東大、慶応の学生は要チェック!ヘッジファンドのバックオフィス(経理、人事、コンプライアンス)で年収3000万円というキャリアも。

 

1. ヘッジファンドは運用職だけではない。

ヘッジファンドの、運用職で、

成功事例と失敗事例を紹介してきた。

 

しかし、ヘッジファンドの場合、運用職が全てではなく、

他にも、一般的な会社と同様にバックオフィス(人事、経理コンプライアンス等)も

存在する。

 

こういったバックオフィスは、運用職と違って、成功報酬制ではないので、

成功した場合の青天井の報酬や、失敗した場合のクビという

天国と地獄は存在しない。

 

バックオフィスの場合も、固定給とボーナスの2本立てではあるが、

ある程度、ボーナスは固定的な要素が強く、会社全体の業績に

緩やかに連動するというイメージである。

 

ヘッジファンドのバックオフィスのメリットは、

比較的低いリスクで安定的に高給を得ることができるという点である。

だいたい、同じくらいのタイトルで比較すると、

国内系の運用会社の2倍以上の年収を得ることが可能だ。

 

この点は、ヘッジファンド以外の外資系の運用会社と共通である。

 2. 安定的に年収3000万円をもらっている法務・コンプライアンス職のケース

経理、人事、コンプライアンスと、バックオフィスにもいろいろな職種が

存在するが、法務・コンプライアンス職は比較的常に求人があるようなので、

ある40代の男性(Sさん)の事例を紹介する。

 

Sさんは、現在40代前半である。

年収は約3000万円である。

内訳は、基本給が2000万円、年1回のボーナスが1000万円である。

 

Sさんは、国立大学の法学部を卒業し、国内系の銀行に就職した。

そして、20代の後半の時に、外資系大手の運用会社に、

法務・コンプライアンス職に転職した。

 

国内系の銀行では運用会社の法務・コンプライアンスにおける知識は

身に付かないのであるが、当時は、リーマンショック前の好況期であり、

また、英語が話せたのと、20代という若さが強みであったので、

ポテンシャル採用をしてもらえたのだ。

 

その2年ほど後、リーマンショックによるリストラがあったが、

Sさんはいいタイミングで、2009年に、他の外資系運用会社に転職し、

リストラの難を逃れることができた。

 

Sさんは、2社目の外資系運用会社で4年ほど勤務し、

マネージャー職に昇格し、年収は、1500万を超えた。

内訳は、基本給が1200-1300万円、ボーナスが300-400万円であった。

 

Sさんは、その後、3社目の外資系運用会社にマネージャー職で

転職し、そこで、5年以上勤務することとなった。

Sさんの3社目の外資系運用会社での年収はじわじわと上昇し、

最終的に約2000万円となった。

内訳は、基本給1500万円、ボーナスが500万円であった。

 

ところが、Sさんはマネージャーより1ランク上のDirectorのポジションに

ならないと年収は頭打ちとなるので、そのポジションを探したところ、

数年前に現在の国内系ヘッジファンドの、法務・コンプライアンス

部長職に就任した。

これによって、トータル年収は3000万円に上昇した。

3. ヘッジファンドの法務・コンプライアンス職のポイント

ヘッジファンドの法務・コンプライアンス職でキャリアを形成して

行くには、まずは、国内系の運用会社で法務・コンプライアンス職に

就く必要がある。

 

国内系の運用会社で法務・コンプライアンス職のコース別採用は無いので、

とりあえずは、国内系の運用会社に新卒で入社して、配属の

希望を出す他ない。

 

また、英語は必須である。

ネイティブ並みの流ちょうな英語力は不要であるが、外国人と

スムーズなコミュニケーションができないと話にならないというか、

面接で落とされるので、英語は磨いておく必要がある。

目標としては、TOEIC900位は最低欲しい。

 

なお、外資系証券会社と外資系運用会社(ヘッジファンド含む)とでは、

業務内容が異なるので、いわゆる外銀の法務・コンプライアンス職から

外資系の運用会社の法務・コンプライアンス職に転身するのは

意外と容易では無いので要注意である。

 

外資系証券会社も外資系運用会社も、法務・コンプライアンス職については、

それほど年俸レベルは変わらない。

しかし、安定性は運用会社の方が高いので、最初から運用会社で働くのが

賢明である。

 

なお、運用会社の法務・コンプライアンス職においては、

日本の弁護士資格は不要である。

というか、業界で日本の弁護士資格保持者は稀である。

何故なら、外銀IBDと違って、運用会社の場合は業務内容が

パターン化されており、社内弁護士を抱える必要はないからである。

(通常は、四大法律事務所や外資系法律事務所に必要に応じて

依頼をする形となっている。)

 

4. 就活にあたって考えておくこと

ヘッジファンドポートフォリオ・マネージャーのように、

当たれば1億超だが、外すとクビというのはちょっと苦手だという

タイプの人は、Sさんのような、バックオフィスで堅く行くという

手もある。

 

30代で2000万、40代で3000万円で、50歳以上でも

部長職に就任すればポジションを見つけることは難しくない。

 

Sさんは法務・コンプライアンス職であるが、

経理や人事畑でも可能である。

 

だから、「外銀」と言ってもフロント・オフィス(営業、トレーダー、IBD)と

バックオフィス(人事、経理コンプライアンス)とでは、

リスク・リターンが異なるし、

外銀と外資系運用会社でも異なる。

 

従って、自分のタイプ(リスク・リターンをどう考えるか)を踏まえた上で、

職種探しをすることが重要である。