転職する場合、今在職している会社の退職時の引継ぎについてはどの程度やらなければいいか?

退職時の引継ぎの義務については、労働法上は従業員有利な取り扱いとなっている。

無事転職が決まって、今在職している会社に退職する旨通知した場合、業務の引継ぎ問題となる。引継ぎというのはどの程度真面目にやるべきなのか、特に後任者が決まっていない場合にはどこまでやればいいのか難しい場合もある。

法律上は有給休暇があればそれを充てることも可能。

また、日本人の場合は有給休暇を使い切っていない場合が多く、退職を通知した後はせっかくの機会なので有給休暇を消化してのんびりしたいというニーズもある。

退職は就業規則上1か月前という規定の会社は多いと思うが、1か月だと営業日は20日位だ。となると、有給休暇が20日以上残っていれば、そのまま出社せずに「バイバイ」ということも可能である。

無用な紛争を避けるべく、ある程度は引継ぎは行う必要があるが…

とはいえ、さすがに何もしないで退職していくのは気が引けるし、無用な紛争は避けておいた方が賢明だ。

最低限の引継ぎ法としておすすめなのは、「引継ぎメモ」を残すことだ。

これは適切に引継ぎを行った「証拠」にもなる。頁数が多ければ多いほど、立派な証拠にもなるし、文書で残した方が後任者も便利である。

従って、転職が確定しそうになった段階から、コツコツと丁寧な「引継ぎメモ」を作成しておくと退職の意思表示後スムーズに抜けやすくなる。

引継ぎを理由に転職を止めるのは違法。

ブラック企業とかであれば、退職をさせたくないため、「引継ぎ」が不十分ということで退職時期をずらそうとしたりする場合もあるが、そういたものは違法である。

労働法的には、就業規則に規定された期間が経過したら退職は可能であり、引継ぎを理由に遅らせることは認められない。

悪質な場合には弁護士に相談するのが良い。

何らかの理由をつけられ、退職時期をずるずると先延ばしされれば、新しい会社の入社に影響する。ひどいところは、それを狙って、転職の機会をつぶそうとするところがある。

そういう場合には、弁護士に相談するのが有効だ。費用は相談料が1回1万円程度で、内容証明を書いてもらうのが4-5万位だ。弁護士費用は事務所によって異なるので、予めどれくらいかかるかを聞いておけばよい。

弁護士に相談しているといえば、企業側も下手なことはできないので、効果的だと思う。

以上より、しっかりとした引継ぎメモを作っておけばそれで十分。有給休暇も充足可能。企業側の言いなりにならないように、退職手続きは賢く済ませるべきである。