「新車」のフェラーリを買うのに必要な年収と職業について調査してみた
- 序. 「資産数億の人がキャッシュで買う」から「『中古』なら年収300万円でも可能」まで存在
- 1. 対象を「新車」に限定しなければならない理由
- 2. では、「新車」で購入する場合、どの車種が標準的か?
- 3. ただし、フェラーリは「オプション」料が結構することに要注意!
- 4. フェラーリにも「残価設定型ローン」があることの意味
- 5. ローンの普及にも関係がある、フェラーリの驚異的な下取り価格
- 6. それでは、簡単なシミュレーションをしてみよう
- 7. 「新車」のフェラーリの標準的なモデル、ポルトフィーノに充分なオプションを付けたものを買うのに相応しい年収は4000万円位ではないか。
- 8. 「新車」のフェラーリを買うのに必要な「職業」について
- 9. 職業的にはベンチャー関係者に期待
- まとめ
序. 「資産数億の人がキャッシュで買う」から「『中古』なら年収300万円でも可能」まで存在
車に興味がない人でも知っている、憧れの車、フェラーリ。
車に関する情報は多数存在するが、年収がいくらぐらいあれば買えるのかについては、意外に適切な回答が見つからない。
もちろん、幅はあるのだろうが、さすがに資産数億から「中古」なら年収300万からだとほとんど意味がない。
そこで、今回、「新車」に限定して、いくらぐらいの「年収」があればフェラーリを買えるのかについて検証することとした。
なお、ここでいう「買える」というのは物理的に何とか買えるということを意味しない。「新車」についていえば、アパートに住んでカップラーメンばかり食べて、フェラーリに全て次ぎこむということは現実的ではないからだ。
相応の暮らしをして、そこそこ無理なく買えるという年収水準について、正規ディーラー関係者、フェラーリ保有者、中古車ディーラー等にヒアリングすることにより、調査してみた。
1. 対象を「新車」に限定しなければならない理由
これは単純な話で、フェラーリの場合、「新車」と「中古車」とでは全く世界が異なるからだ。
そもそも、「新車」の場合だと諸費用込みで最低3000万円かかるが、「中古車」の場合は1000万円位で買えるものもある。
また、「中古車」の場合は、正規ディーラーの商品でも、ほぼ全員ローンを使うので、購入可能な年収層が拡がるのだ。
さらに、フェラーリも他のメーカーと同様に、モデルチェンジの都度、車がどんどん拡大化している。このため、最新モデルだと幅が2m近く実用性に欠けるので、他に1台もっているオーナーが大半だという。他方、「中古車」の場合は駐車場の都合もあり、2台保有でない場合も少なくない。
結局、「中古」は価格の広がりやローンの使用により、本当にフェラーリ好きが買う場合が多く、年収300万円からありということになってしまう。
従って、世間一般でいうフェラーリを買えるかなりの富裕層はどれくらいのレベルかについて調査するには、「新車」に絞って考えた方が明確である。
2. では、「新車」で購入する場合、どの車種が標準的か?
2018年10月現在で、正規ディーラーで購入できる車種は6種類。
一番の売れ筋は、ポルトフィーノと呼ばれる2シーターのオープンカーモデルだ。
新車本体価格は2530万円。
ほぼ半分くらいの人がこれを購入するという。
他方、もっとも購入者が少ないのは、812というモデル。
こちらは4000万円。
一番高いモデルが一番少ないというのが、いかにも、貧富の差の少ない日本的なのだが、一番小さくて使い易いという観点からもポルトフィーノが人気のようだ。
12気筒モデル(要するに一番高いもの)じゃないとフェラーリじゃないという輩もいるようだが、明確な売れ筋のポルトフィーノを想定購入対象モデルとして、問題ないだろう。
フェラーリは、ベンツのS、E、C、B、A、或いはBMWの7、5、3、1といったヒエラルキーが無いのがすっきりしていてわかりやすい。
(ポルトフィーノの詳細情報はこちら)
価格.com - フェラーリ ポルトフィーノ|価格・新型情報・グレード諸元
3. ただし、フェラーリは「オプション」料が結構することに要注意!
