転職活動における基本的な考え方。「転職で年収ダウンはやむを得ない」はウソ。まずは、少なくとも年収については「現状維持」が最低限と考えるべき根拠
転職による「年収ダウン」はやむを得ないというのは転職エージェントの都合。
今の時代、転職での年収アップは難しいという意見はある。しかし、年収ダウンを受け入れる転職が流行った方が、転職エージェントとしては嬉しいわけなので、それはうのみにしてはいけない。
もちろん、50歳を過ぎてポジションが極端に減るような場合は別かも知れないが、少なくとも20代や30代の場合には、転職による年収アップを狙うのが基本だろう。
会社名と年収だけが、ある意味確かな情報である。
転職の目的は年収アップだけではない。将来性、ステイタス、安定性、働き甲斐、職場環境等々、多くの定性的な事情を考慮した上での転職を行うわけだ。
もっとも、注意しなければならないのは、働き甲斐と仕事の面白さというのは実際に転職してみないとわからないことが多いからだ。職場名鏡といっても、部店長が異動になった場合には大きく変わってしまうことも多いのである。
もちろん、会社名は合併することもあるだろうし、年収と言っても経営成績によって減少するリスクはある。しかし、少なくとも入社時点においては確定している事象であり、記録としても残すことができるものである。
特に、「やりがい」が転職の大きな目的である場合には要注意である。
まだ、「安定性」「将来性」「ワークライフバランス」といった項目については定性的ではあるが、ある程度の方向感についてはチェックすることができるだろう。
しかし、「やりがい」といった極めて主観的な要素が強い事項が転職の目的の場合には、実際転職してみると「思っていたのと違った」という事態に陥りやすい。
「やりがい」というものはその時の経済・社会環境や同僚が誰かによって大きく揺らぎやすいものなのである。
「やりがい」が思っていたのと違って、やり直そうと思っても、会社名、年収がダウンしてしまうと、次に転職するときはそれが基準となるので、キャリアダウンという負のスパイラルに陥ってしまう。
最初は「年収ダウン」だが、その後は「年収アップ」が見込めるというが…
また、注意しなければならないのは、転職先の企業或いは転職エージェントが、「転職時には年収が一時的に下がりますが、その後は年収アップが期待できます」と言って転職を唆すケースである。
確かに、急成長企業で給与制度がフレキシブルな場合には、ボーナスやストックオプションの供与、或いは、大幅な年次公開における基本給アップということは無いではない。
しかし、それらは楽観的な前提に依拠している場合も少なくないし、一般的に入社前にはチヤホヤされるが、入ってからは冷たくなることは普通なのだ。
将来の年収に掛かる事象については、裏を取っておくべき
ボーナスの比率や給与の年次公開による大幅アップとかはあくまで見込みであるので、そういった事情については予め調査しておくべきだ。
具体的には、VorkersとかのWeb情報を使うとか、他の転職エージェントから情報を得るとかだ。また、同業他社の知人からの情報も参考になるだろう。
転職は慎重に行うべきなので、年収アップの可能性から考えるのが堅実
転職はキャリアアップにつながる可能性はあるが、その反対もある。
どちらに転んでも言えることは、転職カードを1枚切ってしまうことである。
一生のうちで転職できる回数には限りがある。せいぜい10回くらいまでであろうか。
日本のコンサバな大手企業の場合だと2~3回までというところもある。
従って、無駄な転職をしないためにも、極めて重要な条件である年俸ダウンを安易に受け入れるのはベストな選択肢ではない。そうなるようにじっくりと転職計画を立てたい。