外資系金融の場合は、40代でOUT(クビ)になって辞める人は少なくない気がするが…。同じ外資系と言っても、外資系メーカーとは事情が異なることに留意すべきである。

 

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こちらは、外資系メーカーについての記事であるが、外資系メーカーの場合には40代でクビになって辞める人はほとんどいないそうだが…

外資系メーカーの場合は、40代にクビになって辞める人はほとんどおらず、同業他社に行ったり、起業したり、日系企業に行ったりということで、クビになることを気にする必要はないようなニュアンスである。

しかし、外資系金融機関の場合は事情は異なるはずである…

ところが、同じ外資系でも金融機関の場合には、あまり楽観的に考えるべきではないと思う。その理由の一つが、リーマンショックによる構造的な変化である。すなわち、それまで外資投資銀行の場合には収益の8割程度を自己投資で稼いでいたわけだが、ボルカールールによってそれが大きく制限されたわけである。

主たる収益源を絶たれたので、それは一過性ではなく、恒久的に効いてくる。

まず、外資系金融機関全体がグローバルで苦しんでいる。

株価時価総額を見れば一目瞭然であるが、投資銀行部門に足を引っ張られる欧州系が厳しい。ドイツ銀行、UBS、バークレイズ、パリバ、クレディスイス、HBS、バンクオブスコットランドなど、長期間冴えない状況が続いており、当然それは日本拠点における雇用にも影響している。

安定性を求めて日系企業へ転職するという選択肢は相当厳しくなっている。

20年以上昔の話であるが、外資系証券をクビになった場合には、準大手証券に行くというのが一つのパターンであった。例えば、当時は、新日本証券、和光証券、国際証券、日本勧業角丸証券、岡三証券、東京証券といったあたりだ。

また、1998年の金融ビッグバンによって銀行系証券会社が組織拡大をしていたので、三菱証券、富士証券、興銀証券、三和証券といった銀行系証券会社も受け皿の一つであった。

しかし、合併によって、準大手証券の頭数は激減したし、銀行系証券会社も出来上がってしまったので、国内系証券会社への逃げ場は無くなってしまっている。

このあたりは、メーカーとは大きく状況が異なっている。

起業、またはベンチャーに活躍の場を移す?できるわけないでしょ…

外資メーカーは事情が異なるかも知れないが、外資系金融の場合、起業・ベンチャーというのは難しい。何故なら、金融の場合は典型的な規制業種であり、決まった事業以外は禁止されている。従って、そもそも企業やベンチャーと言ったものは外資系金融機関出身者には向かない。

最近、WantedlyとかBitflyerとかFolioとか、若手の投資銀行出身者が活躍しているケースもあるが極々例外である。

また、金融機関の人間はCodingとかウェブマーケティングのスキルは無い。

給与を求めて、業界下位へ転職する場合は、まず考えられない…

金融機関の場合は、運用会社(ヘッジファンド含む)以外は、資本力・販売力等規模とネームバリューがものをいう世界なので上位程強く、下位は競争力が無い。

下位の方が給与水準が高いということはないし、それに撤退リスクが高い。

外資系企業の日本支社の立ち上げに関わる、という場合は余りない

これもヘッジファンドを含む運用会社の場合はあり得るかも知れないが、リーマンショック以降、日本に新たに拠点を立ち上げた外資系証券会社はあるだろうか?

銀行、保険も同様に無いのではないだろうか?

 

以上より、リーマンショック以降、外資系金融機関の雇用状況はそれほど楽観できるものではない。特に、ツブシが効かない典型的な規制業種であるので、40歳を過ぎてリストラされた場合の行き先探しは容易ではない。

これらの点を踏まえると、既に就活難易度にも反映されているのかも知れないが、外資系であれば、ゴールドマンサックスを除くと、メーカーやコンサル、ITを目指した方が堅いのではないだろうか?