社長交代が激しいかっぱ寿司を参考に、雇われ子会社社長のキャリアについて考えてみる。

 

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何故、上場会社の社長が頻繁に交代するのか?

食べ放題とかでメディアの注目度も高いかっぱ寿司であるが、ここのところ、毎年のように社長が交代している。れっきとした東証一部上場企業なので、普通は4年、短くても2年位は社長として就業できるはずなので妙に思ったが、かっぱ寿司(運営企業名はカッパ・クリエイト)の社長は雇われ社長なのだ。

すなわち、コロワイドという親会社があって、そこの社長がオーナー社長なので、一部上場企業の社長とは言え、雇われ社長であるとオーナーの一存で簡単に交代させられてしまうのだ。

雇われの子会社社長は「社長」でもただの「サラリーマン」?

雇われの子会社社長の最大のデメリットは、「社長」と「サラリーマン」の悪い所があてはまりうるということである。

例えば、業績が2倍になっても年俸が2倍になるとは限らない(オーナーが決めるから)ところは、サラリーマンと同じ。

また、業績を良くして株価が上がっても株を沢山もっていないと浮かばれない点もサラリーマンと同じ。

他方、被用者ではなく雇用者の立場なので、労働法で保護してもらえず、簡単になってしまう点は「社長」だからである。

また、自分は悪くなくても、部下が何かやらかすと自分が被らなければならないのも、「社長」ならではのデメリットである。

このように、雇われの子会社社長の場合には、社長のリスクとリターンが一致しない場合があるのである。

しかし、リスクとリターンが見合えば美味しいポジションでもある。

もっとも、リスクとリターンが見合えば、子会社社長にはサラリーマンには無い大きな魅力がある。

まず、業績を拡大させれば、青天井で自分の報酬も上昇する可能性がある。

また、これが重要なのだが、株式を付与されれば業績が向上した場合には大きな資産になる可能性がある。これは、IPOでなくとも、最近では非上場会社のM&Aがアクティブになってきているから、株式を持っていると一財産作れる可能性が高まっている。

さらに、他のポジションでは得られないスキルとステータスを得ることができる。

社長は、仕入れ、製造、販売、広報から管理までを含む組織の最高責任者なので、マネジメントについての経験を積むことができる。それから、日本では経営者マーケットが手薄なので、一旦社長経験を持っていると、大した成果がなくとも社長ポジションで声がかかることは少なくない。

特に、これからはネットベンチャー企業で新設の子会社社長に就くのは狙い目

実は、特にネットベンチャー企業での新設の子会社社長のポジションはこれから狙い目だと思う。その理由として、以下のものが挙げられる。

①新設の場合には、雇われであっても相応の株式を付与される可能性が高い。

 ⇒過半数は当然親会社が持つのであるが、設立段階なので安価で一定数の株式を持たせてもらえる可能性が高い。

②新設の場合には、財務的にもビジネス的にも負の遺産がない。

 ⇒途中から大きな子会社の社長になった場合、過大な負債や、モチベーションに欠ける過剰な従業員、言うことを聞かない役員たちといった負の遺産を持っている場合がある。マイナスからのスタートは結構厳しいものがある。

③新設の場合には、既存事業がある場合と違って、いきなり収益を期待されることがないので、一定期間の時間的猶予がある。

 ⇒過去のかっぱ寿司の社長たちは就任一年目から結果を出すことが求められていた。

 

ベンチャー企業とは言え、大手の場合には昇格することは難しいが、子会社の社長になると一気に成功する可能性が生じる。

新しいキャリア形成の手段の一つとして念頭に置いておく価値はあるのではないだろうか。