ロボアドバイザーがIPO後にやるべきでないこと
まだまだ気が早い話かも知れないが、ロボアドバイザーがIPO後に、やってはいけないことがある。それは、IPOで得た資金を元手に海外展開を図ることである。
何故か、それは失敗するのが明らかで、せっかくIPOによって拡大が期待できるロボアドバイザー市場の活性化に水を差すことになってしまうからだ。
ベンチャー企業の海外進出失敗の歴史
記憶に新しいのは、グリー、DeNAといったスマホゲーム大手の海外展開の派手な失敗である。当時これらのスマホゲームベンチャーは極めて高い収益力によって得た資金を数百億円単位で海外に投資したが、惨憺たる結果となった。
理由としては単純で、
①IPOで得た巨額の資金が潤沢にあったので財布のひもが緩い
(甘いDD)
②海外でも成功するのがカッコいいという経営者の見栄があった
③そもそもサービス業は各国毎の嗜好性が強く、日本の成功が海外で通用するとは限らない
といったものである。
金融機関の場合には、なおさら、海外展開は行うべきでない理由
上記は事業会社の失敗のケースであるが、そもそも金融機関の場合にはなおさら、海外展開はやるべきではない。
何故か?それは帰納法的に説明できる。野村證券、日本生命、東京海上火災、三菱UFJ銀行と日本では圧倒的な勝ち組で豊富な経営資源を有する国内トップ金融機関でも全く海外では成功できていない。特にひどいのが、野村證券でリーマン・ブラザーズのM&Aの事例を始めとして、過去にどれだけ海外で大損をしたか計り知れない。
その理由としては、そもそも金融サービスは似たり寄ったりなので、大した差別化はできない。さらに、典型的な規制業種であって、各国ごとに規制が異なり、当局対応などが難しく参入障壁が高い。
加えて、日本人にとっては英語という大きなバリアーがある。本社の企画系のエリートは実は英語ができない社員が少なくなく、そもそも英語がろくすっぽできないスタッフが悪賢い海外の金融マンをコントロールすることなど到底できない。
この事情は大手だけに限らず、フィンテック・ベンチャーにもあてはまる。調子に乗って貴重なIPOで得た資金を海外で溶かさないようにしてほしい。
反対に、使ってほしいのは広告宣伝費
その代わり、ぜひとも使って欲しいのが、20代から40代を対象とした広告宣伝費である。従来の金融機関の顧客と違って、ロボアドバイザーの対象顧客は若いので、従来とは異なるメディアミックスが求めらるが、得意のインターネットを主戦場として、ふんだんに広告宣伝費を使って、ロボアドバイザー市場の浸透に努めてもらいたい。