資産運用会社では、就活の定番「代表として100人規模のサークルを運営」が通用しない理由

 

BlackRock、フィデリティ、PIMCO、Wellington、Alliance Bernstein等、

国内外資を問わず様々な会社が存在し、資産運用ビジネスの将来性もポジティブである。

しかも、地味目な業界であるので、外資系証券会社ほどは知られておらず、狙い目の業界と言えるだろう。

しかし、特殊な業界ではあるので、就活に際して押さえておくべき点がある。

そもそも、サークル運営ネタは特に面接官に刺さらないのは他の業界と同じ

資産運用会社の特徴は、国内系・外資系を問わず、証券会社と比べて平均年齢が高いことである。悪く言うと、若くして活躍できないということになるし、良く言うと、年をとっても働きやすいということになる。

もともと、サークルは所詮は遊びでお金が動かない、非ビジネスの世界なので、

サークル運営自慢は高評価の対象にはなりにくい。

また、面接官が若くないと、「今の時代でもサークルか」ということで新鮮味はますます感じられない。

資産運用業界の特徴は、小規模な組織であること

銀行、証券会社、保険会社と違って、資産運用業界は組織の規模が小さい。

社員数で見ると、最大手の野村アセットで909人、大和投資信託で634人と

1000人にも満たない。

外資系運用会社はさらに小規模な組織である

外資系の運用会社は更に、スモールオペレーションであり、

外資系運用会社の最大手のBlackRockで341人、フィデリティで246人という社員数である。

外資系の場合、一般的には、50~100人規模の企業が一番多い。

さらに、ヘッジファンドとか、運用資産を債券、不動産、Private Equityに特化したブティック型の運用会社であれば、10~20人規模が多い。

運用会社の場合は、小規模でも一人当たりの運用資産規模(AUM:Asset Under Management)、利益が高いと問題ないので、会社の規模とステイタス・競争力が比例しないのが特徴である。

小さな組織で期待される社員像

上記の通り、外資系の運用会社の場合、社員数が50~100人という規模感が一般的である。

このため、部長といっても、自分を含めて3~4人のチームを運営するケースが多い。

部署にもよるが、営業も、金法、リテール、年金と細分される傾向にあるので、

部長と言っても部下は片手で収まる場合が多いのだ。

したがって、求められる社員(管理職)というのは、

小さなチームをうまく回すマネジメント能力と、

自分自身がプレイヤーとして働ける専門的な能力と行動力、

である。

 

このため、面白いことに、大きな会社の部長(部下が10人程度)の方が、

転職の選択肢が減ることも少なくない。

どういうことかというと、大きな組織の部長は自らはマネジメントに徹していて、

自ら手を動かすことがないから、プレイング・マネージャーとしての

スキルが不足しているととらえられるからだ。

 

運用会社の場合は、ヘッジファンドとか、特化系の運用会社の起ち上げで、美味しい話が来たりすることがあるので、自分を含めて数人のチームを率いている方が、

「何でも自分でできます」感をアピールできて有利なことが多いのだ。

「100人規模」が意味をなさない理由

上記の説明で明らかだろうが、小規模組織運営が求められる(特に外資系)運用会社にあっては、「100人規模」の運営能力など必要はない。

部下を100人も持てるのは、外資系だと拠点長になってしまうし、

国内系でも執行役員以上になってしまう。

 

従って、上記の背景を踏まえた上で、国内系の運用会社を受ける場合でも、

「少人数(5人以下)のゼミで、幹事としてコミュニケーションを密に取りながら運営していました。私は小規模なチーム運営が好きです。」

と言った方が、「こいつ、よくわかっているな」ということになるだろう。

最後に

人数とか規模が大きいから、凄いだろうということにはならない。

業界やポジションによって求めらえるスキル、リーダーシップ観というのは

異なっている。

 

別に、サークル代表をアピールすることは構わないが、

それが会社にとってどのような意味があるのかについて十分j考えた上で

アピールできているかどうかが勝負の分かれ目となるだろう。

 

このあたりは、OB訪問等で業界・会社ごとの特性を踏まえた上で準備すべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弁護士が、外資系金融のインハウスとして働く場合の、年収、転職力、将来性等について

 

法科大学院制度に伴う弁護士数の急増、リーマンショック以降のM&Aフィーの減少に伴い、昔と違って、国内系大手法律事務所に入ってもパートナーへの昇進が保証されなくなった。

そこで、外資系金融のインハウスを狙う若手・中堅の弁護士も増えてきているようだ。

 

1. リーマンショックの前後で大きく異なる社内弁護士の待遇

リーマンショック前の好況期においては、外資系金融機関(外資系証券会社)での社内弁護士の待遇はすこぶる良かったようだ。

国内系の大手法律事務所の留学帰りのアソシエイトクラスで、ベースとボーナスを合わせた年収が4000万円~、という待遇であった。

外資系大手証券会社の法務部長(MD)ともなると、1億超という相場であった。

 

しかし、リーマンショックの後の年収の低下は他のフロント職とも同様で、

社内弁護士に対する大盤振る舞いの時代は終わってしまった。

2. 外資系証券会社における社内弁護士の年収、待遇等

弁護士資格を持っているとは言え、社員であることには違いないので、

タイトルも、MD(法務部長:1名)、Director/SVP/ED(各社2~3名)、VP(各社5~10人)、アソシエイト、という序列になっている点は他の部署と同様だ。

 

法務部には、日本の弁護士資格を持っていない社員もいるが、全員パラリーガルというわけではない。結構多いのが、日本の弁護士資格が難しくて取れないので、米国の弁護士資格だけ持っているという人たちが結構いる。

そういう人達の待遇が、日本の弁護士資格よりも大きく劣るとは限らない。

もっとも、働きにくいかも知れないが。

もちろん、純粋のパラリーガルとかアシスタント職の人達も法務部には在籍している。そういう人たちがVP以上になることは難しいのではないか。

 

