「外銀」といっても外資系証券会社と外資系運用会社では社風やキャリア形成は結構異なるので、就活や転職に際して押さえておきたい。

外資系といっても、いろいろあるので、十分な調査研究が必要に。

外資系企業と言っても、外資コンサルティング、外銀、外資系メーカーと様々な種類がある。私も詳しいわけではないが、この外資系メーカーの違いについての記事を読んでなるほどと思った。 

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外銀という表現には、外資系証券会社、外資系運用会社、外資系銀行、外資系保険会社に大別できるが、そのうち、外資系証券会社と外資系運用会社について比べてみたい。

全体的に厳しい外資系「証券会社」と、そこそこゆとりのある外資系「運用会社」

これは、学生の間でも既に知られていることがと思うが、リーマン・ショック以降ボルカールールによってそれまで証券会社の収益の8割程度を占めていたトレーディング業務が大きく制限されることになってしまった。

その結果、証券会社及びその親会社の収益は大幅に低下することになり、外資系「証券会社」を巡る経営環境はグローバルで大変厳しくなった。

特に欧州系は厳しく、UBS、バークレイズ、クレディスイスドイツ銀行は継続的なリストラを行っている。このため、学生の間でも、外資コンサル>外資証券という流れが日本だけでなくグローバルで起こっている。

他方、運用会社はもともとトレーディング業務は行っていないので、ボルカールールの影響を特に受けることはないし、グローバルな長期的な低金利に伴う運用難によって、新しいカテゴリーの運用のニーズが生じるなどして、それなりに安定的な経営がなされている(といっても楽ではないが…)。

年収面では、やはり、外資「証券」がハイリスク・ハイリターン

外資系の証券会社と運用会社を比べた場合、やはり、証券会社の方がハイリスク・ハイリターンである。今では、外資系の証券会社ではMDレベルでも年収1億超えは大変厳しいと思われるが、30代後半まで生き残りフロント部門(営業、トレーディング)でDirectorやSVPのクラスになると、ベースとボーナスを合わせて5000~7000万円位はもらえる可能性はある。

他方、運用会社だと同じくらいのタイトルの場合、3000~5000万円くらいではないだろうか?

従って、少しでも早く沢山お金が欲しいという人は、外資系「証券」を狙うのが良いだろう。

しかし、年取ってもできるのは外資系「運用会社」

他方、長く勤められるのは外資系「運用会社」の方である。外資系「証券」の場合には、40以上の社員は全体の2割未満しかいないのに対して、運用会社の場合には平均年齢が50前後というところはザラにある。

営業でも運用(ファンドマネージャー)でもバックオフィス(経理、人事、コンプライアンス)でも、定年までとは言わないが、運用会社の場合には50過ぎても普通に働くことが可能である。

そういう意味で、細く長くできるのは外資系「運用会社」の方である。

また、会社数が多いのが外資系「運用会社」である

また、運用会社の特徴は、小規模(日本拠点だと大半が社員数50~100人位)の会社が沢山あることである。日本でそこそこビジネスをやっていけている外資系運用会社は30~40社位はあると言われている。

投資銀行は規模がものをいうため、せいぜい利益がでそうなのは片手、多くても両手で収まるレベルではないだろうか?

運用会社は、規模が大きければ競争力があるわけではないので、特定のプロダクトに特化した面白い会社も数多くあり、転職できる会社数が多いのが強みである。

また、上記30~40社にはヘッジファンドを含んでいないので、そういったものをいれればさらに企業数は増える。

これは外資系「運用会社」の魅力である。

但し、外資系「証券会社」も「運用会社」も他業界では雇ってもらえないので要注意

これは、共通点であるが外資系の証券会社も運用会社も、そこでのスキルや実績は他の業界、例えば、ネットベンチャーに持ち越しできるものではない。

従って、40位になって、「メルカリでストックオプションをもらおう!」と思っても基本的に採用されないので注意しなければならない。

そこが、コンサル業界との違いである。外資系証券で疲れからといって、経営企画、事業開発といったスキルがあるとは見てもらえないのだ。

例外的に、CFOというポジションがあるが、ポジション数は多くなく、経理とか公認会計士に代替されてしまう場合もあるので、外資系にいたからといって優先して採用してもらえるわけではない。

このため、高齢になればなるほど競争力が低下し、将来が不安になるのは外銀共通のテーマである。それが気になるのであれば、30歳くらいまでにポテンシャル採用で他の機会を見つける他ないのが悩みどころだ。