外資系金融のサラリーマンは退職までにどれくらいの資産形成が可能か?
リーマンショック後、年収水準は大幅に下がったが…
メガバンク勤務の41歳の知人に転職相談をされたのだが、その際彼に質問された。「新卒で外資系金融に入社して、20年以上働けた場合に、いくらくらい貯めることができるの?」
彼はリテール業務中心で英語もできないので外資系金融機関は転職先の候補にはならないのだが、好奇心で聞いてきた。彼によると、外資系金融の年収に関する情報はネット検索すれば、Vorkersのような情報サイトやこのようなキャリア関係のサイトで何となくわかるがそれらは年収というフローの情報である。長年クビにならずに勤め上げれた場合の資産(貯金)額というストック水準に興味があるということだ。
外資系金融の場合は本当にピンキリなので一般化は難しい
外資系金融の場合には本当にピンキリなので、一般化して語るのは不可能である。外資系金融の場合、外資系証券(投資銀行)、外資系運用会社、外資系銀行、外資系生命保険と様々だし、フロント(トレーディング、営業)とバック(経理、人事、コンプライアンス)では同じ会社でも年収が全く異なる。
そこで、彼には、最も期待年収が高い、皆が思い浮かべる外資系金融の代表として外資系証券のケースで説明することとした。また、外資系証券といっても、せっかく超難関を突破して新卒で入社できたとしても、3年後には半分位は辞めてしまっている。そこで、無事45歳くらいまで途中転職しても勤め上げることができ、しかも順調に高給で知られるフロント部門のMDまで昇格できたことを想定した。
したがって、このケースは勝ち組の事例であり、ここまで行ける人は2割以下じゃないかな。
想定した年収はこんな感じ
〇22歳~25歳、アナリスト、年収1000万円
〇25歳~28歳、アソシエイト、年収2000万円
〇28歳~35歳、VP(バイス・プレジデント)、年収4000万円
〇35歳~45歳、MD(マネージング・ディレクター)、年収7000万円~1億円
意外かもしれないが、外資系金融のサラリーマンは資産運用(投資)をやらない
以前、総合商社のサラリーマンのシミュレーションをした場合には、毎月の積立投資を前提として複利効果を享受できたが、外資系金融の場合にはあまり向かないので、メインはボーナスを貯金(銀行預金かせいぜい個人向け国債)するという想定である。
何故なら、外資系金融の年収の大半は年1回の変動するボーナスであり、しかも、ボーナスの1/3位は株式賞与なので、毎月多額の積立投資を行いにくいのだ。
さらに、外資系に限らず証券会社の場合は証券投資に関する規制が大変厳しく、証券投資による資産運用をやらない人が大半なのだ。
もうひとつ重要なことは、税金の負担が強烈なことだ。
それから、外資系金融の場合は給与所得なので、バッチリ源泉徴収される。また、自営業者のような経費による節税は難しい。したがって、見かけ上の収入は多くても手取りはかなり少なくなってしまう。
また、外資系金融、特に外資系証券会社の場合、質素な生活というのは難しい、勤務時間の都合で港区周辺に住まないといけないし、車、時計、食事、子供の教育など消費水準は高い。
したがって、貯金額は現実的にはこんな感じか?
〇~28歳、合計1000万円
〇28歳~35歳、各年600万円×7年≒合計4000万円
〇35歳~45歳、平均すると各年1000万円×10年=合計1億円
〇最後にストックボーナスの現金化と退職金で5000万円
以上全部足し算すると2億円くらいか。
まあ複利効果を享受できないという想定と、60歳まで働けないので、これくらいが現実的なところではないかな。
まあ、それまでの間それなりに贅沢な生活をしているので、これだけ貯めれたら十分ではなかろうか?