年収水準については、部長(MD)であれば、今でもそれなりにもらえるはずだ。

1億円超は厳しいかも知れないが、大手だと7000万円位はあるのではいだろうか。

 

次のDirector/SVP/EDという、ナンバー2クラスの場合、MDと比べると大きく下がる。

一般的に、外資系の場合、部長(Head)とナンバー2の差が結構大きい。

リーマンショックの後は、ボーナスの比率を抑えるような規制があるため、ボーナスの割合が低く、基本給の割合が高くなっている。

Director/SVP/VPだと、基本給が2500~3500万、ボーナスが500~1000万というのが

目安だろう。

しかし、投資銀行の経営不振に伴い、ボーナスは低下傾向にあり、数百万位しかでなくなっているところもあるようだ。

 

その次に、一番人数が多そうなのがVPである。

VPの場合、基本給が2000~2500万、ボーナスが数百万円くらいだろうか。

 

VPの下は、アソシエイトということになるが、30代で日本の大手法律事務所で経験を積んでいるにも関わらず、VPで採用してもらえないのは、何か問題がありそうなので、あまりおすすめできない。

3. ワークライフバランスの優れた外資系証券会社

部長(MD)クラスは別として、法律事務所と比べて金銭的に特別魅力があるとは思えない社内弁護士だが、最大の魅力はワークライフバランスのようだ。

深夜・早朝まで働くことを要請されることはまずない。

案件の状況にもよるのだろうが、夜の7~9時位には帰れるそうだ。

結婚・出産などを契機に、ワークライフバランスを求めて、外資系証券会社の社内弁護士を狙う人達もそれなりに多いそうだ。

4. 将来性はどうか?

残念ながら、将来性は明るいとは言いにくい。

何故なら、グローバルの投資銀行(特に欧州系)の収益性は改善の兆しがなく、

パイは小さくなっていくことを想定しないと行けない。

また、上の方は詰まってきているので、何かあると切られやすいVP以下のポジションが多くなってきていると聞く。

 

このあたりは、法律事務所も楽ではないだろうから、法律事務所との比較になるのだろう。

5. クビになった場合どうなるか?

証券会社以外の、他の業界の社内弁護士を狙うことになる。

外資系運用会社という手もあるが、外資系運用会社の社内弁護士というのはあまり聞いたことがない。JPモルガン AM、Goldman Sacs AM、UBS AM、Morgan Stanley IMといった投資銀行系の運用会社にはいるかも知れないが、全般的にあまりポジションは無さそうである。

 

したがって、外資系製薬会社、国内系金融機関の社内弁護士と言うのが一つのパターンのようだ。この場合、基本給とボーナスを合わせた年収が2000万(国内系金融機関だと1500万)未満となるので、年収ダウンとなってしまう。

その代わり、ワークライフバランスは良さそうだ。

 

また、最近では外資系の保険会社のポジションもあるようだが、年収水準自体は高くない。

 

まとめ

法科大学院制度に伴う弁護士数の急増等により、外資系金融機関の社内弁護士というのは以前と比べて魅力は減っているようだ。

 

金融業界でのキャリアを目指すのであれば、わざわざ法科大学院経由で弁護士を目指すよりは、他の職種で証券会社とか、運用会社を目指した方が賢明だと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

メガバンクから外資系運用会社にポテンシャル採用で転職する場合の条件、年収等について

 

たまたま、元同僚のT君と機関投資家向けのセミナーでばったり会ったので、この話をupしたい。

T君は、現在41歳で米国系の運用会社に営業職として勤務している。

彼の特徴は、最初メガバンクに入社したもののリテール配属となり、苦労しながら、

外資系運用会社にポテンシャル採用で入社したことだ。

1. T君の経歴

〇年齢  :41歳

〇現職  :米国系運用会社

〇職種  :機関投資家営業

〇タイトル:Directorクラス

〇年収  :3000~4000万円(基本給+ボーナス)

〇学歴  :慶応大学経済学部

〇職歴  :1社目 メガバンク(リテール)4年

      2社目 外資系商業銀行(外為営業)2年

      3社目 外資系運用会社①(機関投資家営業)4年

      4社目 外資系運用会社②(プロダクト)2年

      5社目 外資系運用会社③(機関投資家営業)7年~

 

2. T君がメガバンクのリテール職から外資系運用会社(1社目)にポテンシャル採用で入社するまで

慶応大学経済学部のT君は、バイタリティにあふれ、グローバル・マーケットでの活躍を夢見て、メガバンクに入社した。

 

メガバンクの場合、基本的には全員リテールスタートであり、T君は都内のリテール店での配属となった。同期の中には、入社2年目から東大出身者などがパラパラとリテール店から本社に配属されるようになった。

T君は自分はいつ本社に呼ばれるか期待しながら、リテール営業を頑張っていたが、

4年目の異動で別のリテール店への配属が決まり、頭にきて転職することとした。

 

努力家のT君は、帰国子女ではないが、学生時代に英語を磨いていたので、英会話には問題は無かった。このため、外資系の運用会社に挑戦したが、リテール営業しか職歴が無いのでうまく行かず、とりあえず外資系の商業銀行で為替のセールス職に就くこととなった。

 

T君は外資系の商業銀行でも外資系運用会社に行くことを諦めずに転職活動を続け、

何とか29歳で外資系運用会社にポテンシャル採用で入社することに成功した。

 

一旦、外資系の運用会社に採用されてからは、比較的順調にキャリアを重ね、現在外資系運用会社3社目であるが、シニアポジション(Director相当)に就き、

年収3000~4000万円のキャリアを達成している。

 

3. T君が外資系運用会社に採用されるまでに苦労したこと

まず最大の試練は、なかなかメガバンクのリテール職(支店勤務)から抜け出せなかったことである。特に、同期が自分のあこがれの運用職に異動になるのを見るとメンタル的につらかったのだが、彼は諦めずに転職活動を継続した。

 