なお、ポルトフィーノの税込み価格2530万円だけでは、不十分である。
フェラーリは「オプション」がバカ高く、オプションと諸経費で、2530万円が最終的にちょうど3000万円位になるという。
従って、3000万円を前提にファイナンスの計画を立てなければならないのだ。
普通の人の感覚だと、オプションをケチりたくなるのだが、そうすると下取り価格(リセールヴァリュー)にも影響するので、削れないようだ。
ホイールが80万円とか、ハンドルだけで60万円とか、オプション料だけでも規格外だ。
でも、仕方がないので、3000万円を用意せざるを得ないのだ。
4. フェラーリにも「残価設定型ローン」があることの意味
なんと、フェラーリにも残価設定型ローンがあることをご存じだろうか?
そして、「新車」を正規ディーラーで購入する場合でも、半分までは行かないが、三分の一以上、いや、4割近くがローン(残価設定型ローンと普通のローン)を使用しているという。
これは、フェラーリを買うのに必要な年収を推定するにあたっての重要なヒントとなる。これだけの比率の人がローンを利用しているということは、「資産数億の人がキャッシュで買うもの」とまでは言えないことが明らかだ。
また、年収1億円だと手取りが5000万円を少し切るくらいなので、キャッシュで買えてしまう。したがって、年収1億円も必要ないということもうかがえる。
ちなみに、ローンはジャックスあたりとの提携ローンで、2018年10月時点で金利は2.90%だ。条件としては悪くない。
(なお、フェラーリのローンについてはこちらの記事が詳しいのでご参照下さい。)
5. ローンの普及にも関係がある、フェラーリの驚異的な下取り価格
フェラーリがわざわざローンを用意して、残価の設定を何と75%まで引き上げているということは、ローンの使用を奨励しているということである。
ローンを使用するということは通常キャッシュでは買いきれないということであり、そういう層を対象購入者として拡げているということは、フェラーリ自身も購入対象の想定年収を低くしようと考えているわけだ。
まあ、フェラーリも自動車会社だから、ローンを使ってくれた方が貴重な収益源になるし、沢山売った方が沢山儲かるというのは至極当然のことだ。
3年後の下取り価格は、ベンツでも5割程度だ。フェラーリの75%というのは動産の域を超え「資産」に近づいてくる。さらに、フェラーリが凄いのは、3年を過ぎてからの減価速度が極めて遅い、古くなっても値段が下がらないということだ。5年経っても、半額以上で売れるという。
このような資産価値が劣化しないというフェラーリの特性があるため、ローンを使っても、言い換えると少々無理をしても安心してフェラーリを買えるというインフラができているわけだ。
フェラーリの中古価格があまり落ちない背景については、こちらの東洋経済の記事が面白いのでご参照下さい。
6. それでは、簡単なシミュレーションをしてみよう
それでは、新車のポルトフィーノに、相応のオプションを付けてトータル金額が3000万円必要としよう。
いくらぐらいの、年収であれば、そこそこ余裕を持って買えるのだろうか?
もちろん、年収と言っても、資産額、預金額、家族構成、ライフスタイル等によって大きな幅がある。
そこで一つのヒントになるのが、新車のフェラーリ購入者の年齢層である。
正規ディーラーの人達と話をしても、実際、ディーラーに行ってみてもわかるが、若い人だと30代でもいるが、年齢層は広く、上は70代まで普通に見られる。
一番多いのは、40~50代であり、結構平均年齢は高い(当然かも知れないが…)。
従って、相応の資産や預金があるのは前提なので、ファイナンシャル・プランニング的に望ましいとされる、年収の2倍くらいの金融資産があることは想定できる。
さすがに新車のフェラーリの場合には、カツカツのローンを組む人は少ないそうなので、3000万円だと残価設定を使わず2000万円を頭金に入れて、1000万円をローンで借りるというのが標準モデルである。
ボーナス併用無し、期間3年、金利2.9%だとすると、月々の支払額は29万円である。
年収3000万円であれば、月々の手取りが150万円代なので、買えないことはない。
年収5000万円であれば、月々の手取りが240万円程度なので、余裕である。
この場合、3年後には晴れてローン無しのフェラーリを所有でき、売却しても2000万円位にはなることが期待される。さらに、5年位は余裕で乗れるし(モデルチェンジのサイクルが5年位なので)下取り価格も半分以上期待できるから、悪くない買い物である。
7. 「新車」のフェラーリの標準的なモデル、ポルトフィーノに充分なオプションを付けたものを買うのに相応しい年収は4000万円位ではないか。
これは、定性的な面もあり、感覚的な数字ではあるのだが、上記から、新車のフェラーリを買うのに必要な年収は、3000万~5000万位にあることは何となく納得していただけるのではないだろうか?
