マスコミ?総合商社?東大文学部の就職について考えてみた。

 

1. 東大文学部の就職状況

早稲田、慶応、その他国立大学においても、一般的に、就職において

文学部は法学部や経済学部よりも見劣りすると考えられている。

それでは、最難関の東大文学部の就職状況から、就職力について検討したい。

 

まず、東大文学部の卒業生の進路については、大学側がホムペで

2018/3卒業生の分まで開示してくれている。

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/assets/files/student/HP_H30.pdf

①そもそも、民間企業に就職する卒業生の数が非常に少ない

この東大の資料によると、まず、そもそも卒業生の数が思っていた以上に

少ないことに驚かされる。279名しかいない。

 

さらに、大学院への進学者が65人と1/4弱もあり、その他という

進学準備・資格試験勉強等の学生が31人と約1割を占める。

従って、就職する文学部卒の学生は、わずか183名である。

 

また、官公庁に就職する卒業生が11人いるので、民間企業就職者は

さらに減って、たったの172人となる。

わずか卒業生の6割強である。

 

これを見ただけで、東大文学部の民間企業就職希望者数の稀少価値が高く、

就職が悪い訳がない感じが直感的にした。

②具体的な就職先について

まず、文学部だけあって、出版、新聞、テレビ、広告とマスコミ系への

就職者数が23人いて、13%のシェアを占める。

就職先企業は、朝日新聞小学館日経新聞、読売新聞、NHK日本テレビ

TBS、テレビ朝日時事通信社電通博報堂と最難関の人気マスコミ

大手が並ぶ。

 

それから、流行のコンサルにもそれなりに就職していて、アクセンチュア

クニエ、経営共創基盤、デロイトトーマツコンサルティングへの就職者を

輩出している。

但し、マッキンゼー、BCG等の、コンサルにおける最高峰であるMBBへの

就職者は見当たらない。

 

少々意外なのは、金融機関も人気のようで、合計31名(シェア2割弱)が

就職している。

その中でも注目されるのが、ゴールドマン・サックス証券JPモルガン証券

という金融機関で最高峰の外銀に卒業生を輩出していることである。

もちろん、東京海上日本生命野村證券メガバンクといった国内系大手

金融機関にも就職している。

 

外銀・外コンに並ぶ、人気の総合商社についても、三菱商事三井物産

伊藤忠住友商事に就職しており、東大ブランドを発揮できている。

 

他の業種を見ても、三菱地所、東京建物、日本航空、キリン、トヨタ等の

事業会社への就職実績がある。

 

東大法学部や経済学部と比べて、若干異なるのは、教育系に就職している

卒業生が12名と若干多いことぐらいであろうか。

2. 東大文学部の就職力について

東大文学部の具体的な就職先企業を見ると、東大文学部の就職力は

極めて高く、法学部や経済学部と遜色ないことがうかがえる。

 

キー局、電博、外銀、総合商社(しかも大手5社)、コンサルと、

あらゆるジャンルにおいて最難関・最人気企業に卒業生を輩出している

のである。

 

ケチをつけるとすれば、マッキンゼー、BCG等のMBBへの就職者が

見当たらないことぐらいであろうか?

もっとも、民間企業への就職者数が172人と極めて少ない、母集団が小さいので

これは志望者が少ないだけかも知れないので、何とも言えない。

 

就職先の中には、教育系とか中小・ベンチャー企業?も散見されるが、

それは好きで行っているだけで、他を落とされたからということは

無いはずである。

 

このように、東大文学部の就職力は、法学部や経済学部に見劣りしない、

極めてハイレベルな水準にあると考えられる。

相対的に見ると、一橋大学の法学部よりも良好と言える。

一橋大学法学部は、外銀とMBBがゼロなので、見劣りしてしまう。
blacksonia.hatenablog.com

感想

思っていた以上に東大文学部の就職は良かった。

その要因としては、民間企業就職者数が極めて少ないという稀少性に

あるのではないだろうか?

 

特に、外銀、総合商社を押さえているところが見栄えが良い。

 

もっとも、早稲田や慶応と違って、法学部・経済学部との入学難易度に

あまり差が無いのが、東大の特色である。

東大経済学部を希望だが、自信がないから文学部を受験するというケースは

ほとんどないのではなかろうか?

そういうわけで、東大文学部は就職においてお買い得ということが無いのは

受験生の視点からすると残念なところである。