リテール職が長くなると、モチベーションも落ち気味で、「もういいか」となりがちだが、T君は粘り強く頑張ったのだ。

 

次の試練は、2社目の外資系商業銀行の時である。メガバンクのリテール職から、外資系商業銀行の外国為替の営業職は、半歩前進ではあるが、彼の理想とする職種ではなかった。

T君は、早稲田日本橋ファイナンシャル・スクールに通う等しながら運用の勉強を続け、転職活動をしながら、外資系の運用会社に挑戦し続けた。

ここでの粘りも大変だったという。

 

4. 外資系運用会社にポテンシャル採用で入社するための条件

以上は、T君の具体的なケースであるが、運用業務の経験が一切無い社会人が、

ポテンシャル採用で外資系運用会社に入社するための条件は以下の通りである。

 

①英語

 これは必須である。ポテンシャル採用なので、英語が不十分だと尚厳しい。

TOEICだと900以上が望ましいが、最低でも860は欲しい。

英会話ができれば別にTOEICスコアは必須ではないが、取っておいた方がベターである。

 

②年齢

 証券会社と比べて平均年齢の高い運用業界であるが、運用業務の経験が無いポテンシャル採用の場合には、やはり「若さ」が求められる。

29歳でもいいので、何とか20代の間にチャレンジしたい。

 

③職歴

 ポテンシャル採用だからと言って、業界が遠ければ遠いほど厳しいし、会社名も大きな要素となる。

従って、例えば、銀行・証券(いずれもリテール)>保険>非金融(メーカー他)

といったイメージである。

同じ業界であれば、見た目がいい方がいいので、メガバンク>地銀、

大手証券>準大手証券、ということになる。

 

④学歴

 ポテンシャル採用の場合、これも参考になる。

もっとも、③の職歴の方が④の学歴よりもウエイトは高い。

結局①~④の総合判断ということになるのだが、学歴については、MARCH以上であればそれで足切りを食らうことは無いだろう。

 

5. おすすめの方法

運用業務の経験が一切ないポテンシャル採用枠で、いきなり外資系の運用会社に入社をすることはそれほど容易な途ではない。

何故なら、国内の大手企業のように、常に第二新卒的なポテンシャル採用の枠があるとは限らないからだ。

そうなると、ポジション数は限定されるので、狭き門となりがちだ。

 

そこで、おすすめなのが、一旦、国内系の運用会社にポテンシャル採用で入社することだ。国内系の運用会社であれば、どこかには第二新卒・ポテンシャル採用枠があるので、この段階で運用会社にもぐりこんだ方が早い。

 

何故なら、国内系の運用会社にポテンシャル採用で入るほうが明らかに入りやすいし、

一旦運用会社で業務経験を詰めれば、その後は、経験者採用枠でいくらでもその後に外資系運用会社に行く機会はあるからだ。

経験者採用の場合、そもそも、年齢制限というものは無い。

 

もっとも、国内系の運用会社のポテンシャル採用の場合も、年齢は若ければ若い方がいい。25歳前後位が一番いいのではないか。

 

だから、T君の場合も、外資系商業銀行を挟まずに、メガバンクから国内系の運用会社に転職するという途もあったはずだ。

ただし、国内系の運用会社は、若い時は特に給与水準は高くない。

(25-26歳の平社員だと、せいぜい500~700万である。外資系であれば、20代後半でも1000万円程度は期待できる)

 

6. 今後の留意点

外資系の場合、基本的にポテンシャル採用というのは例外的であり、狭き門である。

また、メガバンク等から外資系金融機関を希望する者も今後増えていくことが見込まれる。

このため、動くのであれば早いに越したことはないので25歳位までに、見切りをつけたい。

また、いきなり外資系を目指すのではなく、一旦国内系の運用会社を挟むというのは堅実な方法である。

中途採用の場合は職歴と経験で判断されるので、会社名よりも職務内容が重要な要素となるからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保険版フィンテックのInsurTech(インシュアテック)で変わる?保険業界への就職・転職は狙い目か?

 

NewsPicksで、保険業界の特集がされている。

地味目な保険業界であるが、フィンテックの保険版ともいうべきInsurTech(インシュアテック)で保険業界は劇的に変わってしまうのだろうか?

そうした場合、InsurTech企業を目指すベンチャー系保険関連会社に入っておけば、ストック・オプションで大儲けできるのだろうか?

 

1. 保険業界の変化を考察するにあたっての4つの視点

NewsPicksは、以前にも「銀行は要らない」といった過激な特集を行ったが、銀行がそうそう早くに無くなるとは思えない。

メディアは見てもらってナンボのビジネスなので、センセーショナルな報道をしがちなので、自分のキャリアを考察するにあたっては、冷静・慎重な判断が必要となる。

 

それでは、保険業界は本当に大きく変わってしまうのだろうか?

以下の4つの視点から見ていきたい。

 

ライフネット生命保険業界を変えたか?

もう最近ではあまり話題にならないかも知れないが、保険業界の変革者というと、

何と言っても、出口治明氏と岩瀬大輔氏の2トップが起業したライフネット生命である。

 

ライフネット生命が設立されたのは2006年10月と、12年も前のことである。

当時は、株においては、ネット証券がリアル証券を完全に凌駕したので、

保険もネットによって全てネット生命に移ってしまうのではないかと、

当時の投資家たちは期待したのではないだろうか?