実際、正規ディーラーの人達や、ベンツのディーラーの人達と話してみても、フェラーリのターゲット顧客として「年収5000万円以上」とは想定していないという。
リセールバリューの上昇、ローンの充実、フェラーリの会社としての拡販の希望等の要因が相俟って、若干、適正年収レベルは低下してきているようだ。
3000万と5000万でも差があるので、私としてはあえて「年収4000万」以上が適正な年収水準と考えたい。
何故なら、年収3000万円だと先ほどのシミュレーションで手取りの2割が車代で消えてしまうのは少々キツイので、「相応しい」「無理なく」ということを考えると、年収3000万円だと少々少ないと考えられるからだ。
それだと、切り良く奇数の「5000万円以上」という考えもあるのだが、ディーラーの人達の感覚と、年収4000万という数字に意味があるので、私は年収4000万円以上と考えたい。数字の意味というのは、廃止されてしまったが「高額納税者公示制度」、いわゆる「長者番付」の対象となる年収が4000万円程度だったからだ。
要するに、国家も特別な「金持ち」と認めて公示までしていた年収水準が4000万円であるので、年収4000万円あれば今でも堂々とフェラーリを買っていいと思う。
また、こちらも偶数だからかあまり使われない基準で「年収2000万円」というのがある。これは、サラリーマンでも「確定申告」が必要とされる年収で、おそらく役員レベルを想定したものだろう。実際、総合商社とか銀行でも1000万はすぐに到達するが、2000万は難しい。従って、4000万円というのは、この確定申告の対象となる年収2000万円の2倍という点でも意味がある数字ではなかろうか。
以上より、「新車」のフェラーリを買うのに必要な年収は、4000万円以上と考える。
多くの人がイメージするよりは、低いのではないだろうか。
8. 「新車」のフェラーリを買うのに必要な「職業」について
「フェラーリ」「職業」で検索を掛けると、会社経営者、医師、外銀といった推察がされているが、年収4000万円以上と想定すると、もう少し具体化されてくる。
会社経営者については、本当にピンキリなのでこれは何とも言えない。
医師については、勤務医では自分の収入だけだと厳しい。開業医でも年収4000万円を超えるとなると、そこそこ成功しているということが条件になる。
歯科医師になると、複数のクリニックを経営する基準が求められる。
リーマンショック以降は、外銀の年収水準はかなり下がったうえ、不安定になっている。リーマンショック前であればフロント部門であればVPレベルでも買えたのだが、今だとMDクラスじゃないと厳しくなってきている。
したがって、職業のイメージだと、勝ち組とされるカテゴリーの中で、さらにその中で成功している人たちということになる。
買いやすくなったとはいえ、まだまだほんの一握りの職業の人達しか買えないことには違いない。
9. 職業的にはベンチャー関係者に期待
長い長い前置きになってしまったのだが、一番言いたいことは実はこれなのである。
日本経済を盛り上げるためには、(ネット)ベンチャーの成功・事業拡大が不可欠である。以前よりは、IPOだけでなくM&Aによる企業売却によって億単位の収入を得られる若い経営者達が増えてきた。
しかし、まだまだ、トップの学生がベンチャー業界に行くのは稀だし、企業側も優秀な人材を採るためのストック・オプション等のインセンティブプランの提供が不十分である。
どんどん、若くて優秀な人材がベンチャー企業に進出し、ストック・オプションでフェラーリを買える人が増えて、ニュービジネスが盛り上がって欲しい。
若い人たちでフェラーリを買うというのがモチベーションになるのであれば、例えば、このようなベンチャー企業に転出して成功して欲しいものだ。
まとめ
新車のフェラーリを買うのに必要な年収は、リセールヴァリューの向上やローンの充実により、4000万円以上あれば足りるのではないかと考える。
職業としては、限定されてしまうが、ベンチャー経営で成功してフェラーリを買えるような人たちが増えると、産業界も盛り上がるのではないか。