第一三共の割増退職金6000万円。高額の割増退職金を上手く運用できれば将来は変わるか?

国内大手企業の場合、巨額の割増退職金が出る場合もある。
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これは比較的新しい話だが、第一三共の場合、早期退職に応募した場合には40代であれば最大6000万円もの割増退職金が支給されることもあるという。

第一三共の場合だけでなく、終身雇用を是とする日本の大手企業の場合にはリストラの際に、3000万~5000万円程度の巨額の割増退職金が支給される場合はある。

リーマンショック当時の、みずほ証券や、過去の日興証券のリストラの際もそれ位の巨額の割増退職金が支給されたようだ。

巨額の退職金を上手く運用できれば生活は違ってくるのではないか?

割増退職金といっても、よく見られる1000万~2000万円程度の上乗せ幅であれば、転職で年収ダウンした場合にはすぐに消えてしまうので、安易に応じるべきではないというのがセオリーである。

とはいえ、5000万円を超えるような巨額の割増退職金であれば、運用すればかなり違ってくるのではないかとも考えてしまう。

それでは、実際にシミュレーションをやってみよう。

ご存じの通り、今は超低金利であり、円建ての元本保証の運用では利回りがでない。

従って、リスクを取った運用を想定せざるを得ない。

そこで、ロボアドバイザーを使った、年金がやっているような国際分散投資を行ったと仮定する。想定条件は以下の通りである。

 

〇運用元本6000万円

〇想定運用利回り3%

〇運用期間10年

これは退職金というなるべくリスクを取りたくないお金なので、想定運用利回りは3%としてみた。

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この通り、10年後には約2000万円増えている皮算用となる。

ところが、運用期間を5年間伸ばして15年とすると、

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 15年に運用期間を延ばすと、何と9347万円と1億近い資産となる。

こうやってシミュレーションすると凄いが、あまり現実的ではない理由

40代で15年後と言っても、まだ50代である。現役のうちに1億円も持てれば富裕層だとも考えられるが、このシミュレーションはあまり現実的ではない。

想定運用利回りが3%というのは問題ないと思うが、10年間、或いは、15年間一回も引き出すことなく運用資産として放置するのは厳しいからだ。

家庭を持っていれば、子供の学費とか家の修繕等、何かとイベントごとの出費もあり、大金を運用に回して10年以上放置できる人は少ないのではないだろうか?

可能であるとすれば、すでにある程度のまとまった資産をもっているとか、独身で倹約家であるとか、そういった人だ。

現実的には1%で回せれば御の字だ

では、どうすればいいかということだが、割増退職金の6000万円が全ての金融資産だとした場合、半分以上は元本保証の資産、具体的には預貯金、個人向け国債に振り向けるのが基本だろう。せいぜい変動資産に回せるのは1/3以下で、さらにそれも債券とかREITとかのインカムゲインをメインにすべきだろう。小型株とか仮想通貨とかに回せる余裕はない。

FXのスワップ取引で利回りを稼ぐという戦略もあるが、豪ドルとかカナダドルのような相対的にリスクが低い通貨の場合、当然スワップの利回りも低く、レバレッジをかけて2-3%位だ。それに、証拠金取引はリスクが高いので、多くの金額を振り向けられない。

となると、1/3の変動資産(6000万×1/3=2000万)から3%の運用益をとれれば、年間で60万円。丁度全体の1%の利回りだ。

しかも、20%の源泉税がかかるので、手取りは月あたり4万円だ。

月4万円程度ではどうにもならないので、会社に残るか良い転職先を見つけるのが基本線だろう

結局、今は運用するのが難しい環境にあるので、金利では到底生活費を稼げない。

そうであれば、良い転職先を見つけるか、今の会社に残って自分の市場価値を高めることができないかについて検討するのが堅いやり方となる。

もちろん、リストラの場合は優秀な人ほど引きもあるので辞めていくとも言われるので、優秀な社員にとって割増退職金をもらった上でキャリアアップできるのであれば、それは美味しい話だ。もちろん、そういう人は少数だろうが…