 

ところが、カリスマ経営者の2人がフルコミットし、何とか6年後の2012年に東証マザーズに上場したものの、いつまで経っても赤字のままで、とうとう去年の6月には、出口治明氏は退任してしまった。

 

そして、KDDIが株の25%程を取得しており、どう見ても保険業界を変えたとは思えない。

 

ライフネット生命の管理職の人と話す機会があったので、敗因について聞いてみると、「たかだか月あたり数千円のために、ネットに切り替えてくれる人がいなかった。また、ネットへの切り替えをうながすためには莫大な広告宣伝費と手間がかかった。」ということである。

 

要するに、保険は人を介してやった方が簡単で、ネットにわざわざ買える程はないということだ。

 

②自動運転と自動車保険の件

大手損保業界の中の人と話す機会があったが、損保業界としては2030年を自動運転普及の年と想定し、いろいろと対応を始めているようだ。

かなり先の話でどうなるかわからないが、自動運転が普及すれば、現在の損保の主力商品である自動車保険のパイの大きさは小さくなる方向に進むという。

また、今のところ、フィンテック関係の会社の存在感は特にないという。

③LINE7800万ユーザーと金融ビジネスの乖離

NewsPicksでは、LINEの保険事業参入が、いかにも画期的で成功を収めているような取り上げ方をされているが、実態はとても成功しているとは思えない。

業界の人がコメントを付けているが、LINEの保険販売高はごくごくわずかであり、しかも、なかなか売れなかったという。

 

LINE7800万ユーザーという、インパクトのあるLINEの利用者数を根拠に、LINEの金融事業を過度に脅威としている報道が見受けられるが、本当に脅威だろうか? 

 LINEと金融と言うと、数か月前に野村證券との提携の話があったが、

現在では話題にすらなっていないのではないだろうか。 

newspicks.com

 

それは単純な話で、LINE7800万ユーザーというのはコミュニケーションやゲームをやるためにLINEに来ている訳で、株、投信、保険が買いたくてLINEに来ているわけではないのだ。

7800万という母集団があまりに大きいので、ほんのわずかでも、金融事業に来てくれたら結構な数になるという期待なのだろうが、関係ない人を金融ビジネスに引っ張り込むのは容易ではない。

 

④海外のウソ ~海外で起こったことが同じように日本で起こるわけでは無い~

InsurTech(インシュアテック)というと、よく南アフリカの成功事例がとりあげられる。

しかし、海外で流行ったことが日本でも同様に起こるとは限らない。

特に金融ビジネスにおいては、規制や経済環境が大きく異なるので、似たような事象が発生するとは限らないのだ。

 

ロボアドバイザーとかはアメリカでは1社だけで数兆円にも及ぶ運用額になっているが、日本では最大手のウエルスナビがようやく1000億円の預かり資産を達成したところである。

また、中国などではキャッシュレス比率が急速に高まっているものの、日本のキャッシュレス比率が同様に急速に高まる兆しがあるとは思えない。

 

特に、保険業界は規制が厳しいし、業界団体が強い力を持っているので、異業種からの新規参入が円滑に行われる環境にない。

できるにしても、物凄く時間がかかる話であろう。

 

2. 保険業界の就職・転職について

以上のように、日本の保険業界がInsurTech(インシュアテック)で急速に変わるとは思えない。

従って、InsurTech(インシュアテック)系のベンチャー企業に入って、ストック・オプションで儲けようという考えには慎重になった方がいい。

 

もっとも、保険会社からするとInsurTech(インシュアテック)系のベンチャー企業を買うのは資産規模的に小さな買い物なので、M&AによるEXITということで創業社長は大金を手にすることができるかも知れない。

ただし、進化の速度が遅いので、早期のEXITを考えるなら、銀行系、証券系、仮想通貨系のフィンテックビジネスを始めた方が手っ取り早いのではないだろうか?

 

反対に、変化の速度が遅い業界であるので、大手の保険会社はまだまだ君臨し続けるだろう。もちろん、今の就活生が定年を迎える40年近い先まで高給・安定が保証されることはないだろうが、当面は大丈夫なのではないだろうか。

最後に

今、保険会社は就活生の間でどれくらい人気なのか、また、入るのが難しいのかはよくわからない。

安定かつ高給の労働条件に惹かれて志望する学生が多いのだろう。

確かに、まだまだ大手保険会社は安泰なのだろうが、反対に、アップサイドの要素が想像できない。

人生長いので、大手保険会社から内定をもらった場合でも、遠い将来を踏まえて、何らかのバックアッププランを考えておきたい。

 

 

 

高学歴の学生や若手社会人は、いつまでコンサルタントに憧れて就活・転職するのだろうか?

 

1. 人気度の上昇が止まらないコンサルティング・ファーム

外銀と外コンは就活における最難関の企業である。

特に外コンは、リーマンショック以降に外銀が不調続きなこともあり、どんどん人気度が高まってきている。

 

そして、外コンというと、マッキンゼーやBCG等の戦略系のみを想起する人もいるのだろうが、現在では総合系と言われるDeloitte、PwC、KPMGといった旧Big4系のファームや国内系のファームの人気度も急速に高まってきているようだ。

 

高学歴でもトップクラスの、東大と京大の学生のみを対象としたアンケートでは、

上位10社のうち6社をコンサルが占めるという異常事態になっている。

 

これでは、好景気の中、引く手あまたの高学歴の学生でも、コンサルティング・ファームは高嶺の花となっているのが現状である。

www.onecareer.jp

2. 高学歴の学生には朗報? 間口を拡げるコンサルティング・ファーム

ところが、コンサルティング・ファームを目指す高学歴の学生には朗報か?

コンサルティング・ファームが間口を拡げており、従来よりも入りやすくなってきているようだ。 

www.shiningmaru.com

 

この記事は、中途採用について間口が拡がってきているという話だが、中途採用でのニーズが高まれば、新卒における採用枠も拡がる傾向にあるので、新卒でも入りやすくなるし、新卒で落とされても、中途採用でリベンジできる可能性も高まっているというわけだ。

 

3. それでは、拡がった枠を利用して、今の間にコンサルティング・ファームに無理してでも、もぐりこんでおくのが正解か?

