最近リストラの話題が多い銀行と製薬業界。両者には共通点も多く、40代の対応策を考えてみた。
ここ最近は、メディアでも両業界のリストラ話が頻繁に取り上げられている。
gendai.ismedia.jp
diamond.jp
私はずっと金融業界なので製薬業界の内部事情には詳しいわけではないが、最近両業界のリストラ話を見ていると、両業界には共通点が多いと感じるようになった。
製薬業界と銀行における共通点
ざっと考えただけで、以下のような共通点が思い浮かぶ(順不同)。
①規制産業であり、他業態からの参入障壁が高い。
②国内では巨大産業だが海外では存在感が薄く、海外では儲かっていない。
③トッププレイヤーの外資が強く、日本にも数多く進出している。
⇒外資系企業への選択肢が転職となり得る。
④バイオベンチャー、フィンテックなど、ベンチャー産業もある。
⇒ベンチャー企業への転職という選択肢もある。
⑤国内系企業の同業他社間での人材の流動性は低い。
⑥給与水準が高く、安定性が高い(と思われてきた)。
実はよく考えてみると、両業界とも恵まれているのでは…
この共通点を考えてみると、高給で安定していて、転職先として外資系もベンチャーもある。
特に、他の業界と比べてみると明らかである。
他業界との関連性が薄くて外資が進出していないところ、例えば、繊維、紙パ、ゴム、ガラス、鉄鋼あたりの素材系製造業とか、ニッチな機械や電気は大変である。
要するに、外資系もベンチャーも無いので逃げ場が無く、長年吸収してきたスキルが他業界では全く役に立たない。リストラがあったら本当に対応策が無い。
しかも、製薬や銀行のようなリッチな業界と違って、割増退職金も少ない。
精神論ではあるが、製薬、銀行の両業界は他業界と比べて恵まれていることを認識した方がいいだろう。
リストラ対応策を考える前の心の在り方として、まず、両業界は恵まれていると認識するのがいいだろう。選択肢は多いし、手切れ金(割増退職金)も手厚い。
これは、精神論だが、転職活動にはプレッシャーやストレスがかかることがあるので、落ち着いた心境で実行した方が得策だからである。
「何が何でも条件を維持しないと」という心境だとしんどいので、「多少下がっても他業界よりは恵まれているから仕方がないか」という余裕をもってやった方が、いい結果に繋がり易いのではないだろうか?
まずは、転職エージェントへの登録・コンタクトによる情報収集は当然だが
両業界ともに40代の転職は厳しくなる。しかし、転職エージェントも発達しているので、リクルート、JAC、パソナ、マイナビ等の国内大手から、ロバートウォルターズ、ISSといった外資系、さらにはビズリーチを使って中小エージェントの情報を探るというのは最低限必要だ。
思うに、転職の仕方は下手な人は、転職エージェントからの情報収集に弱い。普段から懇意にしている1-2社のみとしか付き合いが無い人が結構多い。10社以上登録し、5~6社と常時コンタクトを持つようにすれば違ってくるはずだ。
また、両業界ともベンチャーという選択肢もある。その場合には、Wantedlyにも登録して、実際ベンチャーの人に話を聞くのもいいだろう。
職種転換は難しいので、今持っている職種(スキル)の強化を考えるべき
焦っていると何でもかんでも手を出してみたくなることもあるが、40代になると職種転換は難しい。社内異動を希望しても遠く離れた職種に新たに就くことは難しいだろう。結局、現在就いている職種やスキルを強化していくのが現実的だろう。
例えば、経理関係の銀行員であれば、税務や財務にも拡げてみるとか、総務にも手を拡げて小規模外資の立ち上げのポジションを狙えるようにするといったことだ。
今いる会社を使い倒す。子会社への異動を含め、選択肢を考えてみる。
今いる会社に在籍しているうちは、その会社での可能性を最大限考えてみるべき。
両業界とも、ネット企業などと違って、子会社への異動というのはキャリアダウンで嬉しくないのだろうが、転職を踏まえた長期的な年俸やステイタスを考えると、悪くない場合もある。
例えば、銀行員の場合、アセット・マネジメント子会社とか証券子会社へ異動した方が転職力は一般に高まるであろう。
自分自身のファイナンシャル・プランニングも行ってみる。
ライフプランニングとファイナンシャル・プランニングは一体である。将来に備えて、自分自身のBSとPLを少し見直せばよい。
といっても、無理をする必要はない。長続きしないし、ストレスになるからだ。
だから、せいぜい月3万円程度を積立にまわせれば十分だ。
毎月3万円程度でも、国際分散投資を行えば、10年後には400-500万くらいにはなる。
両業界ともリストラになったとしても割増退職金は厚いので、少しだけ家計簿を見直せばかなり余裕はできるのではないか。
40代での転職は難しいが、50代になると絶望的に厳しい。
余裕がある間に頑張っていろいろな手を打つか打たないかで、いざという時には差ができると思う。