武田薬品のシャイアーとか、外国企業の大型買収は将来のリストラ要因になるだけだから従業員の立場からすると本当に止めて欲しい…

自分だけは上手く行くと考える経営陣の不思議…

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M&Aは買い手が損をするケースが多い。

特に、情報が少なく商慣習他アウェイ感の強い外国企業の、しかも、大型買収は難易度が高い。

キリンのブラジルのビール会社、日本郵政のオーストラリアの郵便会社、東芝の米国原子力事業子会社、日本板硝子の英国のガラス会社、楽天の動画配信関連子会社、ポーラ・オルビスの豪州の化粧品会社、野村證券の旧リーマンブラザーズの一部など、日本企業による外国企業の買収の失敗事例は山ほどある。

例外的に、日本企業で外国企業の買収に成功しているのは、JT(日本たばこ)と日本電産くらいではないだろうか?

そもそも、M&Aをしかける金融機関自体が外国企業の大型買収で大損している。

事業会社による外国企業の買収が難しいというのは、日本企業に限った話ではない。

グローバル金融機関の多くが、外国企業の大型M&Aでひどい目に会い、未だにその後遺症に苦しんでいる。UBSの米国ペインウェーバークレディスイスDLJドイツ銀行のアレックスブラウン、バークレイズの旧リーマンブラザーズの一部、バンクオブスコットランドABNアムロなど、欧州系のグローバルバンクが特に悲惨である。

それほど、外国企業の買収は難しく、特に、大型案件だとやられた時に取り返しがつかない損失を被ってしまう。

その結果、どうなるかというと…

経営陣は失敗が確定するまでに多額の報酬をもらえるかも知れないが、結局、最後にしわ寄せを受けるのが従業員(と株主)である。

後からリストラがついてきたり、ボーナスが大幅に削減されたりするのだ。

何もしないと競争に勝てないというが…

他社が失敗して痛い目にあっていることを認識しているのかわからないが、外国企業の大型買収を仕掛ける経営陣の説明は、「このままだと競争に負けてしまう」とか「国際的な規模の経済による競争力強化」という。

しかし、無謀なことで失敗すると、何もしないよりもひどい結果となる

しかし、大型買収が成功する確率、見通しが甘い状態でやると、大抵失敗し、かえって競争力は劣化してしまうのだ。

特に、日本の製薬業界だと、第一三共がインドのランバクシーのM&Aの失敗で数千億円の損害が生じた事案を見ているはずである。

それでも、武田はよりスケールの大きい巨額のM&Aを自分は成功させる自信があるというのだろうか?

反対に、国内の同業他社である、第一三共とかアステラスとかは、武田によるシャイアーの買収がまとまってくれと願っているに違いない。

 

いずれにせよ、従業員からすると、外国企業の大型M&Aだけは勘弁して欲しいものである。