一橋大学商学部2018年3月卒業生の就職先と傾向分析
1. 一橋大学商学部は就職先のディスクローズが良い
何故、一橋大学商学部かというと、単にディスクローズが良いからだ。
東大経済学部、慶応経済学部等は、就職先の実績までは開示されているが、
各社に何名就職したかまではわからない。
(内部者や卒業生は把握できるかも知れないが)
一橋大学商学部は、2018年3月卒業生のデータをネットで開示しているので、
その傾向や課題等について考えてみた。
2. 一橋大学商学部の進学、官公庁、民間企業への進路の内訳
進学、官公庁、民間企業への進路の内訳は以下の通りである。
(※四捨五入による多少の誤差があるかも知れない)
〇卒業生 :285名
〇大学院進学 : 24名
〇資格試験 : 6名
〇帰国・不明 : 11名
〇官公庁就職 : 0名
〇民間企業就職: 244名
結局、86%の卒業生が民間企業に就職することとなった。
3. 民間企業の業態別就職先の検討
就職先というのは、その学生の価値判断なので、世間一般の
就職偏差値とか人気ランキングが上位の企業に多く入ることが
成功とは言い切れない。
しかし、就職偏差値や人気ランキング上位の企業にどの程度
就職できるかという就職力は、大学の評価において極めて重要であり
長期的には無視できない指標であるはずだ。
したがって、ここでは、就職偏差値が高い企業が良いという価値判断を
前提した上で分析することとする。
①外資系金融機関について
何と言っても、最難関の外銀・外コンである。
・ゴールドマン・サックス証券 1名
・ソシエテ・ジェネラル証券 1名
・JPモルガンアセットマネジメント 1名
・ブラックロック 1名
運用会社も含めた外資系金融機関は4名である。
外資系金融は特殊な業界ではあるが、5%位のシェアは欲しいところだ。
従って、244名 × 5%=12名であるので、
できれば二桁の10名は欲しいところだ。
確かに、外銀においては東大と慶応が双璧であるので、
もう少し行って欲しいところだ。
他方、日本政策投資銀行に3名というのは、悪くない。
また、大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメントに1名ずつ
就職しているのは面白い。
国内系バイサイドから将来外資系運用会社への転職は魅力がある
キャリアなので、このあたりはもう少し増えてもいいかも知れない。
②外コンについて
外銀については、狭義の戦略系(MBB等)は、
マッキンゼー1名のみである。
P&E1名、オリバーワイマン1名、デロイトコンサル1名、
野村総研1名、三菱総研1名他、総合系や独立系のコンサルには、
十数名就職している。
トータルで見ると、卒業生の5%以上であり、悪くはない割合だと思う。
他方、MBBは大量採用をしているので、5名ぐらい就職できれば
なお良しといったところか?
③総合商社
総合商社は、以下の通りである。
・伊藤忠 5名
・双日 4名
・丸紅 4名
・三菱商事 3名
・住友商事 2名
・三井物産 1名
合計19名である。
民間企業就職者の8%が総合商社であるので、これはほぼ
文句なしではないだろうか?
ここを狙う学生がいても良いだろう。
豊田通商は東大も京大もゼロなので、ここを訪問すれば、
かなり有利であろう。
④その他
といったところか。
4. 全体観
総合商社、国内系金融、不動産、メーカー等については、
それなりの実績ではないかと思われる。
コンサルの比率も低くはない。
課題があるとすれば、外銀とMBBあたりか?
学生の志向によると言えばそれまでだし、MBBは新卒で入っても
多くが直ぐに辞めてしまうので、あまり意味がないかもしれない。
とはいえ、ここが学校の評価にもつながるところなので、
外銀・MBBを増やせば、更に就職力が充実していると言えるのでは
ないだろうか。