大学入学時からコンサルに憧れており、何が何でもコンサルをやってみたいという人は別として、一般的には、よく考える必要があると思う。

 

これを見ると、間口が拡がったのはオペレーション系の仕事が明らかに増加していて、「従来よりも低い能力であってもコンサルティング会社は受け入れています。」とある。

さらに、「調査、資料作成代行、資料作成レクチャーなど想像以上に地味な仕事も引き受け始めています。」とある。

 

そうなってくると、所属しているのはコンサルティング・ファームであるが、やっている仕事内容はコンサルではないということになってくる。

仕事内容が単純になっても、死ぬほど働かされるという労働環境は変わっていないようなので、単調な仕事の場合だとモチベーションが持続できるのか不安である。

 4. 最大の不安要因は供給の増加に伴うコンサルの価値の低下

もっとも不安な要因は、コンサルという人材の供給過多に伴う、将来のコンサルの価値の急落である。

 

需要が増え続けない限り、供給を増やすと価格は下がるというのが、経済法則の基本である。

この単純な経済法則によって、価値が急落した専門職は弁護士である。

法科大学院制度に伴い弁護士数は4万人を超え、10年間で1.5倍になった。

その間、訴訟件数は横ばいであったため、弁護士の年収は激減してしまった。

 

コンサルに対するニーズは将来も増え続ける可能性は十分にあり得るが、

コンサルの場合、試験とか研修制度という制約がない分、供給は弁護士以上の

ハイペースで増え続ける可能性がある。

需要が増え続けると言っても、単価が低い仕事が増えているので、コンサルの人数が増えると、将来の不安が残る。

5. コンサルは一定期間働くだけだから大丈夫なのか?

コンサルはスキル獲得や箔付けのために一定期間働くことができれば十分であって、

他社に好条件で転職できれば問題ないという考えもある。

確かに、金融と違って、コンサルのスキルは業界横断的に使えるものなので、

転職できる機会は十分あるだろう。

しかし、コンサルの数が増えれば、コンサルスキルを持つ転職予備軍のプールが大きくなるということなので、価値の下落のリスクは依然として残る。

 

6. コンサルは、クライアントの将来を緻密に分析した上で打ち手を考えるのが仕事であるが…

コンサルというのは、将来性を緻密に分析した上で打ち手を考えるはずなのだが、自分自身のキャリアについては「紺屋の白袴」になっている人もいる。

 

そういえば、DeNAとかグリーとか、ガラケーゲームの全盛期の後、東大生がこぞって新卒採用に集まり、ブーム化した気がするが、そこがピークだったような気がする…

 

さて、コンサルはどうだろうか。

供給を増やしても、案件を拡げることにより、市場は拡大をし続けるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東大・京大生の就職人気ランキングの歴史・変遷から、将来のおすすめキャリアについて考察してみた

ワンキャリアが東大・京大生を対象にした就職人気企業ランキングを公表しているが、

人気が特定の業種に集中しているのが気になるところである。

しかし、振り返ってみると、いつの時代もその時の外部環境に応じて特定の業種に

人気が集中していた。

 

そこで、過去の就職人気企業を歴史的に振り返ってみて、将来どういったキャリアを

志向するのが得策なのかについて考察してみた。

 

(ワンキャリアのランキングはこちら。)

www.onecareer.jp

 

1. トップ学生の就職人気企業ランキングの歴史について

①年代別の人気企業の変遷と特徴

〇バブル期(1985~1991年頃)

 

 まず、民間企業の人気度云々以前に、東大法学部生は司法試験・官僚を目指しており、法学部においては、そもそも、弁護士・官僚>∞>民間企業という時代であった。

外銀・外コンの採用も無くはなかったが、人数があまりに少なく、そもそも人気ランキングの対象にならないような状況であった。

 

 そうした中、圧倒的な人気企業は「興銀」であった。

野村證券大和証券の収益は絶好調であったが、当時はコース別採用が無く、

東大でも最初リテール店に配属されるリスクがあったので、証券会社は人気がなかった。

また、バブル期の象徴は地価高騰であり、三井不動産三菱地所の2社は採用数が少ないことも手伝って、東大・京大からも入社は困難であった。

 当時の特徴としては、「商社冬の時代」と言われ、総合商社の人気が高くなかった。

実際、年俸水準も今の8掛け位であり、給与水準は野村、東京海上、日生に劣後していた。

 

バブル崩壊、景気低迷期(1992~1999年頃)

 

 この時代も依然として、東大法学部生は司法試験・官僚を目指しており、ますます、

弁護士・官僚>∞>民間企業という序列であった。

 金融では90年代半ば頃から、ソロモン・ブラザーズ裁定取引により知られ始め、

外銀の存在が少しずつ認知されていった。

金融や不動産が凋落する中、キー局などは人気があり、東大からも入社は困難であった。

 なお、東証マザーズが創立されたのは1999年11月であり、起業という発想は学生の間には影も形もなかった。

 また、民間企業(製造業)の不振に伴い、医学部の難易度がじわじわと上昇をし始めた。

 

〇第1次ITバブル~リーマンショックまで(2000~2009頃)

 

 東証マザーズ設立(1999年11月)を契機として、ヤフー、楽天サイバーエージェントなどのネット系企業が次々と上場したのがこの時期であった。

短期間であったが、金融危機を乗り越えた後、ITバブルで大いに盛り上がった。

2001.9.11の米国テロ事件により景気は一時後退したものの、リーマンショックまでの間は景気が良い時代であった。

 

 人気企業は外銀であり、完全にトップ学生の間に知れ渡り、難関化した。

外コンも今ほどではないが、トップ学生の間のプレゼンスを上昇させ、難関化が進んだ。

資源価格の高騰に伴い、商社の年俸水準と評価が上昇し、トップ学生の間での人気が上昇していった。

 2005年にホリエモンがメディアに本格的に登場し、ネット系企業も注目を集めたが、

東大生が集中するような人気企業は見られなかった。

 なお、新司法試験制度が2006年に開始し、東大法学部生の、弁護士>∞>民間企業を変革するきっかけとなった。また、同時に天下り先の規制や、年収重視という現実的な価値観が増え始め、官僚も人気が徐々になくなっていたのがこの時期である。

 

リーマンショック後~現在まで (2009~2018頃)

 

 リーマンショックに伴う規制によって、投資銀行の収益性が大幅に低下し、外銀の人気がやや低下していった(とはいえ、まだまだ人気は高いが…)。

反対に、外コンの人気が著しく、従来から難関であった戦略系(マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニー、ローランドベルガー、アーサーDリトル)に加え、

総合系(アクセンチュア、デロイト、PwC、KPMG、EY)、独立系(DI、コーポレート・ディレクション経営共創基盤)も急速に難化している。

 総合商社は相変わらず人気が高く、外銀を蹴って三菱商事を選択する学生もいる。

 

 また、まだまだごく少数であるが、学生の間に起業をして億単位のEXITに成功するものや、フリーランスで年商1億円を超えるエンジニアが登場しはじめたことが注目される。サイバーエージェントDeNA、グリーなどはそれなりに人気はあるものの、東大生が入社できないほどの人気は無い。

 この時期の特徴として、弁護士・官僚の人気が完全に凋落した。他方、医学部人気は高騰し続け、まだまだ留まる兆しがない。

 

②人気の変遷を振り返ってみて、気が付いたこと

 〇学生の判断基準は、「生涯賃金の期待値」ではないか?

 バブル崩壊後の約20年間、トップ学生の間の3強は、外銀、外コン、総合商社であろう。これも考えてみるとおかしな話で、3業態とも、業務内容、給与水準、キャリアパスなどが全く異なっている。それにも関わらず、この3つを併願する学生は少なく無いようだ。

 思うに、これは「生涯賃金の期待値」が高い上位3業態ではないだろうか?

生涯賃金の期待値」は、

・給与水準

・転職力

・安定性(リスク)

の3要素に分解できるだろう。

 

一番単純なのは、総合商社で。まず6億円の生涯賃金を高確率で手にすることができるだろう。

 

外銀の場合、給与水準は圧倒的に高いが、その分安定性は極めて低い(リスクが高い)。したがって、20年間勤め上げMDまで昇格すれば、10億円を遥かに上回る生涯賃金が得られるが、そこまで到達できる期待値は低い。

さらに、転職力は金融業界内(但し年齢制限あり)かベンチャーCFO(数多くない)に限られるので、転職力は低い。

 

外コンの場合は、給与水準はそれほど高くなく、安定性も低い。

しかし、何といっても抜群に転職力が高い。業界を問わずベンチャー(経営企画系はどこの会社でもニーズがある)でも、どこでも行くところがある。

また、経営全般を見れるので、総合商社や外銀と違って、起業・独立するためのノウハウも付きやすい。

 

その意味で、トップ学生は、年収、安定性、転職力という要素を、意識的か無意識的かはわからないが、総合的に判断して会社選びをしているのである。

この点は、さすがと言えるかも知れない。

 

そうであれば、従来より生涯賃金6億円と言われる東京海上は、もうちょっと上位でもいいかも知れないが、少子高齢化フィンテックによる不安に伴う安定性と、圧倒的な転職力の低さを厳しく見ているのかも知れない。

 

〇地味に凄いのは、電通博報堂

 

採用数が多くないのと、業界が特殊だからか、最上位にこそ来ないものの、30年以上ずっと上位にランクされるのは、電通博報堂である。

ワンキャリアのランキングには、キー局は入っていないし、興銀なんて会社自体がとっくにない。

リクルートなんていい会社なんだけど、東大生からするとプレミアム感に欠けるようで、昔から上位にはランクされていない。

その点、電通博報堂であれば、大昔から今でも、東大生でも胸を張って言える企業である。

確かに、両社はそれなりの高給で安定しているし、転職力も「広告・宣伝」という切り口があるので、総合商社よりは勝っている。

両社は地味にランクの下の方に入っているので、コンサルの下位を狙うくらいなら、こっちに切り替えた方が賢明ではなかろうか?

 

2. トップ学生のための将来のキャリアを考察してみる

①金融業界について

年収水準と安定性(リスク)を考えれば、就職偏差値で外銀が固まって上位を占めているというのはおかしい気がする。

米国系と欧州系では年収水準も安定性(リスク)も結構異なっていることに気づいてくるのだろうか?

外銀の場合、採用人数が少ないし、入社してもすぐに辞める人が多いので、情報を収集するのが難しいのかも知れない。

ただ、着実に、ゴールドマン・サックスと欧州系の差は開いてくるだろう。

 

また、金融業界でまだほとんど知られていない穴場が、外資系運用業界である。

新卒採用を行う会社が限られており、小規模の会社が多数あるので、情報が拡散しにくいのだろう。

外資系証券のように5000万~1億円は厳しいが、3000~4000万円は普通に狙えるし、安定性は高いし、新規参入やヘッジファンドも含めて行くところが多い。

すぐには知られないだろうが、少しずつ人気が出るかも知れない。

 

コンサルティング業界について

戦略系に釣られてか、総合系や独立系まで異常に人気が高騰しているコンサルティング・ファームである。明らかにバブルであると言いたいところだが、需要も高まって来ているし、提供するサービス内容も変化してきている。

まだこれから5年間は拡大し続け、そうなると認知度も高まるので、まだまだブームは終わらないのだろう。

 

もっとも、昔は戦略系全部合わせて30人位しか新卒採用はいなかったのだが、現在では数百人規模に拡大している。

このまま拡大し続けると、10年後位にはコモディティ化していそうで、行くなら早めに勝負(転職・独立)したいところだ。

 

ベンチャー・起業関係

一時より人気は落ちているようだが、今でも、楽天サイバーエージェントDeNAあたりに就職しているトップ学生は多い。

ただ、既上場のベンチャーに行ったところで最早ストック・オプションの妙味は無いし、給与水準も初任給が高いだけで、その後の昇給は極めて低い。

そして、既に大規模化しているので、業務は細分傾向にあり、得るものは少ない。

子会社株式を渡すなどのインセンティブを設けたらいいのだが、本気で取り組もうという企業は見当たらない。

強いて言えば、メルカリくらいか、上場後も本気で優秀な人材を確保し、成長しようとしているところは。

そういうわけで、トップ学生が既上場ベンチャーに行く妙味は無いのではなかろうか?

 

これから面白いところがあるとすれば、非上場(というか上場する気が無い)の、

高収益ベンチャー企業だ。

人数でいうと10人にも満たないところか、せいぜい数十人位の規模感だが、一人当たりの収益性が異常に高い会社だ。

専門性が高い社員ばかりで構成されるベンチャー組織で、各社員が経営者としての自覚をもって行動しており、歩合的な報酬体系だが若い時から数千万円が可能という世界だ。

例えば、このような会社である。

assist-news.site

少人数で儲かっていて、仕事がバンバン来るようなベンチャーは、東京にはいくつもあるようだが、そういうところは宣伝する必要も無いので、なかなか知られない。

優秀な少数の人達と一緒に仕事を進めるので、スキルも高まるし、顧客とも近い。

会社名は誰も知らなくても、高い転職力を習得することが期待できる。

 

トップ学生たちはコンサバだし、右へ倣え的な傾向が強いので、主流にはならないのだろうが、今後地味に増えていきそうだ。

 

また、東大工学部の上位5%でプログラミング能力が高い生徒の間では、既に起こっていることだが、フリーランスで稼げる若手が出てきている。

単なる受託開発でも、月商数百万円というレベル感だ。

このあたりも、将来的には地味ながら拡がっていくのではないか。

 

④その他

トップ学生が重視するファクターは、

・給与水準、

・転職力、

・安定性、

あたりにあるようだ。そうであれば、「転職力」、言い換えれば普遍的な持ち出し可能な業界横断的に使えるスキル、を身に着けることができる就職先は他にもありそうだ。

 

業界横断的に使えるスキルとしては、「ファイナンス」、「人事・労務」、「広告・宣伝」があげられるだろう(プログラミングが最強だが、ここでは触れない)。

Wantedlyとか、Career Carverあたりでも、この3つの需要は業界関係なく多い。

 

ファイナンス」ということであれば、国内系証券会社のコース別採用(IBDないしはリサーチ)がいいだろう。それなりに難関なのだろうが、外銀やコンサルと比べると、遥かに入りやすい。

 

「人事・労務」というと、リクルートだろう。また、リンク・アンド・モチベーションというブティック系もある。東大生にとってはリクルートはプレミアム感が少ないのか、人気は高くなさそうであるが、一社目(例えば、メガバンク、保険、メーカー)が嫌になって第二新卒で他を探すような場合には、おすすめである。

 

「広告・宣伝」であれば、電通博報堂である。

東大生の場合、どこまでなら業界順位を落としてもいいのかよくわからいところがあるが、ADKとか東急エージェンシーあたりまでなら拡げてもいいのではないだろうか?

 

最後に

いつの時代もトップ学生の人気企業は、特定の少数の業種・企業に集中しがちである。

外銀・コンサル人気は理解できるが、そのうち、どこでどういったスキルを身に着け、将来どのように活用していくのかについて、自分自身の適性を踏まえた上で、もう一歩踏み込んで考えるべきではないだろうか。

 

今後は、物凄く儲かる非上場の企業・組織が増えていくのだろうから、そのような美味しい働き口を如何にして発掘できるかといった情報収集力がカギになるのではないか。

 

バイト、ゼミ、サークル、体育会で、大企業狙いというのは構わないが、起業・独立にも目を向けると、知らない世界が見えてくるのではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年収2000万円を目指すならば、就活で「バイト」と「サークル」の話はやめよう

 

はじめに 

最初に確認であるが、別に就活のESとか面接で、「バイト」や「サークル」の話をすることは構わない。

皆が皆、メジャー体育会での実績とか留学体験を持っているわけではないので、「バイト」や「サークル」をネタにするしかないということは理解できるし、実際、それで総合商社とか大手代理店等の人気企業に内定している学生は普通にいるだろう。

 

しかし、30歳で少なくとも年収2000万は欲しいという、学生は、もう一捻りする必要がある。

高水準の成功をつかむためには、人と同じことをやっていては難しい。

投資の世界でも、周りの人が興味をもっていない段階で投資を始めるからこそ、安い価格で買って、皆が必死になって買い始める時に高値で売却することができるのである。

 

何も考えずに、他の人がやっているのと同じことをするというのは、ある種の「思考停止」であり、それでは人よりも大きい成功をつかむことは難しいのではなかろうか?

成功するためには、人よりも考え抜いて、独自性のあるアイデアを出していく必要がある。

 

そこで、就活の必須アイテムである「学生時代に力をいれたこと」に関して、

何故「バイト」と「サークル」では面白くないのか、

どういうことが面白いと思われるのか、

について考えていきたい。

 

1. 面接官、採用責任者の40~50歳のおじさん達は、バイトやサークル活動を自分達も体験してきた

まず、新卒採用において決定権を有する人達について考えてみよう。

商社、代理店、金融、メーカーと、大手国内系企業の場合は年功序列制度が染みついていて、決定権を持っている人達は、40~50歳のおじさん達だ。

 

このおじさん達が就活をしていた当時は、1980~1990年代という大昔であるが、

塾や飲食店のバイトはメジャーだったし、サークル活動も盛んであったので、

その手の経験はしているし実態もある程度把握している。

 

だから、バイトやサークルを経験しているおじさん達に、

「塾のバイトで生徒の成績が上がった!」とか、

「サークルの副代表でみんなを引っ張る大変さ」を

熱く語ったところで、大体想像が付くので、「凄い!」とは

思ってくれないのだ。

 

2. 面接官、採用責任者の40~50歳のおじさん達は、ネットや起業がすこぶる苦手である

他方、面接官や採用責任者の40~50歳のおじさん達の弱点は、IT、ネット周りである。

何故か?

おじさん達の学生の時は、スマホ、ネットどころか、PCさえ普及していない時代であった。

平野ノラがお笑い芸でやっている、弁当箱のような大きさの携帯電話が出てきたのが90年代半ばである。

だから、IT、ネット周りで育った世代ではなく、しかも、大企業の場合、PCのセッティングから何から何までITの人がやってくれるので、ハード周りも弱い。

 

さらに、大企業の場合は、メディアポリシーで厳しく情報発信を制限しているので、フェイスブック位はやっていても、ブログ、ツイッター等を駆使した積極的な情報発信者にはなれない環境にある。

また、副業も禁止なので、アフィリエイトとかグーグルアドセンスとかもやれないので、SEOとかPV増加といったのは、知らない世界である。

 

したがって、就活生が「ブログとSNSを駆使して、ブログから毎月数万円の収益が上がっています。SEO対策としては〇〇等をやってみました。」と言ってみると、自分には全然できない世界なので、「凄い!」と思ってしまう。

 

また、「起業」などというのも新しい言葉で、若いうちからネットを使って起業したりというのは、1999年に東証マザーズが登場し、ネットベンチャーが上場できるようになってから後の話である。

それに、そもそも大企業のおじさん達は学生時代どころか、副業も禁止されているので、「起業」とは40~50歳の今でも無縁な人達である。

したがって、「学生時代に起業」なんていうと、それだけで、「今の学生は凄い!」と思ってしまうのである。

 

3. 面接官、採用責任者の40~50歳のおじさん達をあっといわせる、バイト・サークル以外の自己アピール術

就活の目的は、内定を得ることであって、採用関係者のおじさん達をあっといわせることではない。

したがって、調子に乗って嫌われてしまっては元も子も無いので、そこは、手堅く謙虚にアピールしていく必要がある。

もっとも、ブログによる情報発信等については、ジャンルが怪しくなければ、特にリスクのあるアイテムではないだろう。

 

①英語力をつけること

おじさん達は英語が苦手な人が多い。

もちろん、外資系とか商社とか国際メーカーだと話は別だろうが、

金融、不動産、流通、インフラ等の内需型セクターは英語ができない社員の比率が相当高い(9割位はしゃべれないのではないか)。

 

したがって、英語ができるというのはわかりやすい差別化要因になるし、

TOEICスコアは履歴書で掛けるので便利である。

 

本来、外資系企業の場合、TOEICだと最低でも900点以上は無いと、外国人とスムーズなコミュニケーションはできないのだが、就活段階だととりあえず860点以上あれば十分アピールできると思われる(但し、除く外銀・外コン)。

国内系金融機関(証券会社のコース別採用含む)であれば、TOEICスコアが800以上あれば、それなりに恰好が付くであろう。

 

英語は努力すれば誰でもできるようになるので、大学受験の英語を忘れていない、なるべく早くから準備をしておきたい。

②PV数万以上のブログを作る

上述したように、おじさん達はネット周り、情報発信に疎い。

従って、ブログでの実績をアピールするとささりやすい。

 

例えば、おすすめの国内系運用会社などでも、個人ブログの運営ネタは使えるはずである。

ただ、注意点として、株式、債券、FX等の投資関係のネタは避けておいた方が無難だ。

何故かというと、金融業界は投資関連の情報発信は厳しく、「入社後も投資関係のブログを続けるのかな?」という不安を抱きかねないからである。

 

従って、鉄道、漫画、ゲーム、B級グルメ、スポーツ、テレビといった趣味関連をテーマとするものが無難だろう。

個人ブログのネタがいいのは、いくらでも展開が可能だからである。

「PVを増やすために、Googleアナリティクスを使って、〇〇した」

SEOライティングを意識して、タイトルの付け方を工夫した結果、〇〇となった」

「ソーシャル拡散を狙って、ツィッターで〇〇した」

といった話ができるので、そんなに大したレベルではなくとも、真剣にやっていた感が十分に伝わる。

「塾講師で生徒の成績を上げるために、わかりやすい授業を心掛けた」といった話よりも、専門性やスキルがあることが自然と伝えられる。

 

特に、数千円とか数万円でも収益化できれば、ビジネスセンスとも結び付けられるので、尚良しである。

 

「会社に入ってからもブログを続けるの?」と質問されたら、

「仕事に専念したいので、少なくともしばらくはブログは止めると思います。」と

対応するのが良いだろう。

 

③起業について

これは起業の内容と規模によるが、

起業どころか副業すらしたことがない40~50歳の採用関係のおじさん達にはインパクトのある話である。

 

あんまり凄すぎると、「この学生は凄い。何故うちに来たいのだろう?入社してもすぐに辞めるとかいいださないだろうか?」といった不要な心配を

させてしまうことになるので、控えめに言っておけば十分だろう。

 

起業のネタもブログと同様に、いくらでも展開ができる。

どのようにしてビジネスモデルを考えたか、

資金はどのようにしたか、

ビジネスパートナーはどうやって集めたか、

マーケティング戦略はどうしたか、

等などいくらでも深い話ができるだろう。

 

そして、起業での体験と就職希望先との関係をうまく説明できれば尚良しだろう。

 

もっとも、アピールするのは個人ブログの運営と起業とは、どちらかに絞った方がいいだろう。1個でそれぞれが十分深堀できるネタだし、2つになるとフォーカスがぶれて説明がややこしくなるからである。

 

最後に

年収2000万とか、他の人よりも大きな成果を狙うのであれば、

人とは違う工夫をすることが必要だ。

多数に追随するだけではなかなか成功は難しい。

常日頃から、独自の切り口を見つけて試行錯誤していく習慣をつけていくことが重要だ。

就活の場合、面接関係者の人達は40~50歳位であり、IT、SNS情報発信系のスキルとか、起業といったものは苦手であるから、そういった話は刺さりやすい。

だから、工夫してうまく使ってみてはいかがだろうか。