろう。